リンケージ
各スレッド共通で発生する終幕へと繋がるイベントとなります。
黒澄綾の登場
このリンケージは、探索者が『異次元通信機』の回収に協力している場合に発生します。
春子や、元子に反発するか、怪しすぎる依頼を蹴ったり、あるいは破壊に走っている場合は発生しないことになっていますが、キーパーの判断でどこかで黒澄綾と話し合う場面を作っても良いでしょう。
『異次元通信機』が全て回収されると、元子はそのまま車を走らせて、赤坂の辺りにある一見廃墟にも見える屋敷に乗り入れます。
元子は探索者達に、『異次元通信機』を屋敷に運び入れるように指示し、さっさと中へ入っていきます。
屋敷の中は見た目どおり、廃墟に近いのですが、電灯が点いていることや、彼女らが使用していると思われる広間だけは家具の類はあまり見当たらないものの、綺麗に片付けられています。
探索者達が『異次元通信機』を広間に運び入れると、そこには黒い男物の洋装を纏った女性が通信機を興味深げに眺めています。
その端正な容貌と、目立つ背の高さは黒澄綾であることは間違いありません。
彼女は、探索者の方を一瞥すると、そのまま無視して元子や隆子に作業の指示を与えます。
彼女に近寄った場合は、ただひと言、「ご苦労様です」とだけ応えます。
彼女は、音楽の話題以外にはほとんど乗ってきませんが、探索者の質問に対しては、作業を進めながら、ある程度情報を開示します。
綾に対して《心理学》、《精神分析》は一切通用しません。探索者がそれを行なった場合、むしろ自身がその対象になっているかのような印象を受けます。そのままそれを続けるならば、逆に彼女に心を読まれているか、精神に影響を受けていることに気が付き、自動的に1点の正気度を喪失します。
(正気度を減少させる、狂気へと導くような《精神分析》を受けていることなります!
探索者がそれでも強行した場合、綾の深淵を覗き込んでしまい、1/1D10+1の正気度を喪失します)
この『装置』はなんなのか?
「『異次元通信機』と、これを作った吉川春子は言っています。
この装置は、スグルオの住人をこちらの世界の音に翻訳する為の装置なのです。
元々は彼女も自身の楽器を作る為だったようですが、本来の目的以外に利用されてしまったようです」
スグルオの住人とは?
「『グラーキの黙示録』の中に記述がある、スグルオ湾に住む異界の住人です。
彼らは、我々にとって音として認識される存在であり、音としてのみ存在するのです。
貴方がたも見たかと…、音を見るというのも奇妙に思えるかもしれませんが、青い音が彼らなのです」
綾は今、何をしているのか?
ふふ、と以前にはしなかったような笑い方をすると、彼女はこう応えます。
「前も、今も、私が求めるものは一つです。
ただ一つの音楽を。完全なる音楽を。究極の音楽を。
その為に、様々な試みを行なっているところですよ」
毛利三姉妹との関係は?
「彼女らは私の協力者です。
資金的な援助はもちろんですが、様々な助けを得ています。
代わりに、私の成果を彼女らに提供する、そういう約束です」
前の『オペラ座館』では何をしていたのか?
「さて、ちょっと表現が難しいですね。
敢えて言うならば、そう、『調律』です」
『神殿の奏者』とは?
「彼らがそう呼んでいるだけです。
私にはあまり意味はありません」
『異次元通信機』の正体を知り、それを綾に訪ねた場合、彼女は無表情にこう語ります。
「楽器というものは、常に犠牲が伴います。
例えば、弦楽器の本体の多くは、木製です。しかし、その弦は、生物の毛や、皮、あるいは腸などが使われています。
原初の楽器は、そもそも骨や皮で出来ているものも多くありました。
無機物と有機物の混合、犠牲によって成り立つもの。楽器とは、もともとそういうものなのですよ」