スレッドB 桜嶺女学院
このスレッドは女学生スレッドの起動後に自動的に起動します。
桜嶺女学院において今回の怪事は安藤雪子が引き起こすものですが、これは
「異界の音楽、安藤雪子」スレッドで詳細が語られ、こちらのスレッドでは主にその他のスレッドの起動や、真田の動向について語られるものになります。
スレッド自体には特に探索要素はありません。キーパーは他のスレッドの前後にこのスレッドの各場面を挿入するとよいでしょう。
- 桜嶺女学院の夏休み(スレッドの起動部)
- 雪子に会いに行く
- 真田に会いに行く
- 桜嶺女学院からの帰り道
- 津谷恵理子の音楽
- 英国よりの手紙
- スレッドの終了後
桜嶺女学院の夏休み(スレッドの起動部)
7月も終わり頃になると、桜嶺女学院も夏季の長期休暇に突入します(現代と同じような、終業式的なイベントもあり、長期休暇で羽目を外さないよう注意を受けるのも同じです)。ちなみに、夏季休暇と言わずに、夏季休業と呼んであくまで休暇ではなく、休業なのだということを主張することもあったようです。
帝都で暮らし、様々な手段で通学している女生徒達の間では、有志を募っての臨海合宿や登山合宿等の企画も持ち上がり、寄宿舎で暮らす女生徒達の大半は実家に戻ります。
これらの企画の引率に駆りだされる教師も居ますが、真田は寄宿舎に残る女生徒が一人でも居る限り、女学院を離れるわけには行かないということで、前回に受けた傷の療養も兼ねて、夏休みは通常通り学校に居ることになります。
(この為、真田はどかどかと教師側の雑用を引き受けさせられ、意外に忙しい身となります)
雪子も寄宿舎で暮らす一人ではありますが、あまり実家に帰るのに乗り気でなく、迷っています。この為、しばらくは学校に残ることを、女学生探索者に告げています。
桜嶺女学院は夏季休業中でも、学校自体は基本的に開けています。真田をはじめ、何人かの教職員は常に待機しており、必要に応じて生徒の対応も行なわれます。
寄宿舎に残る女生徒も少なくありませんが、実家に帰る時期がまちまちだったり、夏季休業の間すべてを実家に戻っている訳でもない為、誰かしら寄宿舎には居る状態となります。
それ以外にも、この通常の授業の無い時期に教師の趣味を反映した特別な講義を行なうこともあり、女学院が完全に無人となることはほとんどありません。
キーパーへ:
実は前回の『帝都狂想曲』の時期にはすでに桜嶺女学院は夏休み、夏季休業へ突入しています。
夏季休業とは言え、やはり現代と同じように登校日が存在する為、『帝都狂想曲』ではたまたま登校日に事件が発生した為に、多くの女生徒が巻き込まれた、としてください。
本キャンペーンにおいて想定している時期は大体以下の通りです。
『天球賛歌事件』、7月半ば
『大地返歌事件』、7月後半
『二重幻想的舞台』、7月の終わりから8月の頭
『帝都狂想曲』、8月の前半
『天地交響曲』、8月の後半、9/1
雪子に会いに行く
雪子の様子を見に行った場合、
『異界の音楽、雪子スレッド』へと続きます。
真田に会いに行く
真田は前回『帝都狂想曲』で負った傷の療養中でもある為、女学院に残って舎監の仕事を続行することになります。
彼女は、女学生探索者を一人前の探索者として尊重するようにしています(これまでの女学生探索者の行動にもよりますが)。
他の女生徒が居る場面ではそういう扱いはしませんが、探索者だけになった場合、彼女は探索者としての情報を、包み隠さず共有します。
怪我や、後述の「英国よりの手紙」を理由に積極的に探索に関わることは無いのですが、もしも探索者が行動の指針を立てるのに困ったりした場合はアドバイスを与えたり、情報の整理、誘導を行なわせてもよいでしょう。
黒澄綾の動向について訪ねた場合、真田はここ最近、彼女と彼女の信奉者(この言葉を使うとき、彼女は複雑な表情をします)の活動が活発になっているようだ、と答えます。
「彼女が何を考えているのかは、分かりません。
「境界上を彷徨っていた彼女は、あの音楽のせいで境界のあちら側へ行ってしまったのですよ。自ら望んで、ね」
「彼女は音楽を奏でることが望みであり、その完成の為に動いている。
それがどんな形で表現されるのか、それを音楽と呼んで良いのか。
「あの人の考えることは俗人には理解できない、何か形を成すまではあまりにも常識からはかけ離れているのでしょう」
探索者が頻繁に真田を訪ねた場合、以下の様な彼女の見解を語らせてください。
・音楽などの話題
「祭祀における音楽は、人間から神に捧げる音楽と、神が授けた音楽の2種類だと考えられています。
神に奉げる音楽は単純に言えば、そのご機嫌をとる為のものであり、その好みの音楽を奏でることになります。これは様々な文化的な背景や、あるいは歴史、音楽に対する快不快などもありますから、民族や、人種のルーツ、地域での音楽に対する反応となるでしょう。
翻って、神が授けた音楽とはなんなのでしょうか。我々の知る音楽、いえ音楽に限った話ではなく、あらゆる分野において、一握りの天才と呼ばれる人間達が、それまでの常識、認識を覆す、パラダイムシフトを促す発見、あるいは考えを世に問うています。
これは神が、我々に何かを授けているのではないでしょうか。
…うん、この考えは危険ですね、忘れてください」
真田には珍しく、自嘲的に、そして寂しく笑うと講義はこれまでばかりに女学生に帰るよう促します。
・黒澄綾や、その狂気について
「知ることの恐怖。知らないことの恐怖。
分からないことの恐怖。分かることの恐怖。
果たして、我々は何が怖いのか?
「我々が正気、狂気などと呼ぶものは紙一重です。
あるいは、正気など無いのかもしれません。正気とは、大多数が正気と認めている狂気に過ぎない。
一千の貌を持つ狂気の一つが正気であり、狂気の側面でしかないのでしょう」
「果たして、我々に彼女を狂気と呼んでよい資格があるのか。
…考えすぎないようにしましょう。私も、貴方も、限界のある人間であり、無制限に責任を負っているわけではないのです」
「まあ、それでも、手の届く人を救いたいと思っていますが、それは贅沢なことなのかもしれませんね」
真田は遠くを見るような目をして、胸を押さえます。そして、女学生探索者の視線に気が付くと、ふっと微笑んで、「私とて、若い頃も、失敗の経験もあるものですよ」と言います。
桜嶺女学院からの帰り道
女学生探索者は小早川隆子に少し、歩きましょうと誘われます。
隆子スレッドの
『神田明神、鏡聴をする』に続きます。
津谷恵理子の音楽
珍しく音楽室の方向から、何か弦楽器を奏でる音楽が聞こえてきます。
これは女学生探索者ならば即座にヴィオル、つまりは津谷恵理子の音楽であることに気が付きます。
探索者が音楽室に赴くと、そこには集中してヴィオルの演奏に取り組む津谷恵理子の姿を見ることができます。
その姿は熱狂的ではありますが、音楽は至って平凡なものであり、黒澄綾は言うに及ばず、安藤雪子、あるいは山県雅子の音楽にも及びません(よって、正気度の喪失などもありません)。
探索者が声を掛けるか、あるいは演奏が止むまで待つと、彼女は探索者に気が付いて「何か用かしら?」と聞いてきます。
今回の事件について、津谷恵理子は特に情報を持っていません。一般的な女学生の持つ世間の情報程度を把握しているだけです。
前回の事件について尋ねた場合は、以下のように語ります。
「あの音楽。
確かに恐ろしいものだったわ。でも、怖いだけではない。あれは素晴らしい音楽でもある。
私のように才能が無い人間でも、あの黒澄綾のような音楽を弾くことができる。
私は、あの音楽が欲しい。
「たとえ、悪魔に魂を売り渡すようなことになっても、あの音楽をもう一度奏でてみたいのよ」
キーパーへ:
津谷恵理子の音楽については、この場では前回の様子を語るのみとなります。
英国よりの手紙
女学生探索者が真田を頼ったり、あるいは雪子の件等で寄宿舎に立ち寄った場合等にこの場面を行なってください。
真田の元へ、英国から手紙と荷物が届けられます。差出人を見た真田は驚きを示すとともに、重要な用事でなければそれを中断して自室へ戻っていきます。
イギリスから来た手紙は、留学した先、ブリチェスター大学の昔の仲間達から来たもので、現地で発生した大規模な神話的な事件の対応の手伝いを真田の求めるものです。同時に届いた荷物はその事件に関わるもので、真田に調査を依頼しています。
(真田は過去にブリチェスターで遭遇した神話的な事件における様々な物品を保護、あるいは震源地から遠ざける意味もあり日本へと運んでいます。この依頼はそれらが関連するものなのです)
この手紙を受け取った後の真田は、女学院の仕事が無いときには自室へ篭って何か調べものをしているようになります。
また、彼女には珍しく生徒達(夏休みに入っているので、寄宿舎に残っている数少ない女生徒になるのですが)の前でもどこか落ち着かない様子を見せるとともに、遠くへ思いを馳せるような目をするようになります。
真田は女学院の通常業務をおろそかにすることはありませんが、この手紙が届いた後は隙が多くなり、自室に篭りがちになります。
これにより、雪子の様子が変だ、と言うことには感付いていますが、真田は後手に回ることになります。
キーパーへ:
この手紙は全く今回のシナリオに関係がありません(グロスの影響が英国でも出ている、とすることもよいのですが)。
単純に、桜嶺女学院で起きる事件に対して、真田が手を打てない理由としてください。
スレッドの終了後
桜嶺女学院は関東大震災によって打撃を受けたことは確かですが、倒壊もせず、火災にも遭わず、少々の改修を要する程度の被害に留まります。
震災後、3ヶ月の閉校の後、再度の開校されます。しかし、地方から出てきていた女生徒の多くが帝都に戻ってきておらず、帝都で暮らしていた女生徒も同じく女学院に通える状態ではありません。
この為、激減した女生徒での学校経営がなされることになります。
真田は、震災前に受け取ったイギリスの友人からの手紙の為に、彼女にしては珍しくそわそわした様子を見せていましたが、震災によって女学院が一時閉鎖になることを受けて、「英国の友人から、助けが欲しいという手紙を受け取りました。このような時期に大変申し訳ありませんが、大恩ある人の頼みを断る訳にも行きません」と、トランク一つの身軽な姿で英国へ渡っていきます。