龍湖譚 月白編 a Lake, a Dragon Tale, Brightness of the Moonrise


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a Lake, a Dragon Tale, Brightness of the Moonrise

「龍湖譚 月白編」



おい、水があるか、蘆の葉の前に、櫛にも月の光が射して、仮髪をはづした髪の艶、
雪国と聞く故か、まだ消残つて白いやうに、襟脚、背筋も透通る。
…凄いまで美しいが、…何か、細君は魔法づかひか。
────────── 泉鏡花『夜叉ヶ池』より


注意、あるいはお約束:
プレイしてみたい人、プレイするかも知れない人は読まないでください。読んで良いのはキーパーか、またはプレイする予定のない人だけです。うっかり目次を見てしまった人は、「記憶を曇らせる」の呪文でも使って忘れてください。万が一そのままプレイに参加したりすると、貴方の悪徳に誘われて隣のプレイヤーにイゴーロナクが憑依するかも知れませんよ。
そして当然ですが、このシナリオはフィクションです。
現実のいかなる人物、団体、そのほかもろもろのものと一切の関係はありません。

 本シナリオは下記の目次のような構造となっています。
 まずははじめに、シナリオの概要と読み進み、シナリオの本体へ進むのが良いでしょう。

シナリオの目次:

はじめに

 本シナリオは、『龍湖譚』のバリエーションとなります。
 本編を『月待ち編』と称し、本バリエーションは『月白編』と呼びます。
『月白編』の記載内容は、『月待ち編』への追加となります。先に必ず『月待ち編』を読むようにしてください。
 基本的な情報は『月待ち編』と同じですが、被っていたり、矛盾したりする場合は『月白編』側を優先するようにしてください。

始める前に

 実際のセッションを始める前に、これらのことに注意するか、プレイヤー達に直接告げてください。

シナリオの傾向

『月白編』は、『月待ち編』とほぼ同じ流れに、倉木澪へと絡むイベントを追加するものとなります。
 ほぼ、同じ流れとなりますが、探索者の行動、選択によって、『月待ち編』の終幕部とは全く異なるものとなります。

PC作成時の注意、立場

『月待ち編』と変わりません。
 ただし、『月白編』では《説得》が重要な技能になる可能性があります。特にPCA辺りに持つことを推奨してください。

シナリオの概要、真相(キーパー向け)

『月白編』においても、真相は『月待ち編』と変更ありません。
 基本的な流れも同様ですが、探索者、特にPCAが澪へ絡みに行くことを前提としています(絡みに行かない場合は、『月待ち編』と全く同じになります)。
 慈悲ヶ丘村の探索において、平たく言うと澪を口説くことによって、彼女が行なおうとしている『月待ちの儀』を防ぐことが出来るかもしれない、と言うのが『月白編』となります。

登場人物(NPC紹介)

 登場人物は『月待ち編』と変更はありません。

導入部

『月待ち編』と変更はありません。
 ただ、初っ端のPCAが澪を目撃した場合の正気度ロールを省くのがよいかもしれません(単にショックを受ける、とか前とほぼ変わりが無い、で)。
 また、最初の澪の出迎えのシーンを、キーパーの澪に合わせて変更することをお勧めします。

探索部:

『月白編』もシナリオの基本的な流れは『月待ち編』と同様となります。ここでは追加の要素を記載します。
 この他、『月待ち編』ではあまり姿を見せなかった澪が探索者へ絡みに行ったり、姿が見えないことが多い澪を屋敷の中や、村、その他の場所で見るようになります。

屋敷での澪とのイベント

 主に屋敷において、澪とのイベントになります。

琴を弾く澪

 夕方になり、自室へと戻る澪を目撃します。
 この後、夕食までの間に澪の部屋から琴の音が聞こえてきます(比較的大きな音であり、閑静な屋敷に響くので必ず気が付きます)。
 ゆったりとしたテンポの、あまり難しい曲ではないようですが、奏でられるそれはどこか物悲しい響きがあります。
 しばらくすると、十蔵が夕食の準備が整ったことを探索者に伝えに来ます。
 十蔵にこの琴の音について訪ねた場合、以下のように語ります。
「あれはお嬢様が弾いていなさるものです。前は先生が屋敷に来てくださっていたのですが、村が寂れると先生も村へは寄り付かなくなってしまいして。
 昔は琴だけでなく、茶道、華道、書道など、一通りは習っていらっしゃいました。
 今はほとんど弾いておられませんが、バイオリンなどの西洋の楽器もお嬢様はお得意です」
 懐かしげに、得意げにそう語る十蔵は、珍しく感情を表します。

 ここで、《聞き耳》−40%のロールに成功すると、土蔵と思われる方向から、何か唸り声のようなものが聞こえてきた気がします。
 十蔵にこのことを訪ねた場合、「おそらく、森の獣か何かでしょう。お嬢様の琴の音に引かれたのではないでしょうか」と言います。

澪の部屋にて

 その日、澪が外出するところを目撃しません。屋敷の中の気配を察するに、澪は自室で何かしているようです。
 もし、澪を探索者が訪ねた場合、『昼の間は』彼女の部屋の障子は締め切られています。
 探索者が部屋に近づくと、澪の方から声を掛けてきます(探索者が《忍び歩き》を行なった場合は、気付かない可能性がありますが、彼女の様子を知るには障子を開ける必要がある為、その場合は必ず気付かれます)。
「誰ですか?」
 素直に探索者が応じれば、障子を開けて眼鏡を掛けた澪が姿を見せます。
 彼女の部屋は綺麗に片付いている場所と、奥の文机の辺りに古文書が山積みにされており、乱雑に紙がまとめられている箇所に分かれています。
 探索者が部屋の中に興味を示すと、「あら、恥ずかしいところを見られてしまいました。ここのところ立て込んでいて、片付けもままならないのです」と言います。

 澪の眼鏡に探索者が興味を示した場合、
「このごろすっかり目が悪くなってしまって、あまりよく見えないの。
 この眼鏡というものは便利なものね。
 眼鏡屋さんにわざわざ村に来てもらってあつらえて貰ったものだけど、とても見やすいです」

 澪はその日は自室で調べものをしています。
 もしも探索者が澪の手伝い等を申し出た場合(澪に構って欲しい意思を示した場合(笑))、彼女は部屋の片付けを手伝って欲しい旨を伝えます。
 基本的には彼女の指示通りに片づけを行なうことになります。山積みになっていた本を片付けることになるのですが、それらの本が国や言語を問わない科学に数学、神学、神秘学、古典文学、伝記、伝説、オカルトと彼女が異常に幅広い分野の本を読んでいることが分かり、さらに、彼女の部屋にはやたらと古文書が多いことに気が付きます。
 特に、彼女の文机の上にある『倉木文書』(実際は題名の無い古文書ですが)は、読み込まれてぼろぼろになっていることが分かります。
 探索者が『倉木文書』に興味を示した場合、澪は「ああ、それは家に伝わる古文書です。この家の起源とでも言うのかしら。そういうものが示されているものですよ」と言います。
(手にとって見ることも許されますが、ぱらぱらとめくるだけで理解できるものではない為、その場では内容は分かりません)
 また、澪にこれらの本を全て読んだのか、と訪ねた場合も、平然と「ええ、一度は読みましたよ。イタリア語は少々苦手ですけれど」と答えます。

澪と昔を語る

 このイベントは基本的にキーパー任せ、PCA任せとなります。
 キーパーは自身のセッションにおいて、澪とPCAの過去の出来事を設定し、PCAと合わせてこれらを語るようにしてください。
 場合によって、PCAに昔を思い出すことで、現在の澪とのギャップがほぼ無いことや、彼女の記憶力が異常に良いことを気付かせてもよいでしょう。
 また、キーパーの趣味や、シナリオの流れにもよりますが、PCAとの思い出(過去の事象、事件)において、澪がグラーキの従者であり、その巫女であることを示唆するような情報を与えるのもよいでしょう。

村での澪とのイベント

 慈悲ヶ丘で澪を目撃するイベントとなります。
 基本的に一般の村人とは絡みませんが、キーパーの判断で特徴的な村人を増やすのもよいでしょう。

村での澪

 村に行くと、日傘を差した澪を目撃します。
 日中、あまり村人を目撃することのない村であることも確かなのですが、村人の多くは澪と微妙な距離感を持っていることを遠くから眺めると感じる取ることができます。
《アイデア》か、あるいはよく観察をすることで、村人が澪に対して一種の恐れ、畏敬の念を抱いていることに気が付きます。
 なお、五郎が居る場合は、かれはむしろ憧れに近い念であることにも気が付きます。

澪を恐れる太助

 村に行くと、少ない家屋の影に隠れている太助を目撃します(特にロールの必要はありません)。
 非常に怯えた様子で、普段の余所者でもいいから何か話したい、と言う雰囲気は全くありません。冷や汗をかきながら、必死に隠れています。
 その向うに、日傘を差した若い女性の姿が見えます。こんな村で日傘を差す若い女性は、当然、澪しか存在しません。
 澪が去っていくと、ぎくしゃくと太助は隠れていた場所から出て行きます。
 話しかけた場合は、ぎくりと一瞬固まりますが、余所者の探索者であると気付いてからは、強いて普段どおりを装おうとします。
 探索者がこのことを尋ねた場合、彼はそらとぼけてスルーします。
 しかし、澪に対して怯えていることを指摘した場合、彼はがたがたと震えだし、独り言のように呟きます。
「わしは、わしはあれの正体を知っているのだ。
 的場の家の一郎はどうなったんだ?医者の長柄はどこへ行ったのだ?
 そうだ、わしは知っているのだ。あれはしばらく行方不明になっていた。神隠しだと村でも噂になっていた。
 あの晩、あれを湖で見たんだ。そこで…」
 そこまで呟いたとき、恐怖に目を見開いた太助は、どたどたと逃げ出します。
 探索者が振り返ると、そこには澪が立っています。
 澪は逃げ出した太助は全く無視して、探索者をいつもの軽く笑んだ表情で見ています。
 少女のようにくるくると日傘を回しながら澪は探索者に近づくと、「あらあら、どうしのたのですか」と何事も無かったように聞いてきます。
 この後、探索者が太助の言ったことについて訪ねたしても、特に澪は何も言うことはありません。ただ、太助が相当な高齢であり、呆け始めているということを仄めかし、嘆息するだけです。
 なお、彼女は祭りの準備の為に村に打ち合わせに来ているのだ、ということを探索者に言います。

澪と五郎

 村へ行くと、往来の真ん中で日傘を差した澪に、五郎がしきりに何かを話しかけています。
 澪はいつもの通り、軽く笑んで五郎の話に頷いてはいるものの、明らかに困っている様子が見て取れます。
《聞き耳》に成功した場合、切れ切れに聞こえてくる五郎の言葉には、「徴」「月待ち」「湖」と言った単語が聞き取れます。
 しかし、往来の真ん中である為、すぐに五郎は探索者に気が付き、口を閉ざします。
 探索者が近寄れば、何故か五郎は澪を守るようにその前に立ち塞がります。
 先ほどまでの精一杯の愛想の良い態度から、普段のごろつきのような態度に戻った五郎は、探索者に「こんなところで何の用だ」と詰問します。
 探索者が上手く言い繕えない場合、五郎は普段どおりに暴力に訴えようと前に出ますが、それを澪に「お止めなさい」と制されます。
 そして、澪から身振りで去るように指示されると、不承不承、去っていきます。
 澪は、探索者に対して、「ごめんなさいね。彼も村や、祭りのことを思ってやっているの。確かに、祭りに余所者が関わるのはあまりよくはないのです」と言います。
 この後、澪は世間話をするなりで、当たり障りの無い会話と探索者と交わします。この日もやはり、祭りの準備の為に村に来ていたところを、五郎に捕まったのだと語ります。
 去り際に澪は、「でも、貴方達もすでに選ばれているのかもしれない」と呟きます。

森での澪とのイベント

 森で澪を目撃するイベントとなります。

※これらのイベントを早い段階で行なうと、探索者の早期警戒網に引っかかり、早々に澪を拒絶する可能性があります。キーパーは、実施時期を検討してください。

森へ入る澪と納骨堂

 森へと入っていく澪を目撃します。
 尾行を行なう場合は、澪も特に警戒している訳ではないのですが、《隠れる》でロールを行なってください。
 失敗した場合は澪に気付かれてしまいます。その場合、澪はいつもの通り探索者に笑いかけながら、「あらあら、散歩ですか?一緒に行きましょう」と、散歩に誘われることになります。当然ですが、この場合は澪に怪しい動きはありません。
 成功した場合、彼女が納骨堂へと歩いて行きます。この時、『墓に群れるもの』の空間の折り畳みによる攻撃を受けることはありません。
 澪は、レンガ造りのそれの扉を開けると、地下へと降りていきますが、すぐに戻ってきます(澪は納骨堂で寝ている『グラーキの従者』の様子を見に来ただけの為です)。
 即座に探索者が入らない場合は、澪はそのまま何事もなかったように、屋敷へと引き返していきます。
 入った場合は、中で澪と鉢合わせすることになります。この場合は、澪は一瞬驚きの表情を見せますが、すぐに元の笑顔に戻り、「ああ、ごめんなさい。ここは倉木の家のとても私的な空間なのです。見ての通り、納骨堂で、死者が眠る場所。申し訳ないのですけれど、場所を変えてもらえませんか」と探索者に訴えます。
 もしも、探索者がごねた場合でも、澪は落ち着き払って、ここには死者以外には何も無く、死者の眠りを妨げるような行為は控えてもらいたい、とやんわりと伝えてきます。

澪と従者

※このイベントは、森で探索者が『グラーキの従者』を目撃した後に行なうのがよいでしょう。 

 探索者が森へ入ると、遠くに澪の姿を目撃します。
 そしてその近くに、例ののろのろと歩く姿が居ることに気が付きます。
 探索者の対応次第ですが、グラーキの従者は澪に対しては特に攻撃的な行動は取りません。ここではただ、澪と接触してその指示を仰ごうとしているだけです。
 探索者が攻撃を仕掛けようとした場合は、前と異なり、『墓場に群れるもの』の空間を折り畳む攻撃を受けません(澪が近くに居る為です)。
 澪はただ唖然としているだけですが、『グラーキの従者』は可能ならば逃走します。
 もしも、探索者が黙って見ていた場合は、グラーキの従者に対して何事か指示を与えているような澪を目撃することになります。
(まあ、もしもそうなった場合は、間違いなく『月白編』は諦め、『月待ち編』として進めるのがよいでしょう)

湖の祭礼

 真夜中に澪と十蔵が屋敷を抜け出していきます。
 タイミング的にはその日の夢引きの前となるので、探索者が起きていると宣言した場合や、《聞き耳》のロールに成功した場合はこれに気が付きます。
 後を付けた場合、彼女達は湖の方面へ向かます。湖が間近に見える辺りになると森が切れ、明るい月明かりが一帯を照らしており、彼女達が向かっている先には村人らしき影が多数見えます。

 澪と村人は湖の周りを歩きながら、単純に打ち鳴らすだけの楽器のようなもので拍子を取り、奇妙な声を上げます。それはキリスト教の祈祷のようなものであり、御詠歌のようにも聞こえます。
 澪はその先頭に立って、よく通る声でその奇妙な歌を歌っています。
(SIRENの奉神御詠歌のようなものを思い浮かべてください)
 ここで、《知識》ロールか、あるいは宗教系の学問のロールに成功した場合、この歌が隠れキシリタン的なものであり、仏教の御詠歌と、カトリックの祈祷が混じっているようなものであることに気が付きます。
 探索者が注意してそれを聞いた場合、神が現れ、神の居る我々を楽園へ我々を導く、という内容であることが分かります。

キーパーへ:
 シナリオが後半部分でこのイベントを発生させた場合は、具体的に『グラーキ』と聞こえる箇所がある、と教えても良いかもしれません。


終幕部の前に

『月待ち編』と同じように、澪が『月待ちの儀』を執り行う、その直前にキーパーは、探索者が澪に対して友好的な態度を取っていたかによってこのパートを発生させてください。

澪との対話

 キーパーは探索者が澪と親しくしていた、と判断した場合、『月待ちの儀』の夢引きの直前に、澪が対象の探索者と話がしたい、と言います。
(言うのは対象の探索者のみですが、その場には探索者全員で行っても問題ありません。ただ、このイベントの最後に《説得》ロールを行なうのは、澪に話しかけられた対象である必要があります)

 夜、月が出る前の、東の空が月によって白く輝いて見える、そんな時間に干上がった湖の畔で、澪と会います。
 月は出ていないにも関わらず、明るい空が澪を照らし、水の無い湖の跡を明るく見せています。
 澪は、探索者を見るといつものように、微笑みながら探索者を待っています。

 澪は、ここで以下のような真相を探索者に語って聞かせます。
 ただ、澪のスタンスとしては、真相を明かし、探索者に手を引かせるか、あるいは一緒に従者になろう、という誘いになります。

・村のこと
 村はすでに干からびている。神の信者となったものだけがかろうじて生き残っているだけ。
 村人の多くはすでに神の従者となり、楽園の門が開かれるのを待っている。
 倉木の家の祭祀は、村を救う為に行なっている。

・儀式のこと
 神を降臨させ、そして神の居る世界へと導かれる儀式であり、神の従者になったものには、至福であり、永遠が得られる。
 儀式を行なわなければ神は降臨せず、村はただ干からびるのを待つだけになる。
 儀式は私以外に行なうことは出来ない。また、儀式を行なう機会は今夜しかない。これを逃せば、また40年は待つことになる。

・自身のこと
 自身のことを語ったとき、澪は衣服を脱ぎ、グラーキに貫かれた『徴』を見せる。
 その上で、自分自身がすでに神の従者であり、神の為に生きていると言う。
 そして、自身は不完全な従者であり、完全なものになる為に、神の降臨を行うのが望みであると語る。

 また、この他、探索者が訪ねたことで、澪が知っていると思われることは全て、正直に答えます。


 澪の告白後、探索者が澪の儀式を止めたいと思った場合は、《説得》−40%のロール(探索者の説得の仕方や、これまでの澪に対する態度、行動により上方(あるいは下方)修正しても問題ありません)を行なってください。
 成功した場合は、探索者が望む行動を澪は取ります。失敗した場合は、澪はそのまま去っていき、『月待ちの儀』が行なわれ、最後の夢引きが起こります。
 もしも、説得に失敗した探索者が澪に襲い掛かった場合(説得せずに襲い掛かっても)は、澪の手振りに合わせて『グラーキの従者』が多数現われ、従者が探索者達を足止めしているうちに、澪はその場を離れます。

 探索者が澪の説得に成功した場合は、探索者はさらに澪をどうするかを決める必要があります。
(そもそも、『月待ちの儀』を行なわせるかどうかも探索者次第なのですが)
 この後の展開については、探索者次第となりますので、この場では特に記載はしません。


終幕部

 澪の説得に成功した場合、澪は探索者が望む行動を取ります。
 そうでない場合、澪は『月待ち編』と同様、『月待ちの儀』を執り行い、最後の夢引きが行なわれます。

事件の後

 事件後は、基本的に探索者によって語られますが、最後の探索者の行動によって以下の方向性を与えてください。

 澪を村に残した場合、干からびかけた村で『月待ちの儀』を行なわなかった倉木家には、すでに村を統制する力はありません。
 残された澪や、グラーキの従者達、そして村はゆっくりと滅びて行きます。

 澪を村から連れ出した場合、彼女は『従者』なので普通の医者に見せることが出来ません(あるいは、その必要がありません)。
 ただ、正気度が0ではありますが、ちゃんとした治療を受ければ正気度を回復する可能性があります(湖から遠く離れることがで、グラーキの影響もほぼ受けなくなることもあるので)。
 その場合、元々彼女は自意識を持った『グラーキの従者』である為、これらにショックを受けて正気度が減少することはありません。
 神話的な事件に関わらず、静かに暮らせばある程度まっとうな暮らしが出来る可能性がありますが、呪文で生命力を維持することをやめた澪は、通常の従者と同じく、身体が劣化を始めます(もちろん、この事は澪も承知しているので、それによって正気度が減少することはありませんが、むしろそれを眺めている人間の方が正気度を喪失する可能性があります)。
 澪には寿命はありませんが、40年程度で澪の身体は完全に劣化し、維持が困難になり、陽光に晒される事で『緑の崩壊』を起こすようになります。
 彼女をどうするかは探索者次第ですが、今後、澪を守る為に探索者がむしろ神話的な事件を引き起こすようになる可能性があります。
(なお、『グラーキの従者』を元の人間に戻す手段は今のところ存在していません。グラーキの黙示録や、それに近しい書物を読むことで、何らかの手段が得られる可能性はあります)


正気度の報酬

 正気度の報酬も基本的には『月待ち編』と同様です。

 澪の説得に成功し、キーパーが慈悲ヶ丘村の事件を解決したと判断した場合、2D6の正気度を獲得します。
 澪の説得に成功し、キーパーが慈悲ヶ丘村の事件を解決していない判断した場合、1D8の正気度を獲得します。
 澪の説得に成功した探索者は、追加で1点の正気度を獲得します。

 それ以外の場合は、基本的に『月待ち編』に準じます。


データセクション


 追加のデータはありません。


謝辞、あるいは参考資料

 本シナリオは特に参考作品はありませんが、強いて上げるなら様々な恋愛要素のあるコンシューマゲーム全般でしょうか。
 もう少しギャルゲーちっくにしようかと思っていたのですが、いろいろと無理がある気がしたので、キーパーは好みの澪になるようにするとよいかと思います(笑)

最後にちょっとだけ

 元々、この内容は『月待ち編』で頭の中にだけあって、探索者の対応によって澪の立ち回りの詳細を考えよう、と思っていたところ、PCAの動きが悪く、澪を警戒しすぎていたこともあり(まあ、初っ端に自分だけ正気度を減らされれば(苦笑))、あまり絡みが無かったせいで、『月待ち編』ではあまり出番が無い状態になっています。
 ベタな展開かもしれませんが、こういった流れもあり、ということで『月待ち編』と『月白編』を並行して進めるのがよいかと思います。
 改めて書き出すと、『月白編』は本編に組み込むべき内容かなあ、と思いました。

『弓張り月編』を一緒に進めると訳の分からないことになりますが、キーパーの好みに合わせて、適当に組み合わせると意外な展開があるかもしれません(笑)