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 帝都モノガタリを作成するにあたって参考、あるいはデータを参照した主な文献です。
 キーパーやプレイヤーが雰囲気を掴んだりするために、あるいは大正時代に興味がある方など、一読されることをお勧めします。

総合・TRPG

 帝都モノガタリのベースとなる総合的な資料か、あるいは関連するTRPGの資料を示します。

帝都物語 1~4/荒俣宏/角川文庫

 現在のいわゆる「帝都もの」と呼ばれる一連の作品の元祖とでも言える一大オカルト小説です。
 明治、大正編とも言える、1~4巻までを参考にしています(筆者は旧い文庫版のため、新しく編集された帝都物語の何巻かは不明です)。

異都発掘[新東京物語]/荒俣宏/集英社文庫

 またまた荒俣先生の本です。
 帝都モノガタリ自体の参考にはなっていませんが、「帝都もの」のためには必読の一冊です。

PRGマガジン No.88/ホビージャパン

 「東京一九二〇」の記事をかなり参考にしていません。
 ひとまず、データ類に必要なものや、どの程度か、そして、この記事を見てやる気をかき立てられました。

TACTICS別冊 CTHULHU WORLD TOUR/ホビージャパン

 特に参考にしている部分はありませんが、サプリメントとして最低限備えるべきデータの種類を参考にしています。
 ……しかし、昔はこんなに有益なサプリメントが出ていたんだなあ……、としみじみと思いました。

クトゥルフ神話TRPG クトゥルフと帝国/エンターブレイン

 ここに入れるかは悩みましたが、まったく参照していない訳では無いので記載します(というよりも、シナリオ、ルール等では最初に参照する)。
 公式の大正期を扱ったサプリメントとなります。


地理・地形

 東京とその周辺の地図のための資料となります。
 単純な地図から古地図、そして鉄道路線図など意外と地図の関連情報と合わせて充実しています。
 古地図なども安く手に入ることも多いので、興味があれば自身の地図を手に入れるのもよいのではないでしょうか。

地図で見る東京の変遷(平成改訂版)/(財)日本地図センター

 本当に地図です。
 東京に土地勘のない筆者は、この地図を眺めながら必死に帝都地図を作っていました。

朝日新聞の記事に見る東京百歳[明治][大正]/朝日新聞社編/朝日文庫

 文字通りの様々な新聞記事の抜粋が載っています。

東京市電名所図絵/林順信/JTB

 文字通りです。
 図版や写真が多いため、イメージソースとしても重宝しています。

総天然色写真版 懐かしき東京/石黒敬章/講談社カルチャーブックス

 こちらも文字通りですね。
 上の本もそうですが、電車がらみで解説されている本が多いようです。

明治大正東京散歩/人文社編集部/人文社

 明治の東京市15区のそれぞれの区の古地図と、現在の地図が並置されます。
 現在の地図、古地図だけ見てもピンとこないものが、これを見るだけ一気に解像度が上がります。
 大正期、大東京の前の帝都全域が掴める資料です。

生活・文化・物価

 大正時代の生活、文化の全般的な資料となります。
 こちらは無味乾燥な資料の羅列は少なく、むしろ主観が強い資料が多いので、可能であれば複数の資料を複数の観点から当たるのが望ましい状態です。

日本生活文化史9 市民的生活の展開/和歌森太郎(編集委員代表)/河出書房新社

 かなり図版が多く、また解説も分かり易いため重宝しました。

値段史年表 明治・大正・昭和/週刊朝日編/朝日新聞社

 題名通りの様々なものの値段が、年表のように掲載されています。

明治・大正・昭和の世相史 上巻《明治・大正編》/山路健/明治書院

 帯の煽り文句に釣られて購入したのですが、まったく「看板に偽り在り」でした。
 話題を幅広く扱っていますが、大方政治経済の話を著者の主観を持って語られ、風俗文化面についてはほとんどおまけです。

読売ぶっくれっとNo.32 大正世相こぼればな史/読売新聞社

 新聞のトピックとそれをちょっとだけ掘り下げたものです。しかし、こういうのが一番良い資料です。

明治・大正・昭和 風俗文化誌/学燈社(学と社が旧字体)

 年表と、主な(?)トピックの解説がされています。
 ここら辺のトピックは大きなものは大方似通ったもとなっていますが、 小さなトピックは著者、編者の趣味かセンスが反映されるのか、かなり資料によって異なります(ありがたいことに)。

大正時代を訪ねてみた/皿木喜久/扶桑社

 こちらも新聞関係(産経新聞)です。
 とは言え、こちらは満遍なく政治経済文化のトピックを取り扱っています。

銀座カフェー興亡史/野口孝一/平凡社

 タイトル通り、銀座の明治期のカフェの勃興から震災後の没落(当時でいうカフェの消滅)までが眺望できる資料です。
 銀座を舞台にするシナリオなどでお役に立ちます。

明治/大正/昭和/平成 物価の文化史事典/森永卓郎監修/展望社

 タイトル通りの資料ですが、時代を扱った資料の大半が年毎に内容を提示していくタイプのものが多いなかで、こちらは各物品毎に解説と値段を提示していくスタイルとなっています。
 紙幅の関係から各項目は簡素にまとまっていますが、興味深い内容となっています。

日本たばこ名鑑/甲斐仁/甲鳥書林

 ひたすらにたばこの銘柄とその値段が羅列されるという資料です。
 輸入たばこや葉巻に加えて、マイナーな銘柄も網羅されているので、いつ頃にどういうタバコがいくらだったか、が非常に分かりやすくなっています。

歴史・人物

 こちらは大体お手元の歴史資料をご参照いただければ……、と思いつつ、ざっくりと初動で確認する程度のものとなっています。

新潮日本人名辞典/新潮社

 文字通りの、日本人の人名辞典です(何故か、結構外国人も載っていましたが)。
 マジで辞典です。

早わかり20世紀年表/朝日新聞社

 これも文字通りで、年表です。

オカルト

 下記二つは、主に参照したオカルト書籍です。
 正直に白状するとオカルト書籍に関してはあまり典拠を記したくないのです。
 また、実際問題として参照した書籍が膨大ですので(筆者が覚えていないものも多数)、いちいち書きません。

図説日本呪術全書/豊島泰国/原書房

ブックエソテリカシリーズ(学研の赤い本)/学研


医療・精神医療

 明治、大正期の医療関係の資料となります。
 江戸期のものを混じっていますが、田舎などは明治末期ぐらいまではあまり変わらないのではないか、と思っています。

精神病院の起源 近代編/小俣和一郎/太田出版

 精神病院に関して豊富な知識を提供してくれます。
 ただ、その本の分厚さに対して題名の資料を提供しているのはわずかに1/3以下です。

精神医学レビュー38 日本の近代精神医療史/昼田源四郎編/ライフ・サイエンス

 こちらは様々なテーマに対して、歴史を研究しているものです。
 紙幅の関係からかダイジェストとなっているものが多いのですが、それでもかなり参考になりました。

疫病と狐憑き/昼田源四郎/みすず書房

 江戸期の資料となりますが、日本の精神医療、衛生観念などに関する資料です。
 記録が残っているものが少ない為か、奥州方面に寄っている気がしますが、江戸期における乱心者の扱いや、共同体での対応、医者、行き倒れの扱いなどなど、なかなかお目に掛かれない内容となっています。

明治医事往来/立川昭二/新潮社

 医療関連の様々なトピックを扱っています。
 明治期なので少し前の話となりますが、文明開化以降の日本における医療とその始まりが分かりやすくまとまっています。

図書館

 大正期の図書館の資料です。こちらは意外と充実していないのですが、『図書館』自体の資料ではなく、各図書館の個別の資料は充実していますので、お目当ての図書館がある場合はそちらにあたることをお勧めします。

図書館文化史/水谷長志/勉誠出版

 文字通りの図書館の文化史です。
 図書館の資料ですが、言うなれば図書館の世界史である為、大正期の資料は微量です。

図書館 その本質・歴史・思潮 増補版/岡田温/丸善株式会社

 こちらも図書館の文化史です。
 やはり図書館の世界史ですが、図書館に関連した事柄まで紹介されています。

法令

 法令関連は各種の政府関連(.go.jp)や、大学の論文関連を基に確認、調査したものが多いですが、手軽だったのは以下となります。

中野文庫

 すっかり忘れていましたが、勅令関連は全てここを参照しています。
 法令、儀典がすべて原文のまま全文おかれていますので、とても重宝します。
 残念ながらGeoCitiesの閉鎖とともに参照不可となっています。

女学生・女学校関連

 明治、大正、昭和初期の戦前におけるいわゆる女学生文化について、以下の資料を参照しています。
 その他、現代で当時を語る系のものを参照はしていますが、「現代人が当時を憧れて理想を語る」ものであるため、参考以上にはしていません。

女学生手帖 大正・昭和 乙女らいふ/弥生美術館・内田静枝編/河出書房新社

 非常に面白い、興味深い、タイトル通りのいわゆる、『女学生文化』のヴィジュアル資料です。
 文書ではなく、当時の資料をカラーの図版、写真を多用し、また文章もそのまま引用されたりと、資料としては非常に貴重なものとなっています。
『女学生文化』の研究書ではない為、内容が浅い、と思われるかもしれませんが、ヴィジュアル面での優れた資料と言えることは間違いありません。

女学校と女学生 教養・たしなみ・モダン文化/稲垣恭子/中公新書

 上の女学生手帖とはことなり、こちらは真面目な研究書です。
 当時の『女学生文化』をそれのみを研究するのではなく、多方面からどのように見えたのか、ということを扱っており、興味深い内容となっています。

お嬢さまことば速習講座/加藤ゑみ子/ディスカバー21

 なんというか、普通の人が読むと間違いなく笑い転げます。笑わない人はおそらく本物のお嬢様のみかと。
 タイトル通りの、『お嬢様ことば』の実践的な(!)学習(?)本です。
 非常に分かり易く、『お嬢さま』という人種、種族について、その生態を解説している本でもあるので、NPC等でよくある『高飛車』『ツンデレ』のお嬢さま以外のキャラクター作りにも役立つかと思われます。

明治大正昭和 不良少女伝/平山亜佐子/河出書房新社

 タイトルどおり、明治期から昭和の戦前までの不良少女、そしてサブタイトルにもある「莫連女、少女ギャング団」に焦点を当てたものとなっています。
 当時の新聞記事の引用が多く、記載自体には信用が置けるのですが、研究自体は浅く広くという印象を受けます。
 ただ、いつの時代にも無軌道な若者、時代を象徴する若者が居るというだけでなく、それを作り出す背景的なものには非常に興味深いものがあります。
 合わせて、谷崎潤一郎「鮫人」や、川端康成「浅草紅団」を読むと、かなり楽しめます。

断髪のモダンガール/森まゆみ/文春文庫

 タイトルどおり、大正期の主に文壇で活躍した女性を取り扱った本です。
 著者の主観が大きく入っている為、研究書としては不向きではありますが、その分、様々な見方や関連付けがされており、なかなか面白い内容となっています。
 特に巻末の人物相関図は興味を引くのではないでしょうか。

遊廓関連

 遊廓の関連資料はだいたい以下を参照しました。
 困ったことに多くの資料が江戸期の資料であるため、大正まであったのか、という検証には手間取りました(一部項目は投げました)。
 また、体験談関連は大正期ではなく昭和初期から戦後ぐらいが多かったため、こちらはまた別の何かに再利用予定です。

図説吉原事典/永井義男/朝日文庫

遊女と遊廓の色世界/博学こだわり倶楽部編/KAWADE夢文庫

遊廓・花柳界・ダンスホール・カフェーの近代史/小針侑紀/河出書房新社

時空旅人 20223月 Vol.66/株式会社三栄

吉原はこんな所でございました/福田利子/ちくま文庫

聞書き遊廓成駒屋/神崎宜武/ちくま文庫


参考作品

 大正時代の雰囲気を掴んだり、大正時代の作品の雰囲気を掴んだりするのにお勧めの作品群です。
 あるいは、フィクションにおける大正の扱い、大正のリアル度、フィクションレベルの認識合わせなどにもよいかと思われます。

はいからさんが通る/大和和紀/講談社

 説明の必要がないぐらい有名な少女漫画です。
 ええ、読みましたとも。思っていたよりも普通の少女漫画で別の意味で驚きました。
 しかし、雰囲気を掴むには非常に参考になり、お手軽ですので少女漫画と侮らず一読されるのが良いでしょう。

北神伝綺/森美夏・大塚英志/角川書店

 ……昭和の話だった……。
 と、まあそれは置いておいて(まあ、カバー範囲でしょう)。柳田國男の山人論に基づく、伝奇漫画です。
 有名な話ですが、柳田國男は民俗学には意図的に無視された部分があると言われています。その辺りの間隙狙った、ある意味伝奇ものの王道です。
 独特のストーリーと画がかなり人を選ぶと思いますが、大嘘なところは非常にシナリオ作りの参考になると思われます。

大正野球娘シリーズ/神楽坂淳/徳間書店

 4作を数えており、漫画、アニメにまで展開しているラノベです(その後は止まっているようです)。
 漫画、アニメの方はノータッチですが、原作小説については、はいからさんが通ると同じレベルで雰囲気を掴むのに参考となります。
 3作目のたこ焼きの話はともかくとして、当時の食文化についてはいろいろと参考になることもあり、ラノベと侮らず、一読されるのがよいでしょう。

百貨店ワルツ/マツオヒロミ/実業之日本社

 架空のデパート、三紅百貨店を舞台に、その日常を語る……ような物語です。
 レトロな時代を現代に近いスタイリッシュなアレンジをした架空の時代で、マツオヒロミ先生の美麗なキャラクターと衣装に目が行ってしまいがちですが、小物や背景なども当時の文化を反映しており(こちらももちろん現代風にアレンジされてはいますが)、見るべきところしかない、と言う状態です。

感応グラン=ギニョル/空木春宵/東京創元社

 ここで紹介するか悩んだのですが、表題の感応グラン=ギニョル以外は大正時代ではありません。
 ありませんが、是非とも全編通読をお願いします。全作品の頽廃的な雰囲気と、独特な世界観、そして百合を味わってください。
 同じく空木春宵先生の『夜の夢こそまこと 人間椅子小説集』(角川書店)に収録の『超自然現象』もお勧めです。

昭和少女探偵團/彩藤アザミ/新潮文庫

 正直、マツオヒロミ先生の表紙に惹かれて購入したのですが、全然面白いです。
 女学校を舞台にした日常系の謎から始まり、大掛かりな冒険まで繰り広げられます。
 女学生同士の何かも面白いですが、事件の観点がそれに沿っていることもあり、「あ、これ、女学校を舞台に女学生同士か、女学生と先生のバディもので『フタリソウサ』辺りのシナリオを作ったら面白いのではないか」と、読みながら邪悪な考えになってしまいました。
 続編として『謎が解けたら、ごきげんよう』も刊行されています。