日記を調べた場合:  半日を調査に費やす必要がある。 (日記は日本語で、丁寧な文字で書かれている為、《日本語》は必要ない) 日記の大半は、その日に行なった治療についてが書かれている。 長柄は診療所を構えているが、村唯一の医者として、あちこちに往診に出向いていることが伺える。 XX月XX日  倉木の主、千里を診察。  すでにかなりの老体であることは確かだが、3年前に初めて診察した以降、特に変わりは無い。  ただ、肌がかなり乾燥しており、まるで崩壊するように荒れている箇所もある。塗り薬を処方。 XX月XX日  倉木千里を診察。暴れる。  脚を悪くしているようだ。片足が壊死するように崩れている。  何故ここまでになるのに放って置いたのか? XX月XX日  倉木の娘、澪が診療所を訪れる。  しばらく、往診の必要は無い、とのこと。理由は不明。  ただ、老人の方は体よりも精神の方に問題がある。 XX月XX日  村人が騒がしい。  『徴』とは何のことだ。 XX月XX日  同じ大怪我を負った患者を何度か診ている。  青黒い大きな斑紋と、そこから赤い網目状の紋様が広がる傷を持った患者。  傷の大きさや、体の前後、あるいは左右に存在することから何かが貫通したように思われるが、もしもそうなら、即死してもおかしくない。 XX月XX日  例の大怪我を負った患者は誇らしげに「これは『徴』なのだ」という。 XX月XX日  また行方不明だ。 XX月XX日  村人の言う、『月待ちの儀』が近いらしい。  倉木の家の秘祭らしいが。 XX月XX日  奇妙な夢を見る。  干上がったはずの湖に、水が満ちていた。過去の光景だろうか。 XX月XX日  倉木の娘、澪が訪れる。  診療を再開して欲しいとのこと。ただ、昨日から気分がすぐれない為、明日行くと伝える。 XX月XX日  また夢を見る。  湖の底に石造りの都市を見る。あれが、村人が言っていたXXXXXなのか?  馬鹿な、夢だ。 (XXXXXの箇所は震える手で書かれたように文字が乱れており、読めない) XX月XX日  倉木家へ往診。  千里老は相変わらずだが、精神の状態がかなりよろしくない。  不死だとか、向う側とか、訳の分からないことを喚いている。  精神安定剤を打ち、澪と相談。『月待ちの儀』が終われば落ち着くと言う。謎。 XX月XX日  恐ろしい夢を見る。湖からXXXXXが現れ、私にXXXXXXX。  体がひどく痛む。『徴』がXXXXXXXXXいる。  馬鹿な、あれは夢の中の出来事ではないのか。 (XXXXXの箇所は文字が擦れて読めない) XX月XX日  陽が眩しい。自分のXXXXXXXXXようだ。  湖にXXXXXXXXX。  早く行かなければ。 (XXXXXの箇所は文字が擦れて読めない)