以下に日記に含まれている、事件に関わりのあると思われる情報の抜粋。 (死亡の2ヶ月前) 「ある筋から怪しげな文書を手に入れる。もちろん、レンズやガラスに関する記述のあるものだ。  『ザンツー石版に関する部分的な翻訳』と題されているが、米国で出版されたものとは別ものなようだ。  荒唐無稽と言え、怪しげではあるが、検討の余地はある」 (死亡の1ヶ月前) 「レンズ倶楽部に行く。  特に珍しいものは無かったが、平井が「球体の中に鏡を張り巡らせ、その中に入ったらどう見えるのだろうか」というようなことを言っていた。  面白いアイデアではあるが、今は例の『ザンツー石板』の研究を進めよう」 (死亡の1ヶ月前) 「あの『ザンツー石版に関する部分的な翻訳』にあった技術は本物なようだ。  例の水晶を作り出すことを検討する。  だが、その下準備の方が時期に問題がある」 (死亡の3週間前) 「文書を手に入れた筋から、同じく『火鉢』を調達する。随分と金が掛かった。非常に貴重なものだという。  本物の魔術?  だが、これがあれば、後は水晶を製造するだけだ」 (死亡の2週間前) 「やっと例の水晶の製造に成功する。様々な貴重な素材を随分無駄にしてしまった。  金の方には問題は無いが、ひどく疲れたことも確かだ。  しかし、すばらしい!  この水晶は、どのようなレンズを使っても決して見ることが出来ないものを見ることが出来る。  今度の倶楽部の会合へ持っていけば、皆が驚き、うらやましがるに違いない」 (死亡の1週間前) 「何かがおかしい。  最初は確かに私の望んだ光景が映し出されているはずだった。  だが、ふと、意図したもの以外が見えている。まるで、他の誰かの意思に操られているようだ。  あの黒い影のようなものはなんだ。まるで、雲のような・・・」 (死亡の5日前) 「怖ろしい。  奴に気付かれてしまった。  奴はまるで『悪意』と『憎悪』の塊のようだ・・・」   (死亡の3日前) 「あれは『猟犬』だ。私を追ってきている。  そしてどこまでも、私を追い詰めるのだ。  何か、手段は無いのか?『ザンツー石板』をもう一度調べてみよう」 (死亡の2日前) 「どうやら、『猟犬』は角度から現れるらしいことを、例の文書から突き止めた。  奴は時間の角度に住み、それをすり抜けてくるらしいのだ。  つまり、角度が無ければ奴も・・・。早く、例のものを作らなければ!」 (死亡の前日) 「間に合わない!  やっと製造に着手したが(後は字が乱れており、読めない)」