・文書  …永劫の太古より、無限の空間を越えて、物質を凌駕する実体を有し、精神の髄そのものの中を何ものにも囚われる事無く闊歩する。  彼のものが紡ぎ出す欲望の前に、何者もその召喚を拒む事はかなわず、彼のものの容赦無き探索の意志の前に、世界の果てといえども身を潜める事はかなわず。  彼のものの目的の前に、時間も空間もその境界そのものを曲げ歪める。波の下の黒き石の回廊において、彼のものは暗闇の中、永劫の時間を潜み待つ。  何故なら彼のものこそは湖に棲むもの、万物の支配者なれば。  彼のものへのあらゆる賛美は与えられるべくして与えられるもの。  おぉ、古ぶるしく恐ろしきもの、おぉ、氷のごとく冷たき星々の間より滴り落ちしものよ、我らを汝の意志に尽くさせ、ここに我らの生贄を受け入れよ。 ・絵  何かある種の顔のように見える粗雑な絵が描かれていた。  それは不快に膨れ上がった果肉状の頭部と、そこから長く突き出した光沢のない小さな目、輪郭のほとんど占めている薄い切り傷のような口を持っている。