導入部
シナリオの導入部は大体以下のように行います。
キーパーの好みや、あるいは単純に探索者の都合などで順番を変えたり、導入自体を変更するのも問題ありません。
探索者を浅草で起こる『月光事件』の探索に駆り出してください。
個別の導入が完了した後、探索者達は浅草に向い、すでに現地に居る探索者などと合流させるようにしてください。
もちろん、キーパーによっては、個別に探索を行うようにしても問題ありません。自由に浅草を探索させてください。
PCDについて
個別の導入はありません。PCA、B、Cの導入に登場して、探索を開始するようにしてください。
最初にどっちと仲が良い、とか普段居る可能性が高い場所等を決めて、登場場所を確定させるのがよいでしょう(場合によっては両方に出没するのも)。
PCC 雑誌編集者との打ち合わせ
いつものD坂近くにある『白桜軒』というカフェ、というよりも喫茶店と言うのが似つかわしい店で、『怪想社』の担当の響生と打ち合わせをすることになります。
一通り、仕事の打ち合わせが終わった後に、『月光事件』と呼ばれている事件について担当者が聞いてきます。
曰く、浅草で皆が見ている前で、人が急に消えるそうだ。
よくある人さらいとか、不良愚連隊によるかどわかしとか、夜逃げとかではない、と。
目撃者が多そうな話ですが、ほとんど目撃者が無く、そしてその目撃者も『月が奇麗だった』というよくわからない証言をしているだけだと言います。
なかなか、面白そうな話だろう、と取材をしてみないかと持ち掛けてきます。
響生は自身の名刺を探索者に渡し、「浅草に行くならアントライオンというカフェに行くといい。何かの手がかりはつかめるだろう」と言います。
PCA 関係者からの依頼
探索者が探偵である場合は事務所などで依頼人から依頼を、警察関係者である場合は警察署で上司などから命令を受ける場面になります。
曰く、浅草で人が消えるらしい。
消えた人間については、浅草の六区を南北に貫く通りで姿を消している、とのことです。
被害者に共通点はなく、目撃者も少ない。そして何故か皆、口を揃えて『月が奇麗だった』と語っていると言います。
探偵の場合は依頼人の身内を探す、警察の場合は事件が起こっているので調査、特高の場合は無差別な犯罪であるので背後関係も含めた調査となります。
PCB 診療所にて
PCBの診療所か、病院勤めの場合はその診察室です。
(一応、PBは個室が持てるぐらいの地位の医者としてください。そうでない場合は、PCBと相談してどういった場所でどういった治療をしているのか、ということを掘り下げてもらい、それに併せて場面を作ってください。とにかく、PCB以外居ない、という状況を)
夏の盛りは過ぎたとはいえ、まだ暑い時期にも関わらず、外套を羽織り、しっかりと前を閉じて襟まで立て、帽子を目深に被った、おそらく男が診察室の入り口に立っていることにPCBは気が付きます。
着ているものもぼろぼろで、浅草公園によくいる浮浪者の類にも見えます。
「久しぶりだな」
低い、唸るような声ですが、それは聞き間違えることもない、友人の野呂猛の声です。
岡山に旅行に行って後、体調を崩して臥せっていたとかでしばらく顔を合わせていませんでしたが、まだ病気は治っていないようです。
「俺を、診察して欲しいんだ」
挨拶もそこそこに、野呂がくぐもった声を出します。
探索者が了承した場合、彼はどこかためらう様子を見せます。
「いや、だが、やはり見ては駄目だ。お前には恐ろしすぎる」
探索者が重ねて診療する旨を伝えた場合、とりあえずここで左腕を見せます。
探索者が拒否した場合、野呂は去っていきますが、その際にやはり、彼の左腕見えます。
以下の描写を行ってください。
去り際に振り返る野呂の左腕が、一瞬だけ見えた。
それはまるで木彫りの鳥の鉤爪のようだった。少なくとも、人間の手ではない。
真っ黒なそれは木が織りなす縞模様があり、てかてかと光っていたがそれは人間の皮膚と同様に伸縮する様が見てとれた。
この野呂の異様な腕を見た場合、0/1D3の正気度を喪失する可能性があります。
PC@ 美由との再会
※まず、PC@の仇名を決めてください。ただし、本人はそれを覚えていません。
PC@は浅草に訪れています。それは気晴らしか、あるいは浅草芸能に興味があるなどとしてください。
雑踏の中、急に懐かしい名前を呼ばれた気がしますが、それは記憶にありません。
何故か、懐かしいと思いながら、呼ばれた方向を見ると、PC@の記憶にない女性が立っています(PC@の幼馴染の為、年齢はPC@と同じぐらいです)。
「あれ?分かんないかな。
私ですよ、美紗崎美由。江津森の」
と、その女は名乗ります。
※ここで、PC@の
記憶HO@を渡してください。
美由は、「懐かしいなあ、こんなところで会うなんて」、などと言いますが、PC@には全く記憶にありません。
どうも彼女の話からすると、幼馴染と思われているらしいとは分かります。
美由は話すだけ話すと、「じゃ、私少し忙しいから」と十二階方向に去っていきます。