廊下にある絵 the Picture in Corridor



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the Picture in Corridor
「廊下にある絵」


ワンショットCoCとは

 短いシナリオを、とフルサイズのシナリオから削ぎ落して、ワンショット、ワンシーンを意識したシナリオです。
 ちょっとした時間に行ったり、クトゥルフ神話TRPGの体験の為、あるいは探索者に外伝的なエピソードを持たせることを目的としています。

シナリオの構成

状況説明

 ワンショットCoCでは、フルサイズのシナリオにある導入部、及び探索への動機づけ部分を状況説明として省略します。
 PL向けにメタ情報を含め、今、探索者が置かれている状況について説明を行います(ハンドアウトなどがあってもよいでしょう)。

探索部

 探索を行う場面ですが、フルサイズのシナリオと異なり、ワンショット、ワンシーンを意識した探索の設計となっています。
 探索者はその場面内を移動することはできますが、場面の外へ行く必要が無い探索を検討し、その場面において、最大3回程度のロールを行う探索が目安です。
(もちろん、場面の外へ行くことも問題ありませんが、カメラが固定されたまま登場人物が画面外に消えて、また戻ってくるような場面運びを意識してください)。

終幕部

 探索の結果、導かれるシナリオの結末部です。
 フルサイズのシナリオと同じく、様々な展開が考えられますが、大規模な戦闘は避け、謎のタネ明かしや、場面からの退場などが行われます。

幕間

 いつもの正気度回復、その後を語る場面ですが、シナリオ自体が簡易、簡便、一発ネタとなるので、あまり正気度を回復させ過ぎないようにする必要があります。
 探索者には過去、ちょっとした神話的な事件、怪異を体験したという経歴が加わることになります。

ワンショットCoCシナリオ『廊下にある絵』

状況説明

 探索者はある貸家、貸し部屋に引っ越してきました。
(探索者が複数人の場合は、何らかの理由でその探索者の家に集まっていることになります)
 家具付きのなかなか居心地の良い部屋なのですが、何故か廊下に不気味な絵が飾ってあります。
 何度か外そうと思っていたのですが、忙しい日々の中、ただ通り過ぎるだけの廊下にあるその絵のことはすっかり忘れ去り、そのままとなっています。
 仕事も一段落し、久しぶりに自室でゆっくりしていると、廊下から何か、物音が聞こえてくることに気が付きます。

探索部

 廊下に出た探索者は、そこに観葉植物が倒れて、鉢の中の土が廊下に散らばっていることに気が付きます。
 それは、例の不気味な絵の下です。

 絵に注意を向けた場合、 久しぶりにこの絵の存在感に探索者は気が付きます。
 INT×5に成功すると、この絵が具体的にどことまでは記憶に無いのですが、前と変わっていることに気が付き、1/1D3の正気度を失います。

※絵に描かれている具体的な題材などについては、KPの趣味で決定してください。
 その絵の内容に従って、演出内容を変更するのもよいでしょう。

 床に散らばっている観葉植物か、その散らかっている鉢の土を調べるか、あるいは単に探索者が≪目星≫を宣言するなどした場合は、土の中に足跡か何か、土をこぼした後に付けられた何かの痕跡を発見することが出来ます。
 その痕跡は明らかに絵の方へと続いています。

 探索者が絵に近づいた場合、≪目星≫か、INT×5か、≪芸術:絵画≫などによって、瞬きや目をそらして再び絵を見た場合に、その絵の内容が変化していることに気が付き、1/1D3の正気度を失います(この正気度喪失は、前の絵を見た場合と合わせて、最大で3点までしか失いません)。

 探索者がわざと絵を見たり、見なかったりを繰り返して、絵の変化の観察を行った場合、その絵の中の何かがこちら側、つまり探索者に向かって少しずつ近づいてきていることが分かります。この場合も、同じく1/1D3の正気度を喪失しますが、前と同じく最大で3点までとなります。

 探索者が片付けなどの為に、廊下から離れた場合は、≪聞き耳≫を行ってください。
 成功した場合、廊下から最初に聞いたような何かが動くような音と、少しだけ湿ったものを引きずるような音が聞こえます。
 失敗した場合でも、廊下から何か音がしたことには気が付きます。
 そして、部屋や廊下には誰も居ない為に、0/1の正気度を失います。

終幕部

 このおかしな絵をどうするかは探索者次第です(あるいはKPの好み次第)。

 絵の中の何かが完全に近づいてくる前に廊下の飾ってある場所から外した場合、その後ろにある奇妙な紋様を発見することが出来ます。
≪クトゥルフ神話≫に成功した場合、これはおそらく『ネクロノミコン』に記述のある、死者を留める、復活させる為の魔術の紋様であり、絵の中の何かはその対象ではないかと分かります。
 探索者が見ていない場合、この絵の中の存在は活性化することはありません。この為、外した後は、破壊する、捨てるなど探索者の自由です。
 この絵を破壊した場合、断末魔の悲鳴が絵から発せられ、0/1D6の正気度を失います。

 絵の中の何かが完全に近づいてくるまで絵を見たり、視線を外したりした場合、探索者が目を逸らした瞬間に、絵の中からその存在の手が探索者を掴みます。
 絵の中の存在が現実の存在となった場合、その様子を目撃、認識した探索者は1/1D6の正気度を喪失します。
 探索者が狂気に陥った場合、その内容とKPの判断にもよりますが、絵の中に引きずり込まれ、出てきた存在と立場が逆転することになります。
 そうでない場合は、出てきた存在との戦闘が開始されます(逃走も可能ですが、その存在は出口を背にして探索者と廊下で対峙しているとして、逃げるのにも工夫が必要です)。

絵の中にあったもの
STR:14 CON:15 SIZ:6(部分的である為、実質SIZは12)
INT:N/A POW:13 DEX:N/A
ダメージボーナス:+1D4
移動:N/A(絵に手が届く範囲内は一瞬で移動する)
耐久力:14
武器:
 触手/触腕 40% 1D4+DB+掴み

 探索者がSTRの対抗判定に成功し、この存在の手を振り切ってある程度距離を取った場合、『絵の中にあったもの』は絵に触れられる程度の範囲から離れることが出来ないことに気が付きます。
 これを利用して、飛び道具をもって一方的に張り倒すことも可能です。
 また、『絵の中にあったもの』を無視して絵を破壊しようとした場合、自動的に攻撃の分のダメージを与えることができます(絵の耐久力は、『絵の中にあったもの』と共用です)。

幕間

 この後、生き残った探索者が大家に絵を処分したことを伝えると、大家はそんな絵があったことは記憶にない、おそらく前の住人のものではないか、と言われます。
 絵を処分して以降、家の中での怪異は止み、平穏を取り戻すことになります。

 絵を外して処分した場合、1D6点の正気度を得ます。
 絵の中の存在を倒した場合、1D6+1D4点の正気度を得ます。