記憶HO@ 美紗崎美由 | 記憶HOA 江津森 |
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今、目の前に居る、美紗崎美由と名乗る女性はおそらく幼馴染だ。 江津森に居た頃に一緒によく遊んだはずだ。 美紗崎の名が示す通り、村の最有力者である美紗崎家の人間で、実質的な跡取りだった。 だが、何かが引っかかる。 |
朦朧とした意識の中で見える光景にはどこか見覚えがある。 幼いころに見慣れた光景。『人目を忍ぶような』場所だという印象を受ける。 そうだ、ここは江津森だ。 村の真ん中を、美紗崎家の屋敷にあるという『大鏡』の祭祀場から、『御山』に向かって通りが貫いており、今、その通りの上に立っている。 そして、満月が、道を照らしている。明るすぎる月の下を、何かが歩んでくるのだ。 |
記憶HOB 大鏡 | 記憶HOC 美紗崎詩由、双子の姉 |
大鏡様。江津森で崇拝される神様、あるいは神の使いのようなもの。 正式な名前は美紗崎家の人間しか知らない。 美紗崎の祭祀で使われる大きな鏡のようなものも同じように大鏡と呼ばれていたはず。 何故か、その大鏡をどこかで見た覚えがあるが、それは美紗崎の祭祀の中のことであったかもしれない。 |
美紗崎詩由は美由の双子の姉だ。 詩由は生まれつき体が弱く、彼女の家に行って一緒によく遊んだはずだ。 ただ、それだけではなく、確か美紗崎家、ひいては江津森の祭祀を司る巫女だ。 確か、『大鏡様』とか大人には呼ばれていた。 |
記憶HOD 祝福されしもの | 記憶HOE 美紗崎の祭祀 |
彼の肉体の変容はどこかで見たことがある。 そうだ、江津森に居た『祝福されしもの』達だ。 美紗崎の祭祀によって、彼らは大鏡様の祝福を受け、異様な体の変容を起こすのだ。 だが、それは神と共にあることであり、生まれ変わって永遠の生を受けることでもある。 |
思い出した。 あの白い肉の柱のような奴が、村の大通りを御山の方から歩み出てきたのだ。 そして、そいつは大人たちが生贄と呼んだ人をその頭と思しき部分に取り込むと、再び御山へと帰っていったのだ。 そいつを見たせいで、記憶を失い、村を離れたのだ。 だが、何よりも怖かったのは、その祭祀を差配していたのは美紗崎美由、あるいは詩由だった。 |
狂気 母の胎内 | 狂気 回帰願望 |
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貴方は何故か、この奥へ進みたくてたまらない。 それは単に好奇心が刺激されているだけではなく、この奥に貴方が会わなければならない人が居る気がするのだ。 |
貴方は何故か、この中へ入ってみたくてたまらない。 それは母親の胎内へ帰ることだと分かっているのだ。 ここで得られる生まれ変わり、不死の生命以上の歓喜が待っているはずだ。 |