山県雅子の噂
女学生PCと近しい女生徒です(女学生PC同じ年齢か、近い年齢です)。
彼女はノイローゼの末、衝動的な自殺を図りましたが家人に止められて未遂に終わり、以降、自宅に軟禁されています。
学校側の公式発表では、病気療養のための休学、ということになっていますが、それ以前の山県雅子の様子は全校生徒の知るところとなっており、
育ちの良いお嬢様の多い桜嶺女学院では表立って話題にされることはありませんが、噂好きの女学生達、あるいは何か勘違いしている女学生達の間ではかなり有名な話となっています。
(いつの時代でもあることですが、大正期ではノイローゼ等の精神病や、結核などの病気が何か浪漫ちっくなものであると考えていた人間がありました)
女学生PCが学内で山県雅子についての情報を集める等のアクションを起こした場合、以下の情報を得られます。
(話を聞く場合はキーパーの判断にて、《説得》、《言いくるめ》、あるいは《心理学》(話したそうな相手にそれなとく話題を振ると言った行動)等を+20%(情報収集DC:5)でロールを行わせてください。
・雅子について
「自殺を図る直前は、突然、歌い出したり、笑い出したりすることが多かった」
「彼女がノイローゼになったのは、黒澄先輩が声楽部に来てから」
「あまり学校に来なくなった時期でも、黒澄先輩にだけはよく会っていた。それも音楽を聴く為みたい」
・黒澄綾について
「最近、学校へ転入してきた人。背が高くて、すらっとしてて、髪が長くて黒く、しかも美人で・・・・・・、近寄りがたい雰囲気がするけど、本当はそうでもない」
「普通にピアノを弾いたり、歌ったりも抜群に上手なのに、何故か奇妙な音楽を弾いたり、歌ったりしている」
以下は特に声楽部に所属している生徒や、クラスが同じ生徒などに彼女について話を聞いた場合に得られる情報です。
・雅子について
「黒澄先輩の歌が殊の外気に入っていた。他の人はあまり良くないと言っていたが、山県さんはまるで憑かれたかの様に、黒澄先輩の下に通っていた」
「よく、黒澄先輩の歌に似た歌を歌っていた。何かが違っていたけど、似ている、としか言いようが無い」
・黒澄綾について
「歌についてだけは全く人が違っている。まるっきり、音楽に、歌に全てをかけているような・・・・・・。その時だけは別世界の人の様な印象を受ける」
・奇妙な歌について
「黒澄先輩が歌う、・・・・・・なんとも言えない歌。歌とは呼べないかもしれない」
「低く唸るような、何かが聞こえる様な、まるで深海を泳ぐ番の鯨の声の様な・・・・・・、名状し難い歌」
「私は好きじゃないけど、中毒みたいになる娘も居る。何度も聞きに行ったり、同じ様な歌を歌ったり・・・・・・」
山県雅子の自宅
山県雅子の自宅は四谷区、お寺さんの多い郊外で、近くには陸軍練兵所もあります。現在の新宿区四谷の辺りです。
ちょっと東京市内、帝都の中にあるのが信じられないような大邸宅です。しかもわざわざ郊外に建てているので、一体どこからどこまでがその庭、邸宅の土地なのか分からないような感じです。
山県雅子の見舞い、あるいは何らかの理由を付けて訪問しても、全く取り合ってもらえません。
また、応対には家人ではなく、女中が出てきます。
(仮に女学生PCが見舞いに来た、と言っても「お加減が悪く、人前に出られる状態ではない」と言ったことを言われます)
基本的に全く相手にされませんが、この訪問を長引かせた場合、奥の方から奇妙な歌声が聞こえてきます。
果たしてそれを歌声と呼んで良いのかは分かりませんが、そうとしか形容できない、人の声とは思えない低音と高音、ひどく不快な声です。
それがひとしきり続くと(この間、女中は呆然としながら青い顔を奥へと向けています)、続いてけたたましい笑い声、これは明らかに雅子のものです。
この異様な狂人の声を聞いた場合、ショックの為0/1のSANを失う可能性があります(もしも、探索者が初めて狂人を見るのでなければ、失わないことにしても構いません)。
続いて、雅子の声が聞こえてきます。
「神が歌いかけている。
歌が、天球からの音楽が、私には聞こえる。ああ、神が来訪する日は近いのだ・・・・・・」
山県雅子の誘拐
山県雅子は完全に『天球音楽』を受信した状態になっています。
ただし、彼女は精神力も弱く、また黒澄綾と違って音楽的才能も無い為、それをどう表現したら良いかも分からず、またその頭の中で鳴り響く奇怪な音楽に精神を蝕まれています。
しかし、何かの拍子にその音楽が狂気として噴出し、それが彼女の歌う、『禍歌』となっています。
再度、山県邸を訪問した場合、また雅子が歌っていますが、今度はかなり暴れています。家人に抑えられているようですが、そのうちに大騒ぎになり始めます。
聞き耳等は必要なく、『外へ出た!』と騒いでいるのは分かります。
雅子を追う場合:
《追跡》の+30%(野外知識DC:5)のロールに成功した場合、雅子の跡を辿る事が出来ます。
雅子は何か当てがあって外に飛び出したわけではありません。ただ暴れていただけですが、ここで見知らぬ車が彼女の前に止まります。
そして暴れる彼女を黒い洋服の男達が後部座席に押し込めると、そのまま走り去っていきます。
《認識》ロール(視認DC:5)に成功すれば、市内でよく見かけるフォードですが、ナンバープレートは(多分わざと)泥で汚してあり、確認はできません。
雅子が誘拐された事を山県邸に告げれば半ば下手人扱いで追い出されてしまいます。
その後、例の女中が探索者たちの後を追ってきます。
話を聞くことになれば、場所を変えようということで、適当なカフェ等へ入ることになります。
半ば何かを諦めたような表情で、「こうなってしまっては致し方ございません。もう、あなた方をお頼りするほかありません」と切り出してきます。
「御承知の通り、お嬢様はお体が悪いのではなく、お脳の方がどうにかされてしまったのです。
しかし、お家の体面を気にして、旦那様や奥様はお脳のお医者にお嬢様をお見せになさろうとは致しませんでした。
それで日に日にお嬢様のご加減は良くなくなって来たのですが・・・・・・。
お嬢様が誘拐されるような心当たりはございません。どうか、お願いします。お嬢様を取り返してくださいませ」
女中は応えれらる範囲であれば、質問には何でも答えます(ここでは、山県雅子の収集されていない情報を中心に話してください)。しかし、女中の知っている情報もあまり多くなく、目新しいことはありません。
また、がっちりとした探索者であるならば、ここで報酬の話をしても良いでしょう。
追わない場合:
半ば追い払われるように、「申し訳ありませんが、今日のところはお引き取りください」と門外へ押し出されます。
抵抗等した場合は、官憲が呼ばれます。どういう申し開きも通用しません。そのまま1D6日の間、留置所生活を送ることになります(女学生PCであった場合は、普通に家に送り届けられるだけです)。