スレッドC 女学生探索者
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このスレッドは女学生の父親、天文台に勤める教授が再び彗星(グロス)を発見し、職員に影響を及ぼしていることを知ることになります。
このスレッド自体は各スレッドを起動させる為のものであり、あまりボリュームを持っていません。
早い段階で各スレッドを起動させるのも重要ですが、このスレッド自体の進行を行なうことも忘れないようにしてください。
- 引越しの話(スレッドの起動部)
- 桜嶺女学院へ赴く
- 謎の彗星、再び発見さる
- 浅草区、英を訪ねる
- 再び、天文台を訪ねる
- 出仕した英
- 『ネメシス』の動向
- スレッドの終了後
引越しの話(スレッドの起動部)
珍しく家族揃っての朝食の場において、女学生探索者の父親である天文学者の教授がその場に居る全員に話します。
(シナリオが想定する女学生探索者の家庭はかなりリベラルです。厳格な古式ゆかしい父親ではなく、学者でありながら、半ばサラリーマン化しており、家庭内での権威を振りかざさない父親です)
教授の職場である東京天文台が麻布区内より三鷹村へと本格的に移転が始まっており、業務の大半を現地で行なう状態となっています。これに伴い、通勤に掛かる時間が3倍にもなっています(現在、女学生探索者の家は麹町区飯田町にあり、麻布の天文台までなら車で30分程度のところが、三鷹村へ行くには1時間半は掛かります)。
この為、教授は三鷹村方面、少なくとも通勤時間が半分になる新宿以西へと家族揃って引っ越すか、あるいは自身だけ半ば単身赴任として三鷹村へと住み込むかと二つの候補を挙げて聞いてきます。
今すぐに決定する話ではありませんが、教授は女学生探索者をはじめ家族に考えておいてくれ、と告げます。
また、これによって女学生探索者が通学に使う以外、車を使用するのは制限を受けることを告げておいてください(とは言っても、現在、桜嶺女学院は夏休み中なので、通学に車はないのですが)。
桜嶺女学院へ赴く
「桜嶺女学院スレッド」へ続きます。
謎の彗星、再び発見さる
女学生探索者が自宅に居ると、教授が複雑な顔をして仕事から帰ってきます。
声を掛ければ「なんでもない」と返しますが、《心理学》に成功すればひどく動揺していることに気が付きます。また、《精神分析》に成功した場合は何故かまた神経をすり減らしている(正気度が減少している)ことに気が付きます(単に憔悴していることには、ロールの必要なく気が付いてもよいでしょう)。
ここで女学生探索者の言動、あるいは《説得》、《言いくるめ》、《心理学》によって教授は語ります。
「まただ。また、あの彗星が発見された。
今度は、例の装置も無いのに、だ。その彗星を探していたわけでもないのに、全く関係が無い観測によって発見された。
前の観測からは全くかけ離れた、ありえない位置で。前とは違い、今のところは普通に観測で追えている。
だが、発見した所員は、『音楽が聞こえる』と訳の分からないことを言って体調を崩して休んでいるし、長時間観測した所員も同じようなことを訴えている。
我々は、何を相手にしているというのだ」
《天文学》に成功した場合、教授の語る内容の重大さに気が付き、1/1D2の正気度を喪失します。そして、《クトゥルフ神話》に成功した場合はそれがまたグロスであることに気が付き、失敗した場合でも「天球賛歌事件」で観測されたものと同一であることを直感します。
語り終えた教授は疲れた様子で自室へと引き上げていきます。
翌朝、相変わらず疲れた様子ではありますが教授は再び天文台へと出仕していきます。
その際、「山本のようなことにならなければよいが」と呟き、「そういえば、英(はなぶさ)君とは顔見知りだったかな。私の代わりに見舞いに行ってくれないか」と言われます。
英と知り合いかどうかは探索者がキーパーと相談して決めてください(天文台を案内された際や、職員はよく女学生探索者の家にも出入りしているので、そこで知っていることにするとよいでしょう)。
見舞いに行くことには基本的に拒否権はありません。拒否した場合でも、教授の代理として見舞いに行ってくるように言い含められます。
浅草区の英の住所を教えてもらえ、見舞い品を購入する名目でいくらかの現金(キーパーの判断で、額を決めてください。見舞いだけでなく、足代や駄賃も含まれている額がよいでしょう)を入手します。
浅草区、英を訪ねる
「浅草の猫と音楽と少女達」スレッドに続きます。
再び、天文台を訪ねる
女学生探索者が再び天文台を訪れる場面となります。
今回は特に父親からの招きは無いのですが、わざわざ三鷹村まで姿を見せた探索者達に対して、顔見知りの職員が約束はないけれどと渋りながらも案内をしてくれます(もちろん、キーパーの判断でまた教授から招かれたり、あるいは女学生探索者の方から天文台に行きたいと頼んでも構いません)。
(今回は、前回のように『天球音楽受信機』の音楽が流れているわけでもないので、職員の対応もわりと普通です。忙しいことには違いなので、予定外の対応等には不機嫌ではあります)
案内された観測所には、教授と複数の職員が観測結果をまとめた資料前に、額を寄せ合うようにして意見を交わしています。
「この観測結果は」
「いや、まだ十分な観測では」
「しかし、誤差の範囲内だとしても」
《聞き耳》か、《忍び歩き》で近寄る、あるいは職員であるかのように近付いていけば、この天文学者達の会話の内容は、再び発見された彗星がほぼ間違いなく地球に向かっている、という恐るべき観測結果であると分かります。
《天文学》に成功した場合、この内容を正しく理解してしまい、0/1D6の正気度を失います(天文学的には宇宙を彷徨う天体が地球に衝突する可能性が全く無いわけではないことは知っていますが、一旦観測から消えた天体が再び捉えられ、そして今までの観測を無視する形で一直線に地球に向かってくる可能性が皆無であることは分かります)。
議論をしていた女学生探索者の父親と、その他の職員が探索者達に気が付くと、「どうしてここへ?」と聞かれます。
探索者が上手く誤魔化した場合(《言いくるめ》等)は、納得して「観測や引越し作業の邪魔にならないように」と言い含めて、忙しそうに去っていきます(予定通りの訪問の場合は、ある程度は施設の案内に付き合ってくれます)。
探索者が天体望遠鏡を覗かせてもらった場合、《幸運》に失敗するか、キーパーの判断により、MPを1点消費して次の光景を見ることになります。
望遠鏡の中のそれは、以前よりははっきりと見える赤黒い彗星だった。
相変わらず、ぼんやりしているように見えるはずなのに、何故かそいつの表面には黒髪のようなヒビでびっしりと覆われていることが分かる。
ふと、彗星の表面の海と思われる一部が、急速に陸地に覆われて閉じる。それは、そいつがまるで瞬きをするようにも思えた。
この光景は望遠鏡の中の現実の光景ではなく、白昼夢のようなものです。
すでに何度か『天球音楽』を経験している探索者が、グロスを直接覗いたことによりその口笛と同期してしまったのです。
このグロスの悪夢のような光景を目撃した探索者は、1/1D6の正気度を喪失します。
この後、女学生探索者達は三鷹村に移転し、より立派になり新しくなった施設などを案内されてから、自宅に戻ることになります。
出仕した英
英はその後も、自宅に閉じこもっていたのですが、オペラ座少女歌劇団の少女達が尋ねてきたことをきっかけに、近所住民からも様子を窺うようになり、そしてついには半ば強制されるような形でとりあえず出仕させられます。
そして、いつものように泊りがけで作業を続け、それが1週間にも及ぶとすっかりいつもの調子を取り戻して、前よりも忙しくなってしまいます(1週間、『唄』から遠ざかることにより、その影響からすっかり脱したのです)。
本人もあの気だるさは嘘のように吹き飛び、一体なんだったのかと悩んでいます。
この場面のタイミングにもよりますが、すでに行なっている場合は、前段の「再び、天文台を訪ねる」で英を登場させておくとよいでしょう。
『ネメシス』の動向
天文台で再び発見された彗星は、いつまでも新天体、新彗星と呼ぶのも据わりが悪いと職員達によって「ネメシス」という仮称を与えられます。
それは当初の計算通りに地球に近付いてきており、観測結果と照らし合わせると衝突の可能性が日に日に高まっています。しかし、この動きは当然、在り得ない観測結果が生む、在り得ない計算であることが天文台職員達をさらに戸惑わせています。
本当に地球と衝突するのだとしたら一大事であり、この観測結果を日本だけでなく、世界の各所との天文台と共有し、観測の精度を上げる必要があるほどですが、間違いであった場合は大恥をかくような内容である為に、それを実行するべきか天文台では上層部での妙な暗闘が続く日々となっています。
これには女学生探索者の父親の教授も巻き込まれており、ネメシスの問題とは別に頭を悩ませるものとなっています。
探索者が教授や、天文台関係者と接触した場合は、彼らが非常に悩んでおり、そして単純な天文学的な問題ではなく政治的な問題まで絡んでいることがさらに心労となっていることを伝えてください。
また、ネメシスを観測していた職員の中にはひどい酩酊感を覚えることもあり、その観測を嫌がるものも出ています。
しかし、前の『天球音楽受信機』のように不快な音楽が流れるわけでもなく、職員によってはあまり影響を受けていないものもあり、ネメシスの観測は半ば定常業務として続けられています。
女学生探索者などが教授と話す機会が出来た場合は、以下のように語ります。
「あの天体を覗いていると、覗き返されているという錯覚を覚えるそうだ。
それだけじゃない、何か、音楽が、口笛のようなものが聞こえてくる。まるでそれは深海の番の鯨の歌う声であったり、緋色の不協和音…、何を言っているんだ、私は。
あれを覗くことで、今の我々の技術では捉えられない何かを見ているのではないだろうか。
…ああ、これでは山本の言っていたエーテル理論よりもひどいな。ネメシスから何かが放射されているのだとしたら、それはエーテルではない、もっと具体的なものであるはずだ。
光波がなんらかの影響を…、振動波、いや物理的なものではないな…、電気、電磁波の類か。いや、どうなのだろう…。
それを捉えて、解析できれば…」
ぶつぶつと呟きながら、教授は思考の渦へと埋没します。
しばらくしてはっと気が付くと、探索者に向かって、「ああ、すまない。考え込んでしまったようだ」と謝ります。
教授のこの発想は電波天文学の走りと言えますが、機材の不足、電波、電磁波に対する研究の不足などから、この時代では有効な観測を行なうことは出来ません。
しかし、この新たな考えは天文台を沸かせ、活気付かせて、陰鬱な空気を振り払います。
(そして、教授はまったく家に帰ってこなくなり、三鷹村にちょっとした家を借りてそこを仮の宿とするようになります)
スレッドの終了後
天文台も震災とは無関係とまでは行きませんが、大きな被害は受けていません。これによって、麻布からの引越しが加速します。
しかし、震災後にはネメシスは観測できなくなり、また前と同じようにその痕跡する発見できなくなります。
結果、教授の提案したネメシスが放射していると思われる電波の観測の計画は中途で放棄され、その成果はやはり無に帰します。
今回は天文台においての被害は無く、ネメシスも観測できなくなることでその影響を受ける職員も居なくなる為に、震災後、そういった怪現象があった、という天文台の怪談を残して事件は収束します。
震災後、女学生探索者の自宅がその被害の程度がどれほどであったかはキーパーと相談して決めてください。
その結果、三鷹や池袋の辺りに引っ越したなどとしてもよいでしょう。スレッド冒頭の引越しの相談の結果をシナリオの終了後までに決定してください。