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霊障都市捜査ファイル 罪の街 新宿

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 タイトルから『魔界都市新宿』みたいな超常能力ものか、『シン・シティ』のようなハードな犯罪ものか、という連想してしまいますが、中身は七並べをベースにしたボードゲームに、古くは『太陽に吼えろ!』、新しくは『相棒』(新しくないか・・・)とかそういった警察官ものをやるTRPGです。
 キャラクターは『機動捜査官』『科学捜査官』『新人』『SWAT』と言った13種類のクラスから二つを組み合わせてキャラクターを作成します。
 ちょっと細かいルールは省いてさらっと説明すると、行動の判定については2D6〜4D6でに能力値から来るボーナスを足して目標値以上か、という簡単なルールであり、戦闘もHPに加えて、ダメージを受けると技能が使えなくなる、というシノビガミ的なあれも採用されています。
 さて、『罪の街 新宿』でもっとも特徴的なのは、そのゲーム進行、捜査の進行にあります。
 キャラ作成時、運命と呼ばれる、自分に縁の深い人物をトランプを引いて無作為に(あるいはシナリオの都合でGMから指定で)決めます。
 これをシナリオの開始時、全員から集め8枚をゲームボード上に配置します(満たない場合は山札から)。このゲームボードには、『事件形式』『被害者』とか言った、シナリオで発生した殺人事件(殺人事件限定!)を定義していくカードとなります(各カードは、シナリオによって最初から公開されたり、されていなかったりします)。
 その後、ゲームが開始されると、最初にゲームボード上に配置されているカードから七並べのように置いていく(七並べの最初の七を並べるのが初期の配置です)ことで、捜査の進み具合や、今分かっていることを「ゲーム的に」表現します。つまり、公開されていないカードに辿りつく(例えば、『犯人』や『凶器』とか)ことによって、それらの情報を得た、ということになるのです。
 ぶっちゃけ、そこに謎解きとか、整合性は存在しません。冗談抜きで七並べであり、また公開されているカード周辺を『捜査』することで、ゲームボードに伏せられているカードかどうかの判別も出来る為、マインスイーパー的な側面もあります。
 なんだか悪いことのように聞こえますが、『罪の街 新宿』の目的は、「刑事ドラマをすること」なのです。よって、GMによってはミステリ的な展開を望む可能性もありますが(そういったプレイが出来ないわけでも無いですが)、「待てコラァっ!」でダッシュする刑事ものをやるとかには、特に問題ないというよりも、むしろ楽にそれができるようになっている、ということです。
 基本的な事件のパターンがすでに提示されており、またフレームワーク的にトランプを引いていくだけで事件(=シナリオ)が出来るということもあって、プレイ自体はかなりお手軽に、GMは楽に出来るはずなのですが、残念なことにかなり参照しにくく、何をしたら良いかいまいち分からないルールによって、様々な良い面が減殺されているという残念な状態となっています・・・。
 また、シナリオ自体の整合性や、事件に関与する人物やら動機やらもランダムなので、かなりGMに力技が要求される、ということも確かですが、そこを何とかするのが意外と面白いところもあり、簡単にシナリオは出来るが、取り回しは難しい、という感じでしょうか。
 ゲーム的には、TRPGではなく本当にボードゲームに近いので、ルールと手順を覚えることで、取り回しはかなりよくなると思います(それによってロールプレイする余裕が生まれるので、そこでドラマをやれ、というのが作者の意向らしいです)。

 で、ちょっと待て、霊障は?と言いたい方。
 はい、霊障は単純に、犯人が殺人後、一定の時間を経過すると霊障になってしまう、という世界である為、それを防ぐ為の早く捜査をしなければならない、というプレイヤーサイドへの『押し』として存在しているようなものです。
 もちろん、そうなれば霊障化した犯人には助ける術が無い為、霊障化前に逮捕をする、ということが必要になります。
 PCが霊障と遭遇することももちろんありますが、非常に強力です。どうにかしようと思ったら、対霊障用の特殊装備を借りてくるか、「助けて!自衛隊!」の2択となります。
 まあ、本当におまけみたいなものだと思ってください。

 さて、今回のまとめですが。
 なんだったか忘れましたが(RPGマガジン?)、昔、本作の著者、朱鷺田祐介は言っていました。

「車にファミリーカーのような誰でも乗れる車と、プロが乗るF1があるように、私はTRPGのファミリーカーではなく、F1を作っているのだ」(超意訳、うろ覚え)

 あー・・・、なんと言うか、別の意味でしっくり来ます。
 残念なことに、F1は公道を「走れません」。「走らない」、ではなく、公道の高低差や、路面状況に耐えられないのです。
 仮に、朱鷺田の作るTRPGがF1のスペックを持っていると仮定しても、それを発揮する為には、最低でもF1ドライバーと、F1の為のよく路面が整備されたサーキットが必要とされます。
 要するに、プロがプロの為に、プロの為の環境を整えてやっと機能するTRPG、ということです。
 ただ、残念なことに、間違いなくF1のスペックを持っているとは言い難いシステムに仕上がっています。いろいろと見るべき点はありますが、ディベロップの拙さから、単純に取り回しの悪い、分かりにくいシステムとなってしまっています。
 また車に例えるなら、エンジンはF1か、それに類するかもしれませんが、シャーシもタイヤも、ボディもファミリカー以下、と言う状態で、リアカーかオート三輪にF1並みのエンジンを積んでいるようなものです。
 言い様はひどいですが、TRPGとボードゲームを融合して、なかなか無理の無いシステムに仕上がっているので、是非とも次回はちゃんとしたディベロップと、他人に読ませるルールブックを備えて、続編でも、改版でもしてもらいたいものです(ただ、今後の展開も半ばストップしているようなのですが)。

※今回も大阪でお世話になっている他所様のサークルで行いましたので、F.G.メンバーのコメントはありません。
 ・・・そろそろこのコメントにも飽きてきたなあ、とか。