エンドブレイカー!

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む、銀雨の前にエンドブとは・・・。
F.G.メンバーとやる予定だったので、シルバーレインの方は保留していたのですが、後から出たエンドブレイカー!が先になってしまうとは・・・。

シルバーレイン(以下、銀雨と略)と同じく、TomyWalkerのPBW(PlayByWeb)からのTRPG化・・・、ではなく、エンドブレイカー!!(以下、エンドブと略)の方は、TRPGとPBWを同時期に開発、らしいですね。
システム的にはもちろん銀雨には似ても似つきませんが、PBWがある、ということを前提にしている為か、計算とかいろいろと感覚的に似ている、と思わせるのものがあります。

さて、本題です。
エンドブでは、キャラクターはエンドブレイカーと呼ばれる、人の瞳からその結末を知ることが出来る、特殊な能力者となります(この見た結末(=エンディング)を破壊(ブレイク)するのでエンドブレイカーだそうで)。
キャラクターは、Power、Tactics、Soul(銀雨的にに気魄、術技、神秘)の三つの能力値を持ち、これをエンドブレイカーになった理由であるルーツ、キャラクターの職業的なジョブと、武器防具の組合せによって決定し、ジョブと武器から来るスキルを習得するようになっています(銀雨と異なり、武器と防具も能力値として組み込まれます)。
で、これがまた、大体、何を選んでもそこそこ使えるキャラクターが出来るシステムとなっており、尖ったキャラクターを目指しても、ちょいと微妙な感じにしかならない、という状態です(まあ、イメージ優先でキャラクターを作っても、使えるキャラクターが出来る、ともいえますが)。
システムとしては、全ての判定が共通で、2D6を振り、それぞれの表からそれぞれの出目の効果を適用する、というものになっています(例えば、表の出目2が10ダメージ、出目3が20ダメージとかで、出目が2、3だったら、両方の効果を適用し、ダメージが30、となります。ちょっとイメージしにくいですが、実物は案外と単純です)。
そして、エンドブの売りであるダブルトリガーは、ダイスの出目が1だった場合、ダイスを2個にして振り直しとなり、振りなおしてまた1が出たらこれもまた2個にして、を繰り返します。つまり、1が出続ける限り、延々とダイスが増え続けます!
・・・と、一見派手に見えますが、意外と、1が出なかったりします。この為、銀雨と異なり、ダイスを振る楽しみはありますが、逆にダイス運に任せた勝負となっています。実プレイでは、一度も1を出さなかったPCと、ダイスが9個まで増えたPCが居て、プレイ後の感想は対照的でした。
また、相手と対抗する判定を行う場合は、出目や効果は関係なく、ただダイスが何個になったか、ということだけを比べ、そのうえ、能動側優先となっています。この為、攻撃をする場合は、「基本的に命中する」という状態となっており、戦闘時はがしがしとGuts(ガッツ、いわゆるHP)を削りあうことになります。

銀雨と異なり、ダイスを振ることを導入し、また表を常に参照するというちょっと癖があるのですが、一度やってみると分かり易いシステムに仕上がっています(まあ、銀雨のカードを使った駆け引きもそれはそれで楽しいのですが)。
ただ、レベルアップによる成長の度合いがかなり微妙で、あまり成長する楽しみが無い、というシステムに仕上がっているのは、銀雨と同じです。

背景世界は中世的なファンタジーなのですが、都市国家を中心とした世界であり、またエンドブレイカー達の敵であるマスカレードについては、要約すると人類に寄生する謎の敵、てな感じで、人の心の闇・・・、というよりも単純な感情に取り付いて、化け物っぽくする、という敵になっています。
(マスカレードに取り付かれると、化け物になる・・・、という訳ではなく、体のどこかに『仮面』が浮き上がり、行動が取り付かれたきっかけとなった感情に従うようになる、というものですが、まあ、快楽殺人者になるような、あれですかね)

まとめとしますと、お手軽で、特徴的、ダイスを振る楽しみが大きいシステム、ということで、今ではあまりシステムとも言えるかもしれません。
毎度のフレーズとなりますが、まずは一度やってみる、これが重要だなあ、と感じたシステムでした。

さて、マスターとして実プレイをしてみて思ったのは、システム的な何か、ではなく、このエンドブレイカー達の「エンディングを見る」という能力の扱いが難しい、と感じました。
PC側は、最初に事件が引き起こす結果を見ているので、全く調査をせずに、最後の場面だけなんとかすれば良いや、という思考に陥ってしまい、途中にある調査をすっ飛ばそうとする傾向になります。
また、シナリオの構造としても、原因を排除する行動に出ると、未来が変わってしまうのですが、基本的にその「エンディングが起こる」ということを前提にしなければならない為、PCサイドの調査のモチベーションをさらに下げる結果になってしまいます。
(例えて言うなら、殺人の場面を見たので、使用された凶器を破壊しても、別の凶器が使用されるだけ、ということです。
 まあ、その前に犯人を押さえる、というのもありますが、マスカレードは一般人には見えない、認識できない、という特性がある為、理由も無く犯人を押さえることは出来ないのです(しかも、未来に起こる殺人を未然に防ぐ、という理由ではエンディングが見えるエンドブレイカー以外、誰も納得できません))
まあ、あまり難しいことは考えず、「エンディングを見る」という能力は事件へPCを『強制的に』関わらせる為の能力、と割り切っていくの正解なのか、とも思いつつ・・・。

※今回も大阪でお世話になっている他所様のサークルで行いましたので、F.G.メンバーのコメントはありません・・・。悪しからず。

TOMY Walker :エンドブレイカー!(公式)
http://t-walker.jp/eb/