罪を孕みし堕落の子ら 火葬場の調査

トップページ->帝都モノガタリ->罪を孕みし堕落の子ら->火葬場の調査

火葬場の調査

 一応、例としての火葬場の地図は示しますが、キーパーは適宜、自身の地図を作成するとシナリオの取り回しが格段によくなると思われます。
 面倒ではありますが、イベントの配置等を検討してください。

火葬場地図

 火葬場の調査は、1部屋の調査に、移動+調査で1時間が取られるとします。
 例えば、部屋に入らずに通路を調べて回る等の行動については、キーパーの裁量で1時間分の行動を決定してください。
 1回行動すると、定期イベント『誘惑』が発生します。

 すべてのイベントを行う必要はありません。
 書斎辺りのイベントがあれば、大体行けますが、キーパーがどのタイミングで暦に鍵を落とさせるか、暦の怪しさを煽るかによります。
 また、キーパーはNPCのそれぞれの特性を検討し、イベントを追加することも検討してください。

 なお、今回の探索については、探索者の大半が学生であることを考慮し、代替技能でロールさせることを検討しましょう。
(一種の救済措置なので、探索者にはあまり気にさせないように気をつけてください)

 調査では数多くの死体を発見することとなります。
 これらの死体を見て失う正気度は、最大10点までであることに注意してください。
 これは死体を見て失う正気度のみである為、その他の事象では軽減、上限は無いことにも同じく注意してください。
 そして、上限まで喪失し、以降の喪失が発生しなくなった場合、『死体を見ても正気度を失わなくなった』という異常な状況であることを強調してください。

 同様に襲い掛かってくるクラスメートを殺してしまう可能性があります。この場合は、最大8点までとなります。
 こちらも同様に、『クラスメートを殺すのに慣れた』ということを強調してください。
(お約束として、『慣れていくのね、自分でも分かる』とやるのも忘れないでください(笑))

 キーパーのこの探索の最中に、探索者が「イゴーロナク」の名を口にするか、厳重にチェックを行ってください。
 口にした探索者は、シナリオの最終場面においてその憑依の対象となる可能性があります。
 同様に、キーパーはイゴーロナクの名を自ら口にしないように気をつけてください。探索者が確認をするか、望んで教えてほしい場合のみ、その名を口にするようにしてください。

A. ボイラー室

 いかにもボイラー室、といった感の、コンクリート打ちっぱなしに天井から裸電球がぶら下がっている、という部屋です。
 電球は点いていませんが、壁のスイッチを探して押せば、点けることが出来ます。
 部屋の中心の大部分はボイラーが占めており、残りのスペース、部屋の隅には、圧縮ガスボンベが大量に並んでおり、これは配管を通じて上階へ送られていることに気が付きます。

 ボイラーはかなり古いもので(おそらく、この火葬場が立てられた時に入れられたもの)、廊下にも漏れるほどの轟音を立てて稼動しています。
《機械修理》のロールに成功した場合は、ボイラーの稼働はオーバーヒート気味であり、停止させなければ近いうちに爆発でも起こす可能性があることに気が付きます。
 ただ、後どれぐらいで、とは分かりません。

 ボイラーの取扱説明書を入手してから、再度、ボイラーを止めようと探索者達が訪れる可能性がありますが、その場合は《機械修理》に成功した場合、ボイラーの停止スイッチ、非常停止スイッチは破壊されていると同時に、稼働はすでに危険領域に入っており、圧力を下げることができないことに気が付きます。
(要するに、後は爆発するしかない状態にまで稼働が高まっているということです)

 その逆で、ボイラーを爆発させようとするかもしれません。この場合も、《機械修理》のロールに成功すると、加圧弁を操作して、爆発をさせることが出来ます(非常停止装置が壊れているので、簡単に爆発してしまいます!)。
 あるいは、物理的な破壊行為も可能ですが、こちらはかなりの危険が伴います(破壊してから逃げるまでにほぼ時間が無いのですから)。この場合は、耐久力20点、5ポイントの装甲を持つものとします。

 ボイラーが爆発した際、安全だと判断出来る部屋はありません。
 逃げなかった場合は、基本的に死亡、逃げた場合は《幸運》のロールを行い、失敗した場合は4D6、成功しても2D6のダメージを負います。
 さらにその後、建物は火に包まれ、崩落を開始します。逃げ道が見つかるかはキーパーの判断か、あるいは《幸運》等のロールに任せるのも可能です。

B. 拷問室

 部屋に電灯は点いていますが、消されています。扉を入ってすぐの壁沿いにスイッチがある為、これで点けることができます。
 また、この部屋の扉を開けた時点で、異様に濃厚な、生臭い錆びの臭いを嗅ぎます。

 部屋の壁は新しかった頃は真っ白だったと思しき黄色く変色した壁に、赤茶けたしぶきが飛び散っており、部屋の中には、三角木馬、石抱、ニュルンベルグの鉄の処女、逆さ十字磔、ファラリスの雄牛、頭蓋骨粉砕機、チェーンソーや拘束具など和洋さまざまな拷問具や凶器が並んでおり、そのひとつひとつには、比較的最近使われたであろう血の痕跡と、使い込まれたであろう血錆びが浮かんでいます。
 特に逆さ磔の十字架の下には、すでに乾いてはいますが水溜りのような真新しい血の痕があり、その周辺には太い血まみれの釘が数十本散乱しています。

《医学》か《応急手当》に成功すれば、人一人が死ぬのに充分な出血量だとわかります。

 この部屋の光景を目撃した探索者は、《アイデア》ロールに成功した場合、この部屋で行われた拷問の苛烈さ気が付き、1/1D4の正気度を失います。
 失敗した場合でも、この悪趣味な部屋と大量の血によって、0/1の正気度を失います。

《目星》のロールに成功すると、鉄の処女の正面の合わせ目ががずれていることに気が付きます。
 もしも、開けてしまった場合、内部には、『上杉』と『蒲生』が抱き合うように無理やり押し込められており、二人分入ったが為に死亡している様を目撃します。
(鉄の処女は本来拷問器具である為、一人分ならば致命傷にはならない程度の刺し傷で済むはずのところを、二人を押し込めることで穴だらけにして殺害しています)
 この異様な光景に、探索者は1/1D6の正気度を喪失します。

C. ヤク部屋

 中は異様な空気が漂っています。
 白い靄のようなものが掛かっており、これはたばこの煙であることに気が付きますが、その中にもタバコ以外の異臭が混じっています。
 中には、『南郷』と、『十条』、『浅井』の3人と、『北畠』の死体が転がっています。
 彼らの傍らには、水煙管のようなものが置いてあり、そこから怪しげな白い煙が上がっています。
 それ以外にも、部屋には様々な薬品が置かれており、ご丁寧に注射器まで置かれています。
 床で北畠が事切れており、彼らは明らかに薬による中毒症状を示しています。
 この異様な光景を目撃した探索者は、0/1D3の正気度を喪失します。
 同時に、『北畠』の死体を目撃した探索者は、1/1D6の正気度を喪失します(『怠惰』の悪徳を持っている探索者は、+1点を受けます)。

 部屋に入っても、彼らは一切反応しません。
 南郷のみ、ちょっと顔を上げますが、それ以外は茫洋とした表情のまま、たまに水煙管を吸うのみです。
 南郷は、水煙管はやっていませんが、傍らには何本かの使用済みの注射器が置かれています。
 この部屋に足を踏み入れた場合、POT10とのCON耐久力の対抗判定が必要になります。
 失敗した場合、一瞬めまいがした後に、周囲の光景がぐにゃぐにゃと歪み始めます。1D6時間の間、この酩酊感を味わった状態となります。
 この酩酊した状態では、あらゆるロールに-30%のペナルティを受けますが、周りで起きる出来事が非現実的に感じるようになり、正気度の喪失が1/2になります。また、定期イベント『誘惑』の影響も受けなくなります(暦の呪文が聞こえている状態ではないので)。

 部屋の中を探索した場合、様々な麻薬、覚せい剤を発見できます。
 特に目を引くのは、南郷の傍らに置かれているヘロインの原液です。どうも、傍らに倒れている北畠はこれをそのまま使用したらしく、急激なショック症状を示しているようです。
《薬学》、《知識》のロールに成功した場合、生物にこのヘロインの原液を注射した場合、大ダメージを与えることが出来ることに気が付きます(このヘロインの原液は、POT200(!)の毒として扱われます)。
 ただ、持っていこうとすると南郷がどろんと濁った眼で探索者を睨みつけます。
 無言のまま持っていこうとすると、ジャンキーと化した南郷が襲いかかってきます。
 南郷との戦闘の間、部屋の中にいる十条、浅井は無反応か、手を打って喜ぶかするだけで、一切戦闘に関わってこず、その結果にも同様の反応しか示しません。探索者から積極的に彼らに関わっていった場合のみ、反応があります(大方敵対的ですが)。
 声を掛けた場合、「ああ、面倒なんだよ」と言い、新たな注射を腕に差し入れます。すると、南郷は痙攣をはじめ、泡を吹いた後、昏倒、死亡します。この光景を目撃した探索者は、1/1D6の正気度を喪失します。
 そのままヘロインの原液を手に入れることができます。

D. 寝室

 この部屋は電球が点きません。天井にある電灯があったと思しき場所は砕かれており、存在しません。
 代わりに、この部屋には他の部屋と異なり、窓が存在します(崖側にある部屋なので)。その窓からの月明かりにより、部屋の様子は十分に分かります。

 この部屋は何か巨大なもの、強力なものが暴れまわったかのように、壁、天井に至るまでに破壊の痕があり、家具、その外はすべてひしゃげて使い物にならなくなっています。

 窓にはガラス等もはまっていないく外がそのまま覗けます。
 崖下を覗いた場合、相当な高さが在り飛び降りる、あるいはロープ等で登攀を行うのは無謀であることが分かります。

 部屋に入った探索者は、その隅に何か白いものが横たわっていることに気が付きます。
 それはあまりにも血の気を失いすぎたため、白くなった、首のない全裸の少女の死体です。近寄って調べた場合、その体には切り刻まれたり、釘を刺されたり、拷問の痕がくっきりと残っていることに気が付きます。
《医学》のロールに成功した場合は、さらにそれらの傷が、手当てをしながら繰り返されたことにも気が付きます(この死体の死因は窒息死なのですが、首から上が無い為、はっきりとは特定できません)。
 また、生前、死後、両方で性的暴行を受けていることにも気が付きます。
 この凄惨な死体を目撃した探索者は、1/1D6+1の正気度を喪失します。

 死体の片隅には、血と嘔吐物、その外に塗れたボロ切れが落ちています。
 これは死体が着ていた制服の切れ端です。探索者達の『聖陵学園』のものであることは、一目で分かります。
《目星》のロールに成功すれば、血の染みに隠れていた「M.H」のイニシャルが見つかります。
 探索者は現時点では知りえないことですが、この死体が「早坂美月」本人であり、小鳥遊暦がここで彼女をなぶり殺したのです。

E. ダイニング

 部屋の中に入ると、明りが付いており、質素なダイニングテーブルとカウンターキッチン、妙に大きな冷蔵庫などが見えます。
 冷蔵庫にはペットボトルのお茶やジュースと言った、保存の利くものが入っており、通常の食べ物等は入っていません。
 また、キッチンの奥にはさらに小部屋があり、扉には『食糧庫』とプレートが貼ってあります。

 部屋の中心部で『太田卓也』が扉に背を向けて、しゃがみ込んで何かをがつがつと喰らっています。
 良く見るとその足元には、制服を着た女生徒、『赤松』が倒れており、太田はその前にしゃがみこんでいるようです。一心不乱に何かを食べている太田は、探索者に気づいた様子はありません。
 ある程度近づくか(《忍び歩き》を使用した場合、すぐ近くまで行くことができますが、その場合は、至近距離で目撃することになるだけです・・・)、声を掛けた場合、太田の大きな体が一瞬びくっとなり、その後、ゆるりと振り向きます。
 彼の口元から胸、その突き出た腹に掛けて、赤い液体が濡らしています。両手に持っているものは、赤松の腹部から伸びており、おそらくそれは腸の一部であることが分かります。
 この異様なカニバリズムの光景を目撃した探索者は、1/1D8の正気度を喪失します(『暴食』の悪徳を持っている探索者は、+1点を受けます)。
 太田は、血濡れの口でにやりと笑うと、「肉、肉。まだ足りないんだ」と巨体を揺らしながら、探索者に近寄ってきます。
 戦闘の最中、太田は抱きついて噛みついてきます。この攻撃にあった探索者は、血なまぐさいうえに、食べられるという異様な体験の為、1/1D4の正気度を喪失します。
 また、打撃系の攻撃を受けると、彼は嘔吐を始めます。そしてそのまままだ襲い掛かってくるというまた、異様な光景を目撃することになります。その場合、0/1の正気度を喪失します。

 奥の食糧庫の中には「小糸融」と早坂美月を名乗る「小鳥遊暦」が隠れています。
《聞き耳》のロールを行った場合、食料庫に誰かが潜んでいることに気が付きます。

 食糧庫に入ると、小糸融が鉄パイプで殴りかかってきますが、場合によって、有無を言わさず探索者が彼を張り倒す可能性がある為、あくまで演出上の殴りかかりであることを強調してください。
 小糸に声を掛ければ、探索者達が比較的まともであることに気づき、話に応じます。
 小糸融の後には暦(この時は『早坂美月』と名乗ります)が居ます。暦は破れた制服を着ており、肌もあらわな状態です。そのなまめかしい白い太ももの内側に、大きな古傷を見ることが出来ます。
 小糸を落ち着かせれば、彼らからは以下のような話が聞けます。
小糸「気が付いたらこの建物の中に・・・」
偽美月(暦)「他のみんなに襲われたところを融君が助けてくれて・・・、ここにずっと二人で隠れていました」
(彼らの話から有用な情報は得られません。基本的に探索者と同じく、バスの事故後、目が覚めたらここに居た、ずっと隠れていた、というだけです)
 小糸、偽美月(暦)は探索者が同行を提案した場合は素直に受け入れ、そうでない場合は、「こんなところにずっと隠れているなんて耐えられない」と言い、同行を申し出ます。

 もしも、偽美月(暦)を観察した場合、彼女は体に大きな古傷を三つ持っていることに気が付きます(左の太ももの内側、右のわき腹、左の鎖骨から肩のあたり)。
 もちろん、暦は見られていることに気が付く為、意味ありげな笑みをその見ている探索者に返します。

 この食糧庫からは充分な食糧が見つかります。(おもにインスタント食品です)

F. 書斎

 部屋の中は書棚に机、立派なパソコンラックが置かれています。
 書棚には、ポルノ雑誌、あるいはアダルトDVD等が並んでおり、見るだけで調べる必要が無いことが分かります(『色欲』等の悪徳を持つ探索者のロールプレイ用に近いものです)。
 また、パソコンラックには少し古い型のデスクトップPCが置かれています。《知識》ロールに成功すれば、少なくとも1年以上前のモデルであることに気が付きます。
 これらは最初にここを根城にしていた『山田一博』の持ち物です。

 机の中からは、以下のものが見つかります。
・10桁のアルファベット、数字がランダムに並んだメモ(1Fへのパスワードです)
・神学に関する論文や、関連する書物
・外国語で書かれた古文書
・「グラーキの黙示録1〜12」とファイリングされた山田の論文らしきもの。

・ボイラーの取扱説明書
・トカレフ
名称装弾数故障ナンバー説明
トカレフTT-338+1(7.62mmトカレフ弾)89ロシア製の簡易な拳銃です。

ここでは、机の中まで調べた後の調査については、「ボイラーの取り扱い説明書を読む」「グラーキの黙示録を読む」か、「資料を調査する」、「デスクトップPCを調べる」の三つの選択肢があります。
ここでの資料の調査は、一回分の行動を消費し、調査の資料を読めるのは一人である為、同じ行動を複数人が同時に行うことはできません。

「ボイラーの取扱説明書を読む」場合、《機械修理》のロールが必要になります。

「グラーキの黙示録を読む」場合は、、《日本語》のロールが必要になります。
 この「グラーキの黙示録」は、山田自身が夢の啓示を受けて記したものです。ただ、内容的には不完全であり、抄訳版とも言えるものとなっています。
 また、12巻が無いことに気が付きます(12巻は暦が持っているので)。
 この「グラーキの黙示録」は不完全ながら、読めば《クトゥルフ神話》技能が上昇します。各巻を読むことで、正気度を1/1D2喪失し、《クトゥルフ神話》技能が+1%されます。ただし、呪文の習得はありません。
 なお、「グラーキの黙示録」の各巻の内容については、湖の隣人様のグラーキの黙示録のページ(http://www5d.biglobe.ne.jp/~lake-god/gw_rev.html)か、キーパーコンパニオンを参照してください。

「資料を調査する」場合は、《図書館ロール》+《外国語》か、《知識》のロールが必要になります。
 これらは山田が調査していた、キリスト教の異端派に関する資料、論文となります。探索者にとっては特に価値はありませんが、山田に関する事前情報を持っている探索者には、これらの資料が山田の持ち物であることへの確信となります。
 また、外国語の資料は同様の異端派に関するものなのですが、彼らが神として崇めていたものについての外典の写しや、それらの修道士達自身の談話、手記等が存在しています。
 キリスト教以前の、より原始的な、土着の信仰と、キリスト教が奇妙に入り混じった宗教であることが分かります。

「デスクトップPCを調べる」には、《コンピュータ》+《図書館》のロールが必要になります。
 デスクトップPCには、山田の手記(日記?)と、資料のまとまらないまとめが存在します。
 手記については、ハンドアウト(山田の日記)を参照してください。

 これらの資料を調べるには、《図書館》のロールが必要ですが。単体で調べてもそれほど効果がありません(それが何か分かる、と言う程度です)。
「資料を調査する」「デスクトップPCを調べる」の両方を行った場合のみ、資料の理解が進み、探索者はその内容を理解します。まず、正気度を1/1D3点喪失し、《クトゥルフ神話》技能に+1%されます。
 そして、呪文《Yの退散》を覚えます。
 この《Yの退散》は、イゴーロナクを退散させる呪文ですが、正しい発音が示されていないことに探索者は気が付きます。

呪文:『Yの退散』
 イゴーロナクは悪徳に誘われて簡単に顕現するのと同じように、簡単に追い返すことができます(人間に憑依することにあまり執着しない、接合力が弱いとも言えます)。
 この為、この呪文は1時間程度の時間で習得可能です(シナリオ中では、資料を2回調べる=2時間で習得するようになっています)。
 この呪文は、イゴーロナクの名前を唱える必要がある為、矛盾した話ですが、この呪文を唱えることによって、イゴーロナクの憑依対象にもなってしまう可能性があります。
 この呪文は、1D10点のMPと、1D10点の正気度を代償とし、山田の日記に書かれている手順を踏む必要があります。

 この曖昧な呪文は、イゴーロナクの正しい発音が不明のままこの呪文を唱えても効果を発揮し、その場合はPOW×5%のロールに成功する必要があります。。
(イゴーロナクの正しい発音を知っている場合は、100%の効果を発揮します)
 この『Yの退散』は、「イゴーロナクの情人」にも全く同じ効果を表します。

 PC、資料の調査に失敗した場合、「Yの退散」の呪文が覚えられないという事態になります(一応、他にも対抗手段は用意していますが・・・)。
 キーパーは時間を掛けた再挑戦等、救済措置を与えて下さい。

G. ガラクタ部屋

 この部屋の前を通りかかると、銃声がします。明らかに部屋の中からです。
 中には、『井野』と銃を構えた『小幡』がおり、『滑川』の銃で撃たれた死体が転がっています。
 まだ、死体に見慣れていない場合は、0/1D6の正気度を喪失しますが、死体に見慣れている場合は、特に悲惨な死体ではない為、喪失しません。逆にその点を強調し、死体に慣れている、という異様な状態を探索者に認識させてください。

「どうだ、僕だってやれるんだ」と小幡が叫ぶと、入ってきた探索者に気が付いて、そちらにも銃(トカレフ)を向けます。
「見てくれ、僕だってやれるんだ。滑川を撃ったのは僕だ!」と、小幡は絶叫します。
 部屋の中には、さらに『織田』、『波多野』の撲殺死体が転がっています。井野が持っているのは、バールのようなものであり、明らかにこの二人は井野に殺されています。
「でも、井野はもう二人も殺してるんだ!だから後二人は殺さないと!」と、銃を探索者に向けてきます。
 そして、井野も「小幡のくせに生意気だぞ。それならみんな俺が殺して俺が一番だ!」と、完全に正気でない台詞を吐きながら探索者に襲いかかってきます。

 この場では、井野・小幡VS探索者の構図となります(井野、小幡で殺した数を競っているので、自身で殺し合いをするのは後なのです)。
 基本的にこの戦闘は、井野と小幡の両方が死亡するまで続きます。彼らの狂騒状態は怪我の影響を無視するほどであり、また、お互いを殺すことが目的と化しています。
 探索者は途中で逃げ出すことも可能ですが、その場合は、後で相打ちになった二人の死体を発見することができます。
 この異様な戦闘に巻き込まれた探索者は、戦闘の結果如何に関わらず、終了時に1/1D4+1の正気度を喪失します(『強欲』『憤怒』の悪徳を持っている探索者は、+1点を受けます)。

H.仮眠室

 この部屋からは人の息遣いと、何か動く音が聞こえてきます。
 扉を開けると、濃厚な汗の臭い、それ以外の体液の臭いが篭っており、むせ返るほどです。《アイデア》のロールに成功した場合は、この中に血の臭いも混じっていることに気が付きます。
 部屋に足を踏み入れた場合、POT10との耐久力の対抗判定が必要になります。
 成功した場合は特に影響を受けませんが、失敗した場合、体の血の巡りがよくなり、性的な興奮を覚えることになります(『色欲』の悪徳を持っている場合、+1点を受けます)。

 部屋の中の電灯は点されているのですが薄暗く、奥にあるベッドのようなものは薄いレースのカーテンで覆われているのですが、その向こう側に、3、4人の人間が蠢いていることに気が付きます。
 近寄るかすると、それが、『赤沢奈良雄』と、『十河』『南部』『河野』の4人であり、3人が赤沢に群がっている状態であることが分かります。
 十分に近寄るか(《忍び歩き》のロールをさせても構いませんが、彼らは特にそういったことに気が付きません)、あるいはベッドのカーテンを開けた場合、ベッドの上の4人は全員が 全裸であり、赤沢奈良雄は瀕死の状態で下半身が血塗れです。
 赤沢はベッドに横たわっている状態ではありますが、まだ必死に蠢いており、そこにいる3人と性交を行っています。
 この異様な情交の光景を目撃した探索者は、1/1D4の正気度を喪失します。

 彼らは特に探索者には興味を示さず、その行為に没頭しています。
 探索者が立ち去らず、止めに入った場合、赤沢は快楽の絶頂の声と共に死亡し、残った3人は止めに入った探索者に襲い掛かります。
 もしも、観察を続けた場合は、同様に赤沢は死亡しますが、その後、3人は「動かなくなっちゃったね」「そうだね」と口々に言いつつ、周りを見渡し、探索者を発見すると襲い掛かってきますが、この時は多人数で組み付きを使用してベッドに引きずり込もうとします。
 引きずり込まれた探索者が助けられなかった場合、獣のような激しい性交が行われ、その探索者は1D3の耐久力と、1/1D6の正気度を喪失します。
 その後は、3人とも息絶え、動かなくなります。この為、その探索者はさらにこれらの異様な死に様を目撃したことで、1/1D6の正気度を喪失します。

I.ゴミ部屋

 スタート地点の部屋です。
 探索者たちが最初に目覚める部屋で、ポリ袋に入れられたゴミが床一面山積みになっています。
 ゴミの中には、まだ使えそうな、役に立ちそうなものがあり、探索者が特に捜索するアイテムを指定して、この部屋を捜索した場合は、《目星》のロールを行わせてください。
 ロールに成功した場合、キーパーが認めたものを見つけさせて構いません。

J.廊下の落書き

 このイベントは廊下で起こるものです。早い段階で起こると、意味の分からないものとなり、探索者達に忘れ去られる可能性がある為、ある程度探索が進んでから行ってください。

 廊下にグラフィティアート風ながら、暗い色彩のみで構成された落書きがされています。
 よく見ればそれは、血と糞便、そのほかの汚物で書かれたものであり、あるいは自身の指先の血で書かれたものと気が付きます。
 この奇怪なアートを目撃した探索者は、0/1D3の正気度を喪失します。
 また、暗い中でもよく確認を行った場合、このグラフィティは、「Y'golonac」と書かれていることに気が付きます。
 そして、その場合は、「いやっはあ、俺のアートはどうだい。すげえだろう」と、『陶』が現れます。
 否定的な意見を言った場合、陶は激昂して襲い掛かってきますが、そうでない場合は探索者に興味を無くし、絵具を探しに行きます。
 もしも、陶に「Y'golonac」の意味を尋ねた場合、「わかんねえかなあ、この音楽、おたくらには聞こえてない?」と訳のわからないことを言います(彼は、暦の唱える《誘惑》のノイズが、音楽のように聞こえています。これは一種の『狂人の洞察』であり、探索者には理解できません)。

K. 礼拝堂

 火葬場の1F、地上階です。
 B1から1Fに上る扉は、今までのものとは異なる、丈夫な金庫のような、金属扉となっています。
 この扉はディンプルキーとナンバー入力式の電子錠で二重ロックされています。

 それぞれ、《鍵開け》、《コンピュータ》で解除が可能ですが、適切な道具が無い場合、それらのロールには-20〜40%の修正が加わるか、そもそも道具が無いのでロール自体が出来ない、としてもよいでしょう。

 ディンブルキーは暦が隠し持っています。適当な段階で見つけさせて下さい(理想的なのは、探索者が一人でもイゴーロナクの名を呼んだタイミングで)。
 また、電子錠のパスワードは書斎にあります。

 内部については終幕部:K.礼拝堂を参照して下さい。