罪を孕みし堕落の子ら 火葬場 目覚め
火葬場、目覚め
バスの転落後、探索者たちは火葬場へと運び込まれます。
ここは意識を取り戻す前の幻視、そして目覚めの場面となります。
探索者たちは意味も分からずに状況に放り込まれる為、多少戸惑う可能性はありますが、キーパーは多少押すつもりで進めてください。
バスの転落後、探索者達は全員、以下の幻視を、あるいは事故のショックによる幻覚を見ます。
・・・夢の中。そういう認識はある。
おそらく夜ではなく、地下か、それに類する光の差さない世界だ。
しかし、暗くぬめぬめとした岩肌を覆う苔類か、あるいは菌類が淡い幻想的な燐光を発しており、そこが洞窟か何かであることを示している。
いやに暑く、空気は湿っており、服を着たまま蒸し風呂に閉じ込められたかのような不快感が襲う。
その足元を、目の無い、なにかの地虫か多足類がカサカサと通り過ぎていく。
闇に目が慣れたのか、あるいは元々そこにあったのか、その中で、煉瓦作りの壁がすぐ近くにあることに気が付く。
このような空間に、不似合いな、人工物である煉瓦にどこか懐かしさを覚える。
何故か、その壁の向こうへ行かなければならないと思う。
何かに、誘われているのか。
壁沿いをゆっくりと歩き、その切れ目、向こう側が見える。
そこには、白く、光る、暗黒・・・。
歯をかみ合わせるようなじゃりじゃりという不快なノイズのような音で、探索者たちは目を覚まします。
頭は鉛のように重く、体のあちこちがひどく痛み、いつになく不快な目覚めです。
周囲を見渡すと探索者たちは見知らぬ部屋にいることに気が付きます。
床一面にはうず高くゴミが積みあがっており、耐え難い腐敗臭を発しています。そして、ごみのように見えたものの中に、クラスメートの死体が混じっています。それも1体ではなく、3体も。
制服を着た、死体は、『松浦』『最上』『二本松』の三人です。
強い衝撃によって無残にへし曲がっている死体は、まさにごみのように捨てられています。
このクラスメートの死体を目撃した場合、1/1D6の正気度を喪失する可能性があります。
部屋には窓は無く、扉がひとつ付いているだけです。
天井は非常に高く3m近くあり、内装からしてどこかのビルかそれに類する建物のようです。
バスの転落以降の記憶はなく、なぜこんなところにいるのかは覚えていません。
ノイズのような音は止みませんが、今まで静寂だった空間に今度は明らかにマイクのノイズが聞こえてきます。
「あーあー、テステスー、も一回マイクテスー」
音声は女性のものですが、いかにも合成音声と言った、まるで初音ミクのような声です(笑)
「貴方たちが、最後に起きたプレイヤーだよ。
もう二度と目が覚めないかと思って、心配しちゃった!」
「さて・・・
「人生はゲームです。そこでみんなにはあ、ちょっと殺し合いをしてもらおうかと思ったんだけど、思ったよりみんな適当にしてるんで、好きにしちゃって。
自由!FREEDOM!何やっても大丈夫!もちろん、殺したり、殺されたりもOKだよ」
「そこにはいろいろなものがあるから、楽しんでね!」
「みんなには、わたしから素敵なプレゼントを用意してまーす。近くにある袋を確認してね。
一人一ずつだよ。でも、他の人から奪うのはルール違反じゃないから、OKOK。無問題(もーまんたい)。
じゃあ、楽しいゲームの始まり、始まりー」
室内には『ぷレぜんト』とのたうつような文字が書かれた、かわいらしいファンシーな袋が人数分あります。
(ハンドアウトとして、この文字を探索者へ提示してください。あまり意味はないですが、インパクトは強いでしょう)
以下の『ぷレぜんト』表から、1D8で初期に所持する武器を決定してください。
(武器のデータは、ルールブックのP.70を参照)
『ぷレぜんト』表
1D8 | 武器 |
1 | 『外れ。ざんねーん(はーと)』の熨斗つき 椅子の足 基本命中 15% ダメージ 1D4 耐久力 3 |
2 | 生皮製の鞭 |
3 | 木刀 基本命中 15% ダメージ 1D6 耐久力 8 |
4 | コンバットナイフ |
5 | 肉切り包丁 |
6 | ギャロット(絞殺用の紐) |
7 | バールのようなもの(大きい棍棒相当) |
8 | 『当たり!使い捨てだよ(はーと)』の熨斗つき パイプ爆弾(お手製) |
※NPCである小幡はトカレフを所持しています。これには『大当たり!(でっかいはーと)』の熨斗が付いていました。
一つしかないアイテムです。
この放送後、《聞き耳》 のロールに成功すると、部屋の外からばたばたと数人の子供が騒いて走り回っているような足音が聞こえます。
《聞き耳》に失敗した場合は、開けて出た時に自動的に遭遇することになりますが、この場合はこの光景をいきなり目の当たりにする為、正気度の喪失が+1されます。
扉を開けて見ると、以下のような光景を目撃します。
ぼろをまとった子供の群れが、血だらけになりぐったりとして無抵抗になっている、『木曽』と『三好』を胴上げする要領で運んでいる。
そして最後の子供が探索者に気づいたのか、一瞬振り向いた。
子供の顔には、口しかなかった。
赤い、なまめかしい襞と、鮫のような歯を持つ口だけが、その顔の真ん中にあった。
無邪気な笑い声を残して、そいつは角に消えた。
この不気味な姿、『イゴーロナクの子供達』を目撃してしまった探索者は、0/1D4の正気度を失います。
部屋の中だけでなく、廊下にまで出たところで、《聞き耳》+40%のロールを行います。
ロールに成功した場合、部屋の中、廊下でもノイズのような音が聞こえていることに気が付きます(これは、各所にあるスピーカーが、暦の唱える《誘惑》を流しているものです)。
このノイズは、スピーカーから聞こえており、探索者はスピーカーが壊れてノイズを出しているように思えます。
廊下に出ると、そこはまるで病院か何かの廊下のように思え、普通の民家でないことは分かります。
また、塗装が剥げ落ち、コンクリートが露出していることもあり、朽ちた印象があります。どこからともなくす饐えた臭いが漂っており、近くの部屋(ボイラー室)からのディーゼルエンジンの稼動する音が聞こえてきます。