リンケージ 月光事件
探索者が『月光劇場』から帰るか、1日目の探索を終えるなどのタイミングでこのリンケージは自動的に発生します。
陽が落ちた後の浅草の通りで、探索者の目の前で人が消えます。
『月光事件』では現実世界が二重写しのような状態になりますが、敏感な者や、あるいは探索者のような「偶然」そういった事件に巻き込まれるような体質の人間以外は、気が付くことはありません(人が消えたことにも気が付きません)。
月光事件が発生した時点で、美由のPOW15との対抗ロールを行い、失敗した場合は意識が一瞬朦朧としますが、視界内に居た人物が消えていることに気が付きます(PC@は無条件に成功したことになります)。
成功した場合は、朦朧とした意識が続くことになりますが、周囲の浅草の雑踏が消えていることに気が付きます。
歪んだ視界と、朦朧とした意識の中でここがどこかの山奥の村であり、六区の大通りが村の大通りとなっていることが分かります。
大通りの両端には山があり、片方には満月と思われる光の塊が昇っており、もう片方の山からは何か大きなものが近づいてきます(朦朧としているので、そんな気がする、という映像です)。
そいつは、大きな円形の突起が先端についた、反り返った白い肉の柱のように思える。
いくつも関節がある複数の脚でそいつの身体は支えられており、手らしき物はなかった。
その頭部には灰色の目がいくつもあり、クラゲ状の大きく丸い頭部の中央には牙が並ぶ大きな亀裂、おそらく口が広がっていた。
あまりにも巨大なそいつは動くことさえできないように思えたが、狂った遠近感のように想像以上の素早さで近寄ってくる。
ぼやけた映像の中に、何故か『とうりゃんせ』が聞こえていた。
※キーパーは可能であれば、この場でBGMとして『とうりゃんせ』を流してください。
この光景を見たPC@以外の探索者は1D10/1D100の正気度を失うと同時に、あまりの恐怖に現実に引き戻され、浅草の雑踏と、薄曇りの満月に近い月を眺めて現実に帰ってきたことを悟り、正気の減少が1/10になります。
PC@は昔のトラウマが刺激されて、1/1D10の正気度が減少します。
ここで探索者が一時的狂気、長期の狂気に陥っても、狂気は発症せず、潜伏した状態となります。キーパーはそれを注意深く記録しておいてください。
月光事件後、探索者の近くにいた人間(生贄になった人間)が消えていることに気が付きます。
この遭遇の後、PC@には、
記憶HOAを配布してください。
以降、浅草で夜を迎えた探索者に対して、キーパーの判断で随時同じような『月光事件』を行ってください。
生贄となるのは『月光教団』の関係者でもよいですし、そうでない一般人でもよいですが、例えば探索者達が昼間に接触した人物が巻き込まれる等とすると面白いかもしれません。
また、探索者が意外と十二階を気にしない可能性があります。この『月光事件』の幻覚の中で満月が十二階方向に上っていたことを繰り返し強調するようにしてください。
また、探索者がこれによって月齢を気にした場合、満月に近いがまだ満月ではない、と教えてください。
キーパーは探索の時間に合わせて、満月までの期間を設定し、それを提示することで探索者に時間制限がある探索なのだ、ということを暗に告げてください。
キーパーへ:
美紗崎美由によって改造されたムーンレンズと、シュブ=ニグラスに祝福されしもの達が持つ『真紅の輪』の呪文の効果を合わせることによって、ムーンレンズの光が照射した範囲を異界化するとともに、ムーンレンズの番人の居る江津森とを繋げる門の役目を果たすようになっています。
『月光事件』は、十二階から浅草に向かってムーンレンズを照射することによって犠牲者を異界に引きずり込み、大通りを江津森と繋げることによってムーンレンズの番人を呼び寄せて、生贄として捧げ、江津森の御山の下へと運ばせているのです。