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灯火の行く橋 the Light crosses the Bridge

トップページ->帝都モノガタリ->灯火の行く橋

the Light crosses the Bridge

「灯火の行く橋」


「彼女は、本当は雨が嫌いなんだ」
────────── 小泉宗一(シナリオ中)


注意、あるいはお約束:
プレイしてみたい人、プレイするかも知れない人は読まないでください。読んで良いのはキーパーか、またはプレイする予定のない人だけです。うっかり目次を見てしまった人は、「記憶を曇らせる」の呪文でも使って忘れてください。万が一そのままプレイに参加したりすると、貴方の悪徳に誘われて隣のプレイヤーにイゴーロナクが憑依するかも知れませんよ。

そして当然ですが、このシナリオはフィクションです。
現実のいかなる人物、団体、そのほかもろもろのものと一切の関係はありません。

 本シナリオは下記のような構造となっています。
 まずはすぐ下の目次に目を通し、それからはじめにシナリオの概要と読み進み、シナリオの本体へ進むのが良いでしょう(今回は一つのファイルに納めてみます)。


目次

■はじめに
 □シナリオのスペック
 □始める前に
  シナリオの傾向
  PC作成時の注意、立場
  PC同士の関連付け
■シナリオの概要、真相(キーパー向け)
■登場人物(NPC紹介)
■シナリオ
 □導入部
  橋を行く灯火
  小泉宅周辺地図
  小泉宗一
 □探索部:
  巣鴨近郊
  枯野
  帝大にて
  宗一へ聞き込み
 □終幕部
  灯火の正体
 □事件の後
■データセクション
 雑誌
 ハレー彗星
 『宇宙からの色(亜種)』
■謝辞、あるいは参考資料:


はじめに

シナリオのスペック

 本シナリオは、『クトゥルフ神話TRPG』向けであり、大正時代を取り扱った『クトゥルフと帝国』あるいは、本『帝都モノガタリ』を対象としたシナリオです。
 プレイヤーの人数は2〜4人を想定しており、作りたてから、1〜3度程度の探索を経験した探索者向けにデザインされています。  プレイ時間はキャラクターの作成を含まず、2〜3時間程度を想定しています。
 また、シナリオ自体はプレイヤーには初心者、なれていない方、あるいは神話の知識が少ない方を想定して作れていますが、キーパーとしては初心者には取り回しが不親切な部分がありますので、その点はご了承ください。

始める前に

 実際のセッションを始める前に、これらのことに注意するか、プレイヤー達に直接告げてください。

シナリオの傾向

 本シナリオは、探索が中心となるシナリオとなります。
 最後に戦闘はありますが、ひどく恐ろしい状況も無い、かなり地味で地道なシナリオです。
 「謎は解かれなければならない」必要はありませんが、「手がかりは提示する」必要はあります。
 情報は全て出し尽くす、というのが理想的ですが、探索者の選択、行動によって得られない情報も発生することでしょう。ある程度、キーパーの方から誘導、あるいは具体的にこうすれば?と提示することも必要になってきます。
 キーパーは適宜(特に探索者の行動が止まってしまった場合等)、探索者を誘導するようにしてください。

PC作成時の注意、立場

 探索者の作成時には、下記のように作成するようにしてください(FEAR的なあれですが、クトゥルフの弱点である導入部の弱さを補うには非常に有効な手段だと思われます)。

PC@ 推奨職業:雑誌編集者、記者等:
 いわゆるシナリオの主人公(?)的な位置づけとなります。
 導入として、PC@は小泉宗一の知り合いでかつ、『怪想社』という出版会社の社員であり、宗一の元へ原稿の取立てや、その依頼等で定期的に訪れる必要がある、という位置づけです。
 ちなみに『怪想社』はその名前の通り、ミステリ(当時は探偵小説)や怪談、奇談を扱った雑誌を出版している会社で、マイナー指向の一部のマニアに大うけ的なところを狙っている出版社です。

PCA 推奨職業:私立探偵、退役軍人、大陸浪人等肉体派:
 小泉宗一の個人的な友人という位置づけになります。
 シナリオの開始時に、宗一から葉書を受け取ります。内容としては暑中見舞いとかそういうものに近く、特別な内容ではありません。
 たまには遊びに来ないか的な内容であり、また引っ越した先の住所も書いてあります。
(実はこれより前には引っ越した先の住所が知らされていなかった!ということになりますが、宗一はそういう人だ、ということを伝えてください)

PCB以降:
 いわゆるその他のPCとなります。
 PC@、Aとの絡みや、職業的なこと、私的な理由から、巣鴨、あるいは小泉へ行く理由を作る必要があります。
 例えば、PC@の同僚や友人で、小泉のファンの様なもの、PCAの友人で同じく小泉とも友人、あるいは、小泉の健康状態がよくない、ということでPC@に呼ばれた医療関係者等、といったもので問題ありません。

PC同士の関連付け

 基本的に自由です。シナリオに参加する理由付けを作るようにしてください。
 プレイヤーから提案を積極的に受け入れて、シナリオに参加する理由付けを作成するようにしてください。


シナリオの概要、真相(キーパー向け)

 幻想作家小泉宗一を訪ねて、探索者達は巣鴨の彼の家を訪れます。その時、雨が降り出し、彼の家の前にある橋を灯火が渡るのを目撃します。
 当の小泉宗一は、健康状態もよろしくなく、またいつにもまして人の話を聞かない、茫洋とした様子をしており、明らかにおかしな状態を呈しています。
 彼が言うには、『灯火を持った女性』が訪ねてくるのだ、ということで、不審に感じた探索者は、事の真相を究明すべく動き出します。
 巣鴨周辺、橋を渡った先にある奇形の森と化した『枯野』を探索することで、異常を察知した探索者達が再び小泉宗一を訪れると、そこには『宇宙からの色(亜種)』が最後の食事に小泉宗一に取り付いているところでした。
 果たして探索者達は『宇宙からの色(亜種)』を退け、彼を助けることができるのでしょうか?

 小泉宗一は巣鴨に引っ越した後、今では『枯野』と呼ばれている森の中に落下した隕石から生まれた(?)『宇宙からの色(亜種)』によって家に縛り付けられています。
 『宇宙からの色(亜種)』は水に入るとエネルギーが分散してしまう為、橋を渡って宗一の元へ通っているのです。
 本来の『宇宙からの色』は水になんの影響も受けず、水が「適切な棲家」となっています!この為、本シナリオでは、『(亜種)』としています。
 今回の『宇宙からの色(亜種)』は、水に弱く、またPOWを吸収する力も弱いのですが、家に縛り付ける能力の他、幻覚を見せる力を持っています。
 同様に、吸い取られたMPは元に戻りませんが、亜種の場合は回復するので、一気に吸い取って殺さない限りは、衰弱した状態が続く、ということになります。
『宇宙からの色(亜種)』が食事の為に小泉宗一を一気に殺さず、活かさず殺さずの状態でいるのは、宇宙に帰るまではエネルギー補給の必要性がある為です。
 また、あわよくば若旦那を囮にして、新たな犠牲者が招けないか考えているふしもありますが、小泉宗一は普段から訪ねる人も無い状態です。

 シナリオ中に登場するのは『宇宙からの色』の亜種であり、本来の性質とは大きく異なり、水が弱点となっています(『宇宙からの色』は水に潜み棲み、汚染させることが恐怖の一端となっています)。
 この点にキーパー自身が注意するとともに、慣れたプレイヤーが早い段階で『宇宙からの色』であることに気付いた場合の対策を怠らないようにしてください。


登場人物(NPC紹介)

小泉宗一

 幻想、怪奇作家。
 線の細い、夢見がちな印象を与える容貌で、30代にも関わらず、未だに20代前半のような非常に若い印象を与えます。
 どこか茫洋としており、軽く笑んだ無表情とも言える反応が薄いコミュニケーション不全です。
 泉鏡花風な幻想小説や、怪談のような小説を書き、同人の間では有名な存在ですが、あまり作品を出さないうえに、病気がちなことも手伝って、転地療養の意味や、煩わしい世間の雑事から逃れる為に巣鴨に引っ越しています。
 親の莫大、とまでは行かないものの、一生遊んでいても大丈夫な程度の遺産が入っている為、ほとんど仕事らしい仕事もしていない状態で、今で言えばニート的な存在です。

寺田寅彦

 今回のゲスト有名NPCです。
 詳細はこちらで。
 今回の時期では帝都大学の理学博士となっており、なかなか忙しい時期ではありますが、たまたま暇であったということで、PC達の対応に出てきます。


シナリオ

導入部

 シナリオの導入部に当たる、小泉宗一を訪問する場面です。
 事件の発端として、宗一がどういう状態にあるのか、ということを探索者に印象付けるとともに、探索者同士の関係や、事件に対する興味を持たせる場面でもあります。

橋を行く灯火

 小泉を訪ねようと、巣鴨駅を降り立つと、あいにくと天気が悪くなってきていることに気が付きます。
 当時、巣鴨は田舎、東京の端っこであり、今では考えられないような風光明媚な土地であり、一時、巣鴨病院の名で知られる大規模な精神病院があったり、東京市内とは思えないような土地でした。
 まだ舗装もされていない道を教えられた住所であろう方面へ歩いていくと、川沿いの道を歩くことになります。30分も歩いていると、ついに雨が降り出します。
 ただ、土砂降り、とか言う雨ではなく、霧雨と呼ぶべき、まるで辺りがけぶるような状態になってしまいます。

 ここでPC全員に《アイデア》ロールを行わせて下さい(キーパーの判断により、全員が無条件で気付いても問題ありません)。
 成功した場合、雨でよく分からなくなっていますが、川に橋が架かっており、その上を灯火が渡っていくことに気が付きます(小泉宅から『枯野』の方へ)。
 この灯火は雨が降っているというのに、ほのかな青に近い燐光を放っています。同様に、橋までの距離とこの天候を考えれば、その灯火が普通の灯火ではないことが分かります。
 この灯火を見た場合は0/1の正気度を失う可能性があります。

 雨の中、この光景を目撃した後、橋のごく近い位置、道沿いにおそらく小泉宅らしい建築物を発見します。

小泉宅周辺地図

 探索の中心となる(地図が必要な)、小泉宅の周辺図を下記に示します。

sugamo.jpg(85300 byte)

小泉宗一

 家の方へ近づけば、橋の上に若い男が立ち尽くしているのに気が付きます。この男は小泉宗一です(PC@、A等、小泉の知り合いの場合は即座に気が付きます)。
 遠くから声を掛けても特に反応がありません。近くに寄って声を掛けたり、体に触れたりしてやっと反応があります。
 PCから雨の中で何をやっているのか、という問いかけに対しては「彼女の見送りに・・・」と答える以外は特に何もありません。
 その後、やっとPC達に、「なぜこんなところに?」という質問が来ますが、基本的に宗一は現状把握がほとんどできない精神状態に陥っています。
 PCが誘導するか、しばらくして宗一が雨の中にいることに気が付くと、このままではなんだから、と家へ入るように促されます。
 家は洋風の平屋で、中は1LDKで、LDKは客間を兼用しており、1Rは宗一の書斎兼寝室となっています。
 PC達は客間に通され、しばらくは手ぬぐいや、火鉢等で濡れた体を乾かすことになります。
 PC達が体を乾かしていると、同様に宗一も体を拭ってから火鉢に当たりに客間へ姿を現します。
 その姿はずいぶんとい老け込んで見えます。肌が荒れて皹が目立ち、また目も落ち窪んでいます。また、顔色が青いとかそういうレベルではなく、何故か皮膚が青色に見える気がします。

 火鉢に当たりながら、仕事の話や、他愛無い世間話をすることになります。
 なお、宗一は依頼のあった『怪想社』の原稿についてはまだ書きかけであると言い、そのうちになんとか、みたいな感じで話します。
 また、健康状態については、それほど悪くない、ような話をします。
 橋で見た灯火の話をした場合は、しばらく黙ってしまいます。ここで、《説得》や、《言いくるめ》、あるいは《信用》等のロールに成功した場合は、ぼそりと「訪ねて来るんだ、『彼女』が」とだけ答えます。
 この『彼女』について訪ねても、宗一は言葉を濁すだけです。ただ、その様子から明らかに宗一はその『彼女』に恋をしていることをが分かります。
 この会話中、《心理学》のロールに成功した場合は、宗一の会話が時々噛み合わず、また、現状認識がおかしいことに気が付きます。
 それぞれのPCの用件や、あるいは単純な宗一との話しが済めば、小泉宅を辞することになります(例の灯火や、宗一の様子から泊まるとか何とか話が出るかもしれませんが、現段階ではそこまでする強い理由が見つかりません。また、小泉宅は前述の通り、狭い為、客を泊めるスペースも基本的に存在していません)。

(キーパーへ)
 宗一は『宇宙からの色(亜種)』が、灯火を持った女性に見えており、これに恋をしている状態です(宗一に見えている女性は、彼の幻想が作り出した彼にとっての理想の女性です)。
 また、『宇宙からの色(亜種)』から心理攻撃を受けており、同時に正気度の低下による狂気、元々の幻想癖、さらにはこの人が居ない環境等が合間っての結果として、現状のような状態に陥っています。
 ここで《精神分析》のロールを行って正気づかせることも出来ますが、『宇宙からの色(亜種)』の心理攻撃によってこの家を離れる意思が持てないようになっている為、正気づかせてもまた同じ状態に戻っていきます。

探索部:

 シナリオのメインとなる探索部です。
 主に小泉宅周辺の『枯野』の探索と、巣鴨での聞き込みとなりますが、聞き込みの結果、帝大にまで行く必要がある場合があります。
 キーパーは大体、小泉宗一を3回程度の訪問時か、情報が出尽くした後に、終幕部へ進み、『宇宙からの色(亜種)』に直接遭遇させるようにしてください。

巣鴨近郊

 巣鴨駅、あるいは小泉宅からさらに奥へ行けば、昔の宿場町風の小さな村に出ます。
 その日の帰りが遅くなったとか、単純に疲れたとかで辺りに泊まるとなれば、特に苦労することなく宿も発見できます。
 宿等で、聞き込みを行う場合、PCの手段に合わせて各種のコミュニケーション系の技能を持って判定をさせてください。ただ、特に難しいことでもないし、隠し立てするようなことでもない為、+20〜30%程度の上方修正しても問題ないでしょう。

 例の橋について:
 橋にまつわる怪談が聞けます。
 ただ、それは円山応挙のような、灯火を提げた足の無い美人の幽霊が、橋を渡って消える、という話です。
 これに出会っても特になにもなく、ただ橋を渡って消える、と言います。また、幽霊は雨の日に見やすい、とも言います。
 この怪談は、明治のハレー彗星の後ぐらいからされるようになっとと言われています。

 例の橋について2:
 明治の頃のハレー彗星騒ぎの時に、枯野に小さな隕石が落下した、とかいう話があります。
 その後、この噂を聞きつけた、帝大の偉い人が調査に来ています。
 偉い人は、確か、帝大の寺田寅彦とか言っていたそうです。
(寺田寅彦はこの時期はまだ理学博士です。教授となるのは大正5年のことです)。
(キーパーへ:ハレー彗星、というのは単なるこじ付けで、近い時期に隕石が落下した、というのが真相ですが、ここでは単なる噂話として、何かが落下した、偉い人が調査に来た、ということを強調してください)。

 枯野について:
 周辺にはまったく人が住んでいない為、特に何も知りません。
 同様に、橋を渡ったところにある神社についても、明治の廃仏毀釈の時に打ち壊されて以来、再建する氏子もいない為、放って置いてあるのではないか、という程度の話だけです。
 また、橋と同じく、怪談として、『枯野』が青く輝いてざわざわと動いていた、という話がありますが、酔っ払いの見間違いとか、大げさな怪談になったのではないか、と言った話を聞けます。

 小泉宗一について:
 近くに住んでいる有名(?)な作家さん、ぐらいということぐらいで、特に何も出てきません。
 強いて上げるなら、何故あんなところに住んでいるのか、不思議という話ぐらいです。
(キーパーへ:本当に特別な理由がありません。ただ、巣鴨の風光明媚な場所で、人気が無い静かなところ、かつ都心に出るのもあまり不便でもない、という理由で選んでいるだけです)

枯野

 枯野と呼ばれていますが、実際は大きな(不自然に成長して、不健全で在り、どこか歪んだ奇怪な)植物が生い茂る地域となっています(そこに棲む昆虫類も巨大化しています)。
 隕石の落下地点から半径120m程度の範囲が異常地帯です。
 ちなみに、付近に住民が無い為、この異常に気が付いている人間は居ません!(唯一、近くに住み着いたのが小泉宗一なのです!)
 まず枯野に入って、これらの不自然な、不健全で歪んだ、奇形の様な植物や昆虫を目撃した場合は、0/1D2の正気度を失う可能性があります。
 これらの植物や昆虫は、夜になると『宇宙からの色(亜種)』と同じ色に輝きます。これを目撃した場合は、さらに1/1D4の正気度を失う可能性があります(すでに奇怪な植物を目撃して正気度を失っている場合は、合わせて4点までしか失うことはありません)。

 『枯野』の異常化は、明治の終わりの隕石が落ちたあたりから起こっていますが、このことについて、正確に分かる周辺住民は存在していません。当時、調査に来た寺田にその時の話を聞く必要があります。

 『枯野』の植物、昆虫類の巨大化は、橋から向こう側(正確には川から向こう)には起こっていません。

 神社、井戸跡:
 『枯野』にある神社は明治の初めの廃仏毀釈、神仏分離令によって打ち壊されて、一応再建されているものの、詣でる人も無く、掃除や修理する人もいない状態の為、荒れ放題です。
 また、祀ってある神も何か有名なものでもなく、このあたりの氏神が祭ってあるのみで、氏神神社です。ただ、枯野の真ん中には、この神社を洗う為の神事の井戸がありました。
 井戸は昔は水が出ていましたが、今は枯れてしまっています(『宇宙からの色(亜種)』が住み着いていますが、深い位置にいるか、出歩いている為、基本的に探索者とは最後まで遭遇しません)。

 落下地点:
 隕石の落下地点はすでに結構埋まってしまっていますが、何とか小さなクレーター状の判別が出来ます。
 調べてみても特に何も発見できません。

 小さな池、川などの水辺:
 『枯野』の内部には小さな池がありますが、この周りは正常と異常が入り混じっている状態です。
 池の近くに行けば行くほど、正常の度合いが高まります。
 同様に、橋近くの川の辺りも正常な部分が多く、川から離れると異常が目立ちます。

(キーパーへ:探索者には、この枯野の探索で、『宇宙からの色(亜種)』が水に弱い、ということを示唆してください(一部の神話に詳しい、あるいはH.P.Lの『宇宙からの色』を読んだことがあるプレイヤーには特に注意してください))。

帝大にて

 真正面から正攻法で行けば(事情を話して、身元、身分を提供するようなものを出せば)、全く普通に面会の依頼が出来ます(この場合、逆に正攻法以外の何かは無い気がしますが)。
 寺田は現状、忙しい状態ではない、ということで即座に面会に応じてくれます。
 通されるのは研究室の方で、40絡みの髭を生やした、いかにも学者らしい気難しそうな感じと、文学者のような繊細さが同居している男が件の寺田です。
 その近づき難いような雰囲気をまるっきり無視して、「まあまあ、座ってください」と気楽に言い、フラスコとビーカーでコーヒーを出してきます。
 さっぱりとした挨拶の後、用件を聞かれます。

 落下物について:
 当時の調査で、ピンボール大の隕石らしき物体を落下地点で採取しました。
 成分分析では、未知の物質が含まれており、現状でも、その成分については詳細が不明です。現在の我々の技術で分析不能なのか、それとも単純に地球外物質なのか、それは不明で、多分、その両方であるとするのが妥当ではないか、と寺田は言っています。  また、採取当時は蒼い燐光を発していたが次第に薄れ、ただの岩石のようになってしまったとも言います。
 隕石らしきものは卵形に近く、二つに割れた状態で、中には空洞がありました。おそらく落下の衝撃でそのように砕けたのではないか、と推測します。

 当時の『枯野』について:
 寺田の行った時点ではまだそういうことは無かった為、何も知りません。
 至って、普通の森であったと言います。

 森で採取した植物、生物:
 帝大に行くことを決めている場合、森の植物や昆虫を採取して分析を依頼することもあるかもしれません。
 その場合は、分析には時間が掛かるので、また明日にでも来てほしいと寺田は言います。
 次の日に同じく寺田を訪ねた場合、分析結果を聞くことができますが、分析結果としては、非常に不健康な状態で人間にすれば巨人症とも言える異常である、と説明されます。
 何故か分かりませんが、全体的に青みががっており、これがそれらの異常の原因の可能性がありますが、現状の分析ではこれ以上のことは分かっていません、と言います。
 詳細な分析結果については、探索者は門外漢であるよく分かりませんが、興奮した様子で、寺田はこれらの異常を語ります。

宗一へ聞き込み

 直接、小泉宗一へ聞き込みを行った場合です。
 彼は常に暇な状態であり、ほとんど家に居る為、特に約束を取り付ける必要等はありませんが、たまに橋の前辺りでふらふらしているのを見掛けることもあります(それでもすぐ家の近くなのですが)。
 宗一との話は基本的に要領を得ません。探索者の質問の一部の単語に反応して、何かを話すだけすです。それが『彼女』に関連しているかはまた別です。
 《心理学》ロールを行えば、宗一の精神が病んでいる、記憶がおかしいことに気が付きます。また、これによって、まともな受け答えが多分不可能であることにも気が付きますが、記憶の断片のようなものを引き出すことはまだ可能です。

 『彼女』について:
 「彼女は雨の日は嫌いなんだよ。だから、僕も彼女のところへ行こうとするんだ」
 脈絡も無く、宗一をそう口走ります。
 何故、この前は雨の日に来ていたのか?と聞けば、以下のように答えます。
 「本当に雨が嫌いなんだ。だけど、あの時は久しぶりで・・・。
 1週間ぐらい来てくれなくて」

 灯火について:
 「何故かよく分からないけど、雨の日はよく見るんだ」
 たまに見る灯火のことを、彼はそう語ります。雨の日によく見える、という矛盾にもまったく疑問を抱いていません。
 (あくまで「雨の日は良く見える!」ということを強調してください。雨によって『宇宙からの色(亜種)』の表面が雨に反応して「よく見える」状態になっているのです)

終幕部

 『宇宙からの色(亜種)』との実際に遭遇する場面となります。
 ただ、探索者の行動によっては、小泉宗一を捨てておく、という選択肢も無きにしも非ずの為、その場合は、『灯火の正体』は飛ばしてください。

灯火の正体

 再度、巣鴨の小泉宅を訪れようとすると、またあのときのように、雨が降り出します。
 前と同じく、煙るような雨であり、またあの時の灯火を思い出させるものです。
 小泉宅に到着する直前、橋の上に灯火を見ることはありませんが、代わりに小泉宅の客間の窓から、例の青い燐光が放たれていることに気が付きます。
 当然ですが、この段階で小泉宅からは反応がまったくありません。玄関のドアに鍵も掛かっていないので、浸入するにはまったく障害はありません。
 小泉宅の客間へ入ると、そのソファーの上に宗一が仰向けに倒れており、そしてその上を、何とも言えない『色』が覆っている光景を目撃します。
 その『色』は絶えず色を変えながら形を変え、輝く色の断片のようであり、光を反射する油の表面のような彩色にも見え、何色とも言えないにも関わらず、感じられる色彩はただ、『蒼』いだけです。
 きらきらと青く輝く、無定形の色であり、ただ色のみが存在している為、遠近感覚を無視した、非常に気持ち悪い感覚に陥ります。
 それが客間のソファーに横たわる宗一の上に覆いかぶさっており、宗一は苦しいような、楽しいような、どちらとも付かない表情のまま、うなされています。
 彼は今、『彼女』の幻影を見ながら、その『色』に生命を食らわれているのです。

 まず、ここで『宇宙からの色(亜種)』を目撃した為、0/1D4の正気度を喪失する可能性があります。
 さらにここで犠牲となっている小泉宗一を目撃する為、1/1D8の正気度を喪失する可能性があります。

 『宇宙からの色(亜種)』は探索者に気付いていますが、宗一から身を引き剥がすのに時間を取られます。この為、最初の1ラウンドは一方的に探索者が攻撃を仕掛けることが可能です。なお、宗一に張り付いてはいますが、ぴったりと覆っているわけではなく、覆いかぶさっているような状態なので、『宇宙からの色(亜種)』のみに攻撃を仕掛けることが可能です。

『宇宙からの色(亜種)』
STR:なし(物質化できない)
SIZ:POWと同じ
INT:20
POW:16
DEX:19
移動:12(地形に沿って漂うように移動する)
耐久力:なし(擬似的な耐久力:16)
・エサにする 40% 1D6、能力値(STR、CON、POW、DEX、APPへ1点)
・精神攻撃 100% 1D6MP、1D6SAN、INT−POWの抵抗ロール
・分解 70% 2D8 触れるものを分解していきます。人が触れると大やけどを負ったように感じます
※『宇宙からの色(亜種)』は通常の攻撃手段ではダメージを与えられません。
 ただし、水に弱い為、水を掛けられると、1D6のダメージを擬似的な耐久力に受け、分散していきます(より大量の水の場合は、さらに耐久力が減少する可能性があります。
 擬似的な耐久力が0になると完全に分散して、消失してしまいます。

 戦闘では、肉体派の探索者が物理攻撃を仕掛けると思われますが、キーパーはそれは明らかに効果が無い、ということを伝えてください(ただし、探索者としてはポーズとして最初は攻撃をしてほしいものです(笑))。
 また、精神攻撃を除いた攻撃は、最終手段《回避》が可能ですので、これも探索者に伝えるようにしてください。

 『宇宙からの色(亜種)』を撃退した場合:
 小泉宗一はソファーで気を失った状態です(どこか幸せそうな顔をしていますが)。
 その後、宗一は有無を言わさず入院等の処置を取られますが、最初のときとは違い、まるで憑き物が落ちたかのように、素直に言うことに従って、おとなしく入院をしています。

 『宇宙からの色(亜種)』を撃退に失敗するか、逃げ出した場合:
 小泉宗一は『宇宙からの色(亜種)』に完全に生命力を吸収されてしまうとともに、吸収したエネルギーを使って宇宙に帰っていく『宇宙からの色(亜種)』を目撃することとなります。
 この天へと上っていく色彩の柱を目撃した探索者は、1/1D10の正気度を失う可能性があります。

事件の後

 『宇宙からの色(亜種)』との戦闘結果、あるいはその前の行動によって事件のその後は変化します。
 シナリオ終了時の正気度報酬と合わせて、変化後を行ってください。

・『宇宙からの色(亜種)』を撃退し、小泉宗一を入院させた場合:
 小泉宗一は入院先でめきめきと健康を取り戻します。
 医者からはなるべく安静に、と言われていますが、入院中にペンと原稿用紙を要求し、『怪想社』の作品を仕上げます。
 この作品の表題は『灯火の行く橋』となっています。

・『宇宙からの色(亜種)』を撃退できなかったが、小泉宗一を入院させた場合:
 『宇宙からの色(亜種)』から小泉宗一を連れ出した場合がこれに当たります。
 この場合は、小泉宗一は入院先でむしろさらに健康状態を悪化させますが、やはり入院中にペンと原稿用紙を要求し、『怪想社』の作品を仕上げ、力尽きたように死んでしまいます。
 この作品の表題は『灯火の行く橋』となっており、彼の遺作となります。

・小泉宗一を見捨てた場合:
 選択肢としては一応あり得ます。あるいは、最後に『宇宙からの色(亜種)』から宗一を見捨てて逃げた場合です。
 こちらの場合は、誰にも知られないうちに小泉宗一は『宇宙からの色(亜種)』に吸収され、死亡します。
 彼の死後、1ヶ月程度経ってから巣鴨の自宅で、出版関係者に発見され、小さな新聞記事として載ります。


データセクション

 シナリオ中で使用されるデータや、その他の項目をまとめたものです。

雑誌

 明治末期から昭和初期に掛けて(今でもそうですが)、様々な雑誌が創刊されています。
 それらは今でも見られる少年雑誌や少女雑誌、主婦向けの雑誌に経済誌、さらには一部の趣味の人向け、政治向け、思想雑誌と多岐に渡っています(特に趣味の雑誌については現代に劣らず様々なものが出版されています。もちろん、漫画雑誌とかも)。
 ちなみに、有名な雑誌の創刊年は以下の通りです。

 大正6年、「主婦の友」
 大正9年、「新青年」
 大正12年、「アサヒグラフ」
 大正14年、「キング」

ハレー彗星

 明治43年にハレー彗星が通過しました。
 この時、その尾が地球に包まれる、ということで、尾には毒ガスが含まれているらしいという風説が流れ「この世の終わりになる」のではという社会不安が広がりました。
 この通過する間に毒ガスがとか、空気が奪われるとか、そういう風説が流れた為、ゴムチューブでもって息を止める訓練をするという事態にまで発展しています。
 しかし、実際は当日ゴムチューブを提げていた人が恥をかいた以外は特に何も起こらず、大きな騒ぎも無かったのが現実です。

『宇宙からの色(亜種)』

『宇宙からの色(亜種)』です(ええと、亜種なんで青いんですよ(笑))。
 きらきらと青く輝く、無定形の色で、色とは言いますが、何色とも言えない色であり、感覚的に『蒼』く感じるだけです。
 動くときはきらきらと輝いている色の断片のように見え、既存のどの色とも合わない、さまざまな色合いで瞬きます。

STR:なし(物質化できない)
SIZ:POWと同じ
INT:20
POW:16
DEX:19
移動:12(地形に沿って漂うように移動する)
耐久力:なし(擬似的な耐久力:16)
・エサにする 40% 1D6、能力値(STR、CON、POW、DEX、APPへ1点)
・精神攻撃 100% 1D6MP、1D6SAN、INT−POWの抵抗ロール
・分解 70% 2D8 触れるものを分解していきます。人が触れると大やけどを負ったように感じます
※『宇宙からの色(亜種)』は通常の攻撃手段ではダメージを与えられません。
 ただし、水に弱い為、水を掛けられると、1D6のダメージを擬似的な耐久力に受け、分散していきます(より大量の水の場合は、さらに耐久力が減少する可能性があります。
 擬似的な耐久力が0になると完全に分散して、消失してしまいます。

※犠牲者
 犠牲者は吸い取られる感覚、焼け付くような感覚をはっきりと認識し、だんだんしぼんで蒼色になっていきます。
 顔は落ち窪み、肌は老化してひどいヒビが入ったり、皺が出来たりします。


謝辞、あるいは参考資料:

 本シナリオは、泉鏡花風なシナリオができないかなあ、という思いから生まれました。
 シナリオの元ネタはもちろん、H.P.Lの『宇宙からの色』と、泉鏡花の作品群ですが、具体的にどれ、ということはありません。あの雰囲気を醸し出すのが目的なのです。
 また、その他の参考作品としては、とある少女漫画を参考にしています(もう随分古くなってしまいましたが、今でもたまに読み返すと和風シナリオの参考になるなあ、と思うのですが、今回は雰囲気作りの参考にしています)。
 本シナリオのテストは大阪でお世話になっているサークルにて実施しました。関係者にはお礼申し上げます。