天地交響曲 スレッドF シャンの首魁、元子


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スレッドF シャンの首魁、元子

 前回のシナリオにおいて、協力したとは言え怪しい元子を調査するのがこのスレッドとなります。
 元子は忙しく帝都を飛び回っており、それを追跡、調査することによって彼女が異常を通り越す何か、すなわちシャンの元締めであり、単なる華族の名門の問題のある人物ではないことに気が付きます。
 北多摩で彼女らの一族の神殿を目撃するとともに、彼女の本来の目的、神殿=シャンの宇宙船を再び外宇宙へと送り出すことを知ることになります。

キーパーへ:
 このスレッドは基本的に探索者が受身の場合に発生するものと、具体的な探索箇所が多くなっています。
 探索者の判断で元子に接触したり、あるいは元子を社会的に攻撃して失墜させることなども考える可能性があります。
 キーパーは柔軟にスレッドを運用して、探索者の考えや選択、行動に対応してください。

 元子を社会的に失墜、抹殺した場合、彼女に憑いているシャンは元子を捨てる可能性もあります。
 これらの展開はあまりにも広範に渡る為、シナリオのカバーの範囲外としますが、それはそれで面白い展開かと思います(複数人の元子に憑かれた人物が、失墜させた探索者達を入れ替わり立ち代り攻撃する、とか)。
  1. 元子の調査(スレッドの起動部)
  2. 元子の身辺
  3. 元子、綾を探す
  4. 元子の追跡、南千住、春子派を粛清する
  5. 子の追跡、北多摩の別邸
  6. 円錐の塔、神殿
  7. 円錐塔の内部
  8. スレッドの終了後

元子の調査(スレッドの起動部)

 前回のシナリオの結末にもよりますが、このキャンペーンシナリオがここまで到達している時点で、黒澄綾に協力し、何かと暗躍している毛利三姉妹について探偵探索者や、その他の探索者が調査を行なおうとした場合にこのスレッドは起動します。
(キーパーによっては導入部として、探索者達にすでに毛利三姉妹の調査を開始している、としてもよいでしょう)

 特にロールの必要はありませんが、探索者の立場や職業によって、簡単な調査で下記の情報を手に入れることができます。

華族などの上流階級に所属している場合(華族などのディレッタント系統の場合):
 毛利の家名が示す通り、華族の名門の末裔である(直系ではない)。
 本拠地は中国地方にあり、政財界両方に大きな影響を持っていると言われている。
 一度は他家に嫁いだものの、その生来の奔放さや、一般に噂になるほどの音楽狂であることなどから離婚、実家に戻っている。
 20代後半と若いものの、毛利家の前当主であった父親は引退しており(一説には引退させられたとも)、毛利家の実質的な当主である。

ゴシップなどに詳しい場合(新聞記者や、雑誌編集者など):
 いわゆる新しい女、先進的、先鋭的な女性であり、常に洋装、車を乗り回す、おおっぴらに酒を飲む、自邸に多数の客を招いて(享楽的な)パーティを開くなど、素行不良、社交界を賑わせることが多い。
 音楽に対して偏執的なこだわりを持っており、自身で楽団を組織しようしたこともあるがそれは事業としては失敗している。ただ、その後はいかにもディレッタントらしいパトロンとして浅草や様々な劇場、劇団に資金を提供している。
 いろいろと黒い噂も多いがどれも不確定情報で、単なるゴシップの類である。

音楽関係に造詣が深い、関わりがある場合(女学生探索者や、《芸術:(音楽に関連するもの)》を持つ探索者):
 楽団や劇団、芸術家、音楽家など、団体、個人を問わずに資金を提供している。
 自身はチェロを演奏することがあり、玄人はだしの腕だとも言われているが、本人はあまり人前で演奏することを好まない。
 楽器を自作することもあり、専属の職人を抱えていることでも有名で、青山の辺りに楽器工房がある。
 一時、楽団を組織したこともあったが、解散している。最近の噂では、天才的な才能を持つ音楽家を囲っているとのこと。

元子の身辺

 毛利邸は赤坂区にありますが、近隣の華族の屋敷に比べかなり小ぢんまりとしたものです。
 派手好き、資産家の噂に関わらず屋敷が小さいのは、毛利家は帝都の各所に分散して屋敷を持っており、本来の屋敷は地元の中国地方にある為です。
 彼女は噂の通り、自身が運転するベルリエVE型を乗り回して帝都内を移動しています(この)。
 ある程度彼女の行動を観察していれば、ベルリエVE型で外出する時は公然たる行動、人に見られても問題ない場合で、公用や、人に見られては困る、秘密の行動の場合はルノーDJ型で人に運転させて外出します。彼女は普段は洋装ですが、ルノーDJ型で外出する場合の多くは和装をしています。
 元子がベルリエVE型で行動する場合は、特に《追跡》や、車での《運転》のロールは必要ありませんが(彼女は行動を隠していないので)、探索者の行動が気付かれたくない場合は《隠れる》、《運転》、《忍び歩き》等のロールを要求してもよいでしょう。

 元子の行動を調査した場合、以下のことが分かります。
(これらの行動については、探索者が直接調査することも可能ですが、探索の時間が限られていることや、様々な探索が絡んでくることを考慮して、人を使っての調査も可能としてもよいでしょう。
 また、それによってキーパーは探索者の行動の時期をある程度制御できることを頭に入れてください。
 キーパーのやることが多すぎるシナリオなので、キーパーの手間も考えて探索者が直接調査しなくとも、手に入ってもよい情報を検討してください)

・ベルリエVE型での行き先
 浅草公園の近くの別邸(浅草、芸能関連の用事の場合が多い)
 代々木の別邸(華族や、政府関係者との非公式の会合)
 神田の別邸(華族以外の様々な人間と会うのに使う)
 宮城近くの華族会館(華族としての会合等、あまり重要でないものの場合)
 銀座、新橋等の盛り場(主に遊びに出て行く場所)
(帝都外縁部)(毛利家の楽器工房がある)

・ルノーDJ型での行き先
 桜田門、霞ヶ関方面(政府関係者との会合等、公式、非公式は問わず)
 恵比寿の別邸(華族同士の会合で重要なものの場合)
 南千住の辺り(華族以外の様々な人間と会うのに使う、主に非公式、非合法)
 東京市外、王子、飛鳥山の辺り(渋沢栄一邸、帝都改造計画関連の為)
 新宿の盛り場(おそらく遊びに行く場所)
 東京市外、北多摩の別邸(一人で行動)

 元子の行動を追跡すれば、彼女が華族、実業家、そして遊び人として身分を問わず、様々な人間と忙しく交流していることが分かります。
 中には非合法の活動を行なっているものや、犯罪者なども含まれています。
 これらは毛利家の勢力拡大の為であると同時に、シャンの趣味である人間の精神の研究でもあります。元子の行動範囲内では常に何らかの犯罪か、それに近いような行為が発生しており、そして精神に異常を来たしているか、犯罪行為に走っている人間が見られますが、元子自身はそれには直接関わっていません。
(彼女の憑くシャンや、一族のシャンがこれらの行為を起こしているのですが、当然、人間としては認識できるものではありません)

元子、綾を探す

 どこかのタイミング、例えば尾行に失敗して見付かるとか、たまたま同じ場所に居合わせる、彼女の車が通り掛かるところに居るなどの探偵探索者と元子が顔を合わせた場合、彼女は「黒澄綾の居場所を知らないかしら?」と問いかけます。
 元子は、黒澄綾が最近姿を消したことをざっくりと探索者に打ち明けます。そして、その居場所を知っていたら教えて欲しいと言います。
 元子は探索者が知らないと答えた場合は、「そう、じゃあ、探してもらえるかしら」と当然のように命令(依頼)してきます。
 依頼を受けた場合、黒澄綾を元子に引き渡した場合は2000円、発見に繋がるような情報の場合でも100円の報酬を約束します。
 探索者が忙しいことなどを理由に断った場合、「まあ、いいわ。もしも何か情報を掴んだら教えて頂戴」と言い残して去っていきます。

 元子は探索者を信用していませんが軽く見ている為、ある程度自身の事情を打ち明けても問題ないと判断しています。
 元子の依頼を受けるかどうかはともかく、彼女に黒澄綾を売った場合、綾は元子の手に落ち、シナリオの展開が大きく異なるようになります。

元子の追跡、南千住、春子派を粛清する

『魔王の弟子達』スレッドの「元子の追跡、南千住、春子派を粛清する」となります。

元子の追跡、北多摩の別邸

 東京市外、北多摩にある毛利家の別邸は、一見するとただの雑木林の中に存在するこじんまりとしたものです。
 現地で探索者が調査した場合、特にロールの必要なくその別邸のある森を含めた辺り一帯を帝都のさる華族様が買い取っており、ほとんど手入れのされていないにも関わらず、私有地であることが分かります。
 また、元子の行動についても田舎道を元子のものと思われるルノーDJ型が月に一度程度訪れるものだったのが、ここ最近は3日に1回程度と頻繁になっていると教えられます。

 探索者が森に踏み込んだ場合、特に目印も無く、道も無いため、屋敷に行くには元子の車の跡を発見する為に《追跡》か、《ナビゲート》が必要になります。失敗しても屋敷にたどり着けないだけで迷って遭難するようなことはありません(そこまで深い森ではありませんが、十分に迷う可能性がある広さを持っています)。
 屋敷にたどり着くと、それはいかにも急造された印象を与える屋敷で華族の別邸らしくもない、こぢんまりした印象を与える建物です。こんな何も無い田舎に何故かぽつんと洋風の小さな館が建っており、森の中で切れ切れに見え、まるで浮かび上がるようにその姿を現します。

 屋敷の周りの森には、シャン達の例に漏れず、ザイクロトルからの怪物を配置しており屋敷の護衛に使っています。
 シャンでないか、元子の許可が無い状態で、森に踏み込み、毛利家の別邸に近づいた場合、このザイクロトルからの怪物が無条件に襲い掛かります。
 探索者が毛利家の別邸に近づいた場合、探索者が無警戒でザイクロトルからの怪物の《忍び歩き》が成功した場合は《聞き耳》、失敗した場合は自動で下記の描写を行なってください。
 探索者が《聞き耳》に失敗した場合、不意打ちで戦闘が始まることになります(ザイクロトルからの怪物は非常にパワフルです。キーパーの判断によっては、無条件にザイクロトルからの怪物に気が付いてもよいでしょう)。

 金属のような灰色をした樹が動いた。
 そいつは樹ではなかったのだ。高さは5メートルばかりのそれは幹が地面井近いところで二つの円筒に分かれ、さらにそれが六つの平たい円盤になっており、それを不器用に動かしながら近寄ってくる。
 非常に太い円筒状の枝をまるで腕であるかのように伸ばしながら掴みかかってきたそいつの幹の上には、人の顔にも思えるものの目鼻も口もないのっぺらぼうの卵のようなものがついていた。
 屈みこんできたそいつの頂点にはぽっかりと大きな穴が、おそらく口のようなものが開いていた。

 ザイクロトルからの怪物を目撃した場合、0/1D6の正気度を喪失します。
 ザイクロトルの怪物は自動的に探索者に襲い掛かってきます。

ザイクロトルからの怪物
STR 51 CON 35 SIZ 44 INT 7 DEX 14 POW 10 DB+5D6 耐久力 40
武器:
 触手 50%、2D6+1D3+組み付き
 丸呑み 組み付いている場合、自動的に成功する、その後1Rに5D6のダメージ
装甲:
 8点の皮
技能:
 隠れる(森) 35%、忍び歩き(森) 35%

 ザイクロトルからの怪物は物理的には非常にパワフルです。この怪物は屋敷の護衛を任されていますが、同時に屋敷に踏み入ることを禁じられています。この為、屋敷に入った探索者を追ってくることはありません。キーパーは明らかに物理的には非常に強力なので、逃げた方がよいだろうことを仄めかしてください。

北多摩、毛利の別邸
 探索者が屋敷のホールに逃げ込んだ場合、下記の描写を行なってください。

 玄関ホールと言うには、そこは広すぎる。屋敷の大半はこのホールが占めているようだ。
 ホールは雑然としており、何かしらの機械や、作りかけの機械類、おそらくその材料や工具が多数置かれていた。だが、何よりも目立つのはその中央に高さ9メートルあまりの円錐の金属の塔が聳え立っていることだ。
 塔自体はつやのない金属で、想像を絶する力や温度に耐えてきたかのようにへこむ、傷だらけだった。
 灰色のその表面に浮き彫りで、おそらく5つの種族の歴史が描かれていた。最も頻繁に登場するのは昆虫に似た種族であり、何か円筒形に似た器具を巧みに操り、他の種族を、おそらく、分解しているように思える。
 そして、外で遭遇した頭部が卵そっくりの無貌の種族は奴隷であり、比較的力の劣る昆虫族の労働に従事させられているようだった。
 背景には二つの太陽が描かれており、驚くほど写実的で点を摩する塔門や、不気味にとがった丸屋根の群れがしきりに遠景に使われていた。
 おおざっぱな彫刻である為に、題材の身の毛もよだつような細部はよく理解できないのが幸いだった。

 このシャンの神殿、奇怪な円錐塔を目撃した探索者は0/1D2の正気度を喪失する可能性があります。
 さらにこの塔の裏側には円形に突き出した跳ね上げ戸があり、円錐塔の内部へと踏み込むことが可能であることが示唆されます。
 この跳ね上げ戸は現在は、開かないことにしてもよいでしょう(何しろ、神殿の最深部まで踏み込んだ場合、ザーダ=ホーグラを目撃することになります)。

 屋敷のホールの天井は非常に高く、外から見た印象では3階建てに近いのですが、実際は大きなホールとそれに隣接する3部屋だけで構成された建物です。それぞれの部屋はかなり大きく、広い為、屋敷の部屋数は非常に少なくなっています。
 もしも、探索者が地下室があるのではないかと調査した場合は、特にそれらしいものは発見できませんが、この屋敷には地下室は無いが地下に何かが埋まっている可能性があることを示唆してください。

 帰りももちろんザイクロトルからの怪物に襲われる可能性はあります。ただし、彼らは屋敷に入った後の探索者を見張っている訳ではないので、《隠れる》に対抗して《目星》に成功すればどこに潜んでいるかを見破ることが出来ます(そもそも、怪物が《隠れる》に失敗する可能性も十分ありますが)。

 ホールに隣接する部屋の詳細は以下の通りです。

・応接のような部屋
 一応は作ったような印象でほとんど使われた形跡がありません。手入れも適当であり、埃があちこちに積もっています。
 特にロールの必要なく、ソファなどに埃が少ないことなどから、ここは寝泊りにも使われているのではないかと分かります。
 この部屋はシャン達が人間用の待機場所として作ったようなものですが、人間を待機させておくことも少ない為、ほとんど使われていません。

 元子を追跡して屋敷の中へ入った場合、この部屋には抜け殻のようになって放心した状態の元子がソファに座り込んでいます。彼女に憑いているシャンは元子から離れて、光合成の為に神殿の中へと入っているのです。
 元子はすでに正気度が0の状態です。この為、探索者の《精神分析》では元に戻ることはありません(長い時間を掛けた治療が必要です)。
 様子がおかしい元子に探索者が話しかけた場合、茫洋とした視線を探索者に彷徨わせた後、不意にその目に光が戻り常の元子と同じように「何故ここに居る?」と問いかけますが、そのまま、元子は探索者を捕らえるなり、殺すなり、口を封じる行動に出ます(直接の戦闘では、ザイクロトルからの怪物を呼び寄せて探索者に襲わせます)。
 彼女はシャンと記憶を完全に共有しており、ほぼ一体化しています。この為、シャンが抜けた後はしばらく放心状態となりますが、何かショックがあれば元に戻り、シャンがするであろう行動と同じ、要するに全く普通の状態で行動します。
 探索者が彼女を刺激しなかった場合は、特に何も反応はありません。大きな音を立てたり、気を引くような行動をしなければ、部屋の中を見て回ることもできます(部屋の中には特に気を引くようなものはありませんが)。

・食堂のような部屋
 この部屋はシャンたちの悪趣味な拷問部屋であると同時に、実験室です。
 食堂を改造したまるで実験室のような印象を与える、不快な饐えた臭いの漂う部屋です。
 中央に大きな裸のベッドのようにも思える作業台のようなものが設置してあり、様々な機材が設置されているとともに、ロッカーのような無機質な物入れが部屋の壁際に並んでいます。
 実験室で《アイデア》に成功するか、部屋をじっくり観察した場合、印象は実験室であるもののその実は拷問部屋であることに気が付きます。漂う饐えた臭いは血液の錆びた臭いであり、そしてあちこちに跳ね飛んでいる黒ずみももちろん血液や、それに類するものです。
 この部屋では特に《目星》等の必要なく、部屋にあるロッカーの中を探れば使い込まれた拷問器具の類が多数出てきます。また、前回の『帝都狂想曲』で見たような奇妙な装置が多数置かれています。
 これらの装置の用途は探索者には分かりませんが、円錐塔の彫刻を見ている場合で《アイデア》に成功すれば、これはおそらく例の昆虫族が使用するもので人間用のインターフェースを備えていないのではないかということに気が付きます。

・書庫
 高い天井まで届く作り付けの書棚が等間隔に並べられており、蔵書は数知れません。こちらもあまり使われていないようで、埃が積もっています。
 蔵書を調べた場合、そこには様々な言語の様々なジャンルの本が置かれていることが分かります。
《図書館》に成功した場合は、さらにその中に魔術、オカルトの関連の本、いわゆる春画の類の本、そして犯罪、拷問や殺害方法の研究書などが多く占めていることに気が付きます。
 書棚の一角に鍵付きの棚があり、その中には特に古く、貴重な書物が収められています。多くはただのオカルトなどの本(とは言っても、かなりの稀覯本も多い)ですが、音楽に関する貴重な古い書物や、『グラーキの黙示録』全9巻、『ミサ・ジ・レクイエム・ペル・シュジャイ』、『黄衣の王』、『アザトース、その他の恐怖』等が収められています。
『グラーキの黙示録』の一揃いの隣には、明らかに何らかの書物が収められていた形跡が分かります。

円錐の塔、神殿

 シャンの宇宙船、彼らが神殿と呼ぶものは地球にテレポートしてきたときに座標を誤ったのか、ほとんどの部分が地中に埋まっています。また、地球の大気のなにかしらの成分が宇宙船の動作に影響しており、再びテレポートによる移動が出来なくなっています。
 シャン達は仕方なく神殿をそのままに活動を開始したのですが、人里に近いこともあり憑依した毛利家の人間を使って神殿のある土地を買い取り、さらに神殿を覆い隠すように屋敷を建てて、外から神殿が見えないようにしてしまいました。
 今、神殿はシャン達が光合成の為か、隆子等の神官の立場にある者たちが神殿の最深部にある落とし扉の向うにあるザエダ=ホーグラに礼拝する為に戻ってくる程度になっています。
 この神殿を使用していたシャンの一族(つまり、毛利元子に憑いている一族)は、かなり衰退しており個体数も減っています。この為、神殿を拠点に活動しているのではなく全てのシャンが何らかの人間(そのほとんどが毛利家に縁のある)に憑依して活動を行なっているのです。

 シャン達が黒澄綾を『神殿の奏者』と呼ぶのは、綾が神殿を楽器の一つと見立てており、調律し、正しい音楽を奏でさせようとしているからです。
 元子に憑依している一族を主導するシャンは、神殿がテレポートできなくなったのは神殿に奉げられる音楽が正しく奏でられなくなったからだと考えており、綾によって音楽が矯正されれば再び移動が可能になると考えています。
 しかし、隆子に憑依している神官であるシャンは黒澄綾が正しい音楽を奏でるということはすなわち、シャンが音楽を奏でる究極の目的である、アザトースそのものを再現することであると考えています。
 今、この神殿と周辺は黒澄綾の音楽を奏でる準備中です。

 現時点では跳ね上げ戸は開かず、円錐の塔の中には入れない、とした方がよいでしょう。

円錐塔の内部

 円錐塔の内部に踏み入った場合、跳ね上げ戸から少し下りの通路を進んだ後、通路に対して対角線状の構造を持った、上下に移動する螺旋構造を持つ通路に合流します。
 この通路に沿って上に行った場合、通路の螺旋は徐々に狭くなっていき、円錐塔の尖塔部分へ近付いており、下へ向かった場合、通路は逆に徐々に広くなり、円錐塔の下層、地下に沈んでいる部分へ向かっていることが分かります。

円錐塔の内部

・上部構造
 円錐塔の上部はシャン達の居住区であり、光合成の為のベッドです。すでにシャンは出払っており、丸窓を通して外が見えることや、奇妙な緑色の光に満たされた半円形のベッドを見ることになります。

・下ヘ向かう通路の途中
 通路の途中から異様な浮き彫りが始まっています。
 それは円錐塔の外壁に刻まれているものと同質のもので詳細に調べた場合、どうやらこの円錐塔の持ち主、つまりシャン達が神殿の内部で行なっている祭祀の記録であることが分かり、0/1D3の正気度を喪失します。

・実験、あるいは拷問室
 両側に格子をはめた扉が並んでいる通路です。この格子の中にはザイクロトルからの怪物が閉じ込められており、探索者が通路を進もうとすると格子に体当たりをする、触手を伸ばしてくるなどの威嚇をしてきます。それによって、特にダメージを受けることはありませんが、ザイクロトルからの怪物を目撃することになる為、0/1D6の正気度を喪失します。

・標本室
 シャン達が放浪の最中に採取した様々な種族の標本が飾ってある部屋です。
 この部屋には、骨ばった三本の腕を持つ人間に似た種族や、先端が蛙のヒレのようなっている四肢を持つ種族、人間とほぼ変わりが無いにも関わらず口が異様な位置にある種族など、様々なものが置かれています。
 この部屋を通り抜ける場合、《幸運》を行なってください。成功した場合は、特に大きなショックを受けるようなものは目に入らなかった為に、正気度ロールは要求されません。失敗した場合、運悪く標本の中でもショックの大きいものを目撃してしまい、1/1D4+1の正気度を喪失します(仔細に調べた場合は、自動的に正気度を喪失します)。

・神殿
 円錐塔の最下部にある神殿の戸は、開け放たれており、そこにはザエダ=グラーの彫像が飾られています。以下の描写を行なってください。

 その彫像は、彫像であるというのに目を背けたくなるようなリアルさを持って迫ってくる。
 それは基本的には何対ものしなやかな脚に支えられた二枚貝だった。
 半ば開いた貝殻から、先端にポリプ状の付属物がついた節のある円筒形のものが数本のびている。貝殻の内側の闇の中から、深く窪んだ目を持ち、ぬめぬめと光る黒髪に覆われた身の毛のよだつほど残忍な、口の無い顔を見たような気がした。

 ザエダ=グラーの彫像を見た場合、1D10/5D10の1/10の正気度を喪失します。
 そして、その先からは小波の様な音と、音楽が溢れており、神殿の中に閉じた三角戸の前を目撃します。《ナビゲート》か、《アイデア》に成功した場合、この三角戸は円錐塔最下部の中央部に位置しており、炉心のようなものだということに気が付きます。
 しかし、現在、三角戸はまるで継ぎ目が無いようにぴったりと閉じており、どのような手段を持ってしても開ける事は出来ません。

スレッドの終了後

 このスレッド自体には終了後は存在しません。
 元子とは、リンケージ「仮面舞踏会」か、終幕部において決着を付ける事になります。