帝都狂想曲 帝都巡り



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帝都巡り

 元子の依頼を受けた探索者側のスレッドとなります。
 春子に示された帝都の各所を巡り、『異次元通信機』の回収を行なうことになります。
  1. 帝都巡り
  2. 『異次元通信機』を探す
  3. 浅草区
  4. 小石川区
  5. 赤坂区
  6. 京橋区
  7. 神田区
  8. 本所区
  9. 一つ目の『異次元通信機』を発見する
  10. 土着派の襲撃
  11. 春子が目を覚ます
  12. 奇妙な音楽
  13. 回収終了後、春子が現われる

春子の指示した『異次元通信機』の在り処、帝都巡り

『異次元通信機』の設置場所は以下の通りです。
 これらの箇所を、元子とともに巡ることになります。基本的には探索者の行きたい箇所から周ることになり、元子は随行し、「早くしなさい」、と急かすだけです。
 もしも、元子と敵対した場合、彼女は追加の人員を手配した上で、春子から直接得た情報を基に、帝都での探索を独自に開始します(つまり、探索者が『異次元通信機』を探している場合は、競合するようになります)。

『異次元通信機』は東京市全域をカバーするように配置されています。キーパーの判断で、多少場所をずらしても問題ありません。
 この配置の形には特に意味がありません。前述の通り、帝都、市内全域をカバーできるように配置されているだけです。探索者がこの配置を図形にしたり、意味を求める可能性はあると思われますが、まあ、キーパーとしてはにやにやしながら眺めておけばよいでしょう(笑)

『異次元通信機』を探す

『異次元通信機』は、ある一定の距離離れた瞬間、それの発する音が全く聞こえなくなります。
 この現象は帝都の各地で起こっており、音源に遠い場合は特に大きな影響は出ていませんが、近い場所ではスグルオの住人が翻訳されつつあり、音としての彼らを感知したり、青い音の浸食を幻視したりすることによって、恐慌を引き起こしています。
 時間が経つにつれ、スグルオの住人の翻訳がさらに進み、彼らが目撃されるようになるとさらなる混乱を引き起こすようになります。

『異次元通信機』を探す為には、音がする領域に入ってから《聞き耳》+《アイデア》に成功することで、音の発信源の方角がなんとなく分かります。
 これに失敗した場合は、時間をかけて探すことで(1ターンを余計に消費する)、再度、『異次元通信機』を発見する為のロールを行なうことができます。
 音が一定の距離を離れると消失することに気が付いており、範囲を調査してほぼ円形であることが分かっている場合、いわゆる三角測量によって『異次元通信機』の位置を割り出すことが簡単になります(プレイヤー自身のアイデアか、あるいは《アイデア》で気が付くことにしても良いでしょう)。
 この場合は、『異次元通信機』の捜索の判定に+20%の修正を与えてください。

 毎回同じ判定では探索者が飽きる可能性があります。この場合は、場所に合わせて《目星》、《ナビゲート》、《芸術》等とのロールに変更し、随時、ロールに遊びを持たせるのも良いでしょう。

浅草区、十二階

 明治期においては「凌雲閣」というのが正式名称で、十二階というのは通称でしたが、明治30年に不人気で売り渡された後は、「十二階」が正式名称となります。
 地上52メートルの帝都内では群を抜いての高層建築であり、建設当初は帝都でも人気のスポットでしたが、次第に人気を失っていきました。
 繁華街である浅草のランドマークとして有名ですが、大正期には十二階下の目印にされた他はあまり人が寄り付かず、演芸場や、エレベーターといった売り物でなんとか保っていました。
 関東大震災によりも前に、すでに解体計画が持ち上がっており、震災によって倒壊したところを爆破解体されました。

 ある程度の方向性を発見した時点で、十二階の最上階に『異次元通信機』が設置されていることに自動的に気が付きます。
 CONのロールを行い、CON×2までで成功した場合は1ターンで、CON×4は2ターン、以降×2につき+1ターンで、『異次元通信機』を回収したことになります。
 十二階はその名の通り、十二階建て、そして52mもの高さがある為、わずか10分で往復するには少し難しいものがあります。また、エレベーターを使うことを思いついた場合、《幸運》に失敗した場合は3ターン、成功した場合は2ターンが経過します。
(ファンブルを引き起こした場合、エレベーターに閉じ込められる等のトラブルに見舞われ、+1D10ターンが経過するなどしてください)

小石川区、東京砲兵工廠、小石川後楽園、『苦悶の楽器』の生産工場

 小石川後楽園は、元々水戸藩の江戸上屋敷に作られた庭園で(当時、江戸の中にこんな広い土地の屋敷が普通だったのです!江戸の7割近い土地は武家屋敷に割り当てられており、残りの3割程度が町人の住居でした)、明治2(1869)年の版籍奉還によって政府のものとなり、東京砲兵工廠の一部として陸軍の所管となりました。
 その後、大正12(1923)年に国の史跡、名勝に指定され、岡山の後楽園と区別する為、小石川後楽園となりました。
 東京砲兵工廠は官営の軍需工場であり、当時の村田銃や、30年式歩兵銃を生産し、日清、日露戦争で使用されました。その後、関東大震災で壊滅的な打撃を受け、再建するのにも費用が掛かるということで、小倉兵器製造所へと移転、合併しました。跡地は払い下げられ、後楽園球場となっています。

 広い敷地へ侵入する為には、もちろん正面切って入ることはできません。
 警戒の目が少ない箇所を探す場合は《目星》+《ナビゲート》が必要です。両方に成功している場合は特にロールの必要なく、見咎められることなく敷地内に忍び込むことが出来ます。
 どちらかに失敗した場合は、《隠れる》+《忍び歩き》が必要になります。発見された場合、逃亡する場合はDEX11との対抗ロール、言い訳をする場合は《言いくるめ》となります(時間を掛ける場合は、《信用》でもよいでしょう)。
 侵入に成功し、『異次元通信機』を探し当てた場合、だだっ広い小石川後楽園、東京砲兵工廠の敷地の隅に地下へと通じる階段を発見します。
 探索者達が降りていくと(こういうときに、元子は先頭に絶対に立ちません)、薄暗い中に、人影のようなものを発見します。
 下記の描写を行なってください。

 その部屋の入り口には、人と同じ大きさと形を持ったものが居た。そいつはなんらかの手段をもって昆虫と、人間を掛け合わせかのような、悪夢のような姿をしていた。
 巨大な複眼、耳と鼻はなく、口は針のような形をした口吻になっており、その四肢は多間接の、昆虫と同じような頑丈さを持つように見え、そして体は玉虫色をしており、背中には羽を持っていた。
 こちらに気付いたそいつらは、まるで本物の昆虫のように飛翔しながらこちらに襲い掛かってきた。

 シャッガイを目撃した探索者は0/1D8の正気度を喪失します。
 元子は、シャッガイを目撃しても特に動揺した様子は見せません。むしろ、激怒している様子で、「何て、なんてことを!」と体を震わせています。
 シャッガイは探索者を見つけると、躊躇無く襲い掛かってきますが、その前に元子は激怒したまま懐から拳銃を引き抜き、有無を言わさず発砲します。

キーパーへ:
 元子に憑依しているシャンは、土着派の推進しているシャンと人間の混血といった実験を認めていません。
 彼女らの所属しているコロニーの総意として、この星に土着などせず、何らかの手段を持ってエンジンを再始動し、船を飛ばすことを目的としています。
 この為、春子の行なっている土着派の工作に、シャッガイには怒りの感情を露にします(これは、元々、元子自身が激しい怒りを抱くことにも関連しています)。

シャッガイ、下級の独立種族
 STR 13 CON 12 SIZ 11
 INT 14 POW 10 DEX 12
 耐久力 12 移動 8 DB ±0
 武器:
  かぎ爪 35% 1D4(毎ラウンド、両手両足の4回)
  口吻 50% 毎ラウンド1D4の酸、ダメージの1/4のAPPを喪失する(このダメージは酸を洗い流すまで継続する)
 装甲:
  キチン質の殻 4点

 シャッガイを撃退した後、その鉄製の扉を開けると、中はホルマリンのような鼻を刺す薬品のような臭いと、電気工作に用いるような工具の焼けた臭い、そして妙に生臭い臭いが交じり合った、なんとも言えない臭気が漂っています。
 裸電球で照らされた、薄暗い室内には中心部に作業台のようなものがあり、そこの『異次元通信機』が置かれています。作業台の上には様々な工具や、見たことも無い奇妙な道具も設置されています。《アイデア》か、《医学》に成功すると、それが手術台のようにも思えます。
 部屋の左右には円筒形の水槽が設置されてあり、その中には30Cm程度の楕円の昆虫の卵のようなものが浮いています。そして、奥にはドラム缶を小さくするか、缶詰を大きくしたような金属製の円柱が置かれています。《クトゥルフ神話》か、すでにミ=ゴの脳収容器を目撃している場合、その円柱がそれに脳収容器に酷似していることに気が付きます。
(キーパーの好みで、この場にマッドサイエンティストのようなNPCを登場させるのもよいでしょう)
 元子はこの部屋を観察し、「ふん、壊してしまうのが良いのだけれど、派手にやってここの人間に気付かれるのも問題だわ。適当に処理して頂戴」と探索者に指示を出し、不愉快そうに戻っていきます(もちろん、『異次元通信機』を運ぶのも探索者です!)。
 探索者が、スマート(?)に電源系統を落とす等の対応を取った場合は特に何も起こりませんが、破壊活動を行なった場合は以下のようなことが起こります。
 水槽を破壊した場合、その中に浮遊していた卵が破れ、中から人と昆虫が混ざったような姿の赤子が一瞬現われたかと思うと、どろどろと溶け出していきます。この異様な光景を目撃した探索者は、0/1D6の正気度を喪失します。
 脳収容器を破壊した場合、中から若い女性の生首が転がり出ます。しかもそれは脳収容器と首の部分が配線やパイプで結合されており、転がり出てからしばらくの間、悲鳴を上げ続けます。この生首の悲鳴を目撃した探索者は、1/1D4+1の正気度を喪失します(首と知り合いであった場合、さらに+1されます)。

キーパーへ:
 これらのシャッガイは、実験として科学的に培養されたもので、交配によって繁殖させたものではありません。
 この為、女王も居らず、土着派の単純な労働力、護衛等に使われているのです。

赤坂区、青山霊園

 明治5(1872)年に、美濃(現在の岐阜の辺り)の郡上藩々主だった青山家の下屋敷跡に開設され、当初は神葬祭墓地でした。
 明治7(1874)年の9月1日に、市民のための公共墓地となり、その後の明治22(1889)年に、東京府から東京市に移管されます。
 大正15(1926)年に斎場の建物のすべてが東京市に寄附され、日本で初めての公営墓地となりました。
 有名人の墓が多いほか、その中には外国人墓地もあったようです。

 青山霊園はだだっ広く、基本的に墓のみなのですが草木も多く繁っていることもあり、見通しはあまりよくありません。
 また、有名人の墓も多いこともあり、半ば観光のような感じでこの墓地を訪れる人々があり、この轟音の中、すでに倒れていたり、半ば放心しているような状態の者も見えます。
 広い青山霊園である程度の方向性を付けた後、《目星》に2回に成功することで『異次元通信機』を発見することができます。
 あるいは、探索者が人々の状態をよく観察し、症状が重いと判断される方向へ行くことを考えた場合は、《アイデア》や、《医学》でロールさせるのもよいかもしれません。
 青山墓地では『異次元通信機』の回収に障害はありません。

京橋区、銀座、シャンの隠れ家

 明治5(1872)年の大火によって焼失した町並みを、煉瓦街へと建て直し、様々な商店、ビアホール、カフェ等が次々と出来、車道と歩道の区別が付けられた、西洋的なモダンな繁華街になりました。
「銀ブラ」という言葉も大正期に入って流行り、銀座をぶらぶらと散歩するのに一般的にも使われるようになったと言われています。

『異次元通信機』の方向性を発見すると、それはビルの地下だと分かります。
 探索者達がビルの地下へ降りると、重厚な扉が出迎えますがそれは開け放たれており、ちょっと覗くだけでも高級な感じのする店に思えます。
 本来ならば守衛代わりの黒服のような人間が居るはずなのですが、そこは音源に近いこともあり、すでに床をのたうち回る人や、気絶している人、さらには何かに切り裂かれて大怪我を負っている人が居ます。
 店の中も各ブースがある程度の間隔を持って開けられており、高級感の漂うソファーやテーブルが設置されているのですが、何故か店の中央には舞台のようなものが設置されており、そこには裸の女性が横たわっています。
 また、店の壁には様々な拷問器具が設置されており、《目星》か、近寄って観察すれば、それが普通に使われており、使い込まれていることに気が付きます。
 この店は、現代で言えばSMバーのようなところですが、店に置かれている拷問器具はどう見てもSMのレベルを越えて本物の拷問に使われるようにしか思えません。
 舞台の上の女性を観察した場合、彼女は辛うじて痙攣のような動きを繰り返しながら、微かな呼吸をしていることが分かります。
 彼女を助けようと近寄った場合、《アイデア》によって彼女がまるで『異次元通信機』の音に合わせるかのように歌うように、ひゅーひゅーと血泡を吹いていることに気が付きます。
 この場は『異次元通信機』の回収を邪魔するものは特にありません。舞台の上の女性を保護するかどうかは探索者の判断次第ですが、《応急手当》、《医学》で気絶を回復させた後、《精神分析》を行なって落ち着かせることができない場合、彼女は重篤な状態に関わらず無理やり声を出そうとして再度血を吐きます。
 この異様な音に憑かれた光景を見た探索者は、1/1D4の正気度を失う可能性があります。

神田区、桜嶺女学院内(御茶ノ水の辺り)

 シナリオのもう一つのメインの舞台となる桜嶺女学院です。
 女学院はニコライ堂に程近い、現在で言えば御茶ノ水辺りに存在することになっています。

本所区、回向院、国技館

 回向院は明暦の大火の犠牲者を弔う為に建立された寺です。当時の国技館は、この回向院の境内に存在していました。
 江戸時代から春秋の2回、相撲の常設場所とされ、明治42(1909)年には大鉄傘と呼ばれるドーム型の国技館が建設されます(相撲はその前までは小屋掛けで行なわれていました)。
 この国技館はよく焼けたようで、大正6(1917)年に失火による全焼、大正9(1920)年に再建されましたが、大正12(1923)年の関東大震災で再度焼失、この時はある程度の燃え残っていたので翌年には再建されましたが、昭和20(1945)年の東京大空襲により焼失するものの、再建がままならず戦後までは焼けたまま相撲すると言う状態でした。
 昭和29(1954)年〜昭和59(1984)年の間は蔵前国技館として川向うに存在していた時期もあり、その後、現在の国技館の位置へ移っています。
(国技館自体は、両国メモリアルホールという名称で戦後に改修、改装されています)

 この年、大正12(1923)年の始めに三河島事件が起き、続いて5月の大阪相撲において龍神事件が起こっており(両方とも力士の待遇改善を求めたボイコット事件)、角界には微妙な雰囲気が漂っています。
 このシナリオの時期は、秋場所が近い時期でもあり、そこそこの人手があります。
 回向院の方角からは、この音に対抗するかのように読経の音が聞こえており、そちら方面は被害が少ないようにも思えます。
 ある程度の方向性を発見した後は、特に障害なく『異次元通信機』を回収することができます。

一つ目の『異次元通信機』を発見する

『異次元通信機』を初めて発見した探索者が、もしもミ=ゴの『脳収容器』(脳缶詰)を見たことがあった場合、《アイデア》に成功すると、何故かその装置からそれを連想します。
 元子はこの『装置』を見つけたのはよいものの、どうしようかと途方に暮れているように見えますが、すぐに考えを切り替え探索者に指示を出します。
「致し方ない、このまま運び出して」
 探索者が音を止めるか、小さくする術は無いのか、と元子に質問した場合、彼女は「無いわ」とあっさり応えます。
「この『装置』は、完全に外部からの操作を無視しているところがあるのよ。
 楽器としては不完全と言わざるを得ないわ」
 と、独り言のように呟きます。探索者が聞き咎めた場合、「なんでもない」といつもの調子で黙らせます。

土着派の襲撃

 春子を取り逃した後か、事務所に置いてきている場合は前半のタイミング(1〜3個目の回収時)で、そうでない場合は遅いタイミング(4〜6個目の回収時)に土着派が『異次元通信機』を取り戻す為、襲撃を仕掛けてきます。
 相手はよくあるT型フォードに、3人乗っており、運転席の人間以外が銃を構えていることが見て取れます。
 カーチェイス(詳細はルールブックのP.328を参照してください)のルールを適用し、この土着派の襲撃を解決してください(逃走するか、撃退するか)。
 土着が現われた時点で、探索者が《アイデア》か、《運転》に成功していると、その車が明らかにこちらに向かっていることに事前に気が付くことが出来ます。
 この襲撃に探索者が事前に気が付いている場合、カーチェイスは距離3(近距離)から開始され、気が付いていない場合は距離1(並走)から開始されます。
 襲撃者、車両のデータは下記の通りです。

 T型フォード 最高速度:3 耐久力:25 ハンドリング:2 乗員数:5名+荷台 加減速:1×
 ※宍戸のタクシー、及び土着派はこの車両です。

 ベルリエVE型 最高速度:4 耐久力:30 ハンドリング:3 乗員数:2名+荷台 加減速:2×
 ※元子の車です。

 土着派の襲撃者
  STR CON SIZ DEX 耐久力 ダメージボーナス
 A 13 14 14 13 14 +1D4
 B 12 10 16 14 13 +1D4 ※運転手(運転(自動車) 60%)
 C 10 15 12 9 14 +0
 武器:
  拳:60% 1D3+DB
  組み付き:50% 特殊
  32口径リボルバー:50% 1D8 装弾数 6
 装甲:
  なし。

 一度の逃亡、撃退後は、以降、移動時に20+『異次元通信機』の回収数×10%で、再度の襲撃に遭います。
(もちろん、キーパーの判断で行なったり、行なわなかったりするのも構いません)

春子が目を覚ます

 春子が目を覚ますタイミングはキーパーの任意となります。
 なお、彼女に対して《精神分析》を行なっても、その効果は得られず、まるで抵抗するように気絶してしまいます。
 キーパーの判断で、何度か彼女の目を覚まさせても良いでしょう(逃げられていない場合は)。

 置いてきている場合:
 目を覚ました春子は事務所か、監禁場所を抜け出し、土着派勢力に駆け込み、元子の動きを阻止しようとします。
 こちらのスレッドの最後の『異次元通信機』の回収の移動時に、敵として準備を整えた状態で登場します。

 連れてきている場合:
 目を覚ました春子は30%の確率か、キーパーの判断で本来の人格です。それ以外は、シャンが支配している状態となります。

 シャンが支配している場合:
 目を覚まして元子を確認した春子は、即座に逃亡を開始します。
 例え車が走っていても、彼女はそこから飛び降りようとし、とにもかくにも元子から離れようとします。
 車から飛び降りようとするのを阻止しようとする場合、DEXの対抗ロールとなります。

 成功して押さえつけた場合、彼女は視線で人が殺せるならばそうなるような目で探索者を睨みつけながら、「この状況を教えてもらおうか?」と低い声で囁きます。
(ここで《心理学》+《知識》に成功すれば、いわゆる多重人格者ではないかという推測ができます)
 失敗した場合、彼女は探索者の隙を突いて車から飛び降り、ごろごろと転がって受身を取った後、立ち上がって探索者の車の方に手を振ると、全速力で逃げていきます。

 探索者が春子に状況を教えた場合は、幾分態度を和らげ、「なるほど。そういうことか…」と頷いた後、「なあ、君達。私をどこか姉上の目に付かないところで降ろしてもらえないだろうか」と提案してきます。
 探索者が提案に乗った場合、車から降りた彼女は、「ありがとう、助かった!恩人である君達が早めに帝都から脱出することを望むよ、では、ごきげんよう!」と全力で去っていきます(もちろん、車が入れそうな路地は避けて)。
 探索者がこの提案に乗るか否かは別にして、彼女は「姉上のことを信用しているのか?いや、そんなことはないだろう。人のことは言えないが、あの人も普通ではない。今回の件にしたって、おかしいと思うところが多いだろう?」と、探索者の疑心を煽ります。
 春子は続けて、「私は『装置』の破壊を依頼したのだろう?それに対して、あの人は回収と言ったのだ、おかしいよな?」と言います。
「あの『装置』は、この音の発生源だ。
 これが長く続けば、この音によって異界の存在がこちら側へやってくる」
 春子は探索者の気を引く為に、ここである程度の真相や、自身の目的を語ります。春子の言葉に探索者が納得するかは別にして、少しでも隙を見せれば、彼女は即座に逃げようとします。

 状況を教えない場合、春子は強硬手段以外に取る道がないと判断します(彼女は元々荒い性格の武闘派なのです)。
 押さえつけている探索者に襲い掛かると見せて、運転手に襲い掛かり、ハンドルを無理やり切ったり、ブレーキを踏ませたり、ギアを変えたりして急激に車の動きを変化させます。これを防ぐには、DEXの対抗ロールが必要です。
 これに失敗した場合、車は横転しそうなほど浮き上がりながら回転します。DEX×3か、《跳躍》に失敗した場合、車から投げ出されてしまい、再度《跳躍》を要求されます。失敗した場合、1D6のダメージを受け、成功した場合はそのダメージから1D6点を減少させます。
 この後、やはり春子は走って逃げるか、全員が振り落とされている場合は車を奪って逃走を開始します。

 探索者に全く隙が無い場合、彼女は諦めたように両手を上に上げて「分かった、分かった。大人しくしているよ。黙秘権はあるのだろう?」とふてくされた様子で言います。しかし、次の目的地に着くまでの間に、彼女はがっくりと眠ったように頭を垂れ、半ば気絶するように眠っています。

 春子本来の人格の場合:
 目を覚ました春子は、まずきょろきょろと不安げに辺りを見回します。
 探索者に気が付くか、あるいは探索者が気が付くと、「ああ、今、どうなっているのですか?」と、耳を押さえながら聞いてきます。
 探索者が状況を教えるか否かに関わり無く、彼女はがくがくとまた震えだします。
 ここでは、一つだけ彼女に質問をすることができます。どのような内容を質問するかは探索者次第ですが、彼女が解答できる内容であれば、《言いくるめ》か、あるいはキーパーの判断で《説得》や、《精神分析》のロールが必要になります。
 もしも、ここで失敗した場合、彼女はまたしても自殺を試みます。春子のDEX/2との対抗ロールに失敗すると、銃を取り上げていない場合は銃で、取り上げている場合は走っている車から飛び降ります。彼女は頑丈ですが、わざわざ頭から、致命的なダメージを受けるように飛び降ります。この為、春子は自動的に死亡します(春子の自殺を目撃した探索者は、0/1D4の正気度を喪失します)。
 質問に成功するか、自殺を止めた場合、彼女は、半ば気絶するようにまた眠ってしまいます。

奇妙な音楽

『異次元通信機』が探索者の元に4個以上集まった場合に発生させてください。
 車を走らせている探索者の耳に、この轟音の中、西の方から嘲笑するような声、あるいは既存のどの楽器にも当てはまらないにも関わらず、楽器の奏でる音であると分かる奇妙な音が響いたことに気が付きます(特にロールの必要はありません)。
《聞き耳》/2か、《アイデア》に成功すると、この奇妙な音がまるで纏わり付くように車の周りを回っていることに気が付きます。この異常な現象に気が付いた場合、0/1の正気度を喪失します。
 そして、この音はまるで探索者の車をからかうように、近寄ったり離れたりしますが突如、この異音は大きくなり、その音圧を探索者の車にぶつけて来ます。
 音圧によって車は体勢を崩し、立て直すために《運転》が必要になります。探索者がこの音の行動に気が付いていなかった場合は、-20%の修正を受けます。
 このロールに成功すれば特に影響は受けませんが、失敗した場合、車は横滑りを起こし、再度の《運転》が要求されます。
 これにも失敗してしまった場合、車は大きく吹っ飛び、車自体への耐久度に3D6、乗員へは3D3のダメージを与えます。乗員が《跳躍》に成功した場合は、ダメージから1D6を引くことができます。
 探索者の車を音圧を煽っていった存在は、あざ笑うような声を残して遠ざかっていきます。

回収終了後、春子が現われる

 春子を逃すか、置いてきている場合、『異次元通信機』を全て回収したタイミングか、キーパーの判断で『土着派の襲撃』時に、春子を土着派の襲撃者達の中に混ぜるようにしてください。
 この時の春子は完全武装です。神経鞭を効果的に使うようにしてください。
 春子は常に頭を押さえており、《医学》か、《心理学》に成功した場合、彼女は怒りのあまり気絶しそうになるのをこらえながら、探索者の襲撃に参加していることが分かります。
 彼女は常に頭痛の激痛と戦っている為、耐久力の低下による気絶をしませんが、あらゆる行動に-20%のペナルティを負っています。
 彼女は一切の防御を考えず、ひたすら探索者と、元子を殺すことを目的に攻撃を仕掛けるとともに、部下を叱咤し、攻撃をしてきます。また、車による体当たりなども躊躇無く行なってきます。