仏教
仏教は6世紀の頃、欽明天皇の頃に支那(あるいは朝鮮半島)より伝えれたと言われています。
ただ、それよりも前の4、5世紀にもすでに渡来人の私的な宗教としては伝わっていたようです。つまり、欽明天皇の頃に政治的に仏教に
関心が持たれ始めたということです。
この後、有名な蘇我氏と物部氏の仏教受け入れの争いがあり(実際これは単なる領地争いのおまけだったらしいですが)、
蘇我氏が勝利したことにより公的に仏教は認められていきました。
ただし、このときは蘇我氏の私的な仏教であり、神道のいわゆる客人神(まれびとがみ)として、あるいは氏神として迎え入れ
祀ったのでした。
当初、仏教は蘇我氏の氏族仏教だったのですが、蘇我氏の権力が増大する中、用明天皇が仏教を信仰することを表明し、
さらに蘇我馬子が対立していた物部氏を滅ぼすや、馬子は仏教の神威を示すべく、日本最初の本格的な大寺院「法興寺」を建立しました。
これによって各地の豪族達が競って寺を建立し、仏教が急速に広まり、そして推古天皇は「三宝興隆の詔」を発するに至りました。
推古天皇の時代に摂政を務めた聖徳太子の登場により仏教はより一層の浸透を見せ、聖徳太子没後は大化改新を経て氏族仏教から、国家仏教へと
変わっていきます。
次の天武天皇の時代では、聖徳太子の派遣した遣隋使に随行し、支那で仏教を学んだ者達が相次いで帰国しました。
彼らが携えてきたそれぞれの教派が分派、発展し南都六宗と呼ばれる6つの学派へと発展します。
これらの僧達は六宗を学ぶ学僧であるとともに、国家安泰、五穀豊穣を祈る呪術師でもあったと言われています。体系化される前の密教(雑密と呼ばれます)が
すでに奈良時代には伝えられており、これらを使用したと言われています。
また、その一方で民間では説教を行い物を乞い、様々な呪術や神憑りをするなどした私度僧や聖が現れ、山岳信仰や様々な民間信仰の元となっていきます。
桓武天皇の平安遷都後、南都六宗は急速に密教化を見せ、戦国末期まで勢力を保ちました。鎌倉時代に叡尊が真言律宗を興し、
六宗のうち華厳宗、法相宗が復興を見ましたが、度重なる焼き討ちの結果、近世では「名所」の一つとなり、明治に入ると「廃仏毀釈」によって
大打撃を受けました。
□密教
密教は、806年に遣唐使に随行した空海が支那より持ち帰ったとされる仏教です。
密教とは秘密仏教のことであり、インドの大乗仏教の後期、本格的には7世紀にヒンドゥー教神秘主義の影響を強く受けて誕生した、
壮大な儀礼の体系を持つ仏教です。
密教は、身口意を通じて仏尊と交流し、その加護により即身成仏することが目的としています。
日本では大きく、真言密教と天台密教の二系統に分類されていますが、密教思想は様々な宗派に影響を与えています。
なお、申し訳ないですが今回は主に密教系の魔術を掲載し、他の仏教宗派に関しては見送らせていただきます。
ご要望などが多ければ、次回の拡張工事にあたって掲載したいと思います。
また、掲載されている仏尊の数は相当に少ないので、こちらもご要望があれば、追加掲載します。
□密教
■三密
■真言
■印
■大日如来
■薬師如来
□七仏薬師法(薬師如来との接触):Contact Bhaisajyaguru、上級の呪文
■観世音菩薩
■不動明王
□不動明王護摩法(不動明王、及び諸尊との接触):Contact Acala-natha and other gods、上級の呪文
□不動明王火界咒:Eradication、上級の呪文
□不動明王の身代わりの札:Substitution Card、魔法の品物
■大威徳明王
□大威徳法(大威徳明王との接触):Contact Yamantaka、上級の呪文
■金剛夜叉明王
□金剛夜叉明王法(金剛夜叉明王との接触):Contact Vajrayaksa、上級の呪文
□金剛夜叉明王法:Charm、下級の呪文
■降三世明王
□降三世明王法(降三世明王との接触):Contact Trailokyavijaya、上級の呪文
■軍茶利明王
□軍茶利明王法:Contact Kundali、上級の呪文
□軍茶利明王法:Cure Disease、下級の呪文
■烏枢沙摩明王
□烏枢沙摩明王法:Contact Ucchusma、上級の呪文
□変性男子法:Born to be Male、下級の呪文
■孔雀明王
■太元帥明王
■摩利支天
□隠形法:Invisibility、下級の呪文
■帝釈天
■摩多羅神
■土砂加持
□光明真言秘法(土に魔力を付与する):Enchant Sand、下級の呪文
□土砂加持:Sand Charge、下級の呪文
■伊勢白粉
■護法童子
□護法童子法:Summon Guardian Angels、下級の呪文
■本地垂迹
■護摩
■七曜と九執
■聖
■灌頂
□結縁灌頂(秘儀参入):Initiation、下級の呪文(?)
■真言立川流
■呪文について
三密とは仏教の一般的に「三業」と呼ばれます。業は原語を「カルマ」と言い、「行い」を意味しています。
仏教ではこの「カルマ」を「縁起」と言い、様々な行いが未来を決定していくと説かれます。
身の行い、口にする言葉、心の働きを「身口意」の三業と言い、これらの三業を浄化するのが修行の目的なのです。
密教では「三密」とは、すべての根元に存在するという「大日如来」の身口意の働きであると言われます。
これは森羅万象、あらゆる現象として、諸仏、諸尊も大日如来の三密の現れとされます。
また、密教ではさきの「三業」も「三密」であるとされます。なぜなら、密教では即身成仏の教義の通り、仏と衆生は
その本性において一致していると言われるからです。
密教の三密加持とは、手に印を結び(身密)、真言を唱え(口密)、心を仏に向ける(意密)という三つの行により、
加(仏の慈悲)と持(人の信心)が働き、仏と人を相照らすことです。
サンスクリット語、いわゆる梵語で「マントラ」と言い、あるいは陀羅尼、「ダーラニー」と呼ばれます。
音として真理を集約したものであり、本来の梵語で発音されます。
マントラは古代インドでは神々を讃える歌であり、あるいは加護を受けるための呪文でした。
漢訳教典では「神呪」と訳され、マントラそのものが効験を持つように言われ、中国語では「総持」と訳され、
精神を一定の状態に保つことを意味しました。
後期密教、あるいはタントラでは、宇宙は聖音「オーム」より展開したと考えられており、すべてのものは
ある特定の周波数を持った音であると言い、つまり音は形の反映であり、形は音から生まれたものとしています。
サンスクリット語、いわゆる梵語で「ムドラー」と呼ばれます。
様々な仏尊の悟りの内容を、手と指の形や持物で表現したものであり、真理の一面を形として凝縮したもの、
そして手指を結んでそれを表現することを言います。
身密の目的は、修法者が仏尊の力を身に受け、一体化するために印を結ぶのです。
印には様々な種類があり、300種あると言われています。
梵名を遍く照らす(ヴァイローチャナ)に大(マハー)を付け、「マハーヴァイローチャナ」と言います。
摩訶毘盧遮那如と音写され、また意味の遍照如来とも呼ばれます。
「大日経」「金剛頂経」で説かれる、密教の中心の尊格であり、大日如来そのものが仏法の現れであると言われ、また
大日如来からすべてが現出すると言われています。
起源は古代ペルシアのゾロアスター教の光の最高神、アフラマズダと関係があり、その知恵の光が遍く宇宙を照らすと言われています。
その姿には二種あり、「大日経」に基づいた、すべては大日如来に胎蔵する(大日如来から生み出される)ことを表す、
胎蔵界曼陀羅の中心に位置する胎蔵界大日如来と、「金剛頂経」に基づく、金剛の様な固い知徳であるとする、
金剛界曼陀羅の中心の金剛界大日如来です。
本地垂迹思想によれば、大日如来は天照大御神の本地であると言われています。
大日如来の真言は以下の二種があり、双方とも大日如来の神格に相応しく万能の効果を持つと言われています。
「ナウマク・サンマンダボダナン・アビラウンケン」(胎蔵界)
「オン・バザラダド・バン」(金剛界)
梵名を「バイシャジャグル」と言い、「医療の首領(大医王)」の意味です。そのため、医王如来とも呼ばれます。
薬師如来は東方浄瑠璃世界の教主で、正式には薬師瑠璃光如来と言います。
如来がまだ菩薩であったころに衆生を救う十二の大願を説き、衆生の心身両面の病患を救い、衆生の持病とされる無明を
癒す仏ですが、密教では釈迦牟尼仏の現世救済の姿を示すだけでなく、正統のすべての法が薬師如来の顕現であるとされています。
また、「薬師瑠璃光七仏本願功徳経」では七体の薬師如来が説かれ、増益、息災を祈願する修法の本尊とされました。これを一般に七仏薬師と言います。
この七仏薬師は、陰陽道の北斗七星の秘儀と一致していると言われ、天台密教では陰陽道と同じく説かれています。
薬師如来を修する場合に唱えられる代表的な真言は以下の通りです。
「オン・コロコロ・センダリ・マトウギ・ソワカ」
□七仏薬師法(薬師如来との接触):Contact Bhaisajyaguru、上級の呪文
薬師如来の真言を唱え、薬師如来と接触する呪文です。
薬師如来は通常、病平癒、無病息災などの願いしか聞き届けません。薬師如来と接触に成功した場合、薬師如来が術者の願いを聞き届けるかは不明です。
願いが聞き届けられた場合、術者の望む対象は一切の病と傷が癒えます(すべての耐久力が回復し、同時に失われたSTR、CONを取り戻します。また、SANも1D6ポイント回復します)。
ただし、薬師如来に従う薬師十二神将は、調伏の願いなども聞き届け、平安期には調伏のために修されたこともありました。
いわゆる、「観音様」です。正式には観世音菩薩、観自在菩薩と言います。
梵名を「アヴァローキテシュヴァラ」と言い、「アヴァローキテ」=観ると、「イシュヴァラ」=自在の複合語です。
観世音菩薩は勢至菩薩とともに阿弥陀如来を助けていますが、勢至菩薩が主に知的方面で活躍するのに対し、
観世音菩薩は慈悲を司っています。
梵名の意味から、観自在、つまり一切の衆生を観、これを救うことが自在である、と言います。
衆生の声に応え、あらゆるものに救いの手をさしのべる観世音菩薩には、その無限の慈悲に対応した様々な姿があります。
聖観音、十一面観音、馬頭観音、千手観音、不空羂索観音、如意輪観音の六道のそれぞれの苦しみを救う六観音
(あるいは如意輪観音の変わりに准胝観音、あるいは加えて七観音)、観音菩薩が人々を救済する三十三応現身にちなんだ三十三観音など、
実に様々です。
観世音菩薩を修する場合に唱えられる代表的な真言は以下の通りです。
「オン・アロリキヤ・ソワカ」
詳細は、修験道の「不動明王」の項目に譲ります。
ここでは、不動明王の真言を紹介します。
不動明王を修する場合に唱えられる代表的な真言は以下の通りです。
「ナウマク・サンマンダバザラダン・カン」
※以下に紹介する不動明王の呪文は強力すぎます。
そのため、キーパーは基本的に使用不可、あるいはNPC専用であるとしてもかまいません。
□不動明王護摩法(不動明王、及び諸尊との接触):Contact Acala-natha and other gods、上級の呪文
不動明王を修する場合の、最も強力な護摩法です。
この呪文はもっぱら息災のために修されますが、やはり調伏が目的で修されてもおかしくありません。
呪文は様々な作法の後、五段護摩と呼ばれる、火天、部主(降三世)、本尊(不動)、諸尊(如来などの曼陀羅の神々)、
世天(十二天、七曜、二十八宿などの神々)の五段の護摩を修するものです。
この護摩法によって不動明王と接触に成功した場合、不動明王が術者の願いを聞き届けるかは不明です。
□不動明王火界咒:Eradication、上級の呪文
火界咒(金剛手最勝根本大陀羅尼)を唱えれば、一切の魔軍を焼き尽くすと言われています。
この呪文は、術者が火界咒を唱えると共に、1D10のMPと、1D6のPOWを消費することで、あらゆる「魔」を
消滅、あるいは退散させる事ができます。
□不動明王の身代わりの札:Substitution Card、魔法の品物
この札には、不動明王、あるいは不動明王の従者の童子が描かれたもので、事故などにあった場合に身代わりとなって
その身を救ってくれるというものです。
梵名を「ヤマーンタカ」と言い、ヤマを倒すものの意味です。ヤマとは閻魔天のことであり、そのため、「降閻魔尊」とも呼ばれます。
また、六本の足を有することから六足尊とも呼ばれます。
阿弥陀如来が仏法の教えを実行するために憤怒身になったとも、文殊菩薩の化身だとも言われています。
「八大童子法」では、悪龍、魔、怨敵を調伏させるとあり、平安期以降は戦勝祈願に修され、また悪霊を降伏し、悪人、法敵を調伏、あるいは呪殺に用いられました。
これを修すれば、相手は血を吐いて絶命すると言われています。
大威徳明王を修する時に唱えられる真言は以下の通りです。
「オン・キリクシュチリビキリ・タダノウウン・サラバシャトロダシャヤ・サタンバヤサタンバヤ・ソハタソハタソワカ」
□大威徳法(大威徳明王との接触):Contact Yamantaka、上級の呪文
調伏用の護摩壇である三角壇を作り、大威徳明王の真言を一万回唱えます。
接触に成功しても、この神が願いを聞き届けるかは不明です。
この神に願いが聞き届けられた場合、大威徳明王が護摩壇に一瞬姿を現し、その後術者には調伏対象が大威徳明王に責め立てられ、
血を吐く様がビジョンとして送られます。
梵名を「ヴァジュラヤクシャ」と言い、文字通り、金剛の夜叉(薬叉)の意味です。
不空成就如来が憤怒身になったものと言われます。
過去、現在、未来の悪と欲を食い尽くし、速やかに取り除くと言われています。
金剛夜叉明王の修法は五壇法において息災や調伏に用いられ、源平合戦の時にも調伏に修されたと言います。
しかし、金剛夜叉明王を本尊として行われる修法はあらゆる修法の中でも秘法とされ、滅多に修されないばかりか、
どれほど行が進もうとも、40歳を越えるまで伝法が許されなかったと言われています。
金剛夜叉明王を修する場合に唱えらえる真言は以下の通りです。
「オン・ヴァザラヤキシャ・ウン」
□金剛夜叉明王法(金剛夜叉明王との接触):Contact Vajrayaksa、上級の呪文
効果は大威徳法と同じです。
□金剛夜叉明王法:Charm、下級の呪文
この呪文は相手を従順にし、また愛を得たりする場合に効果があります。
金剛夜叉明王の真言を千八十遍唱え、MPを1D10消費することで、APPを使ったすべてのロールに+30%、
説得、信用などの対人系の技能のロールに+20%の修正が加えられます。
この呪文の効果は、1D10時間の間持続します。
梵名を「トライローキャヴィジャヤ」と言い、三つの世界を降伏するものを意味しています。三つの世界とは、過去、現在、未来の三世と、
貪(貪欲)・瞋(怒り)・痴(愚痴)の三つの煩悩のことを指します。そのため、尊名を降三世、あるいは勝三世と訳されるのです。
阿しゅく如来(漢字が出ません・・・)が衆生の教化のために憤怒身になったものと言われていますが、あるいはヒンドゥーのシヴァ神の
化身とも言われています。しかし、降三世明王がその足に踏みしだく大自在天とその妃、烏摩こそシヴァ神とその妃であると言われています。
また、金剛大日如来の化身とも言われています。
また、「ソバニ」とも言われ、こちらも降三世と訳されます。
降三世明王を修する場合に唱えられる代表的な真言は以下の通りです。
「オン・ソンバ・ニソンバ・ウン・バザラ・ウンハッタ」
□降三世明王法(降三世明王との接触):Contact Trailokyavijaya、上級の呪文
降三世明王法には、三つの効果があります。
効果のいずれを選択するにしても、大威徳法と同じように呪文をかける必要がありますが、その前に四十九日間、五穀と塩を断ち、
真言を十万遍唱える必要があります。
このとき、降三世明王が修者を試すために満願の頃に恐ろしい姿で現れます(このとき、修者はSANチェックを行い、1D4/2D10のSANを
失います)。この時、修者が決して恐れず、心を乱さずに真言を続けなければなりません。もし、狂気に襲われるなどして真言を乱した場合、
降三世明王法は自動的に失敗します。
降三世明王法の効果は以下の三つです。
- 対象を呪殺する(大威徳法と同じ効果を得ます)。ただし、一定の時間内であれば、呪殺対象を蘇生することも可能です。
- 対象を重病にする。
- 対象から病を除き、健康にする。
梵名を「クンダリー」と言い、「とぐろを巻くもの」を意味していますが、また梵名を「グンダリ」、こちらは「甘露の容れ物」を意味しています。
そのため、甘露軍茶利とも呼ばれます。
宝生如来が憤怒身となったものであると言われています。
身体の各部に蛇をかたどった装身具を身につけており、その「とぐろ巻くもの」、蛇と密接に関わりのある尊格であります。
タントリズム、クンダリーニ・ヨーガに密接に関わりがあるとされます。
クンダリーニ・ヨーガとは、体に4~7カ所の中心叢(チャクラ)があるとされ、その最下部にあるチャクラより蛇の形の力(クンダリーニ)が
徐々に階梯を上り、頭上の中心叢、千弁の蓮華(サハスラーラ・チャクラ)に達すると至福の境地を得るとものです。
そのため、軍茶利明王は蛇のエネルギーを表すものであると言えます(あるいは、蛇を装飾に必ず使われるのはシヴァ神です)。
あらゆる障碍を取り除くと言われ、特に目に見えない少妖精であると言われる毘奈耶迦をこらしめるとされています。
また、大聖歓喜天に特別な支配力を持つとされています。
軍茶利明王を修する場合に唱えられる代表的な真言は以下の通りです。
「オン・アミリテイ・ウンハッタ」
□軍茶利明王法:Contact Kundali、上級の呪文
効果は大威徳法と同じです。
□軍茶利明王法:Cure Disease、下級の呪文
この呪文は対象から一切の病魔(文字通り、病気をもたらす魔)を祓い、健康にする呪文です。
術者は真言を唱えるとともに対象を加持し、MPを2D10を消費することで、上級の呪文と同じ過程を踏み、
呪文に効果があったか判定されます。
梵名を「ウィッチシュマ」と言い、そのまま漢音写されています。
不浄金剛、穢跡金剛、あるいは火頭金剛と訳され、金剛夜叉明王が主に心の穢れを祓うのに対し、烏枢沙摩明王は物の穢れを祓うと言われています。
そのためか、禅宗では東司(とうす、便所のことです)に多く祀られています。
インドでは「ウィッチシュマ」とは「大音響の徳(?)」を意味し、火神アグニのあだ名として使われることがありました。
そのため、アグニの持つ世の一切の穢れと悪とを焼き尽くす明王としての性格を持っていると言われています。
烏枢沙摩明王を修する場合に唱えられる代表的な真言は以下の通りです。
「オン・シュリマリ・ママリマリ・シュシュリ・ソワカ」
□烏枢沙摩明王法:Contact Ucchusma、上級の呪文
効果は大威徳法と同じですが、他に以下の効果をもたらす事ができます。
- 目標となる二人の仲を悪くさせることができます。
- 目標となる二人の仲を良くさせることができます。
- 金剛夜叉明王法と同じく、病魔を退散させます。
- 枯れ木に花を咲かせることができます。
□変性男子法:Born to be Male、下級の呪文
この呪文の術者は、烏枢沙摩明王の真言で妊婦を加持すると共に、MPを1D10、SANを1D3消費することで
妊婦の胎児を女性から男性に変え、また安産になります。
詳細は、修験道の「孔雀明王」の項目に譲ります。
ここでは、孔雀明王の真言を紹介します。
孔雀明王を修する場合に唱えられる代表的な真言は以下の通りです。
「オン・マユラキ・ランデイ・ソワカ」
梵名を「アータヴァカ」と言い、阿咜薄倶、阿咜縛迦などと漢音写されます。
曠野鬼神と訳され、字義通り、悪鬼羅刹の類であったのですが仏教教化され、五大明王を凌ぐと言われる護国鎮護の明王となりました。
東密では伝統的に「たいげんみょうおう」と呼ばれます。
太元帥明王は鎮護国家、天皇安泰などのために特別に修される最高の大法です。
国家転覆を謀る様な朝敵を調伏するために行われ、有名なところでは平将門の乱、あるいは元寇などで修された言われています。
梵名を「マリーチ」と言い、それがそのまま漢音写されています。
古代インドでは、梵天の子として、みずからの姿を隠し、障害を除いて利益を施す神として民間で信仰されていましたが、
後に仏教に取り入れられ天部に属するようになりました。
漢訳教典などで、その梵名を陽炎、威光と訳されていることから、陽炎を神格化した神であると言われています。
摩利支天に祈れば、他人に知られずに擁護してくれると言われます。
そのためか、平安期以降、護身、論争勝利の神として修され、さらに戦国期では戦勝祈願に、そして近世では角力の必勝祈願の神として
信仰されています。
摩利支天を修する場合に唱えられる代表的な真言は以下の通りです。
「オン・マリシエイ・ソワカ」
□隠形法:Invisibility、下級の呪文
この呪文は術者、あるいは術者の望む一対象を完全に姿を消し、気配を消し、あらゆる痕跡を消す呪文です。
いかなる手段を用いても、隠形法が用いられた対象を発見することも感知することもできません。
この呪文は、摩利支天の真言とともに、MPを1D10消費しなければなりません。
また、隠形法は1D20分間しか効果を持たず、その間に何らかの攻撃的な行動を用いた場合は効果が即座に解けてしまいます。
元々はヒンドゥーの最強の軍神であったインドラで、帝釈の名は梵語の「インドラ」の漢音写「因陀羅」の漢訳語「帝」と、
有力、勇決を意味する梵語「シャカラ」の漢音写「釈迦羅」の二語を併せたものです。
また、様々な教典には「釈迦提婆因陀羅(しゃかだいばいんだら)」、「釈提桓因(しゃくだいかんいん)」などとも記されています。
ヴェーダにおいては金剛杵を持って邪龍ヴリトラを倒し、阿修羅の軍団を退ける強力な軍神であるとともに、
雨水を大地にもたらす豊穣の神でもあり、神々の帝王でした。
仏教に入ってからは護法神としての性格付けがなされ、また梵天とともに四天王と共に位置づけがなされ、
とう利天(漢字が出ません・・・)の支配者として四天王に命を下すものとなっています。
また、密教では十二天の一人とされ、東方を守護すると言われています。
そのため、帝釈天に祈れば、日天、月天、宿曜の守護が得られ、国土は太平と言われます。
当然、戦勝祈願に絶大な効果を発揮するとされ、欽明天皇のときに初めて修されたと言われています。
余談ですが、フーテンの寅さんで有名な「柴又の帝釈天さん」は、日蓮宗題経寺です。
帝釈天を修する場合に唱えられる代表的な真言は以下の通りです。
「ナウマク・サンマンダボダナン・インダラヤ・ソワカ」あるいは、単に「インダラヤ・ソワカ」
円仁(慈覚大師)が唐に渡った帰りの船の中で感得したと言われる神で、延暦寺の常行三昧堂の守護神として祀られた言います。
「阿弥陀経」あるいは念仏の守護神として、これを敬わない者の往生を妨げる神とも言い、念仏会では後戸に祀られます。
平安期から鎌倉時代にかけて、天台の玄旨帰命壇の本尊として迎えられました。
玄旨帰命壇とは、秘儀的な男女交合による、絶頂を極めた瞬間に即身成仏が約束されるというもので、江戸中期には
「真言立川流」と同じく淫祠邪宗の類として禁止されました。
正確には、光明真言土砂加持秘法と言います。
清浄な土地の土、あるいは海や川などから取った土砂を、清水で洗い清め、七日間日光にさらした後、壇上にて
光明真言の秘法を修して加持します。
土砂加持は最初、死者を成仏させるために行われていました。
百八編加持した土砂を亡者の上や、その墓、塔の上に散ずればその亡者が地獄、修羅、餓鬼にあったとしても、
一切不空如来の大灌頂光明真言土砂の功力によって光明を得て、諸々の罪報を除き、西方浄土へ行き菩提を生ずると言われています。
また、土砂を死者にかけるだけで、死後硬直していた体が柔らかくなるとも言われています。
他にも、この土砂を飲んで病気を直したり、安産にも効果があるなどの利益があると言います。
□光明真言秘法(土に魔力を付与する):Enchant Sand、下級の呪文
この土砂は以下に続く土砂加持に用いるための光明砂を作り出すための呪文です。
術者は清めた土砂を器に盛り、壇上にて光明真言を百八編唱え、MPを1D6ポイント捧げる事で土砂に
魔力を付与し、光明砂を作成することができます。
この呪文を使って一度に作成される光明砂は、一回の土砂加持分のみです。
□土砂加持:Sand Charge、下級の呪文
上述の光明砂を用いて、死者、あるいは生者を加持する呪文です。
この呪文は対象が生者の場合、呪文に投入されたMP1ポイントにつき、1ポイントの耐久力を回復させます。
また、受けたダメージによる肉体的損傷もそのダメージがすべて回復することで、同じく回復させることができます(つまり、
腕などを切り落とされても、その切り落とされた時に受けたダメージ分の耐久力を回復させれば、腕も元に戻るということです)。
次に、対象が死者の場合は、1D10ポイントのPOWと、2D10ポイントのMPを捧げ、さらに対象の耐久力分のMPを
余分に消費することができれば、死者は完全な姿で復活します。
また、この呪文が唱えられることで死者が復活した場合、術者は「死者が復活する」ことによるSANの消失を免れることができます
(もちろん、この呪文の効果によるもののみですが)。
ただし、術者以外、あるいはこの呪文を覚えているキャラクター以外は、この呪文による死者の復活を目撃した場合、
1/1D6ポイントのSANを失います。
魔術とは直接関係ありませんが、これは土砂加持と同系統にするものです。
土砂加持用の土砂と同じもので、その土砂に塩を混ぜ、蒸し焼きにしてできた白い粉が、その伊勢白粉です。
とくに女性の堕胎用に使われましたが、伊勢白粉は水銀を含んだ危険なものでした。
陰陽師が使役する式神に対し、修験者や行者が使役した使役神です。あるいは護法天童とも呼ばれます。
元々は護法神のことであり、これらは釈迦が説法を行ったときに、正法を守ると誓った神や、あるいはその時点で神となった羅刹や悪鬼たちです。
多くは天部に属し、勇猛な姿で、憤怒相のものが多く見られます。
護法童子の最初は、不動明王が童子形で、大日如来の使者としてあらわれたものであると言われ、以降、童子姿であらわれる護法神のことを指すようになりました。
信貴山命蓮の空鉢護法や書写山性空の乙護法や、役の小角の前鬼・後鬼などが有名です。
□護法童子法:Summon Guardian Angels、下級の呪文
この護法童子を呼び出すための呪文です。
まず呪文を唱えた者が消費したマジックポイント×5%のロールを行います。それに成功した場合、次に密教技能でロールを行い、
両方に成功した場合にのみ、護法童子が召喚されます。
護法童子は常に一対のペアであらわれるため、常にこの呪文は2倍のMPを消費し、必ず同時に2体の護法童子が呼び出されます。
呪文に成功すると虚空から、あるいは天空から護法童子が召喚されます。護法童子は基本的に童子形ですが、
術者の好みによって異形の龍や鬼であっても構いません(ただし、いかに異形であっても護法童子を見て失うSANは一律同じです)。
召喚された護法童子は自動的に召喚者に従属します。
「仏が優位に立ち、神は仏の仮の姿である」という考えに基づいた、仏や菩薩が衆生済度のため神の姿になって現れることです。
本来の仏、菩薩を本地(ほんぢ)、神に姿を変えたのを垂迹神(すいじゃくしん)と呼びます。
本地垂迹は、鎌倉末期までに日本に広まり、神道の神々を仏教、あるいは密教の仏、菩薩、諸天、諸王達の垂迹神としてしまいました。
また、それだけに止まらず、御霊信仰もこの本地垂迹に飲み込まれ、何らかの垂迹神になってしまうこともありました。
本地垂迹を免れたそれ以外の神々や御霊は、鬼や、妖怪の類とされる事も多いようです。
また、鬼などは垂迹神ではありませんが、神通力の備わった修験者に使われて、使役神となりました(いわゆる護法童子です)。
護摩は、梵語の「ホーマ」であり、供物を火に投げ入れ祈願する、という意味の漢音写です。
元々はバラモン教の火の儀式(供物の火煙が天の神々に達する、というもの)でしたが、密教では、薪を煩悩として、
火を知恵の表れとし、煩悩を知恵の火で焼き尽くすことを意味しています。
護摩には内護摩と、外護摩の二種類があり、内護摩は、心の中で行者の智火により煩悩を焼き尽くすことを観想する行法で、
外護摩は実際に護摩木に供物を焚きます。
また、目的により座し方、向かう方向、焚く木が異なり、用いる炉の形や色などもすべて異なります。
例えば、息災法では円形、白色の炉で北方に向かい甘木を、増益法では方形、黄色の炉で東方に向かい果木を、
そして調伏法では三角形、黒色の炉で南方に向かって古木を焚きます。
いわゆる宿曜であり、七曜、九執とは天文上の主要な惑星、あるいは架空(?)の惑星のことです。
密教における占星術であり、祈祷に際し最も効果的な時間と時を得るために日取り事でもあったようです。
日曜(太陽、日精)、月曜(太陰、月星、月精)、火曜(螢惑星、火星、火精)、水曜(彗星、辰星、水精)、
木曜(歳星、木精)、金曜(太白、金星、金精)土曜(鎮星、土星、土精)までが七曜です。
これに、計都星(蝕神、黄幡星、太陽首)、羅ご星(漢字が出ません)(彗星、蝕神尾、太陰首)を足したものが九執(九曜)です。
計都星は流星とも彗星とも言われ、尾を引く姿の星で、災害を呼ぶ星とされています。
羅ご星は日蝕、月蝕を引き起こすと言われた星で、暗黒星雲であるとか様々に言われています。こちらも災害を呼ぶ破滅の星です。
仏教徒には古来、四衆という4つの立場がありました。
比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷がそれで、比丘は僧、比丘尼は尼僧、優婆塞は男性の信者、優婆夷は女性の信者です。
701年の大宝律令の頃から出家の統制が行われていましたが、やはりそれでも許可無く出家する者は多く、
それらを私度僧と言いましたが、現俗の仏教者でもある優婆塞ともいい、また彼ら自身は「聖」を自称しました。
「ひじり」は「火知り」に通じると言い、つまり火を使う司祭であると言います。民間の祭祀が彼らによって行われる事が多くなったため、
それらの名が転じたものであると思われます。
聖達は民間の信仰と仏教を結びつけ活動し、修験道をはじめとする日本独特の仏教の発展の母胎となりました。
後にも、念仏聖、勧進聖、遊行聖など、様々な聖が日本独特の仏教を広めることとなりました。
密教のいわゆる秘儀参入(イニシエーション)とも呼べる儀式です。
梵語で「アビシェーカ」と言い、文字通り、「頂に水を灌ぐ」という意味です。
元々はインドの国王が即位の時に世界に君臨する王者であることを示すために、四大海から汲んだ水を王の頭に灌いだという
儀式であり、密教では法の相承の儀式として取り入れています。
密教では、仏が供える五智を表す五瓶の水を、受者の頭頂に灌ぎます。これによって受者は仏の知恵を受け継ぐことを示しています。
また、灌頂には在家の信者と仏をさらに深い縁で結ぶ、結縁灌頂、行者が受ける伝法灌頂などがあります。
結縁灌頂の作法は様々ですが概要としては、目隠しをされた受者が道場内の大壇に敷かれた曼陀羅に二指ではさんだ樒を落とす、
というもので、その樒の落ちた場所の仏が受者と有縁の仏となります。
□結縁灌頂(秘儀参入):Initiation、下級の呪文(?)
密教の結縁灌頂です。
この儀式は当然の如く一回のみ行われ、また仏教(密教)に帰依していることが条件となります。
どの仏尊と結縁を結べるかはランダムで、キーパーが無作為に決めてしまっても構いません。
結縁を結んだ仏尊を修する場合、成功の確率が+20%上昇します。
茶枳尼天、あるいは愛染明王を本尊とし、男女が交合することによる即身成仏を説いた左道(邪法)密教に
真言立川流があります。
天台系の玄旨帰命壇と同じく、淫祠邪教の類として弾圧されましたが、特に真言立川流は
徹底的に弾圧されました。
真言立川流は平安期に仁寛(後に蓮念)と、陰陽師の見蓮によって、男女の交会こそ、煩悩即菩提、即身成仏であると
創唱されました。
南北朝時代には南朝の護持僧文観によって大成され、後醍醐天皇に直伝したと言われています。
また、真言立川流には男女交合の秘儀の他にも、髑髏を本尊とする奇怪な秘儀も伝えられています。
上級の呪文、~の接触に関しては、ルールブックのP.169を参照して、通常の神聖の生き物との接触のルールを使用してください。
また、それらのロールの最後に、<密教>技能による判定を加えてください(この場合、キーパーはいくらかのペナルティを加えても構いません)。
接触した神性が、術者の願いを聞き届けるはキーパーの判断によります(笑)。
仏教には多くの仏尊がおり、これらについてすべてを説明するのは不可能です。そのため、筆者が適当に選びました(笑)。
密教のそれらの呪文は、簡単に退魔物のように強力で、魔物を追い払う呪文に改造することができます。
キーパーのお好みで、改造してご使用ください(孔雀王あたりなんかを参考に(笑))。