大正の探索者

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 ここでは、帝都モノガタリの登場人物になるべき、探索者達のバックグラウンドについての資料や、実際のゲーム内でのデータを掲載します。
 基本的なキャラクターの作成ルールは掲載しません著作権問題でブラックなページになるため、掲載できません)ので、ご了承ください。

 また、BRP版、d20版のデータも併せて表記しますが、基本的にd20と表記が無い場合は、BRP版だと思ってください(BRP版が元になっていますので)。

■大正の探索者 項目一覧
■探索者の性別について
■出身地
■探索者の身分
■職業について
 □アナーキスト(≒スポークスマン+犯罪者)
 □華族(≒ディレッタント)
 □学生(≒ディレッタント+教授?)
 □官僚(≒スポークスマン+弁護士?)
 □教師(範士)(≒教授)
 □軍人、退役軍人(≒軍士官)
 □書生(≒教授+犯罪者?)
 □女学生(≒?)
 □女給(≒?)
 □新聞記者(=ジャーナリスト)
 □神官/僧侶/陰陽師・・・(≒聖職者)
 □私立探偵(=私立探偵)
 □大陸浪人(≒兵士+浮浪者)
 □民俗学者(≒教授+古物研究家)
 □渡世人(≒ギャング?(d20))
 □特高(≒スパイ?(d20))
 □弁士(≒弁護士+エンターティナー)
 □拾いや(≒?)
■基本技能の変更
 □存在しない技能
 □基本成功率、あるいは内容の変更された技能
■基本技能の変更(d20版)
 □存在しない技能
 □基本成功率、あるいは内容の変更された技能
■新たな技能
 □戦闘技能
■探索者の身長と体重(参考)
■コンピュータについて(参考)
■大正の外国人の探索者(参考)
■大正の猫の探索者(参考)

■探索者の性別について
 当然、探索者は男性でも女性でも問題ありません。
 しかし、大正時代は確かに女性の権利が前の明治、江戸期に比べ拡大、向上したとは言え、現代に比べれば 無きに等しいことを考慮に入れてください。

■出身地
 日本人であれば特に問題はありませんが、元々帝都に住んでいたことにするのが無難です(が、 大正14(1925)年の市勢調査では、約192万人と言われる人口の中で生粋の江戸っ子は約10万人、 帝都生まれの市民は約68万人と言われています)。
 外国人の場合、明治中期までは行動が制限されていましたが、大正では比較的自由(行動の拘束は基本的に受けない)になっています。
 ただ、当然多くの帝都市民は外国語を知らず、同様に外国人を珍しがります。詳細は、■大正の外国人の探索者(参考)を参照してください。

■探索者の身分
 明治維新で四民平等などを謳いましたが、結局身分の上下は厳然と残っており、それは大正に至っても 存在しています。
 この意識はより上流階級や、地方に行くほど強く残っていましたが、都市部ではかなりその意識は 希薄になっていると言えます(実際、それが残っているほどの上流階級とは縁が無いものですし、 目に見えるのも平民と代わらない士族ばかりであるため)。
 維新にて新たに皇族(天皇家)、華族(公家、元大名)、士族(元武家)、平民(その他の身分) としてあらたな身分を定めましたが、一応、法的な特権は伴わないものでした。
 しかし、明治17(1884)年に華族令が出され、これによって華族は特権階級的な貴族となります。
 残りの士族と平民は明治後期からあらゆる意味で統合が進み、ほとんど代わりのないものとなって行きます (多くの士族はその士族としての体面などを経済的に支えることが出来ず、平民に吸収されていきます)。
 しかし、江戸期より四民の外にあった賤民(部落)に対しては根強く残っており、この差別は現在までも 続いているとおり、かなり厳しいものでした(これらの身分差別を無くそうと、大正11(1922)年に、 全国水平社が創立されています)。

■職業について
 多くはルールブックにある職業をそのまま使用しても問題ないと思われますが、 以下に大正期特有の職業(あるいは、身分)や、変更があるもの、あるいはバックグラウンドが 分かりにくいものなどの解説をします。
※HJの大正クトゥルフを参考にしているため、「む?」というものが混じっていますが、 気に入らなければ無視してください(笑)。
 d20版データの推奨特技はあくまで推奨です。こちらも気に入らなければ無視して構いません。

□アナーキスト(≒スポークスマン+犯罪者)

 社会主義者、無政府主義者、護憲派運動者の過激派などの総称であると思ってください。それらの中で民衆のアジテーションをする指導者的な立場です。
 アナーキスト達の多くは政府自体が不要であり、政府が無くともなんとかなるか、あるいは差別や境界をなくすことが なによりも大切なことだと考えています(あるいは、自らが信じる主義主張が)。
 多くは非暴力的なアナーキストであることが多いようですが、意志堅固で無慈悲という点では、直接爆弾を使ったり、 暗殺を試みる者達と対して変わりはありません。
 大正はデモクラシーの名の下、平和な時代だ、などと思われているようですが、この民衆のパワーの凄まじさはこの時代が一番であると言えます。
 大正2(1913)年の憲政擁護運動で、桂内閣を総辞職に追い込んだ事件(これにともなう各新聞社の焼き討ち、軍隊、警官隊との衝突)や、 大正3年から続く米騒動、大正7年のシベリア出兵問題(連綿と続く米騒動絡みで地方で騒動が拡大)、大正8年の普通選挙要求など 大正は民衆のパワーが炸裂しています(あるいは、様々な不満が正しく政治へ向かったと言うべきでしょうか)。
 なお、大正期では大逆事件以降、社会主義者は反社会的な犯罪者の様な扱いを受け、またロシアの革命等の影響から共産主義に対して当局はかなり過敏になっています。
 その為、より直接的な行動に出るよりも思想的な行動が多く見られ、雑誌の発行等によってその思想を世に問う動きが見られました(実際は、行動を取ろうとするとすぐに警察等の治安組織が出て、すかさず逮捕される、というのが実情でした)。

アナーキスト(BRP版):所持技能
言いくるめ、隠す、隠れる、説得、変装、目星、+個人的なあるいは時代の特色的な技能としてさらに1つの技能

アナーキスト(d20版):コア技能
偽造、はったり、手品、隠れ身、交渉、威圧、捜索、爆破、(個人の専門分野として知識を1つ)、+プレイヤーの選択でさらに3つの技能
推奨特技:武器習熟(ピストル)、目ざとい、信頼、説得

□華族(≒ディレッタント)

 維新前から続く、公家、諸侯の家柄です。
 公、候、伯、子、男爵の5階級に分かれ、世襲財産権を持ついわゆる貴族階級です。
 華族としての義務(?)や、体面を保つために政治経済方面に関わっている者もあれば、 特にあくせくと働かずとも莫大な財産があるため、それらを使って日々遊び暮らしている者もいます。
 そのため、一見世情に敏感な者もあれば、世情に疎い者もあり、あるいは様々な知識を持っている(特に 一般には無い、外国の知識など)場合があります。
 この時代では、華族達に流行をリードしている人々が多くいました。
※ただし、明治後期より勲功華族と呼ばれる新しく華族となった家もありますが、これらは特に華族になることによって 生活水準が上がった云うことはなく、単に「華族に叙せられた=爵位を得た」以外に何もなかったようです。

華族(BRP版):所持技能
芸術、信用、(何らかの学問を一つ)、(ほかの言語)、+個人的なあるいは時代の特色的な技能としてさらに3つの技能

華族(d20版):コア技能
威圧、聞き耳、交渉、情報収集、知識(芸術)、符丁、+プレイヤーの選択でさらに6つの技能
推奨特技:鋭敏感覚、技能熟達、動物好き、裕福

□学生(≒ディレッタント+教授?)

 主に大学生の学生のことです。
 大正期では、多くの大学(特に私立大学)が帝都に集まっており、そのため帝都は学生の街でもあります。
 私立大学は、慶應義塾(慶應義塾大学)、東京専門学校(早稲田大学)などですが、区分としては一応専門学校となっています。
 大正12(1923)年の当時は全国に4つの帝国大学(東京帝国大学、京都帝国大学、九州帝国大学、東北帝国大学)しかなく、 他は全て専門学校となっていました。
 帝国大学令の第一条に「帝国大学ハ国家ノ須要ニ応スル学術技芸ヲ教授シ……」とあり、第一に設立された東京帝国大学が、 官僚養成機関の性格が強かったのは当然のことと言えましょう。  これらの学生は多くはイイトコの坊ちゃんで、華族や大店の子息であることが多かったようです。
 ただ、後述する書生と学生の区別は難しく、単に他の家に住み込んでいるだけの学生も書生と呼ばれたようです。
※帝国大学は明治10(1877)年に創立(このときは東京大学で、明治19年に帝国大学令が出て帝国大学に改称)、 その後、明治30(1897)年に京都帝国大学創立に伴い、東京帝国大学に改称しています。

学生(BRP版):所持技能
図書館、値切り、(言いくるめ、説得、信用の中から1つ)、ほかの言語、(何らかの学問の技能1つ)、+個人的なあるいは時代の特色的な技能としてさらに2つの技能

学生(d20版):コア技能
調査、交渉、はったり、威圧、鑑定、聞き耳、(なんらかの外国語を1つ)、(何らかの知識を1つ)、+プレイヤーの選択でさらに3つの技能
推奨特技:隠密、回避、頑健無比、攻防一体

□官僚(≒スポークスマン+弁護士?)

 特に高級官僚、あるいはその高級官僚の下に付く、国家の指導層として、高等文官試験制度により選ばれた役人のことです。
 多くが帝国大学出身者で、まあ、今で言ういわゆる「キャリア」という奴です。
 1920年代では、外務、内務、大蔵、陸軍、海軍、司法、文部、農林、商工、逓信、鉄道省が存在していました。
※逓信(ていしん)省とは、以下の如くの省です。

逓信省官制(明治24年7月27円勅令第95号)
第1条
逓信大臣ハ郵便,電信,船舶,海員,航路標識及郵便為替,郵便貯金二関スル事務ヲ管理シ電気事業ヲ監督ス。

 つまり、今で言う通産省から郵政省、さらには運輸省(海上方面のみ)などが混じった省です。

官僚(BRP版):所持技能
経理、信用、法律、説得、ほかの言語、(何らかの学問、芸術の技能1つ)、+個人的なあるいは時代の特色的な技能としてさらに1つの技能

官僚(d20版):コア技能
交渉、威圧、外国語(英語、又は独語)、情報収集、調査、聞き耳、知識(経理)、知識(法律)、(何らかの知識を1つ)、+プレイヤーの選択でさらに3つの技能
推奨特技:信頼、説得、神速の反応、鋼の意思

□教師(範士)(≒教授)

 この時代では教師などの教育者の立場にある者達は、エリートでした。
 多くが何らかの大学、それに類するものを出、さらにはやはり同じく教育機関にてさらなる研究や、 あるいは後進の育成にあたっていました。
 また、この時代は中・高等学校機関の普及が行われており多数の教師が必要とされていた時代でした(つまり、 教師である(あるいは肩書きがあるだけでも)、というだけでも立派な職業ということです)。
※大正9(1920)年では、全国の師範学校の数は94校にもなっています。

教師(BRP版):所持技能
信用、図書館、ほかの言語、説得、心理学、(何らかの学問の技能2つ)、+個人的なあるいは時代の特色的な技能としてさらに1つの技能

教師(d20版):コア技能
交渉、調査、精神集中、精神分析、真意看破、(何らかの外国語を1つ)、(何らかの知識を3つ)、+プレイヤーの選択でさらに3つの技能
推奨特技:技能習熟、信頼、目ざとい、裕福

□軍人、退役軍人(≒軍士官)

 明治3(1870)年に発令された徴兵規則によって、全国民(あるいは、市民)は一部の例外(学生や、華族)を 除いて、全てが成人男子(満20歳)には軍役が義務づけられました。
 あるいは、軍人となるには16歳で海軍兵学校に入るか、陸軍士官学校に入るかです。または陸軍の場合は、12歳で陸軍幼年学校に入ることも出来ました。
 その後、20歳までには少尉として任官する事になります(当然、士官学校に入れる人間にはある程度の 権力なり、金力なりが必要とされましたので、士官として任官されるのは、それなりの身分がある者達です)。
 明治期では軍人はエリートでしたが、大正期になりデモ鎮圧に駆り出されたり、あるいは不祥事、軍縮のあおりで 収入、民衆人気共に目減りしています。
 退役軍人は文字通り何らかの理由で軍を退いた者です。

軍人(BRP版):所持技能
経理、信用、説得、心理学、ナビゲート、値切り、法律、(何らかの格闘技能1つ)、+個人的なあるいは時代の特色的な技能としてさらに1つの技能

軍人(d20版):コア技能
威圧、隠れ身、聞き耳、視認、水泳、跳躍、登攀、知識(歴史)、野外知識、+プレイヤーの選択でさらに3つの技能
推奨特技:武器習熟(ピストル、又は近接武器)、追加HP、機動射撃、回避

□書生(≒教授+犯罪者?)

 文士(作家)や学者、政治家の自宅に住み込み師事する弟子達の事です。しかし、あるいは単に弟子として養ってもらい (あるいは単に住み込んでいるだけの場合もあります)、学業に励む若者(特に男性)を指す総称でもあります。
 書生達は大学などの高等教育機関の代わりに師事する人物に専門の教育を受けていたのです。
 当然、単にごろごろしているごろつきの様な不良書生から、師事する人物のために(勉学をそっちのけで)日夜奔走する 書生など様々です。
 ある意味、学生よりも融通が利き、学生以上に自由な身分と言えるでしょう。
※師事する人物により、この書生達の思想、行動にはかなりの幅があると思われます。

書生(BRP版):所持技能
言いくるめ、値切り、博物学、(何らかの学問の技能2つ)、+個人的なあるいは時代の特色的な技能としてさらに3つの技能

書生(d20版):コア技能
威圧、はったり、交渉、調査、視認、聞き耳、情報収集、(何らかの知識を2つ)、+プレイヤーの選択でさらに3つの技能
推奨特技:なし

□女学生(≒?)

 いわゆる「はいからさん」です。
 高等女学校、女子師範学校の生徒の事で、帝都では明治7(1874)年に神田に出来た女子師範学校(後の東京女子師範学校、現在のお茶の水女子大学)が 有名で良家の子女が多く通っていました。
 最初期の頃は女子専門学校(=今で言う女子大)はほとんど帝都にしかなかったようです。
 実際問題、女子専門学校を作っていたのは、在野の教養のある女性(津田梅子など)で、政府側は女子に 高等教育を授けると虚栄心が助長されるだけとか、妊娠のもっとも盛んな二十一、二歳という結婚期を三年もおくらせ、 民族の繁栄に悪い影響があるということが、まじめに主張されていました。
 家政学科などのいわゆる女性的な学科ばかりではなく、通常の専門学校と変わらない専門教育を行っているところも少なくありませんでした。
 大正中期までは袴姿の女学生が多かったのですが、後期になると洋装(特にセーラー服など)を取り入れる学校も多くなっています。
 余談ですが、いわゆるお嬢様言葉は「てよだわ言葉」等と呼ばれ、女学生を中心とした新しい(?)言葉でした(現代での女子高生の言葉に近い感覚です)。

女学生(BRP版):所持技能
図書館、説得、信用、博物学、(何らかの学問の技能1つ)、+個人的なあるいは時代の特色的な技能としてさらに2つの技能

女学生(d20版):コア技能
調査、情報収集、交渉、知識(地域:帝都)、(なんらかの知識1つ)、+プレイヤーの選択でさらに6つの技能
推奨特技:信頼、説得、裕福

□女給(≒?)

 明治30年代の始め頃からビアホール、カフェ、ミルクホール、レストランと次々と外食産業が発達していきました。
 最初の頃は、給仕婦と呼ばれましたが、後には特にカフェなどの従業員などを女給と呼ぶようになっています。
 今で言うウェイトレスである女給達は、外食産業の花形でした。
 洋装の女給も少なくはなかったようですが、高級をひけらかしたように思われ、多くは和服に(大きな)エプロンという姿でした。
 この女給の多くはなんと無給であり、客からのチップなどが収入となっていました。

女給(BRP版):所持技能
聞き耳、言いくるめ、精神分析、目星、+個人的なあるいは時代の特色的な技能としてさらに3つの技能

女給(d20版):コア技能
視認、聞き耳、はったり、交渉、情報収集、符丁、精神分析、調査、隠れ身、+プレイヤーの選択でさらに3つの技能
推奨特技:鋭敏感覚、目ざとい、追跡、信頼

□新聞記者(=ジャーナリスト)

 新聞がこの時代のマスメディアの中心であり、最大のものでした。
 この新聞記者も、当時花形の職業です。
 日本最初の日刊新聞は、明治3(1870)年に横浜で創刊された『横浜毎日新聞』であると言われています。
 横浜や長崎などの外国人居留地には内外の情報が集まりやすい為か、あるいは外国文化が直接流れ込んでくる 為か、いち早く新聞が作られています。
 以降、様々な新聞が創刊されますが、帝都での最初の新聞は、明治5年の『東京日日新聞』です。そして、その後も 続々と新しい新聞が創刊されていきます。
 また、新聞の普及にともない、それに乗せる広告なども広まるようになり、明治20年代から30年代にかけて、 広告代理店が発展しました。

新聞記者(BRP版):所持技能
言いくるめ、写真術、心理学、説得、母国語、歴史、+個人的なあるいは時代の特色的な技能としてさらに2つの技能

新聞記者(d20版):コア技能
交渉、情報収集、真意看破、調査、製作(写真)、製作(文章)、(何らかの知識を2つ)、符丁、+プレイヤーの選択でさらに3つの技能
推奨特技:信頼、技能熟達、回避、強行突破

□神官/僧侶/陰陽師・・・(≒聖職者)

 『神道』の神官、『仏教』の僧侶、そして日本古来の『陰陽道』の陰陽師で、日本の宗教家であり、オカルティスト達です。
 その大半は伝統に則って、単なる儀式や祭祀、行事を執り行う、単に形式的なものをですが、希に実際の霊的パワーを持ち、 本物の法力や、式神を操るものも存在しました。
 明治元(1868)年の神仏分離令により、あるいはそれ以前の江戸期から続く国粋神道の流れからか『国家神道』が復活し、 『廃仏毀釈』が起こり、仏像、寺が多く破壊された時期がありましたが、明治後期となり『廃仏毀釈』運動は 落ち着きを見せ、相変わらずの神社と寺院の共存を見せるようになります。
 また、陰陽師は明治期で多くが迷信である言われ、陰陽師達は悲運の運命を辿っています。
 特に、明治維新に際してその頭領である土御門晴雄が没するや、中央官庁に暦を作成する事業を吸い上げれ、 内部的にはその土御門の家系の存続も危うくなるとるという事態に陥っています。
 また、明治43(1911)年のハレー彗星の接近事件(彗星の事を陰陽道では長星と呼び、世の不吉の現れであり、これの 接近を防ぐ祈祷が行われたようです)、明治天皇崩御に際してその御病平癒の加持祈祷に効果が無かったことなどから、陰陽師達は歴史の表舞台から 消えてきました。
※帝都モノガタリであり、本来の『クトゥルフの呼び声』には向きません。
 

神官/僧侶/陰陽師・・・(BRP版):所持技能
聞き耳、説得、信用、心理学、図書館、歴史、(専門の技能1つ)、+個人的なあるいは時代の特色的な技能としてさらに2つの技能

神官/僧侶/陰陽師・・・(d20版):コア技能
威圧、はったり、視認、聞き耳、精神集中、精神分析、調査、知識(オカルト)、知識(専門の分野)、+プレイヤーの選択でさらに3つの技能
推奨特技:説得、目ざとい、鋼の意思、(GMが許せば超能力の特技)

□私立探偵(=私立探偵)

 大正時代の日本では、探偵小説の流行(主に海外のものの翻訳でしたが)により、『探偵』という言葉自体が広がりました。
 どうやら日本の探偵業は特にライセンスが必要なかったらしく、自由業だったようです。
 私立探偵はご多分に漏れず、警察が関与しないような事件や状況に関して活動を行い、依頼人を選びません。
 また、私立探偵の中には過去に警察で働いていたか、あるいは何らかのコネを警察に持っている者が多く、 それを有効に生かして仕事をしているようです。
 当時は銃、剣の携帯、所持は許可制であったため、かなりの重武装の探偵も望めるかも知れません(あるいは、 それこそ『小説に登場する探偵のような』活躍が出来るかも知れません)。

探偵(BRP版):所持技能
(言いくるめ、説得、信用の中から1つ)、拳銃、法律、鍵開け、心理学、隠れる、聞き耳、忍び歩き、+個人的なあるいは時代の特色的な技能としてさらに1つの技能

探偵(d20版):コア技能
威圧、解錠、隠れ身、聞き耳、視認、忍び足、情報収集、真意看破、捜索、+プレイヤーの選択でさらに3つの技能
推奨特技:隠密、武器習熟(ピストル)、目ざとい、マーシャルアーツ

□大陸浪人(≒兵士+浮浪者)

 主に満州浪人を指していますが、満州以外にも多数いた為、大陸浪人と呼ばれます(支那を中心に、蒙古、朝鮮のあたりまで含んでも問題ないと思われます)。
 大陸に渡った日本人で、そこへ住居、あるいは放浪した(主に)男達で、主に「馬賊」として名を馳せます。
 馬賊というと盗賊の様に思われますが(実際、それと変らない者の多く居たことには違いありませんが)、治安の悪い支那各地(特に満州地方)の自衛組織の中でも、 馬を駆る部隊を特に馬賊と呼んでいたようです。
 彼らの中には元士族や、あるいは何らかの理由で日本に居られなくなった者もいましたが、単に「夢と浪漫」を求めて大陸に渡った者も少なくありません (もちろん、中には大それた野望を持った者、ただ単に放浪したかった者、あるいは政府の密命を帯びた者等も居たでしょう)。
 満州事変(昭和6年(1931))以降、支那全土に抗日の嵐が吹き荒れることになりますが(それ以前からもひどい状況でしたが)、 これにより体制側に付く馬賊、抗日運動に参加する馬賊が出ます。特に体制側に反抗した馬賊はわざわざ「匪賊」と呼ばれました。
 なお、本土からはこの大陸浪人とはかなり浪漫ちっくな存在として受け止められており、様々に小説化されています(主に武侠小説でしたが)。 なかでも特に有名なものに「馬賊の唄」(池田芙蓉、大正14年に雑誌『日本少年』に連載)があります。

大陸浪人(BRP版):所持技能
言いくるめ、回避、隠れる、隠す、聞き耳、忍び歩き、(格闘、あるいは武器の技能)、+個人的なあるいは時代の特色的な技能としてさらに1つの技能

大陸浪人(d20版):コア技能
威圧、隠れ身、聞き耳、騎乗、視認、忍び足、脱出術、はったり、野外知識、+プレイヤーの選択でさらに3つの技能
推奨特技:隠密、頑強無比、追跡、武器習熟、マーシャルアーツ

□民俗学者(≒教授+古物研究家)

 民俗学とは、その土地に基づく風習、信仰、伝承などを研究する学問です。
 最終的には分類し、思考様式を明らかにすることにありますが、明治時代以降の、民俗学の太祖ともされる柳田國男によれば、それは民族の生活を向上させるのが目的だ言っています。
 民俗学者の多くはフィールドワークを中心に、直の聞き取り調査、記録観察を自ら行うことがほとんどで、一般的な学問の様に座して研究するものではありませんでした。
 明治〜昭和初期にかけて民俗学は黎明期とも言える混沌とした時期でしたが、柳田國男、折口信夫等の有名な民俗学者が出ています。特に柳田國男を中心に民俗学を研究するグループ(より古風に一門と言った方が良いかもしれません)が生まれ、 様々な功績を残しています。

民俗学者(BRP版):所持技能
信用、心理学、人類学、説得、図書館、博物学、目星、歴史、+個人的なあるいは時代の特色的な技能としてさらに1つの技能

民俗学者(d20版):コア技能
聞き耳、交渉、視認、鑑定、情報収集、知識(地域)、知識(歴史)、調査、野外知識、+プレイヤーの選択でさらに3つの技能
推奨特技:鋭敏感覚、技能熟達、信頼、目ざとい

□渡世人(≒ギャング?(d20))

 いわゆる、やくざ、博徒、無宿人です。
 無宿人とは江戸期において定住する場所を持たず、都市部においても権力の保護外にある放浪者で、主に博打を打って日々の糧(を得るための金)を得ていたため、無宿人=博徒といった構図となっています。
 この無宿人は、江戸期にはいわゆる「仁義の世界」で厳しい仕来りと相互扶助の精神を持った、いわゆる侠客が多くいましたが、 大正時代に多くは組織化、やくざ化しており、もはや「仁侠の世界」ではなく「仁義なき戦いの世界」であったようです。
 なお、大正期においても博打は非合法であり、官憲に見つかれば当然捕縛の対象となります(ただ、賭場を開帳する側が官憲と繋がっており、申し訳程度の捜査を行う程度であることもあります)。
 やくざは大方博徒と的屋に別れます。
 博徒は文字通りの博打打ですが、的屋は縁日などで露店を出したり、その呼び込みを行ったり、大道芸的な芸を見せて商品を売ったりする商人です。

渡世人(BRP版):所持技能
言いくるめ、隠す、隠れる、芸術(なんらかの賭博)、(信用か説得のどちらか)、心理学、値切り、博物学、+個人的なあるいは時代の特色的な技能としてさらに1つの技能

渡世人(d20版):コア技能
威圧、隠れ身、偽造、視認、忍び足、真意看破、手品、はったり、符丁、+プレイヤーの選択でさらに3つの技能
推奨特技:鋭敏感覚、隠密、回避、目ざとい

□特高(≒スパイ?(d20))

 明治政府成立時から存在する高等警察を母体として、大逆事件を契機に設置された特別高等警察、略して特高警察、特高です。
 体制批判に限らず、共産主義、反政府主義、その他、思想、宗教、政府に都合が悪いあらゆるものを摘発、弾圧する組織です。
 最初は東京、大阪、京都などの主要9府県にしか設置されていませんでしたが、大正14(1925)年の治安維持法を受けて全国に設置されました。
 その捜査手法は苛烈、過激を極め、拷問なども当然のように行われました。また、逮捕された本人のみではなく、その家族や周辺人物にまで弾圧は及び、特高に睨まれると社会的に抹殺されるも同然、ともいう状態でした。

特高(BRP版):所持技能
言いくるめ、隠れる、聞き耳、忍び歩き、心理学、追跡、変装、目星、+個人的なあるいは時代の特色的な技能としてさらに1つの技能

特高(d20版):コア技能
威圧、隠れ身、聞き耳、視認、忍び歩き、情報収集、真意看破、調査、変装、+プレイヤーの選択でさらに3つの技能
推奨特技:イニシアチブ強化、攻防一体、鋼の意思、めざとい

□弁士(≒弁護士+エンターティナー?)

 弁士と言うと、ただ単純に弁舌の立つ人間を指す言葉ですが、大正期に、あるいはそれ以前から演説全般(特に政治家活動に於いて)を行う人間を言うようになりました。
 軍談、講談、講釈を行う講釈師、その中でも活動写真に解説を付ける活動弁士等、様々な分野において弁士と呼ばれる職業があります。
 これらの話す芸能は、同じような分野との交流が進み、ハリセン(張扇)に代表されるような様々な芸の交流がもたらされました。
 大正期の活動弁士には、落語や講談のように合いの手を入れるファンが付くほど人気を博した者がいました。
 無声映画に解説を付ける活動弁士は、明治末期、活動写真の登場から現れ、大正期には活動写真の隆盛に合わせて激増し、震災後、昭和に入ってトーキーが現れてからは激減しました。

弁士(BRP版):所持技能
言いくるめ、オカルト、聞き耳、芸術、心理学、伝承学、値切り、博物学、歴史、小さな棍棒、+個人的なあるいは時代の特色的な技能としてさらに1つの技能

弁士(d20版):コア技能
聞き耳、視認、真意看破、知識、調査、手品、読唇術、はったり、符丁、+プレイヤーの選択でさらに3つの技能
推奨特技:技能熟達、説得、鋼の意思、目ざとい、裕福

□拾いや(≒?)

 広義では「屑拾い」と同じになっていますが、ここでは特にゴミではない使えそうなものを拾って生計を立てる職業(?)のことを指します。
 平たくすると浮浪者の一部ということになりますが、その中でも特に朝の早い時間などに歓楽街を歩いて、前の夜のうちに落とされたものを拾い集め、拾得する人々です。
 屑拾いと同じようなものですが、彼らは独自の拾うものを決めているか、センスを持っており、ただの屑拾いとは違うと本人らはしていたようです。
 あるいは、浮浪者達が組織立てられて厳密な縄張りのようなものを持っていたように、拾うものが決められていたのかもしれません。

拾いや(BRP版):所持技能
言いくるめ、隠す、隠れる、忍び歩き、値切り、目星、+個人的なあるいは時代の特色的な技能としてさらに2つの技能

拾いや(d20版):コア技能
隠れ身、鑑定、視認、忍び足、情報収集、捜索、手品、はったり、符丁、+プレイヤーの選択でさらに3つの技能
推奨特技:鋭敏感覚、隠密、目ざとい、身軽

■基本技能の変更
 大正時代に相応しい様に、基本技能を以下の様に変更します(場合によっては、技能が削除されています)。

□存在しない技能

コンピュータ
※参考にこちらを(■コンピュータについて(参考)

サブマシンガン

電子工学
※電子工学はあっても良いかも知れませんが、明らかに普通の日本人が修得しているとは思えません。
 また、修得していても現代の電子工学ではなく、未だ電気工学の一分野としての電子工学だと思われます。

□基本成功率、あるいは内容の変更された技能

電気修理(00%):
機械修理(00%):
 関係の職業の場合にのみ修得可能とします。

図書館(市民は05%、華族、知識階級は20%):
 庶民階級には馴染みがない場所ですが、皆無というわけでもありません。

運転(自動車)(01%):
 自動車は確かに存在しましたが、当然、現代の様に普及しているわけではありません。
 華族のような金持ち、警察、軍関連、そしてタクシー会社などがその多くを所有していました。
 また、国産車は無く、フォード、GMがほぼ独占状態で車輌を供給していました。

運転(馬車)(20%):
 自動車の運転、馬車の運転は別技能として、別々に取得してください。

拳銃(10%):
 この技能に1%以上振っていない場合、銃そのものの扱いを全く知らないことになります。
 つまり、弾薬装填などは言うに及ばず、安全装置の解除の仕方も知りません。単に、拳銃を撃った場合に 誰でも10%ぐらいで当たる、という事です(笑)。

母国語(EDU×5%):
 尋常小学校を卒業したと思われる探索者は、母国語を選択できますが、選択していなくとも基本的に 母国語技能は使用しません(母国語技能が低いからといって、母国語に不自由しているわけではありません)。

重機械操作(00%):
 主に蒸気機関の機械、あるいは電車などを操作できる技能です。
 当然、関係者でなければ習得していません。また、専門化されている為、その職業等の関連の重機でなければキーパーの判断で0%としても構いません。

■基本技能の変更(d20用)
 こちらはd20版用の技能についての注釈です。
 存在しない技能、あるいはその技能の内容についての注釈です。

□存在しない技能
運転:
 四輪車などの乗り物も、専門的な知識が必要なものとして全て操縦技能に含まれることにします。

コンピュータ:
 技能として存在していないのはコンピュータのみですが、その他の技能でも詳細な点で大正時代には相応しくないものが存在します。 それらについては以下の変更された技能で説明します。

□内容の変更された技能
重機械操作:
 特に変更点はありませんが、d20版ルールブックに説明される重機は大正には存在していません。
 この技能はBRP版の重機械操作と同じく、蒸気機関の大型機械、あるいは電車などを操作する技能となります。

修理:
装置無力化:
 大正時代では機械の修理などは完全に専門家のものとなっています。その為、適切な者以外がこの技能を使用する場合は、 常に不慣れであるとしてDCが+5されます。

製作:
 製作技能の中でも、特に化学、機械は修理技能と同じく、やはり専門のものとなっています。その為、同様に専門家以外がこの技能を使用する場合には、 DCが+5されます。

操縦:
 運転技能が習得できないものとして、以下のものを操縦に追加します。
 自動車、バイク、馬車、自転車

■新たな技能
 大正時代のための、あるいは帝都モノガタリのための技能が新たに追加されます。

運転(自転車)(20%):
 自転車を乗りこなす技能です。
 1%以上技能が振ってある場合で、普通に乗る場合には技能の判定は要りませんが、アクロバティックな、 あるいは無理な動きをする場合にこの自転車の運転を適用してください。

仏道/神道/陰陽道/修験道・・・(00%):
 オカルティストが自分の専門の分野を選択してください(ずいぶん乱暴な分け方ですが、流派毎などに 区分けするときりがないのでご了承ください。一応、探索者としてはより細かい流派、門派の設定が可能です)。
 職業としていない、それ以外の探索者はこれらの技能を初期の段階で50%以上にすることはできません( 裏を返せば、専門の者でも50%無ければ素人と同じ、と言うことです)。
 これらの技能が90%以上ある場合、■魔術にある魔術を修得することができます。

伝承学(20%):
 民間伝承に関する知識の深さを表します。
 言い伝えや、伝説、伝承、云われに由来など、その場の状況における専門的な知識ではなく、民間に伝わる いわゆる「俗に言う」というものを知っている技能です。

□戦闘技能

 これらの戦闘技能は通常の戦闘技能に比べ、異常に有利ですので、 キーパーはこれらの技能を安易に探索者に与えないように注意してください。

柔道/合気道(00%):
 組み付きの和風変形版です。HJ版では詳細が4つの技能に分かれていましたが、すべからく組み付きで 代用可能のため、柔道技能とします。
 オプションには□柔道:〜と付いていますが、合気道でも使用可能です。
 また、合気道などで適当でないオプションがある場合は、そのオプションを外してください。
※一部、柔道でないオプションもあります。

□柔道:掴み
 組み付きと同じ効果を得ますが、組み付きからのオプションは以下の柔道オプションに限られます。
 掴まれた相手が掴みを解除する場合は、STRの抵抗ロールに成功しなければなりません。
□柔道:投げ
 柔道を用いて相手を即座に「投げ」ます。
 射程は当然隣接で、相手に対して積極的に投げに行くか、あるいは相手の攻撃を受ける変わりに「投げ」ます。
 受ける場合、ラウンドの始めにどの攻撃を受けるか宣言する必要はありません。
 また、1ラウンドに投げは1回しか使えません。
 受けに成功した場合、相手の攻撃をつかんで投げます。あるいは相手の攻撃をかわすだけでも可能です。
 投げに成功した場合、ダメージは1D4+dbです。
 投げられた者は、CON×5のロールを行い、失敗した場合は1D3ラウンドの間苦痛で麻痺状態に陥ります。 また、麻痺状態にならなくとも以後の行動は地面に転倒した状態から始まります。
 「投げ」攻撃は、「回避」、もしくは同じく「投げ」で防ぐことができます。ただし、「投げ」で「投げ」攻撃を 回避した場合、防御側に「投げ」は発生しません。
□柔道:押さえ込み(組み付きと同じ効果を得ます)
 相手とのSTRとの抵抗ロールで成功すれば、相手を完全に押さえ込み身動き不能にします(ただし、押さえ込んでいる 探索者自身もその押さえ込み以外の行動はできませんが)。
 押さえ込んでいる相手が再びふりほどこうとした場合は、同じSTRの抵抗ロールを行ってください。何もしない場合は、 探索者がふりほどくまでこの状態が維持されます。
□柔道:間接技(掴み→間接技)
 すでに相手を「掴み」が成功した状態で、次のラウンドにもう一度柔道技能に成功することで、相手に1D6+dbの ダメージを与えます。
 ダメージの累積が耐久力の半分を超えると、該当部位の骨や靱帯が損傷し、行動に著しい不利が出ます。
□柔道:締め(掴み→締め)
 締めると宣言したラウンドから、溺れ、窒息のルールに従って窒息への行程が始まります。ただし、このとき、CON×5から 窒息の行程が始まります。
 窒息の行程が始まった時点で、攻撃者は柔道技能の判定に成功する必要は無くなります。
□合気道:武装解除(掴み→武装解除)
 相手の武器を取り上げます。
 掴みから武装解除を行うことで(つまり、2回の柔道技能判定に成功することで)、相手の武器をその手から 落とさせます。
□合気道?:張り倒し(掴み→張り倒し)
 相手を張り倒します。
 掴みから張り倒しを行うことで(つまり、2回の柔道技能判定に成功することで)、相手の張り倒し、 転倒状態にします。
 張り倒しが成功すると、相手を掴んだ状態では無くなります。

※柔道に対しては全て、あるいは柔道、組み付きで受け、回避が可能です。

空手(00%):
 マーシャルアーツの和風変形版です。
 マーシャルアーツと同じ効果に加え、素手での武器受けが可能となります。
 この受けを行う場合は、探索者のCON自体を受けに用いる武器の耐久力と同じと見なしてください。

剣術(00%):
 サーベル、刀剣の技能が日本刀用に特化した技能です。
 剣術技能の修得者はラウンドの始めに受ける相手を選ぶ必要が無く、いつでも受ける相手を決定できます。
 また、技能が80%を越える場合、その流派毎の何らかの特典を得ることが出来ます。
※流派の特典の詳細は、キーパーで作成してください・・・。

例)示現流:初太刀(その戦闘場面での最初の攻撃)が、最終的なダメージが2倍になります。
  新陰流:1ラウンドに一度のみ、回避に成功した場合、反撃を試みることが出来ます(受けてはいけません)。

 なお、軍人や警察官などは、日本刀よりもサーベルの技能を覚えているのが普通です。

■探索者の身長と体重(参考)
 探索者のイメージの参考の為に、SIZからの身長、体重のデータを示します。

 日本人は古墳時代以降、肉食の忌避、米食への偏りから、平均身長が下がり続け、江戸末期、明治初期辺りでの平均身長は成人男性で155Cm(!)と言われています。
 これが現代までほぼ平均して伸び続け、平成22年(2010年)で170Cmとなっています。
 これから行くと、大正期の平均身長160cmとなると考えられます(至極単純ですが、明治初期から現代までが約150年、そして丁度平均身長が15Cm伸びており、そのグラフはほぼ平均となるので)。
 女性についてはほぼ-10Cmとなります。
 探索者のSIZは2D6+6で決定される為、期待値は13となります。この為、大正期の日本人の探索者の場合、SIZが13=160Cmと考えると、下記のSIZ表から-3〜-4をした値の身長を適用するのがよいでしょう。
(なお、7以下についてはアバウトな値が適用されているので、元のSIZが10以下の場合は、-2〜-3ぐらいが適当になります)

 なお、体重については下記表は欧米人(新王国人?)のものである為、華奢か、それと標準の間ぐらいが平均的な体重と考えればよいでしょう(まあ、筋肉や脂肪の具合にもよるので、それはSTRやDEXと相談ですが)。

SIZと体格体重の対照表
SIZ身長(cm) 体重(kg):
華奢標準筋肉質
1 0-30 0-5 0-7 0-10
2 31-60 5-10 8-15 10-20
3 61-90 10-1515-22 20-30
4 91-105 16-2023-30 31-40
5 105-12021-2531-37 41-50
6 121-13526-3038-45 51-60
7 136-15031-3546-52 61-70
8 151-15536-4053-60 71-80
9 156-16041-4561-67 81-90
10 161-16546-5068-75 91-100
11 166-17051-5576-82 101-110
12 171-17556-6083-90 111-120
13 176-18061-6591-97 121-130
14 181-18566-7098-105 131-140
15 186-19071-75106-112141-150
16 191-19576-80113-120151-160
17 196-20081-85121-127161-170
18 201-20586-90128-135171-180

※表は『2ちゃんねる クトゥルフ卓上総合 内原富手夫の34加減』から転載。
 元はストームブリンガー(BOX版)よりの抜粋となります。

■コンピュータについて(参考)
 コンピュータの基礎の基礎となる論理ゲートの考えや、その回路の構成要素はすべて19世紀には発明されていました。
 しかし、ブール式(0/1の真偽値の式)を論理回路で実現できるとは考えられていませんでした。
 これが1930年代に、ブール式と電気回路の同等性が発見され、1938年にクロード・エルウッド・シャノンによりMIT修士論文「A Symbolic Analysis of Relay and Switching Circuits(リレー回路とスイッチ回路の記号的分析)」として発表され、やっと近代的なコンピュータの歴史が始まるのです。

 念のため、チャールズ・バベッジが発明したことになっている差動機関(ディファレンス・エンジン)は17世紀後半にすでにその論理が発表され、その後、18世紀にバベッジによって再発明されています。
 この差動計算機は電気回路によって動作するものではなく、歯車の組み合わせの差動によって計算を行なうものです。
 この後に続くはずだった解析機関と合わせて、バベッジがコンピュータを作ったかのように思われていますが、バベッジはコンピュータの概念に近いものを作ったのであり、現代的な電子、電気回路を開発したわけではありません。

■大正の外国人の探索者(参考)
 江戸幕府が諸外国と結んだ当初の条約では、治外法権を認めていました(明確な治外法権ではなかったのですが、そう解釈されても致し方ない内容でした)。この為、これを引き継いだ明治政府もこの治外法権が継続されます。
 これを盾に、明治初期から中期には外国人が商取引を一方的に破ったり、様々な犯罪(殺人、強姦の重犯罪や、あるいは阿片の密輸など)を犯しても、一切手が出ない、という状態で、仮に領事に訴えたとしても、公平な裁判は望めず、日本人は泣き寝入りでした。
 悪いことに、明治11(1878)年には西欧ではコレラが大流行し、明治政府も検疫制度を引いたのですが、当然、外国側は無視、日本にコレラが輸入され、大流行します(が、諸外国の都市よりも衛生管理の状態がよかった帝都では、外国よりも被害は小さかったようです)
 さらにこの後、明治19年に悪名高いノルマントン号事件が発生します。
 和歌山沖で沈没したイギリス船、ノルマントン号が日本人乗客を全て見捨てて、外国人の船長船員は我先に避難、その後の裁判で無罪となった後、日本からの訴えで再審を行い、僅か懲役3ヶ月の刑となり、一切の賠償金等も無い判決となりました(この懲役刑すら実際に執行されたか怪しいのですが)。
 折からの関税の自主権が無いことからも、明治27年になってやっと条約改正を果たしました。

 政府側が諸外国との面倒を避ける為、名目上は治安や風俗維持の為、外国人を一つの土地にまとめて住居させる外国人居留地を、主に江戸期に開港した港の周辺に定めました。
 この為、基本的に夜間に居留地外を出歩くことは禁止され、また旅行等の長距離の移動も制限されていました(が、多くの外国人が役人等の公人か、政府に関係のある商社等の人間であった為、厳しい制限ではなかったようです)。
 明治32(1899)年、内地雑居の実施により居留地の法律は廃止され、居留地の外に住むことや、旅行の制限も解除されました。
 ただ、それまでも外国人の住居はその範囲に限られましたが、昼間出歩く分には何の制限も無かった為、帝都で外国人を見るのはそれほど珍しいものではなかったようです。

ヴァリアント:外国人のコミュニケーション系のロール
 見るのも珍しくないのですが、実際に関わりがあることは普通の市民には少なく、外国人のその外見や、体格の差、そして根も葉もない風聞(実際には不良外国人が起こした事件が根強く残っているとか)により、外国人の探索者が庶民(平民)に対してコミュニケーション系のロールを行なう場合、対象NPCのEDUが6未満の場合は1/2の修正、EDUが6〜12の場合は-20%の修正を行ないます。
 逆に対象のNPCが華族や士族、あるいは上流階級に所属している場合は、+20%の修正が行ないます。

■大正の猫の探索者(参考)
 日本に固有の猫が居たのかは未だに議論がありますが(本州には山猫は居ない、とされています)、弥生時代の遺構より猫の骨が出土したこともあり、古来より猫が居たことには疑いありません。
 有名な、日本における猫が登場する最古の文献で、宇多天皇の仁和5年、先帝の光孝天皇から唐伝来の黒猫を賜った、という日記がありますが、これは唐猫と呼ばれる、中国から輸入された当時の高級品種であり、一般的な猫ではなかったようです。
 この唐猫は元々は中国から仏典を輸送時、ネズミに仏典を齧られることに悩まされた為、仏典とともに日本へ輸送されたものだと言われています。
 それとは別で、庶民の間にもネズミ捕りの為に猫を飼うことが多かったとも言われており、特に養蚕農家では鼠避けの為に飼っていました。

 明治期にペストが日本にも上陸し、明治33(1900)年に東京市はペストを媒介するネズミを1匹5銭で買い取るという通達を出しました。
 これにより、「ネズミを捕って天丼を食おう」(当時、上天丼が5銭)なる流行語まで生まれましたが、当然、その程度でネズミの繁殖を抑えられる訳はありません(このネズミと5銭の金券の交換で役所(あるいは警察署?)の窓口が大混雑したこともあり、しばらくしてこの通達は取り下げられました)。
 この後、明治42(1909)年にペスト予防の為、一家に1匹、猫を飼うように勧奨されました。これによって様々な猫が輸入され、市井に猫が溢れかえった、という訳ではありませんが、都市部において猫達がありふれたものになりました。
 この為、キャットゥルフにおいて猫の品種の制限は時代だけ考慮すればよいでしょう。
 そして、純血種である場合、多くは輸入された猫かその子孫である為、華族等の上流階級、あるいは経済的に余裕がある家庭において養われているか、いたことにすることを推奨します。

純血種:ジャパニーズ・ボブテイル
 いわゆる日本猫、招き猫のモデルと言われる品種です。
 体が全体的に細く長く見えるものの筋肉がよく発達しており、特に後ろ足はしっかりとしています。はっきりとした三角形の頭部を持ち、耳は大きく直立していて、眼も大きく丸型に近いアーモンド形をしています。体毛の色も様々ですが、やはり三毛が人気があるようです。目の色も様々ですが、三毛猫の場合はオッドアイのものも居ます。
 ジャパニーズ・ボブテイルの最大の特徴はその名の通り、短い尾です。これは尻尾が巻いている為に短く見えるもので、尻尾が全く無いものから十センチ程度のものまで様々です。
 従順な性格で、適応能力が高く、人懐っこい性格のものが多く、愛嬌があり、集団的な生活を営むことに慣れていると言われています。

 ジャパニーズ・ボブテイルが品種として認定されたのは昭和51(1976)年です(短毛種のみ、長毛種は平成4(1992)年)。
 品種が固定されたのもその時期なのですが、古来よりこの尻尾の短い、あるいは全く無い猫は日本に存在していました。

 血統ボーナス:<洞察>、<ヨウル>に+10%。
 血統による短所:なし。
 血統トリック:幸運を招く、1セッションに1回、失敗した<幸運>を成功にすることが出来る。