0日目:稲葉の怪死
稲葉の怪死は初日=月曜日に発生しています。
この日、稲葉の怪死の発見の後、雪子は気絶したまま寮へ戻され、そのまま意識を取り戻すことはありません。
(一応、《医学》、《応急手当》のロールに成功すれば、意識を取り戻させることはできますが、混乱したままの状態で意識を取り戻し、
暴れて騒いで、再度意識を失います)
1日目:シャンを目撃する重子
次の日、雪子は学校に出てきていません。火曜日に寮に様子を見に行くと、舎監である真田が雪子の部屋へ案内をします。
この時、真田は雪子宛に郵便を手に持って、一緒に雪子の部屋へ行きます(差出人不明のぶ厚い封筒と、オペラ座館からのテストの通知の葉書です)。
真田は、雪子の部屋は二人部屋ですが、雪子のことを考えて、昨日は相部屋の生徒を他の空き部屋に移していましたが、今日からは戻す予定だと言います(相部屋の生徒は、竹中重子と言い、雪子とは同学年です)。
真田は雪子の部屋まで案内し、郵便をその傍らに置くと、探索者達の面会に立ち会います(真田に外してもらう事は不可能です)。あまりにも無体、無礼、あるいは無理を雪子にしようとした場合、即座に真田は止めに入り、「病人に何を考えているのですか。お帰りなさい」と追い出します。
雪子は気絶から回復していますが、茫然自失の状態です。
探索者達の質問や、その他の普通の会話もできません。
郵便物はもちろん、稲葉の楽譜です。探索者達が中を見せて欲しい等言う可能性はありますが、私信である為、「そんなことはできません」、と真田は言います。
彼女も昔は探索者である為、その辺りは察してくれますが、その事情を説明しても、「残念ながら、その確証が無ければ見せられません。開けてみて、『そら、当たった』というのは駄目です」と言い、頑として言うことを聞きません
(彼女の使命は雪子を守ることであり、探索者達の事情は関係ないのです)。
女学生PCが帰った後、雪子は我に返って、楽譜を読み耽り、そしてその練習を開始します。
その演奏はまだ不完全で、また時間的にも完全に奏でることはできていません。その為、単に遅い時間の騒音に過ぎず、
寮では単にはた迷惑なだけ、ということになります。
しかし、雪子はこの演奏で頭痛と羽音、恐怖を覚えます。そして、手紙を出し、この後、シャンによってまた手紙を出します
(当時はなんと夜の8時まで手紙が回収されていたようです(かわりに日に3回とか))。
同室に戻った竹中重子はその奇妙な演奏に驚き恐怖するだけでなく、演奏によって羽音を聞くとともに、雪子の頭の周辺で踊るシャンを目撃してしまいます。
2日目:『大地返歌』を奏でる雪子
この日も雪子は学校へ出てきていません。
女学生PCが学校へ出ると、寮での雪子の奇怪な演奏の噂があります(出所は重子だけではない為、判然としません。噂の内容も単に「雪子が奇怪な演奏をしている」というだけです)。
そんな中、重子が女学生PCを尋ねてきます。
重子は混乱した様子で、昨夜の寮での出来事を話します。そして、話せば話すほど、自分の言葉に恐怖して行きます。
「昨日の夜のことです。雪子さんが、例の、音楽の練習を始めました。
「最初はよくあるようなオペラの音楽、いかにも雪子さんの好きそうなものでした。でも、後になればなるほど、その音楽は、恐ろしく感じるようになって・・・。
「そして、そして、最後の方、雪子さんの、雪子さんの頭に、大きな蝿みたいな!」
「あの音楽!」
この後、重子から話を聞くことはできません。混乱した重子は、教師に連れられて医務室へ行きます(寮へ戻ることを示唆されますが、激しく拒否します)。
一旦、女学生PCが家に帰ると、二通の手紙が来ています。
→ハンドアウト:雪子からの手紙2
→ハンドアウト:雪子からの手紙3
再度、寮にいる雪子を訪ねると、雪子はどこか茫洋としており、まともな会話は可能な状態ではありません。
このときも、真田は立会いを要求します。もしもこっそり会いに来た場合は、《忍び歩き》と真田の《聞き耳》の対抗ロールになります。
発見されても立会いを要求されるだけですが、もちろん、真田への印象は悪くなります。
「ああ、頭が痛い」
「羽音が・・・」
探索者達を半ば無視するように、稲葉の楽譜を読み耽っています(楽譜を取り上げても、すでに雪子は暗記しています。ここでは確認をしながらイメージを掴んでいる、という状態です)。
ここで稲葉のことを示唆した場合は、雪子の目に意識が戻り、呻く様に言葉を漏らします。
「ああ、先生は音楽が与える人に与える力、音楽で人を幸せにすることを考えていました。
もう、私には無理なのでしょうか・・・」
雪子はしばらく楽譜を確認すると、探索者には全くお構いなく、そのままフルートを構えると、『大地返歌』の演奏を開始します。
やはり、それは黒澄綾の『天球音楽』を思わせるものであり、オペラ特有の音楽でもあり、そして何よりも頽廃的で俗悪な印象を受けます。
《アイデア》ロールに成功した場合、その音楽にはそれだけではない何かが潜んでいることに気が付きます(それが何であるかは分かりません)。
雪子は演奏に没頭し、機械的に演奏を続けます。その演奏は技量だけならば天才的とも言えるものです。
演奏がクライマックスに達し、一瞬の静寂の後、フルートの独奏部分が始まります。その音楽はフルートの音を越えて荒れ狂い、信じがたい、耐え難い音の奔流となり、その場にいる全員に襲い掛かり、そしてそれは寮全体へ広がっていきます。
この音楽聴いた者は、0/1D4の正気度を失います。また、それは恍惚、狂喜、あるいは狂気を招く音楽で、寮を混乱へと導きます。
ここで《アイデア》か、《聞き耳》のロールに成功すると、その音色に応えて何かが聞こえてくる気がします。
そして、それ以外の何かフルートとも別の音ともなにかさらに別の異質な、ノイズのような羽音が聞こえてきます。
雪子の演奏に狂喜したシャンが、雪子の頭からはみ出ており、それがその奇妙な音の正体なのです。
このシャンを目撃した場合は、0/1D3の正気度を失います(シャンによって正気度を失うのではなく、シャンが雪子に取り付いていることによる正気度の減少です)。
この終わりが見えないような途方も無い演奏が続くなか、ドンが響き、その場にいる全員が正気に戻されます。
探索者達は雪子の演奏を遮ることができます。また、ドンによって正気に戻った舎監の真田や、あるいは寮にいる女学生達によって雪子の演奏を止められます。
この後、雪子はフルートを取り上げられ、半ば軟禁状態となります。
※雪子から取り上げた楽譜はやはり清書されたもので、特にメモ等があるものではありませんが、もしも探索者達が『稲葉の楽譜』を手に入れていなければ、ここで渡してください。
この雪子の演奏を聞いた者は全員、その日の夜に悪夢を見ます。
3日目:嵐前
やはりこの日も雪子は学校へは出てきていません。
寮暮らしの生徒に雪子の様子を聞いても、まるっきり死人のようになってしまい、逆に心配だ、ということが聞けます。
雪子の部屋の近くで、例の音楽の演奏を初めから終わりまで聞いていた生徒は、今日は具合を悪くして学校を休んでいる、という話も聞けます。
雪子はフルートを取り上げられており、特に音楽を奏でることはありませんが、まるで魂が抜けているような状態で、ベッドの上に座り込んだ状態から動くことはありません。
面会に行っても、全く反応を得ることができません。
この日、『黒い男』 との面会を取り付けられなかった場合、夜になると真田から雪子がフルートを持って行方不明になっている、という連絡を受けます。
(終幕、雪子のレビューに進みます)