大地返歌事件 ハンドアウト

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ハンドアウト

 シナリオにおけるハンドアウトです。
 随時、探索者へ提示してください。
 それぞれにあるテキストファイルはプレイヤーに渡すためにお使いください。

  1. 雪子からの手紙1
  2. 稲葉の楽譜
  3. 雪子からの手紙2
  4. 雪子からの手紙3
  5. 雪子からの手紙4

雪子からの手紙1
 便箋は高畠華宵の抒情画の便箋で、紫に花の絵が描いてある乙女ちっくな奴です。
 少しだけ香水の香りします。
 また、オペラのチケットが同封されており、今日の授業が終わった後の時間のものです。

突然で驚かれるかもしれません。
お姉様と呼ばせてくださいませ。
私は1年の安藤雪子といふものでございます。
実はお姉様を入学した当時から、好きだったのであつたのでございます。
お手紙を差し上げるのが恥ずかしく、今日やつと思ひきつて出したのでございます。
明日の正午、浅草のオペラ座館の前にてお姉様をお待ちしております。

屹度、之を読まれてお姉様は御叱りになる事と御推察申し上げます。
そんなことを知りながらもこんな事を書く私の我儘を御許し下さいませ。

お姉様、どうか私の無上の姉として私を導いて下さいませ。どうぞお願ひ申し上げます。
私の唯一の愛する御姉様に

妹の雪子より

 印刷用テキストファイル:letter_yuki1.txt

稲葉の楽譜
 普通の五線の楽譜です。
 手書きでかなり雑ですが、読めないことはありません。
 メモ書きには日付はありませんが、ほぼ楽譜の書かれた順であること、また、インクの具合である程度察することができます。
 番号は便宜上のもので、本来は番号はありません。

表題には、「大地返歌 Messa di Requiem per Shuggayより」と書いてある。

1.
氏家の知り合いのあの男からもらったあれの第一幕。
恐ろしく反社会的な、頽廃的な、不道徳な、なんとも攻撃的な内容である。
正直、自分でも何故この音楽に惹かれるのかは分からない。

2.
頭痛が止まない。
時折、耳の中で、あるいは自分の頭の中で何かの羽音がする。
順調に曲は出来てきている。
書けば書くほど、曲の内容が世間には公表できない内容であることを理解する。
しかし、この曲を書くことが今の私にはひどく楽しいものになっている。

3.
頭痛がひどい。
時折、意識を失うぐらいだ。
何か大きな虫が飛ぶ様な音、何かの羽音が聞こえる気がするが、頭痛による幻聴だろうか。
曲を書いている間は多少頭痛は治まる。

4.
今日、黒い女と出会う。
確か黒澄とか名乗った気がするが、記憶が曖昧だ。
どこで会ったのかも覚えていない。夢の中での出来事のような気がする。
曲についての指摘を黒い女から受ける。
ひどく腹が立ったが、指摘の通りであることも確かだ。
曲の一部を書き換える。

5.
頭痛は相変わらず続いている。また、羽音がはっきりと聞こえてくる。
何なのだ?

6.
曲は完成に近い。
最近は昼間は起きていられない程頭痛がする。
夜のわずかな時間にのみ、生活をしている。

7.
完成した曲を自分で奏でてみる。その間は酔ったようになり、頭痛が軽くなる。
この曲は通常の演奏方法ではおそらく演奏はできない。
あるいは、ミサ曲では何か新たな楽器でも取り入れる予定だったのだろうか?

8.
やはりだ。
あの黒い女にも指摘を受けた。
通常の楽器、演奏方法ではおそらく完全な「大地返歌」を奏でることはできない。
だが、特殊な演奏方法と、それが可能な技量の持ち主であれば、本来の演奏ではないが、それに近い演奏はできると黒い女は言っていた。

9.
曲を奏でる。
ひどく落ち着く。頭痛も気にならない。
だが、私では完全に曲を奏でることはできない。

10.
意味も無く、ふとした拍子に「大地返歌」を奏でてしまうようだ。
別の曲を弾いていたはずなのに・・・。

11.
悪夢を見る。
夢のなかでも「大地返歌」を奏でている。
そして、その音楽に応えるように、別の楽の音が聞こえてくる。
恐ろしい。だが、ひどく楽しいことも確かだ。

12.
自分の考えと感情がまるで乖離しているようだ。

13.
悪夢。
否。
「大地返歌」は、応えなのだ。
応えがなんであるのか、不完全な演奏では分からない。

14.
曲を奏でる。
頭痛は引くが、羽音がひどくなる。
おそらく、あれが喜んでいるのだ。

15.
安藤君ならば可能かもしれない。
そうだ、彼女にこの曲を奏でてもらうのが良いだろう。
そうすれば、あれの応えが分かるはずだ。

 読み込んだ場合は、芸術(楽譜を読むことができるものが選択されていること)の判定を行ってください。
 芸術の判定で分かることは下記の通りです。
・メモの通り、通常の楽器では演奏できない箇所がある。
・とても通常の音楽と思えない、高音、低音が入る箇所が多い。むしろノイズや、雑音に近い箇所もある。
・最後にフルートの独奏が入る。ここが、通常の演奏方法では演奏できないと思われる(それ以外の箇所でもかなり高度なテクニックが必要な箇所が多い)。

 印刷用テキストファイル:inaba.txt

雪子からの手紙2
 便箋は高畠華宵の抒情画の便箋で、紫に花の絵が描いてある乙女ちっくな奴です。最初のものとはまた異なります。
 ひどく乱れた文体で、前の手紙のような丁寧な、読みやすい文字ではありません。
 かなり動揺しているのが伺えます。

ああ、お姉様!私のお姉様!
お助けください。
ひどく自分が恐ろしいのです。

あの曲、稲葉先生から頂いたあの曲!
先生の遺作にもなる新曲が、私宛に、私に演奏するようにと送つて参りました。
曲は大変に難しひものでしたが、なんとか演奏することができました。
その時、恐ろしき声のやうな、笑い声のやうなものが聞こえてくるのです。
演奏に合わせて何かが応えるやうな、そして自分の耳元でも何か大きな虫が飛ぶやうな音が聞こえてきます。
もちろん、私の傍には人も虫などおりません。その音は、おそらく私の頭の中に直接聞こえてくるのです。

演奏を途中で止めようとも思ひましたが、勝手に私の手が曲を奏でるのです。
でも、何よりも恐ろしいのは、その曲、恐ろしい曲を奏でているは筈ですのに、私はとても楽しひのです。
今でも、曲を奏でてなくても、その音楽が、応える声が、羽音が私の耳には聞こえます。

お姉様、どうか私をお助け下さいませ。どうぞお願ひ申し上げます。
私の唯一の愛する御姉様に

妹の雪子より

 印刷用テキストファイル:letter_yuki2.txt

雪子からの手紙3
 便箋は無地の事務用に近いものです。
 いつもの文字で、乱れは全く無く、むしろ機械的な印象すら受けます。

お姉様へ。

先ほど、とてもお見苦しいお手紙を差し上げてしまい、まことに申し訳ありません。
前の手紙を書いたとき、私はみつともなく動揺しておりました。
全て錯覚でございます。お医者のお見立てでも、一時的なものであるということでした。
お姉様のお手を煩わせるようなことはございません。
私は大丈夫です。

妹の雪子より

 印刷用テキストファイル:letter_yuki3.txt

雪子からの手紙4
 便箋は高畠華宵の抒情画の便箋で、紫に花の絵が描いてある乙女ちっくな奴です。これは前2通とはまた異なります。  少しだけ香水の香りがし、この香りもまた前の便箋とは異なる香りがします。
 また、オペラのチケットが同封されています。

私の唯一の愛するお姉様へ。

その節は大変ご迷惑をおかけ致しました。
お姉様が居なければ、今の私はございません。

お姉様にあわせる顔もございませんが、何卒、最後の我儘をお許し下さいませ。

明日の正午、浅草のオペラ座館の前にてお姉様をお待ちしております。

妹の雪子より

 印刷用テキストファイル:letter_yuki4.txt