小さな勇者のRPG ウタカゼ
小さな勇者のRPG ウタカゼは『悪意』によって滅んだ後の世界で、最後の龍の意思を受け継ぐ『ウタカゼ』として、小さな世界を『悪意』から守る、というものです。
PCはウタカゼと呼ばれる、龍の意思を継ぐ、歌を紡ぐ小人、コビット族となり、小さな世界で『悪意』の引き起こす事件を、他の言葉ある種族(ネズミだったり、モグラだったり、カエルだったり…)達とともに解決をしていくことになります。
システムは、小さくまとめられており、基本的な判定は能力値+技能Lの分、6面ダイスを振り、ゾロ目の数を数える、というヴァルナ・クロニカに似たシステムとなっています。
基本的に、二つ同じ目が出れば判定は成功になりますが、より難度が高い判定の場合は、三つ、四つと求められる場合があります。
この振れるダイスは最低で2(能力値の最低値に技能が0L)になり、ほぼ成功が望めない場合等、クリティカルコールを宣言することで、自身の加護を得ている龍のダイス目(一つだけです)が出ることで、ダイス目を2倍に数えることができます(単純に、2D6でゾロ目が出る確率は1/6ですが、この場合は1/3まで上昇するわけです)。
このクリティカルコールはいつでも、何回でも宣言が可能なので、成功率が低い場合に限らず、博打好きのプレイヤーには受けが良いようです(ダイスがたくさん振れる局面でも、敢えて宣言して大幅な成功数を求めることができるので…)。
HP、MP的なものとして、『希望』というパラメータあり、ダメージは全てこれに受けることになります。同時に、PC自ら消費してリロールしたりと言ったことが出来ます。
この希望はかなりがしがしと削れていきます(初期値6固定で、受けるダメージが1D6±Xなので…)。
希望が0になるとウタカゼは気絶してしまいますが、仲間からの『友情』があれば希望を回復させることができます(一応、アイテムでも可能ですが)。
この『友情』は消費型のリソースで、シナリオ終了時に全快するとともに、一緒に冒険に出た仲間に対して上昇を試みることができます。
プレイヤー達は初めてのシナリオのプレイ時には、結構おっかなびっくり、なるべく『希望』を減らさないように行動していたのですが、『友情』の使い方や、『希望』によるリロールの優位を覚えると、がしがしと消費して「友情パワー!」と復活する展開が多くなりました。
(最初、『友情』は回復しないと思っていました。なので、仲間の『友情』を消費させまくって、友情を無くなり、面目を失ってそのうちに黒い仮面で顔を隠したウタカゼが出るのかと思っていましたが(笑)、シナリオ終了で回復するとのことでした)
単純なシステムで、管理すべきリソースが『希望』と『友情』のみですが、それが故にその消費のバランスがよく取れており、単純ながら良くできている印象を与えるシステムとなっています。
1シナリオの推奨時間も1時間30分と短く、付属のシナリオ3本とキャラクター作成を合わせて5時間程度で終えられます。
シナリオは、そのテンプレートまで用意されておりGM側の負担も大幅に軽減されるのも特徴です(この、テンプレートにランダムにイベントを当てはめる表とかあれば、ランダムシナリオジェネレータになっていたのに…、残念)。
PCの成長の要素が薄いこともあり、何度も繰り返して遊ぶ、というスタイルには不向きですが、ふっとシナリオを思いついた時に、さっと遊ぶ、というスタイルでやるのがいいのではないか、思います。
たまに、殺伐としたハードな世界を離れて、ほのぼのとゆっくり遊ぶのも良いのではないでしょうか。
(最近流行の動画とかにもしやすい気もしますが、こういったジャンルは人気が無いですかね)
ほのぼのとした世界観で、小さな冒険をする、というのがコンセプトなのですが、この世界観をメルヘンチックものからSF的に読み替えると、アフターホロコースト、あるいはポストアポカリプスな世界になってしまいます。
そして、『希望』を失わない限り、ウタカゼは死ぬことが無い、というのもまた、滅びた世界で小さな精神体に仮託して生きる人類、とか読むと一気に微ホラー調なSFに(笑)
コンセプト自体はほのぼの、ソフトなのですが、読み方によってはかなりハード、ホラーな世界になる気がします(『悪意』の扱いによっては、相当?)。
※今回も大阪でお世話になっている他所様のサークルで行いましたので、F.G.メンバーのコメントはありません・・・。悪しからず。
アークライト(Role&Roll)内のウタカゼサポートページ:
http://r-r.arclight.co.jp/rpg/utakaze