終幕部 掃討戦、ミ=ゴと共闘
ミ=ゴの勢力に協力して綾を売った場合、彼らの要請に従って、シャン達の殲滅戦を行なうことになります。
ミ=ゴ達の目的はシャンの殲滅の他、円錐塔を沈めることにあります。彼らはシャンの生態を研究しており、円錐塔を使用不能にすることでシャンを滅ぼすことが出来ると判断しています。
探索者達はミ=ゴに協力しつつ、元子、隆子と戦うことなり、場合によってはミ=ゴ達にも消されそうになります。
- ミ=ゴからの協力依頼
- 北多摩の別邸の襲撃
- 別邸内での決戦
ミ=ゴからの協力依頼
ミ=ゴとの交渉の窓口となっている探索者の元へ、彼らからの伝言のメモが届けられます。
それには、北多摩にある毛利家の別邸の襲撃を行なう為、9/1の正午前に、近くで武装して待機しているように書かれています。
これは一応、協力の依頼ではありますが、これまでの経緯を考えてほぼ参加は強制です。
この依頼に受けるかは探索者次第ですが、北多摩へ赴かなかった場合、帝都で関東大震災に遭うことになります。
キーパーへ:
この依頼を9/1より前に出すことで北多摩の別邸を偵察する可能性もあります。
シナリオの経過や、時間の関係を勘案し、この依頼を出す時期を検討してください(時間が無い場合は、当日の朝に出して準備の時間をあまり与えないようにするとよいでしょう)。
北多摩の別邸の襲撃
別邸はミ=ゴの襲撃を予想していたかのように防備を調えています。
元子と、隆子が生きている場合は二人とも完全武装のうえ、残ったシャン達を総動員してミ=ゴとの戦いに当たっています。
(事この期に及ぶと、元子も隆子もひとまず協力して行動します)
ミ=ゴ達は飛行可能である為に、森の中に配置された元子の部下や、ザイクロトルからの怪物を無視して別邸へ直接攻撃を行なっています。
探索者達はまず別邸に辿り着く為に、森を抜ける必要があります。スクエアマップ等を用意し、敵の配置を行い、移動力のルールに従って運用してください。
あるいは、抽象的に3ラウンド程度の移動で別邸に到達でき、その間に居る元子の部下、ザイクロトルからの怪物の攻撃を受ける可能性がある、としてもよいでしょう。
また、この場のザイクロトルからの怪物にはシャンが憑依しており、前のように指示通りにしか動かないのではなく、探索者を積極的に狙って動き、別邸の中まで追ってきます。これは、《アイデア》に成功するか、キーパーの判断で明らかに動きが異なることを告げても良いでしょう(ザイクロトルからの怪物は非常な脅威なので)。
キーパーへ:
この場では探索者以外のNPCによる戦闘がメインにならないように、戦闘区域を小分けにして、NPC同士の戦闘はキーパーの判断で戦闘結果を決めていくとよいでしょう。
単純に、飛行できない探索者達にだけ戦闘の焦点を当てて、ミ=ゴ達は背景として扱うと楽です。
また、必要に応じて敵、味方のデータを『マレウス・モンストロルム』や『キーパーコンパニオン』を参照してカスタマイズしてください。
キーパーへ2:
繰り返しになりますがザイクロトルからの怪物は非常にパワフルです。
探索者側の火力が低い、火炎瓶などの通常打撃以外の手段を持っていない等の場合、対処に困る可能性が高いのでその場合は前と同じく、別邸の中にまでは追ってこないとするのもよいでしょう。
別邸内での決戦
探索者が森の中のザイクロトルからの怪物と、元子の部下達の攻撃を潜り抜けて別邸に踏み込むと、すでに飛行によって別邸を急襲したミ=ゴの別働隊が元子達と激しい銃撃戦を行なっています。
別邸の玄関ホールには、大小の機械装置が雑然と並べられており、これらを遮蔽物にすることが可能であると探索者には告げてください(完全に隠れることも可能な大きさです)。
探索者達が現われたことに元子は気が付くと、「あら、遅いのね。待ちくたびれたわ」と頬を歪ませます。
そして、そこに居たミ=ゴのうち1体が、元子のライフルによって打ち倒されます。そのミ=ゴはまるでキノコが溶けるかのように、どろどろの粘液になって崩壊します。この崩壊の様を見た場合、0/1D4の正気度を喪失します。
元子は、「キノコによく効く特性の弾丸よ。ま、人間に当たっても痛いでしょうけど」と笑います。
元子側の射撃武器には、対ミ=ゴ用の特殊弾が装填されており、通常のダメージに加えてミ=ゴにはPOT20の即効性の毒となります(元子はああは言いましたが、人間に対しては特に効果はありません。ただ、元子の持つライフル(三十八式歩兵銃)は普通に大ダメージを与える武器です)。
ミ=ゴ達は、奇妙な立方体の装置を別邸に運んで来ています。これは彼らが地質調査や鉱物の採掘に使う地震採掘装置の小型のものです。
ミ=ゴ達は本格的な大型の兵器を導入すればシャンの円錐塔を破壊することも可能ですが、それでは目立ちすぎる為に、この地震採掘装置を使用して地中に円錐塔を封じ込めることにしました。
ここでミ=ゴ達は通常サイズよりも小型のものを用意し、出力が弱くなるものの円錐塔を地中に封じには十分な深度へ沈めることが出来るものを用意しています。
この小型の地震採掘装置は一辺が1m程度の立方体で、オリジナルと同じく不規則に曇りガラスの窓が並んでいます。この装置が活性化すると、採掘装置とは逆に浅い地層のものを深い地層へと沈下させます。これはオリジナルと異なり地下100m程度の効果しか持ちませんが、円錐塔を封じ込めるには十分な深さです。
この装置もオリジナルの採掘装置と同じく周囲に地震を発生させます。しかし、何より問題なのはこの装置を使うと周囲の地盤が沈下、埋没していく為に、使った本人が飛行でも出来ない限り、生き埋めになってしまうことです(飛行できるミ=ゴには関係無いのですが)。
ミ=ゴ達は、ブンブンと唸るような声で、この装置を探索者達に円錐塔の近くに設置するように指示してきます。
ミ=ゴ達は元子側の持つ特殊弾の為に苦戦を強いられており、普通の人間である探索者にこの装置を運ばせようとしているのです。
3ラウンドか、キーパーの判断のラウンドだけ装置の移動に費やす必要がありますが、その場合にはSTR12との対抗判定に成功する必要があります。また、装置の移動を行動に選んだ場合は他の行動(《回避》を含む)を取ることはできません。
この場では、元子や隆子、あるいはその部下達はミ=ゴのこの装置が危険なものであると感じており、円錐塔に寄せ付けないように攻撃を集中してきます。
あるいはミ=ゴの指示を無視して、元子、隆子と6ラウンド以内に決着を付けることが出来れば、シャン側は降伏の意思を示します。これによって、安全に装置を円錐塔の側へ設置することが出来ます。
元子や隆子が生き残っている場合は、装置を円錐塔の側に設置しに来た探索者に「その装置、どういうものか分かっているの?」と、探索者の方を見ますが構わず攻撃を続行します。
そして、装置の移動に2回以上成功した場合、やはり彼女らは「その装置を起動させると、貴方達も危ない目に遭うのよ!」と、探索者に警告を発します。
6ラウンド以内に探索者が円錐塔の近くまで装置を運ぶことが出来ると、それは起動を開始し、直後に低い振動音が辺りに響き、足元が揺れ始めます。
(6ラウンド以上経過した場合は、業を煮やしたミ=ゴ達は構わずに装置を起動させます。基本的な展開は同一ですが、装置が発生させる沈降の範囲が広くなり、その場に居る探索者は自動的に液状化した地面に飲み込まれてしまいます)
ミ=ゴ達は装置の起動を確認すると、飛行し撤退を開始します(探索者に対して特に撤退を促すこともありません)。
1ラウンド後に足元が崩壊し、円錐塔は沈降を開始します。その場から逃走する場合には、《跳躍》か、DEX×5に成功する必要があります。装置の設置の1ラウンド後に別邸から逃げることを選択しなかったか、逃走できなかった場合、自動的に崩壊する地面に飲み込まれて窒息の行程が開始されます。
キーパーの判断にもよりますが、元子、隆子は咄嗟に円錐塔の中へ走り、これに飲み込まれ、地中へと消えていきます。探索者は最後に彼女らが円錐塔にある跳ね上げ戸を閉めたところまでを確認し、彼女らが円錐塔とともに沈んだ後どうなったかは分かりません。
2ラウンド目には別邸自体も崩壊、沈降を始めます。別邸の外に脱出している場合、崩壊の範囲は装置から別邸が建っている程度の範囲内に限られることに気付きますが、相変わらず地面は揺れているとともに、円錐塔周辺は液状化した泥水が沸騰するかのように沸き立っており、沈降を続けていることが分かります。
崩壊する地面に巻き込まれている場合は、《水泳》-20%か、STR×1に成功するとそこから這い出すことに成功します。このロールは毎ラウンド-10%が加算されていきます。ロープなどの補助があれば、このロールの倍率を引き上げても良いでしょう。
円錐塔が沈降を始めると、その場に生き残っている者たちは愕然とその光景を眺め、もう駄目だとばかりにその場にがっくり膝をつき、最早抵抗の意思がないことを示します。
そんな中、さらに大きな震動が探索者達を襲います。装置から伝わるものよりも数倍大きく、そして激しいその揺れはしばらく続き、立っていられない状態となります。
探索者達は戦闘の処理の後、帝都に戻ろうとした時に、震災の甚大な影響を知ることになります。