天球賛歌事件 スレッドA 天文台

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スレッドA 天文台(女学生PC)

 このスレッドは最初に自動的に女学生PC達に行われます(出来る限り、全員がいる場面、即ち女学生PCの自宅での情報交換の場面等で行われるの望ましいでしょう)。
 まず最初、教授は非常に浮かれ気味です。冥王星とおぼしき新天体を発見し、これらを自慢したくてたまらない、という感じです。
 次に教授が家に帰ると、今度は沈んでいます。発見したものは冥王星ではなかったのです。しかし、それでも新たな天体を発見したことには間違いはなく、娘(女学生PC)に対して天文台へ来ないかと誘います。
 天文台へ行くと、今度は幾分苛立った教授が待っています。天文台では『天球音楽』が流れており、これが天文台の全員を苛立たせているのです。
 次に、教授の家を山本と名乗る天文台職員が尋ねてきます。二人は新たに発見した天体について何か言い争いをした後、山本は帰っていきます。
 そして山本が自殺をします。原因はおそらく発見した天体についてのことですが、事件性もなくそのまま自殺として処理されます。教授はさらに忙しくなります。
 忙しいなか、たまに教授が帰ってきます。この時、教授は女学生PCの相手は全くしてくれないほど憔悴しきっており、書斎に篭ってしまいますが、その前に廊下に様々な資料を撒き散らしていきます。
 最後に教授は事故に遭います。とは言っても、制限速度を守っていた自動車と接触した程度で、命に別状はありません。ただ、精神的な衰弱が激しい為、この機会に入院させ、療養することになります。
 このスレッドは非常にボリュームがあります。気を付けて進めるようにしてください。

  1. 浮かれる教授
  2. 落ち込む教授
  3. 天文台にて
  4. 争う二人
  5. 山本の死
  6. 教授、帰る
  7. 教授、事故に遭う

浮かれる教授
 なにも女学生=家が金持ち、華族と限ったわけではありませんが、多くがそうであるように女学生PCもまた、華族ではありませんが、金持ちの娘です。
 とはいえ、現在の頭首である淳一は、事業の方は弟に任せて自らは天文学者として、教授の地位を得ています。
 山県邸宅とは比べるべくもありませんが、それでも離れまで持った大きな家には、常に学生、書生、来客があり、賑わっています。
 例え教授は不在でも、学生書生連が集まって何らかの議論を交わしている、教授の書斎から文献を持ち出している、ぼけぼけとしている、と言ったことも珍しくはありません。そして、教授もそれを認めており、教授宅は一種のサロン化しています。
 また、女学生PCの自宅は麹町区飯田町、宮城に程近い、東京市の中心部に存在し、かなり便利です。現在の千代田区飯田橋辺りです。
 久しぶりに、女学生PCが普通に起きている、そしてその他のPCもいる可能性のある状態で教授が現れます。
 何か非常に浮かれており、嬉しそうです。
 天文学者などという変わった職業は脇に置くとしても、やたらと最近浮かれています。
 帝都天文台の職員に任命されたときもこれほど浮かれていなかったのに、その浮かれようと来たら、酔っ払いが鼻歌でも歌いだしそうな雰囲気にそっくりです。
 どうしたのか、聞いても特に何も答えてくれません。嬉しそうに、「いや、今は言えない」とだけ返します。
《説得》か《言いくるめ》、あるいは《心理学》の+20%(交渉、はったり、心理学のDC:5)のロールに成功すれば、自慢げに語ってくれます。
「冥王星の軌道計算には間違いがあった。
 そして、我々は今、冥王星を追い求める誰よりも早く、その星を発見することができる。
 間違いない、冥王星を発見するという栄誉は我々のものだ!」
 力説すると、教授はまた天文台に出勤していきます。

 海王星の発見は1846年、天王星は1781年、冥王星は1930(昭和5)年です。
 但し、冥王星は1914(大正3)年にパーシバル・ローウェルによってその存在が予言されています。
 計算された軌道は惑星の質量の差異から、実際のもとは違っていたのですが、たまたま予言通りに発見されました。

落ち込む教授
 女学生PCがまた家に居る時分に、教授が帰ってきます。
 今までの浮かれぶりはどこへやら、何かひどく落ち込んでいると同時に、複雑な表情をしています。
 声をかけても「何でもない」と返すだけですが、何でもないことは無いはずの表情です。ここで、《心理学》(心理学DC:10)のロールに成功すれば、ひどく何かに苛立ち、落胆していると同時に、新たな発見があることが分かります。また、《精神分析》(精神分析DC:10)のロールに成功すれば何故か神経を擦り減らしていることも分かります(具体的に言えば、SANが少々減少している、というところです)。
 ここで、《説得》か《言いくるめ》、あるいは《心理学》の+40%(交渉、はったり、心理学のDC:5)のロール(教授は話したくて仕方ないのです!)に成功すれば、今度は落ち着いた口調で語ってくれます。
「我々の計算によって新たな天体は発見された。
 しかし、それは冥王星ではなく、彗星だったのだ。我々の計算も何かがおかしい。
 だが、我々は冥王星の発見程ではないが、新たな彗星を発見するという栄誉が手に入るのだ!
 今は、その彗星についての調査中だ」
 そしてまた天文台に出勤して行こうとしますが、ふと足を止めて、
「そうだ、(女学生PCの名)、天文台に来てみないか?
 最近はご無沙汰だったからな。ちょっとごたごたしているかもしれないが・・・・・・」
 おそらく、否や、ということは無いかと思いますが、一応の拒否権は存在します(笑)
 承諾する旨を伝えれば、「そのうちに車を回すようにする」と言って、教授は出勤していきます。

天文台にて
 そのうちが来て、適当な都合がつく時に、天文台行きの車が回ってきます(何も女学生PC一人で行く必要はありません。必要に応じて車の台数が増えます)。
 がたごとと、ゆっくりと安全運転で持って(制限速度は守っていませんが)東京市外にある麻布天文台へと赴くことになります。
 天文台は「例の件」のこともありますが、通常業務に加え、大正3年から続く三鷹への移転作業もあり、おおわらわの状態です。
 女学生PC達が到着すると、顔なじみの天文台職員が中へ案内してくれます。
「今は三鷹への移転作業もあってかなり忙しい状態なんですよ。
 今、教授を呼んで来ますが、少々時間が掛かるかもしれません」
 と言い残すと職員は、奥へ消えていきます。
 教授が出てくるのを待っていると、どこからか職員同士が言い争っている声が聞こえてきます。
 《聞き耳》(聞き耳DC:10)のロールに成功すると、どうやら、勝手に天文台へ知り合いを入れたことが問題になっているようです。
 具体的に誰を入れた、ということは分かりませんが、山本という職員が無断で知り合いを天文台の中へ入れた、ということです。
 その関係で、という訳ではありませんが、女学生PC達を見る職員達の目は厳しいものがあります。しかし、実際にはそれと関係無いところで彼らが苛立っている原因があります。
 教授が難しい顔つきで引越しの指示をしながら、奥から出てきます。
 ついこの間までの浮かれた表情ではなく、どこと無くノイローゼの様な、他の職員達と同じような苛立った表情をしています。
 挨拶もそこそこ、教授はそのまま望遠鏡の側へ案内しようしますが、突然、どこからか奇妙な楽の音が聞こえてきます。
 重い扉の向こう側から聞こえている為、はっきりとした音ではないのですが、それはまるで黒澄綾のあの音色を思わせる、あの奇妙な楽の音に似ていますが、さらにはっきりとしない、奇怪な音楽となっています。
 毎度のことですが、この楽の音を聞いた場合、初めての場合は0/1D6、そうでない場合は0/1のSANを失う可能性があります。
 その楽の音を聞くと、教授は忌々しげに舌打ちをし、
「くそう、またか。
 あの忌々しい機械め。エーテル理論なぞ前世紀の遺物のはずなのに・・・・・・」
 と、腹立たしげにその音のするほうへと消えていきます。
 しばらくすると、(『天球音楽』は止みませんが)教授が戻ってきます。
「天球の音楽は止めることができない、だと。ふざけている。
 あの妙な音のせいで皆が苛立っているというのにな・・・・・・」
 独り言の様に呟くと、教授は今度こそ望遠鏡の側へ案内してくれます。
 ここで、音について質問した場合、教授はからの解答は下記の通りです、
「エーテル理論に基づく成果だということだが、かなり胡散臭い代物だ。
 なんでも、『例の彗星』から伝播していると思われる波動を、我々の耳に聞こえるように変換したものだ、という話だ」
 また、その機械を持ち込んだのは山本と言う職員だ、ということも分かります。
 その日は、それで例の彗星を見せてもらえますが、当然、一般人には何がなんだかわかりません。また、望遠鏡の精度もそれほど良いものでもない為、はっきりとどれがどれだ、ということは教授からの説明を聞いてなんとなく程度しか分かりません。
 ここで、すでに『真田幸の論文』を読んでいる場合のみ、アイデアロールの1/2%(【判断力】DC:20)のロールをすることができます。成功すると、ひどくぼんやりとではありますが、論文に登場する例の挿絵の楕円形との相似を見出すことが出来ます。
 一通り、教授の説明(自慢話?)を受けると、その日は遅くならないうちに帰されます。もちろん、教授は泊り込みです。

争う二人
 天文台の訪問から数日後、女学生PCの自宅=教授の自宅へ、山本と名乗る男が訪れます。
 どうやら例の天文台の職員らしく、教授に面会を求めているようです。
 教授は求めに応じて山本を書斎へ招き入れます。10分程度の短い時間ですが何事かを話し合い、最後の方は争う声が聞こえた後、山本は帰って行きます。ここで《聞き耳》(聞き耳DC:10)のロールに成功した場合は、分厚い壁や扉からはっきりと聞き取ることはできませんが、断片的に「危険な」、「中止すべき」等の単語が聞こえてきます。当然ですが、女学生PCが同席もできません。
 その後、何があったのか?と問うても、教授は特に答えようとしません。ただ一言「お互いに大人げが無かった」とだけ言います。
 書斎の机の上には、例の『彗星の歴史的資料』が乗っています。

山本の死
 教授がたまたま自宅にいるときに、電話が掛かってきます(女学生PCの家には電話があるのです!)。
 電話に出るのは女中等の仕事ですので、誰が、ということは分かりませんが、《聞き耳》(聞き耳DC:10)のロールに成功すれば、教授がひどくショックを受けた声が聞こえてきます。
 電話を置くと教授は急いで書斎に引き返し、出勤の準備を整え始めます。
 質問等は一切受けてくれませんが、出発間際に、
「山本が死んだ。
 自殺らしいが・・・・・・、すまないがしばらく帰れないと思う」
 と出て行きます。

 この件を警察等に問い合わせても不信な点はありません。
 天文台から自宅に戻った山本は一度風呂に入った後、自室の梁に帯を掛けて首を吊った、というものです。
 この件は事件として扱われてはおらず、単なる自殺と見られています。
 もしも現場等へ行く、と言った場合は山本の下宿先は教えてもらえます。
 事件の直後ではまだ警察等がいる可能性が高い為、現場を見ることぐらいしかできませんが、2、3日もすれば警察も来なくなります(自殺の為)。
 なんらかの口実を作って、《言いくるめ》、あるいは《信用》(はったり、交渉DC:15)のロールに成功すれば、山本の部屋を見せてもらうことができます。
 部屋はいかにも書生あがりの、机と布団、それと汚れた着物等と書物以外は何もありません。
 押入れが一つありますが、これの中身も似たようなものです(着物と書物だけです)。
 書物の大半は天文学に関わる学術的なもの、世界各地の天文に関わる神話のものです。
 《目星》か、《図書館》(捜索、調査DC:10)のロールに成功した場合、あるいは特に押入れの中を調べると指定した場合、星の再臨会発行の聖書の偽典が見つかります(内容的には秋山の話す『再臨』についての内容です)。
 押入れの中にはこの他に、例の天球音楽受信装置について山本の所感を記述した覚書が見つかります。内容は下記の通りです。

『英国から送られたる奇妙な機械。
 秋山氏の要望の品。内部については不明。
 例の新天体からの波動を感知し、駆動するなりや?謎。
 電源無し。先日、突然音を発する。凄まじい轟音、奇妙な楽の音にも聞こえ、近所より苦情。
 一台を秋山氏に届ける。
 一台は天文台へ持参する。
 教授、意味が分からず、困惑。他の職員も苛立っている模様。
 日が経つにつれ、益々楽の音は大きく、怪奇。
(後日に追加された文)
 天球の楽の音、さらに大きくなる。快美。他の者は理解なきや。
(さらに後日に追加された文)
 天球音楽。神の歌。訪問近し。』

 これ以上の手がかりや、あるいは事件はありません。
 山本は親族の手で葬式が出された後、荼毘に付されてから郷里へ戻っていきます。

 後日、教授等に天文台に置いてあった『天球音楽受信機』について訊ねた場合は、以下の様な回答を得ることができます。
「どうも、山本が自殺する前にどこかへ運び出したらしいんだ。
 あれ以来、例の奇妙な機械は所在が不明になっているが・・・・・・、職員の皆は相変わらず例の奇怪な音が聞こえる気がする、 と口を揃えているよ」

教授、帰る
 この間までの浮かれ具合はどこへやら、憔悴しきった様子の教授が戻ってきます。
 娘(女学生PC)が声を掛けても、ああ、とか空ろな声で生返事をするだけです。
 ばさばさと荷物を落としながら、教授は奥の書斎へと入っていきます。
 この荷物の中には、『真田の論文』他、各種の『彗星に関する資料』が含まれています。
 そのまま教授は書斎に篭ってしまいます。
 この場面は、また資料を見ていない場合に『真田の論文』、『彗星に関する資料』をPCに示すものです。

教授、事故に遭う
 女学生PCが自宅に居る場合に、書生が駆け込んできます。
「教授が、車に!」
 書生は教授が車に轢かれて病院へ運ばれた、ということを切れ切れに伝えてきます。
 女学生PCの自宅は一時混乱の極みになりますが、その後、家を訪問した巡査が、
「制限速度を守っている車に轢かれた為、大事には至らなかった」という話を伝えます。
 家は落ち着きを取り戻し、見舞いに病院を訪れると、教授は事故よりもむしろ神経衰弱が激しい状態です。
 ここで《精神分析》(精神分析DC:15)のロールに成功すれば、教授のSAN値がかなり減っていることが分かります。
 原因としては、やはり例の『天球音楽受信装置』のせいである、ということは推測できます。
 良い機会なので、体調が戻るまでは入院をさせる、ということになります。