スレッドI 魔王の弟子達
このスレッドは、探索者が北一輝を紹介されその弟子達と顔を合わせるところから起動します。
このスレッド自体には特に終了条件や、終了後の処理は存在しません。各スレッドの途中で発生する事件を担っており、このスレッド自体は散発的な事件の集まりとなります。
他の各スレッドにおいて横断的に発生する事件をまとめたものとなっています。
- このスレッドでの登場人物(NPC)
- 天狗に狙われた男、小出秀夫
- 天狗の影、探索者が襲撃される
- 天狗にさらわれた男、前野忠志
- 逃亡者、駒井安元
- 駒井を追跡する
- 日比谷図書館、菘文乃
- 『外なるものども』
- 元子の追跡、南千住、春子派を粛清する
- スレッドの終了後
このスレッドでの登場人物(NPC)
このスレッドの登場人物を紹介します。
別のスレッドにも登場する可能性も皆無ではありませんが、本スレッド以外では大きくシナリオに関わらない為、ここでの紹介とします。
北一輝の下に集う男達、魔王の弟子
北一輝の下へ集まり、彼の言う霊的国防、革命を信じる男達だったのですが、吉川春子との関係ができたことをきっかけに彼らはシャンに憑依されてしまいました。
そして北が霊告と呼ぶものが、彼らシャンが妻のすず子に憑依して予言の真似事をしているものなのです(とは言え、進んだ科学力に加えて、人間に憑依する能力を持つシャンの情報収集によってもたらされるこの霊告は非常に有用なものです)。
適当な時期に春子の指示に従って、北一輝を担ぎ出して武力による革命を行なうつもりだったのですが、春子に憑いているシャンは元子に処分されてしまった為、彼らは頭目を欠いた状態で元子へどう対抗するかを検討中です。
しかし、元子の動きが想像以上に早い上に果断であり、すでに春子派の大半は処分され、生き残っているのは彼らだけになっており、さらには逃げ出す者まで居ます。
シナリオに登場する北の弟子は以下の通りですが、詳細な情報は特に示しません。
キーパーは必要に応じて、適当な設定を付加してください。
・小出秀夫(こいで・ひでお)、北一輝の弟子、実業家
右翼的な政治団体に資金援助を行なっている実業家です。
シナリオ内では、天狗に狙われ、探索者に助けを求めてきます。
・前野忠志(まえの・ただし)、北一輝の弟子、書生
書生とは言いますが、大学を卒業して久しく、単に定職に付かずに北一輝の下で働いている為に書生となっています。
シナリオ内では、天狗にさらわれ、行方不明となります。
・駒井安元(こまい・やすもと)、北一輝の弟子、宗教家
仏教系の宗教団体に所属していた男で、北の法華経に引かれて弟子となった男です。
シナリオ内では北を隠れ蓑している春子派の残党の動きが過激化し、天狗の襲撃も頻繁となった為、逃亡を図っています。
・脇坂友保(わきさか・ともやす)、北一輝の弟子、政治家の秘書
北一輝の考えに共鳴するある政治家の秘書です。
シナリオ内では元子に捕縛され、処分されてしまいます。
・篠原國彦(しのはら・くにひこ)、
陸軍中尉、参謀部所属の結構なエリートです。
シナリオ内では『帝都改造計画』に参加しており、元子に発見されないようにひっそりと活動しています。
菘絢乃(すずな・あやの)、日比谷図書館の司書
図書館の番人とも言える人物で、重度のビブリオマニアです。
特に事件に絡んでいませんが、図書館の対応に出てくる女性で、本に関することの記憶はずば抜けて良く、目立つ風体の曳間のこともよく覚えています。
こちらも探索者が行き詰った場合のアドバイザーとして使用しても良いでしょう。
STR 8 CON 7 SIZ 11
INT 16 POW 18 DEX 13
APP 15 EDU 15 SAN 62
耐久力 9 ダメージボーナス ±0
※彼女は正気度が下がる書物を多数読んでいる為、正気度が減少すると共に、《クトゥルフ神話》技能を得ています。
ただ、彼女がフィールドに出ることは無い為、本物の神話的な事案に関わったことは一度もありません。
技能:
オカルト 80%、化学 50%、クトゥルフ神話 28%、経理 70%、考古学 80%、心理学 80%、人類学 80%、生物学 60%、地質学 70%、図書館 95%、博物学 90%、物理学 50%、歴史 70%、本について語る 90%
※キーパーは絢乃に任意の呪文を持たせても構いませんが、彼女はそれを知っているだけで、実際に使ったことはありません。
天狗に狙われた男、小出秀夫
この場面は少なくとも探索者が鈴木重兵衛と知り合いになった後に行なうようにしてください。
可能であれば北一輝の下でその弟子達と顔を合わせて、前野が天狗にさらわれたことを確認した後が理想的です。
探偵探索者の下へ、鈴木に連れられて、血走った目にげっそりこけた頬、しばらく手入れをしていない髭と髪、服装もよれよれの男が訪れます。
すでに北一輝の元でこの男を目撃している場合は、小出秀夫だと探索者は気が付きますが、あまりの変わりように明らかに何かあったということが分かります。まだ見知っていない場合は、鈴木が北の弟子の一人だ、と紹介します。
小出は探索者に対して以下のように語ります。
「ここ二、三日の間、奴らは俺を付回しているんだ。
前野も奴らに攫われてしまった。いや、攫われるだけならまだ良い、もっとひどいことになっているかもしれない。
「奴らは不可思議な手段を持って、非常にすばやく人間を切り刻むんだ。
それで死んでしまうならまだいい。奴らは生きたまま、切断された部分を持ち去っていく技術を持っている。多分、前野もまだ生きていると思うが、それを生きていると言ってよいのか…。
「正直、俺はああなりたくない。
だから、鈴木に教えてもらった君達のような人間なら、守ってもらえるような気がしたんだ。
報酬はいくらでも出す。俺の身辺の安全を守ってくれないだろうか」
この荒唐無稽な主張を受け入れるかは探索者次第ですが、探索者がこの依頼を受けた場合は、彼を匿う場所などの手配が必要になります。
小出は基本的にあまり情報を出したがりません。
探索者が小出にシャンが憑いていることに感付いている可能性はありますが、彼はあまりその辺には触れさせないようにしていますし、シャンが憑依している証拠もない為に、小出を問い詰めることも不可能です(もしも、理由も無く小出を追い詰めた場合、彼は逃亡します)。
小出は天狗に狙われている理由として、北の弟子として何か危ないことに巻き込まれている、探索者には言います。
もしも、探索者が小出と吉川春子の繋がりを指摘した場合は、平然と「吉川春子とは北先生の下で知り合ったのだ。志を同じくする者として、行動を共にしたこともある」と答えます。
ここで《心理学》に成功した場合、彼が嘘を言っていないことは確かですが、『同志』という言葉の内容と、彼から感じる感情に乖離を感じます。
また、春子はどうした、とかまを掛けた場合、彼は特に焦った様子もなく、「旅行にでも言ったのではないだろうか。私達も最近は姿を見ていない。気まぐれな人だから、急に姿を消すこともあるだろう」と答えます
天狗の影、探索者が襲撃される
前回の『帝都狂想曲』において、桜嶺女学院側のスレッドに登場した探索者か、小出を匿っている場合はその隠れ場所に居る探索者をミ=ゴが襲撃します。
夜半、何か大きなものが窓の外に落ちるような音が聞こえます。それは昆虫特有の羽音のようでもあります。
(探索者が複数人居る場合は、人数分のミ=ゴが登場します)
昼間に聞いた天狗の噂のせいか、羽音を聞いたときに連想したのはそれだった。
だが、窓の外に居たそいつは、桜嶺女学院で見た、巨大な甲殻類に似た、大きな背びれのような翼を持ち、短い毛の密集した渦巻状の楕円形の頭部を持ったピンク色の生物が窓の外に立っていた。
おそらく手のように使われるであろう複数組の関節肢の中で一番大きなものに、銃のように見えなくも無い奇妙な装置を持っており、それをこちらに向けてきた。
※ここで登場するミ=ゴは基本的に即座に撤退する為、データは示しません。
必要であればキーパーは自作等してください。
ミ=ゴを目撃した場合、0/1D6の正気度を喪失します。
ミ=ゴは、探索者の行動に関わらず、有無を言わさず襲い掛かってきます。
彼らは隆子に協力した探索者達をシャンが憑いていると考えています。
ミ=ゴ脅威の科学力で製造されたシャンを取り除く装置を使用して、探索者に襲撃を仕掛けますが、探索者にシャンが憑いていないことが分かると、彼らは撤退していきます。
キーパーへ:
この場は探索者に対して、天狗がミ=ゴであることを示す場面となります。
派手にやりあう必要はなく、1ラウンド目にミ=ゴが手にする奇妙な機械から発せられた光線が探索者には何の影響も無い、ということをミ=ゴが確かめたら撤退を開始してください。
あるいは、演出のみとして戦闘ラウンドを行なわなくともよいでしょう。
キーパーの判断や、場合によっては小出を登場させ、彼からシャンが駆除される場面とするのもよいでしょう。
シャンが駆除された小出は他の弟子たち同様、精神的に相当な憔悴を見せます。
彼が知っている情報も他の弟子たちとあまり変わりません。小出もやはり労働力、乗り物として扱われていた為に、あまりシャンの記憶は移植されていません。吉川春子によってシャンを憑依させられ、春子の為に働いていたことを告げます。
春子の目的は彼らにとってはよく分からず、革命の為の行動なのか、それとも何か自身の都合の為に動いていたのかまでは分かっていません。
ミ=ゴの襲撃を退けた後、探索者達は小出をどこかへ隠すなどの行動を取らない限り、定期的(30%の確率)で再度、ミ=ゴの襲撃を受けるようになります。
ミ=ゴ達の目的は小出である為、強いて探索者のみを狙うことはなく、また小出からシャンの駆除に成功した場合は、それ以降の襲撃は止みます。
小出を匿った場合も同様に、ミ=ゴは小出を探し出すことにそれほどの労力は割かない為に、同様に襲撃は止みます。
天狗にさらわれた男、前野忠志
鈴木とともに、前野の調査を行なった場合、あるいは鈴木から前野の居場所を聞きだし、その調査を探索者が行なった場合となります。
(基本的に鈴木が単独で調査は行ないませんが、キーパーの判断やスレッドの進行具合によっては鈴木が単独で調査してその結果だけ持ち帰るのもよいでしょう)
鈴木とともに、北の弟子の一人である前野の下宿先周辺、浅草観音の裏の辺りへ赴くと、妙に物々しい雰囲気が漂っています。
もともと、あまり品の良い地域でないことも確かですが、警官や新聞記者と思しき人物の姿や、探索者の中に探偵や特高が居る場合は、私服の警官らしき者までが居ることに気が付きます。
どうやら前野の下宿先がこれらの騒ぎの発生源のようです。現場に近付くと警官が下宿の大家らしき人物と話しをしており、時折空を指差したり、大げさに何か言っていることが窺えます。
事件発覚からまだあまり時間が経っていない為、直接現場に行くことはできませんが、事情聴衆を行なっている傍まで近付けば、下宿の大家は「天狗が!」と主張していることが分かります。
当然、警察はこのような証言を聞くことはない為、もう少し別の意見を聞こうとしているのですが、頑固な大家は天狗の主張を繰り返します。
また、この騒ぎの中、集まっている人々をよく観察するか、《聞き耳》、あるいはキーパーの判断によっては《目星》等のロールに成功した場合、周辺住民とも警察関係者ともまた異なるきっちりとした格好の堅気ではない人種を発見することが出来ます。
すでに元子の手下を目撃している場合は、見つけたのがそれである可能性が高いことに気が付きます。
探索者が警察の関係者だったり、あるいは特高の探索者が直接事件関係者にあたる可能性もありますが、付近の住民と合わせて分かる情報は以下の通りです。
・前野は今のところ行方不明である。ただ、部屋には大量の血痕が残っているとともに、前野本人と思しき手足が残されており、まるでその場でバラバラにされたように思える。
・下宿に住んでいた前野は前から怪しげな宗教のようなものに熱を上げていたが、ここのところ何かに怯えており、特に何故か上空を気にしていた。
・一部の住民が天狗の仕業だ、行方不明になった前夜に前野の部屋へ翼を持った黒い影が舞い降りるのを見た、と証言している。もちろん、警察は取り合ってくれないが、ここのところ帝都で噂になっているものではないか。
・前野の部屋は二階にあるが、事件の当夜、一階に住んでいた大家は一階から二階に上がっていく人物、あるいは動物も見ていない。部屋には大量の血痕などの事件の痕跡が残っているが、部屋の外には一切残っていない為、「まるで飛んで消えた」としか思えない状況である。
これらの証言に警察は戸惑っており、捜査も難航します。また、実際に大量の血痕と人間の手足が部屋に残されているにも関わらず、判別可能な部分がどこからも発見されない為、果たしてこれが殺人事件なのかの判断も出来ていません。
探索者がその場以外でも警察に当たった場合は、住民の情報と同じ情報を提供してください。
なお、時間が経っても事件の新たな証拠なども出ない為、前野は殺人事件に巻き込まれた可能性が高いものの、行方不明として処理されます。
キーパーへ:
前野は天狗=ミ=ゴにさらわれています。
自身の部屋で解体され、身体の大部分は手足を残して処分され、頭部は缶詰にされています。
彼に取り憑いていたシャンは切断された頭部に融合した状態のまま、シャンの物質透過能力を阻害する缶詰に一緒に詰め込まれています。
キーパーは厳密にミ=ゴの技術開発の順番を気にする必要はありませんが、前野がさらわれる事によってミ=ゴの技術はさらに前進し、シャンの駆除装置をミ=ゴは開発します。
逃亡者、駒井安元
こちらも前段同様、鈴木とともに、駒井の調査を行なった場合、あるいは鈴木から駒井の居場所を聞きだし、その調査を探索者が行なった場合となります。
四谷区の暗闇坂の周辺にあるとある寺に駒井は寄宿しています。
鈴木とともにその寺を訪ねると、駒井は数日前(北一輝の下で顔を合わせて以降)、寺に戻った後、急に姿を消したと告げられます。
行き先は寺の者にも告げておらず、寄宿している部屋には荷物の大半も残したままです。この為、いずれ帰ってくるかもしれない、とは言いますが、こういったことは初めてだし、行き先も告げに消え、しかもその後の連絡も途絶えているので何か事件に巻き込まれた可能性もある、とは指摘します。
寺の関係者から得られる情報は以下の通りです。探索者の調査手段に合わせて、コミュニケーション系のロールを行なわせてください。
・駒井は何かに怯えている様子で、何故か上空を気にしていた。
・最近は何故か北一輝の下へ行くのに気が重そうだった。
・たまに北の弟子らしき人物が寺を尋ねてくることもあった。
・姿を消したときは着の身着のままだったので、法衣(略衣)だったはず。
・吉川さんから預かっているという、古い書物が部屋からは無くなっていたが、それ以外はそのままだった。
駒井を追跡する
駒井を探すには単純に時間と労力を掛ける以外にはありません。
人を使うなどして(鈴木に任せる等)、調査を実施していることにするとよいかもしれません。あるいは、探索者の特権として、何らかのアイデアとロールによって、駒井を発見できたことにするのもいでしょう。
あるいは、追跡を試みる探索者達全員が、《説得》、《信用》、《言いくるめ》、《心理学》、《追跡》、《目星》、《幸運》を1回ずつロールし、全員の結果の累積が、すべての技能を1回以上成功している場合に駒井の発見に成功した、などとするとよいでしょう。
(クトゥルフ神話TRPGにおいて、具体的に目標を定めない単なる「情報収集」というロールは存在しません。この場合のように漠然と駒井を探す、というロールは無いのです。かなり適当な判定ですが、キーパーはこの辺りのさじ加減を検討してください)
駒井は、四谷区の寺から逃亡、『外なるものども』を日比谷図書館に隠した後、ミ=ゴに発見され、襲撃を受けました。
この時、ミ=ゴの手には「シャンを駆除する装置」があり、これを使って駒井からシャンを追い出して確保しましたが、駒井自身には逃げられてしまいました。
ミ=ゴはとりあえずの目的は果たしている為、これ以上駒井を追いかけては来ませんが、駒井自身がこの事には気付いていません。
駒井はシャンが追い出されたときは無我夢中で逃げましたが、その後、呆然としているところを警察の職務質問を受け、まともな受け答えが出来ずに、そのまま留置所へと拘束されました。これが幸いして、彼はミ=ゴにも、元子側にも、あるいは北一輝の他の弟子にも発見されていません。
探索者は彼を発見した後、留置所内に居る彼とどうやって面会、あるいは連れ出すかを考える必要があります。
単純に身元引け受け人として名乗り出たり、あるいは警察の伝手を使って面会、連れ出すのも良いでしょう。駒井自身は不審人物として拘束されているだけで、具体的な犯罪者ではない為に簡単に釈放されます。
探索者に連れ出された駒井は観念したように、探索者や鈴木を恐怖のこもった目で見詰めます。
特にロールの必要なく、駒井は探索者の質問に答えます。
駒井も他の弟子達と同様、あまりシャンの記憶は移植されていません。あくまで目的達成の為の労働力、乗り物的な扱いであり、春子の陰謀についても革命の為の一助と教えられていました。
駒井から得られる回答は大体以下の通りです。探索者の質問に合わせて、情報を提供してください。
・何故、逃げたのか?
「天狗にせよ、北先生の使いにせよ、消されると思った。
吉川春子が消え、怖くなって逃げた」
・何故、消されるのか?
「天狗は、おそらく自分の頭に取り付いた奴が狙いで、北先生自身に消す理由は無いだろうが、他の弟子達から逃げたことが分かれば、その弟子達に消される。
弟子達には、皆、頭に虫が取り憑いているのだ」
・天狗とは?
「空を飛ぶ、奇妙な、ザリガニの化け物のような奴だ。
いきなり襲い掛かってきて、奇妙な機械を私に向けて…。そこから記憶が無い」
・虫について
「分からない。吉川春子の屋敷で、あれに取り憑かれたのだ。
どういう生物だかは分からないが、頭の中に寄生され、虫の声のようなものに唆されていた」
・他の弟子は?
「小出、前野、脇坂、そして篠原には私と同じであの虫が憑いている。
全て、吉川春子のせいだ。我々は北先生の理想の実現の為に、日本の革命、改造を志していたはずだった」
「吉川春子の甘言に乗って、あれの策略に協力するようになったのも、全て虫に取り憑かれたせいだ。吉川の命令をただ聞くようになってしまった」
・春子から預かったという本はどうしたか
「日比谷図書館の特別閲覧室に隠した。あの本は危険な知識が載っている。人類に対する冒涜だ。関わらないほうがいい」
この後、駒井をどうするかは探索者次第ですが、駒井は基本的に探索者が敵ではないと分かると、助けてくれ、匿ってくれと懇願します。
彼は春子派に属していた為にまず元子に狙われているうえ、春子派からは『外なるものども』を処分しようとした裏切り者である為、ミ=ゴにはすでに放置されていますが、同族からは狙われている存在となってしまっています。
また、シャンの憑依から開放されては居るものの、精神に重大なダメージを負っています。放置しておけば悪化を招き、完全に正気を失う可能性もあります。
探索者によっては、駒井の追跡に時間を割かない可能性があります。
その場合、彼は元子の部下に発見、捕獲されます。日比谷公園辺りで目撃されたのを最後に、以降、姿を見なくなることになります。
日比谷図書館、菘文乃
明治41(1908)年に開館した日比谷図書館は麹町区、宮城前の日比谷公園内にある図書館です。当時は東京市立の図書館であり、一般向けのいわゆる通俗図書館でした。帝都図書館に比べて敷居も低く、児童室や婦人閲覧室なども設けられており、図書館利用の普及に貢献しました(なお、この時代は館外への貸し出しは行なっておらず、また低料金ではありますが閲覧料を徴収していました)。
日比谷図書館の駒井に教えられた特別閲覧室に入るには職員の許可が必要です。
なんらかのコネ、あるいはそこに収められている珍しい書物を閲覧したい、と申し入れれば、問題なく通されます(それらが無い場合は、《信用》か《言いくるめ》が必要になります)。
特別閲覧室に探索者が入ると、一冊の本を前に、司書と思しき女性が首を傾げています。
彼女は誰かに向かって語りかけている訳ではないですが、まるでそこに誰かが居るように、あるいは自分自身に語りかけるように一人で講義を行なっています。
興奮しながら、まるで歌うようにその女性、菘文乃は小さな声で語ります。
「さて、これは、困りましたね。
この非常に貴重な書物は、当館には無いはずの本です。
「目録に無ければ、新たに購入、寄付されたものでもない。少なくとも私がこれをここで、館内で目にした覚えが無いのです。
「私の記憶が確かならば、この書物、『the Outer Ones』は元はラテン語の稀覯本で、現存するものはイギリスのいくつかの図書館、あるいは奇特な収集家や、世間に知られていない好事家の手にあり、そのほとんどは不完全な版であったはず。
「ところが、これはどうしたことでしょう。今、私が目にしている版はおそらく、ほぼ完璧なもの。脱落もなく、状態もよい。
素晴らしい。こんなものが現存するだなんて!
「惜しむらくは、これが英語版だということ。しかし、この大変に珍しい貴重な本が今ここにあり、そして読める。なんて嬉しいことだろう!」
探索者が声を掛けるか、特別閲覧室の中に踏み入れば、文乃は探索者に気付いて振り返った後、少し恥ずかしげな様子を見せます。
気を取り直すようにわざとらしく咳払いをした後、彼女は探索者の対応をします。
「特別閲覧室のどの書物をお探しでしょうか?」
(特別閲覧室には目的無く足を踏み入れることはできません。この為、彼女は「どういった書物をお探しですか?」とは聞きません)
文乃をごまかして『外なるものども』を手に入れる為には、彼女を説得するか、取引に持ち込む必要があります。
先の台詞で分かるとおり、彼女は重度のビブリオマニアであり、貴重な本を目の前にすると我を忘れる傾向にあります。
単純に、その本が吉川春子のものであり、自分達はそれを取り戻しに来た、と言っても、文乃はまったく信用せずに、「それでは、吉川春子さんに確認してから引き渡すとしましょう。よろしいですか?」と聞かれるだけです。
この場で根拠の無いコミュニケーション系のロールは通用しません。ロールを強行した場合は、遠慮なく警察が呼ばれます。
もちろん、ここで確認されたり、警察が呼ばれれば、『外なるものども』は元子の手に落ちるだけです。
この場で彼女を説得するには、その本が春子のものであり、探索者がその使いである確固たる証拠をその場で提示できるか(おそらく、無理でしょうが)、あるいは文乃と取引をするか、となります。
文乃自身、この『外なるものども』は出自が不明の本であり、おそらく「木を隠すには森」という考えから図書館、そして一般の目に触れにくい特別閲覧室へと隠したのであろうと考えています。
後ろ暗いところがあるものの、この貴重な本を読む機会を逃すことは彼女に取っては惜しいことであると思ってはいますが、同じぐらいに犯罪に巻き込まれることを恐れています(特に、書物絡みとなると、後の影響が大きいと考えます)。
彼女との交渉では、この本が本来図書館に収められているものでないこと、持ち主は吉川春子ではあるがすでに他界しており、誰のものでもないこと、この本をここに置いておく方がトラブルに巻き込まれる可能性が高いこと、そして彼女にこの本を読む機会を与えること等を材料にする必要があります。
キーパーは探索者の交渉の内容を勘案し、《説得》のロールの上方、あるいは下方修正を行なってください(この場では《信用》や、《言いくるめ》は通用しません)。
成功した場合、彼女は盛大な溜息を付いた後、「よろしいでしょう、この本は当館には無いものです」と言い、『外なるものども』を持ち出すことを黙認します。
(この後、彼女に顔を合わせれば必ず「あれはいつ読ませてもらえますか?」と聞かれるようになります)
失敗して『外なるものども』を手に入れられなかった場合、数日後に日比谷図書館からこの貴重な書物が盗まれたか、あるいは毛利家の名を使って強引に貸し出されたかしたという話を聞くことになります。
あるいは、キーパーや探索者の趣味によっては、この場は一旦引き下がり、夜間などに図書館に忍び込むことを考える可能性もあるでしょう。
その場合は、適宜、《忍び歩き》、《隠れる》、《鍵開け》を活躍させてください。こちらも失敗すれば、やはり『外なるものども』は 元子側の手へ落ちます。
『外なるものども』
この書物の原版はラテン語で書かれたものですが、毛利元子が手に入れたものは英語に翻訳された版となります。
極稀少な書物であり、その存在自体もあまり知られていないものですが、おそらく『グラーキの黙示録』を写本した集団と同じ系統の組織がどこからか手に入れた『外なるものども』を翻訳し、出版したと考えられます。
この書物の著者は不明で、15世紀頃に著されました。書物の中では、アザトースとその種子、ダオロス、シュブ=ニグラス、ヨグ=ソトース、ウボ=サスラ等のような宇宙的恐怖の主題について言及されています。
他の魔道書同様、この書物も秘教めいていて、各々の存在の活動について明晰には記述されていません。
この書物を読むことで喪失する正気度は1D4/1D8+1、《クトゥルフ神話》 に+8%。
研究と理解に要する時間は平均7週間。呪文は、アザトースの呪詛、萎縮、外なる神の従者の召喚と従属。
探索者がこの書物をシナリオ中に研究しても内容が分かるまでには時間が掛かりすぎますが、斜め読みや気になるところを拾おうとした場合、以下の内容を読み上げるか、ハンドアウトとして探索者に提示してください。
『外なるもの』からの抜粋
“宇宙は時には移り気な素振りを見せるやも知れぬが、その魂は常にその主達が誰であるかを知っている。主達の眠りは、全ての生命の中で最も大きな周期のものであるに過ぎず、生命の繁栄に抗し全てを白き忘却の彼方へと追いやる冬の業が夏の訪れによって虚しきものとなるように、人類やその他のかりそめの支配者達による反抗と忘却も、再び目覚めし主達によって吹き払われてしまうであろう。この冬の時代が終わり、再度の目覚めが近づく時、宇宙は自ら、前兆にして造物主であるグロスを送り出すであろう。それは星々と世界を正しき座に駆り立てるであろうもの。それは眠れる主達をその秘密の洞窟や深海の陵墓から起きあがらせるであろうもの。それは陵墓自体を浮上させるであろうもの。それは本来崇拝者である者達が自身をその支配者であると思い込む世界を、漏らさず見つけ出すであろうもの。それはあらゆる者達が己が奢りを思い知りかしずくまで、それらの世界を統治するであろうもの。”
元子の追跡、南千住、春子派を粛清する
ベルリエVE型に乗って遊びに行くと思われる元子を追跡した場合、盛り場で黒い服を着た男達と会話をする元子を目撃します。
明らかに堅気ではなく、ヤクザか犯罪者かとひと目で知れる男達ですが、彼女の護衛兼連絡係であることはこれまでの調査で大体察しがつきます。
元子は報告を受けるとそのままベルリエVE型へと戻っていき、そのまま黒い男達を置き去りに運転を開始します。
これを追うには当然、車が必要となり、《運転》のロールが要求されます(タクシーを使う場合は、すぐに捕まるか《幸運》がさらに必要となります)。
元子を追うのに成功した場合、南千住の辺りの隠れ家へと乗り付ける元子を追跡したことになります。
もしも、この追跡に失敗しても、ある程度元子の行動予測が出来るほど彼女を調査している場合、車を走らせた方面が帝都の北側である為、南千住か王子ではないかと予測をしてもよいでしょう。
あるいはこの場面は、探索者が元子の南千住の隠れ家を探索しようとした時に起こすのもよいでしょう。
南千住の隠れ家は明らかに目立たないように、回りに溶け込むように建てられており、とても華族の別邸には見えません。
平屋の日本家屋、庶民の長屋を模したもので、外見からは新しい長屋に見えますが、ほとんどの雨戸が閉まっており、同時に入り口が一つしか開いていません。板塀と植え込みに囲まれて中の様子が窺えません。
これまでの元子の行動ならば、ルノーDJ型で近くまで来てそれから徒歩で別邸に行く、という流れだったのですが、今回はベルリエVE型を自身で運転して、そのまま隠れ家まで乗り付けています。
南千住の隠れ家を事前に調査している場合は、正面の入り口以外に裏口代わりになる木戸があることを知っています。そうでない場合は、元子と同じ入り口から入り込むか、付近を調査して裏口を見付ける必要があります。
この長屋を模した建物は元子の非合法の活動に使用されています。
長屋の中は全く外の印象と異なり、まるで大きな土間を持った倉庫、作業場のように思えます。外観は和風なのですが、土間が無く靴を履いたまま中に入れます。
主に拷問や、麻薬、危険な薬品の実験や、人間を精神的に破壊する方法の研究、あるいは単純に不要となった人間を始末する場所でもあり、そして同族のシャンを処刑する場所でもあります。
・応接室
飾り気の無い、応接セットが置かれた部屋です。
この部屋だけは清潔を保たれていますが、この建物の内部に漂う異様な匂いは消しようがなく、やはりどこかからか錆びた、饐えた臭いが漂っています。
この部屋には特に何か発見できるものはありません。
・実験室
複雑な構造を持つ実験器具や、小型の電子装置他、狭いながらも機材の充実した実験室です。
部屋の中には奇妙に甘い薬品の香りの他に、錆びた臭いがあり、化学実験だけではなく生物実験を行なっていることを思わせます。
部屋には何かの物質を抽出する機械が稼動しており、フラスコへ透明な液体を滴らせています。
《化学》か《医学》に成功した場合、この部屋の中の薬品の臭いが麻酔薬に似ていることに気が付きます。
《化学》の場合、ここの設置されている機材は確かに化学実験のものではありますが、非常に高度で複雑なものであることに気が付きます。通常、このような設備は専門の大学や施設に行ってようやく見られるレベルのものだと分かります。
《医学》の場合、抽出されている薬品はおそらく麻酔か、あるいは阿片の類ではないかと気が付きます。部屋の様子から動物実験だけでなく、人体実験まで行なっていたのではないか、と考えられます。
もし、この部屋で抽出されている薬品を持って帰って専門の機関で分析を行なった場合は、次のような情報が得られます。
・麻薬のようなものも混じっており、推測からは脳に作用する薬ではないだろうか。
・強い麻酔薬のような効果を持つ薬品であり、場合によってはそのまま昏睡、死に至る可能性もある。
・解析不能な物質がいくつか混じっていた。分析器や手法の問題かもしれないが、もしかしたら未知の物質の可能性もある。
・拷問部屋
使い込まれた大小の拷問器具が部屋には設置されており、古典的な石抱まで用意されています。
部屋には饐えた鉄の臭いが充満しており、床や壁には真新しい赤黒い跡が残されており、拷問の苛烈さを物語っています。
すでに何度かシャン達の拷問の部屋を覗いたことがある探索者の場合、《アイデア》に成功すると、ここで行なわれるのは彼らの「お楽しみ」の為の拷問ではなく、自白の為か、実験の為であり、その苛烈さに気が付いてしまい、0/1D4の正気度を喪失します。
・処刑場
この部屋には南向きの窓に加えて、何故か天窓が作り付けてあり、窓は全て開け放たれています。
元子が一族のシャンを処刑する為に作った部屋です。
元子の後を追った探索者がこの部屋を覗くと、中には元子の他に3人の男が居り、一人は入り口近くに控えて立ち、一人は何か呪文らしきものをぶつぶつと呟いています。
部屋の中央の床には五芒星が描かれており、もう一人の男はその中心に立たされて陽光に晒されて眩しそうに目を細めながら、恐怖に慄いています。
中央に立つ男は手足が鎖に繋がれて拘束され、全身に拷問の跡があり、乾いた血があちこちにこびりついています。
探索者がすでに北一輝の下を訪れている場合、この男が北の家で見た男の一人、脇坂であることに気が付きます。
元子は部屋に入ってからまず、控えている男に確認をします。
「例の薬はもう使ったかしら?」
無言のまま男が頷くと、元子は陽光を避けるように部屋の端から男に話しかけます。
「春子への忠義立て、ご苦労なこと。
今ならまだ、間に合うかもしれない。私に何か話すことはないかしら?」
男は血走った、恐怖に満ちた目を元子に向けますが、沈黙を守ります。
「うん、やはり人間には作用しても、我々の一族には使えそうに無い、か」
どこか面白そうに呟いた後、元子は続けます。
「そう、じゃあ、私から聞こう。
春子が持ち出した『あれ(グラーキの黙示録)』は全巻回収できたのだけれど、もう一つ盗まれたもの『外なる者ども』はどこに隠している?
無くとも大丈夫だと隆子は言っているが、あった方がよいことは確か。それに、あれは元々、私の持ち物だしね」
元子は返答を待ちますが、相変わらず男は沈黙を守ったままです。
「そう、じゃあ、もう一つ。
春子に従っていた者は、まだ何人か居たはずだわ。こちらでも捕捉しているのだけれど、他の仲間はどこに隠れているのかしら?」
やはり、男は沈黙を守り、そしてさらに血走った、恐怖に満ちた視線を元子に送っています。
元子の脇に控える男の呪文が静かながら僅かに調子を変え、終わりに近づいたことが察せられます。
「そう、じゃあ、あと一つ。
春子が例の装置、『異次元通信機』と言ったかしら?それを作ったときに、何か資料を残していると思うの。そうね、『春子の遺産』とでも呼ぼうかしら。
『春子の遺産』はどこにあるのかしら?」
男は血走った目を見開いてぶんぶんと頭を振ります。
「そう、じゃあ、仕方ないわ。
頃合ね、一族の長として貴方の最期を看取ってあげましょう」
脇に控えている男が呪文を唱え終わり、沈黙するようになると同時に、五芒星の中に立っていた男が呻き声を上げ頭を押さえてうずくまります。
がくがくと痙攣し始めた男の頭から鳩ぐらいの大きさの昆虫のような生物が、まるで巣穴から這い出るかのように現われた。
物理法則を無視して、男の頭から半ば融合し、透過するように姿を見せているそいつは、昆虫と同じ目蓋の無い目をしているが、三つの口、五対の足、半月型の羽が三角形のうろこに覆われたそれは、地球上のどの昆虫にも当てはまらない。
這い出てきたそいつは陽光を浴びると痙攣を始め、乾涸びた昆虫のように丸まっていくと、次第に溶けて蒸発を始め、最期には何の跡形も残らなかった。
このシャンとその死に様を目撃した探索者は、1/1D6+1の正気度を喪失します。すでにシャンを目撃している場合、1/1D3+1に軽減されます。
(ちなみにシャンが抜けた後の脇坂は気絶をしているだけで命に別状はありません。ただし、シャンと融合していたことにより正気度が大幅に減少していますが)
無表情にこの同族の処刑を見守っていた元子は盛大に嘆息すると、「また、一族の者が減った、か。黒澄綾の音楽が完成し、神殿が再び起動した後に、一体、どれだけのものが残っているのやら」と呟きます。
しかし、次の瞬間にはまたいつもの尊大な態度に戻り、「それもこの地を離れれば解決する。再び神殿に正しい音楽が満ち、我らは自由と栄光を取り戻すのだ」と高らかに宣言します。
「後の始末は任せたわ。私は戻ります」
元子は言い置いて、さっさと部屋を出て行き、そのままベルリエVE型のところまで戻って隠れ家を後にします。
探索者によっては、ここで気絶している脇坂を保護することを考える可能性があります。
その場合、元子が去った後に残っている男達のデータは以下の通りです。
(元子が去った直後から『片付け』が始まるので、救助するならば即座に動く必要があります)
ボディガード風の男:
STR 13 CON 16 SIZ 17 INT 12 DEX 11 POW 9 DB+1D4 耐久力 17
武器:
拳 70% 1D4+DB
柔術 50% 1D4+DB+ノックアウト
装甲:
さらし 1点
魔術師風の男(シャン憑き):
STR 12 CON 10 SIZ 11 INT 15 DEX 13 POW 14 DB+0 耐久力 11 MP 20
武器:
短刀 50% 1D4+DB
装甲:
なし
呪文:
アザトースの呪詛、萎縮、恐怖の注入、シャンを追い出す、手足の萎縮、魅了、ヨグ=ソトースの拳
※この男にはシャンの魔術師が憑依しており、同時に三つの(!)呪文を使うことが出来ます。
耐久力は低いですが、大きな脅威となりますので処刑の場面でこの男が魔術師であることを強調しておいてください。
追加でMPが注入されていますが、キーパーの判断でMPの追加分や、使用する呪文を変更してもよいでしょう(強力な呪文を連発できるほどのMPでも無いですが)。
護衛の二人の男を倒して気絶している脇坂を救出し、話を聞く場合は《精神分析》が必要になります。
《精神分析》によって落ち着いた脇坂は、探索者の質問には戸惑いながらも答えます。
彼にはシャンの記憶はあまり移植されておらず、単純に労働力に近い形で使われていた為、知っていることはごく僅かです。
自身が春子の為に動いていたこと、春子が『異次元通信機』と呼ぶ異様な機械を作っていたこと、そして元子が『春子の遺産』と呼ぶその『異次元通信機』の成果は毛利家の楽器工房に隠されていることを教えます。
元子が聞いた『外なるものども』は、春子が大事にしていた書物ではないだろうかと言い、そして、駒井が春子からその書物を預かっていたと思うと語ります。
脇坂はシャンによる憑依の影響だけでなく、元子に捕まった後の拷問と、そして投与された自白剤により心身ともにかなり弱っています。安静に出来る場所に匿うか、あるいは信用の出来る医者に預ける必要があります。そうでない場合、この事を知った元子側に察知される可能性があります。
脇坂を助けることは、明白に元子と敵対したことになります。元子側に知られた場合は、以降、元子は探索者を敵と認識して行動をします。
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