山羊の花嫁 八出村の探索

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『山羊の花嫁』目次:
■はじめに
■背景情報(KP向け)
■登場人物(NPC)
■シナリオのチャート
■導入部
>八出村の探索
 □八出村
 □ヤギ
 □山上家
 ・山上大三
 ・山上家の土蔵
 □村中心部の施設
 ・村役場
 ・駐在所
 ・木村商店
 □村人への聞き込み
 ・山上家について
 ・鞠枝について
 ・儀式について
 ・『山の神』について
 □麦畑
 □神社
 □神社の奥殿
 □神社の前の麦畑、『休閑地』
 □水車小屋
 □『御山』
 ・森
 ・山の方へ登ろうとした場合
 ・山頂
 ・神の寝所
■八出村の神事
■終幕部
■データセクション

八出村の探索

 シナリオのメインとなる八出村の探索部です。
 探索者達が自由に動ける時間帯は(村の神事に参加しなければ別ですが)、初日の神の嫁選びの神事の後の夕方から、次の日の日没までとなります。
 厳密な時間管理は必要ありませんが、キーパーの判断で時間経過を管理して、探索の時間を決めてください。
 村自体は人の密度は薄いですがそれなりに広い為、移動自体にも時間が掛かります。
 また、探索2日目で鞠枝が行方不明となっている場合、村は慌ただしい雰囲気に包まれますが、彼女の捜索と並行して探索を続けるようにしてください。

八出村


 村は小高い山に囲まれており、バスを降りた地点からの谷間を通る道が唯一とも言える外部へ通じています。
 この道は八出村が見渡せる高さにまで登ってから、再び下るようになっています。
 谷間の出口から見える八出村は、見るからに痩せた土地のほとんどは麦畑となっており、田を作るには水が乏しい土地であることが一目で見て分かります。
 村ではヤギが放し飼いにされているようで、村に踏み込んだ探索者の前をのんびりと通り過ぎていきます。
 村の中心を流れる水量のごく少ない細い川の周りにだけ、小さな田圃が点在しています。

≪歴史≫、≪知識≫か、岡山で生まれ育ったか、土地勘がある探索者の場合は自動的に、岡山の山奥の寒村であるはずなのに、八出村には非常に豊かな実りがあることに気が付きます。
 何故かは分かりませんが、土地は痩せているにも関わらず、周辺の村々に比べて明らかに生命力に溢れていることが分かります。

 谷間から出た道は村へと下っていき、中心部まで続いています。その途中にこんもりとした森に包まれた、小高い丘が見えます。
 谷間の道の側からは分かりませんが、この丘に今回の神事が行われる神社があります。また、そのさらに奥にこの村で一番大きな屋敷(と言っても、農家が大きくなった他は土蔵があるぐらいで、豪華なわけでもありません)が建っています(これが、鞠枝の実家の山上家です)。

 村から『御山』を望んだ場合、山頂に何か光るものがあることに気が付きます(特にロールは不要です)。村人に尋ねた場合、山頂には古い時代の村の信仰の名残があるが、今は全て神社に移っていると説明されます。

 村の中心部と思しき場所には、村役場と思しき建物と唯一の雑貨店、駐在所が存在しています。近隣の村の中で最も栄えているのが八出村である為、これらの施設が置かれているのです。
 探索者が小出とともに来ているか、鞠枝と知り合いの場合は、山上家へ泊めてもらえることになりますが、それ以外の場合は、野宿か村人と交渉して泊めてもらうか、やはり山上家へ滞在することになります(山上家は田舎の地主らしく、旅人の訪問を歓迎します)。

ヤギ

 八出村では麦畑に限らず、村のあちこちにヤギが放し飼いにされているようで、村に踏み込んだ探索者の前を、のんびりと通り過ぎていきます。
 彼らの多くは白黒の斑模様をしており、立派な角を持っています。
 これらは一見、シバヤギのような特徴を持っています。探索者も一般的な(?)知識として、古来より日本には山羊が居らず、大陸から運ばれてきたヤギが主に長崎や五島列島方面へ居着いた例があることを知っています。
 この為、これらのヤギがどこから持ち込まれたものなのか、という点でも、学術的な興味がある事例となります。

 彼らをよく観察した場合、大体体高が80Cm程度、体毛のベースは白で黒いまだら模様が不規則に交じり合っており、雄雌とも角があることが分かります。
 ぱっと見ただけでは、特に生物的におかしなところはないように思えます。

≪生物学≫か、≪知識≫に成功するか、探索者が畜産関係の職業である場合は自動的に、これらが現在、日本の農村で普及しつつあるシバヤギの特徴と合わないことに気が付きます。
(シバヤギは体高50Cm程度、白い体毛に褐色や、黒い毛が混じる程度で、まだら模様にはならないのです)
 さらにシバヤギは家畜向けに適した温厚なおとなしい性格のはずなのですが、彼らの気性が荒く、よくヤギ同士での喧嘩や、村人を襲っているところを見かけます。ただ、これは放し飼いにされて神の使いとして無法が許されている状況から、無体を働くのに抵抗ないようになっているだけの可能性もあります。
 また、これらのロールに失敗した場合でも、彼らの中に手足の数が奇数だったり、身体の左右のバランスが極端に崩れていたりといった『畸形』が多く見え、むしろ五体満足のものの方が珍しいことに気が付きます。

 村を探索中、≪目星≫、≪聞き耳≫、≪アイデア≫等に成功した場合、彼らの視線を感じます。
 その目は野生生物特有の隙のない光を放っていますが(草食性であるはずのヤギにしてはおかしな話ですが)、妙に知性を感じる視線を探索者達に向けてきます。
 このことに気が付いた場合、0/1の正気度を喪失します。

 探索者がこのヤギを長時間観察した(2時間以上追跡した)場合、彼らが非常に食欲旺盛であり、ヤギに相応しい粗食なのですが、何故か村にある麦畑にはあまり手を付けておらず、『雑食』であることに気が付きます。
 通常、ヤギは草食ですが村のヤギは食べられそうなものは大体食べていることが分かります。
 ヤギの食性を知っている場合、0/1の正気度を喪失します。

 また、村の野外に出ている間、2時間毎に≪幸運≫を行い、失敗した場合はヤギが体当たりを仕掛けてきます(ただ、直来においてヤギの肉を食べた探索者はこの体当たりの対象にはなりません)。
 この攻撃は≪回避≫可能ですが、受け流しは出来ません。また、ヤギが≪忍び歩き≫か、≪森に隠れる≫に成功している場合、≪聞き耳≫、≪アイデア≫等に失敗すると奇襲となり≪回避≫に1/2のペナルティを受けるか、完全な奇襲の場合はロールが出来ません。
(≪森に隠れる≫によって、ヤギ達はまるで「麦畑から湧いてくるように」体当たりを仕掛けてきます)
 ヤギは体当たりを喰らわした後、威嚇するように啼いてから去っていきます。
 探索者の方から積極的にヤギを傷つけようした場合、村人から止められます。また、怪我をした場合、村人から手当てを受けることが出来ます(村人の≪応急手当≫は一律50%とします)。

放し飼いのヤギ、まだら模様のヤギ
STR 8 CON 12 SIZ 7
INT N/A POW 10 DEX 11
DB-1D4 移動 8 耐久力 10
武器:
 体当たり 30% 1D6+DB
装甲:
 なし。
技能:
 忍び歩き 60%、森に隠れる 70%
正気度喪失:
 目撃しただけでは無し。彼らをよく観察して、知性に似たものがあることに気付いた場合は、0/1。

山上家

 八出村の地主である山上家の本家です。
 八出村にこそ本家がある状態ですが、主な事業はすでに都市部に移っており、現当主の大三自身も八出村に居るのは年の半分ほどになっています。
 村で最も大きな屋敷ですが、土蔵がある他は特に目立った特徴はありません。

山上大三

 山上大三は30代後半と年若いのですが、田舎で苦労していることもあり、甘く見られない為に表向きはいかにも田舎の地主として鷹揚に構えている態度を見せますが、都会から来た探索者に対しては自分も都会の人間であるように振る舞います。
 彼は今回の儀式に関しては資料を提供する他、娘を参加させるなどの協力をしていますが、これも村のうるさがたの古老を納得させる為であり、実際は特に必要性を感じていません。このことは探索者には苦労話として漏らします。
 資料の話をすると、小出が俄然興味を持ち始める為、そのまま土蔵へと案内されることになります。

山上家の土蔵

 大三に案内された土蔵は、田舎の人間にとっては普通でも、都会の、特に一部の学者たちには垂涎の資料が山積みです。
 様々な古文書や、文献、あるいは大昔に実際に使われていたような祭具が雑然と置かれています。
 この宝の山(?)を前に小出は興奮を隠せずに、「詳しく見てもよいでしょうか」と大三に確認します。
 大三は鷹揚に、小出のこの反応に半ば驚きながらも「不要なものばかりなので」問題ないと承諾します。
 ここで文献を漁る場合は≪図書館≫≪考古学≫≪民俗学≫によって、八出村の過去の祭事を知ることができます(探索者自身が調査を行ってもよいですし、小出に任せるのもよいでしょう)。
 ロールに成功することで発見できるのは、以下の資料となります。
 また、資料の他に錆びた刀剣の類や、火縄銃が置かれています。
 刀剣の類は研ぎなおす必要がある為、即座に使うことはできませんが、火縄銃の方は先代が趣味で山での狩猟に使っていたとのことで、簡単な手入れで使用可能になります(火縄銃については、『クトゥルフと帝国』のP.111を参照するか、マスケットライフル扱いとするとよいでしょう。また、ラライフル系の技能で代替可、手入れ可能とします)。
 同じ場所に火縄銃用の火薬や弾は保管されています。

『山神縁起』
 八出村はもともと深い山奥であり、痩せた土地に乏しい水、四方を山に囲まれた不便な土地で、山から糧を得て暮らす人々の小さな集落が存在していただけでした。
『御山』には豊かな自然があったのですが、神聖な場所として立ち入りを禁止していました。
 あるとき旅の六部が集落を訪れて、『御山』には仏がおわすのだ、と主張して祀るようにと勧めます。この部分は記述が曖昧ですが、信仰のきっかけが外部要因にあると思われ、そして祀る=人身御供を捧げよということが暗にうかがえる内容となっています。
『山の神』は元々『御山』で眠っていたとされており、村人に祀られることによって、土地に生命力、陽気を振りまくとされています。
『山の神』から陽気を受けた土地から安定した麦の収穫が得られようになり、それまでは毎年のように出ていた餓死者がなくなります。
 それに伴い近隣からも人が集まるようになり、集落は次第に大きくなっていき八出村と呼ばれるようになりました。
 疫病によりが近隣で多くの死者が出るようなことになっても、神の陽気に当てられた麦を食している村人は疫病に掛かりにくくなったとも伝えられています。

『八出祭文』
 かなり新しい八出村で行われる祭祀について書かれた文書です。おそらく江戸末期から明治初期、村から信仰が廃れ、祭祀を行わなくなった時期に記録を残す為に書かれたと思われます。
 大三に確認した場合、今回の儀式についてはこの文書を元に再現されたと言います。
 記載されている『山の神』の祭祀の手順は以下の通りです。
1.神の嫁を選ぶ。
2.神社の奥殿で神の嫁と使いの山羊が一夜を過ごす。
3.使いの山羊を『山の神』に捧げ、直来として共に食する。

 また、神の嫁を選ぶ儀式で出される御神酒の作り方も記載されています。
≪化学≫、≪(アルコールの醸造に関わる技能)≫、≪知識≫等でこの御神酒が自然発酵のビールのようなものであると分かります。この御神酒の原料はもちろん、八出村からとれる麦です。
 この御神酒について山上大三へ訪ねた場合、蔵の中にあった甕の中にそれらしきものがあったので提供した、と教えてもらえます。

キーパーへ:
 これらの書物に書かれている内容は新しい手順か、曖昧に濁したものであり、正しい儀式については不明な状態です。
 調査した民俗学者は、様々な文献をつなぎ合わせて、それらしものを再現したにすぎません。
 また、花嫁以外は家に籠って神の姿を見てはいけないことになっていましたが、儀式が直来に代わってからそれが伝わらなくなっています。

村中心部の施設

 村の入り口となる谷間の道からそのまま、村の中心部(とは言っても、わずかな建物が集まっているだけなのですが)へと繋がっています。
 田舎の村において、生活の中心は当然自宅と畑になる訳ですが、大地主である山上家を除くと、それ以外の辛うじて行き交う範囲の中心地、と言える場所となります。

村役場

 村役場とは言いますが、4畳程度の小屋に書類机と書類棚が置いてあるだけの空間です。
 田舎の村には珍しいことですが、この小屋には鍵が掛かる扉が付いており、無人の場合に中に入ることは出来ません。この村役場の鍵の管理は山上家が行っています。
 昼間は役場には竹村一人が通常業務を行っていますが、村人が役場に頼るようなことはほとんどない為、常に暇を持て余しています。
 彼はいわゆるインテリであり、八出村には派遣されて来ています。
 入口付近に八出村に関するデータが記載されたガリ版で刷られた冊子や、どこからか寄付されたか竹村が個人的に買ったものかの書物等が置かれています。
≪図書館≫等のロールは必要ありませんが、これらを見るには1冊につき1時間程度の時間が取られとともに、竹村の暇つぶしの相手をする必要があります。
 八出村のデータを調べた場合、以下の情報を得ることが出来ます。
・人口は減少傾向にある。高齢化が進んでいる。
・近年は、都市部へと移り住む村民も増えている。逆に村へ来る人間はほぼ無い。
・主な生産品は麦だが、収穫量は減少傾向にある。
・特異な風土病、手足の黒ずみを伴う麻痺、重症の場合は幻覚や痙攣を伴う。
※これらのデータは、竹村がまとめたものである為、彼から同じような話を聞くこともできます。
 ただ、彼は村自体にはあまり興味は持っていない為、データに対する見解はあまり持っていません。

 その他の書物を調べた場合、特に興味を引く2冊を見つけ出します。
 2冊とも古文書の類ですが、表紙部分がありません。内容は以下となります。

『(表題のない、後半部分がはぎ取られた古文書)』
 この古文書の後半部分がはぎ取られています。
 残された内容には、八出村に流れ着いた隠れキリシタンを匿った記録です。それによると、現在の『御山』の中腹から頂上かけての森に彼らは隠れ住んでいたとされています。
 西の方から来た、と書かれており、彼らを巡って村内で起きた対立や、新たな信仰の受け入れる経緯等が書かれており、元の村にあった信仰と外から来た信仰が習合していく様が描かれています。
 おそらく後半にはもっと具体的な信仰についての記載があったと思われますが、隠れキリシタンの弾圧を避ける為か、はぎ取られて無くなっています。

『(無題の物語)』
 いわゆる草双紙の類であり、講談などの物語を示したものであることが伺えます。
 題名と思しき部分は何故か無くなっています。
 内容はいわゆる『しっぺい太郎』の如く、村の神社に住み着いた神を装った大猿の妖怪が毎年人身御供を要求していたところに、旅の六部が通りがかり退治に乗り出す、というものです。
 大筋は『しっぺい太郎』であるのですが、人身御供となる娘が酒の入った大甕とともに大猿の妖怪へと嫁ぎ、酔い潰すといったまるで『八岐大蛇の退治』のような話も混じっています。

駐在所

 村役場の隣に建つ、村役場よりも立派な建物です。
 駐在所は交番と同じ役割を持っていますが、そこで担当者がそこで暮らす施設でもある為、一通りの生活に必要な空間が用意されています。
 駐在である清水は、役場の竹村と同じく岡山の都市部から派遣されて来ています。
 八出村は長閑な田舎の村で高齢化も進んでおり、訪れる者もほとんどない為に、犯罪の発生はほぼ皆無です。
 彼の役割の多くは、巡回して村の様子を見て回る、というものとなっています。村で唯一、自転車が置かれていますが、これは清水の個人持ちで、官給品ではありません。当然ですが探索者には貸し出しませんが、何らかのコミュニケーション系のロールで一時的に借りることができるようにしてもよいでしょう。

 清水からは特に情報を得ることは出来ません。
 彼は都市部の人間である為、八出村の情報を特に持っていることもなく、また事件も発生していない為です。
 自身もあまり仕事熱心な様子ではありませんが、これはあまりにも何も無さ過ぎる為で、何か起これば張り切って対応します。
 鞠枝が『休閑地』で倒れていたのを発見したのも彼ですが、事件性が無いと判断された為、そういったことがあった程度の認識となっています。

木村商店

 村で唯一の商店となります。店主である松野はいわゆる雇われ店長であり、店の持ち主ではありません。
 木村商店は岡山の都市部でそこそこに勢力を持つ、一般て向けの商店です。
 一般的な生活雑貨はここで手に入りますが、輸送費用を付加した通常の1.5倍程度の価格で販売されています。
 探索者が必要なものであまり一般的でないものは、≪幸運≫のロールによってその有無を決めてもよいでしょう。

 村人の多くがあまり現金収入が無いことに加え、大半は自給自足している為に、この商店はあまり流行っていません。
 店主である松野もそれを承知していますが、山上家が強いて出店して欲しいという要望を出した為に売り上げは度外視で出店しているのです。

 比較的若い世代と、山上家の人間が商店を利用する為、店主の松野は世間話レベルの情報を得ています。
 以下の村に関する話を聞くことが出来ます。
・今回の祭りの復活については、何故か急に村の老人達が山上家に働きかけた。
・観光資源にする気が山上家にはあるようだが、あまり上手く行っていない。
・祭りの費用については、大半が山上家が出している。
・祭りが行われたのが昔の為、誰も本当の祭りを知らない。山上家が考古学者(?)を招いて、祭りを再現させたらしい。

村人への聞き込み

 村人たちは陰気とまでは行きませんが無口がちです。それは排他的というよりも、観光客そのものに慣れていない素朴な田舎の人間と言えます(基本的に村人たちに敵意はありません)。
 この為、彼らから何か情報を引き出す際のコミュニケーション系のロールには常に-20%のペナルティを受けますが、山上家にやっかいになっていることを明かした場合は、逆に+20%のボーナスが与えられます。

 探索者が村人と近距離で遭遇した場合、彼らの多くが手足が黒ずんでいることに気が付きます。
 それは農作業に関わるもの特有の黒ずみ方(日焼けや、土いじりによるもの)ではなく、一見すると壊死しているかのようにも見えます。
 しかし、彼らは特に病の様な様子も、気にした風もありません。尋ねた場合、「これが普通だ」と答えます。
 強いて問い詰めた場合、「これは神の祝福の『徴』だと言われている」と村人は話します。理由は分かりませんが、この身体が黒くなるのは神の祝福であり、特に顕著に表れるのは『徴』であると言います。

 村人から以下の様な情報を得られます。探索者のコミュニケーションの手段により、適切なロールを行ってください。
 また、情報は基本的に小出しにして、一度に情報を与えないようにしてください。

山上家について

・村の地主だが、維新とともに商売を始めてそれなりに成功している。未だに本家が八出村にあるが、一族の多くは津山の方へ移っている。
・八出村の祭祀を取り仕切る一族だったが、御一新後は執り行わなくなっている。今回も、村の古老から強く言われてようやく祭りを再開したようなものだ。
・現当主の大三はああ見えて岡山の大学を出たインテリで、田舎を嫌っているようだ。祭儀にも反対、というよりも無関心である。

鞠枝について

・山上家の娘で、東京の女学校へ通っていたこともある。
・山上家には他に長男が居て、これが跡取りになることは決まっており、いずれどこかへ嫁ぐだろうと村では噂されていた。
・小さい頃は活発な子供だったが、ある時、血を流して『休閑地』で倒れているところが見つかった。それ以来、山の方を眺めてぼうっとしていることが多くなった。
・今回の儀式の参加は、鞠枝が進んで参加したがったという。
・村のヤギは気性が荒いが、鞠枝には何故か懐いているようで、体当たりをしているところは見たことが無い。

儀式について

・山の神へ村の娘を嫁がせる儀式である。古い時代からある為、起源は分からない。村が出来た当初から存在しているという話もある。
・神に嫁いだ娘は残りの一生を神に捧げて神社で暮らしたが、儀式自体が行われなくなって長い為、現在、神社に神の花嫁は不在である。
・今回の儀式についても、山上家が村の古老からうるさく言われたから行うだけで、花嫁となる期間も儀式が終わるまでと言っている。
・正直、神に嫁ぐ=生贄であったであろうとは思われる。ただ、その後の直会については皆、何故かは分かっていない。

『山の神』について

・古くからある信仰だが、御一新の前からすでに廃れつつあった。
・村の麦畑に豊穣をもたらす存在として伝えられている。片足、片目だと言われているが、よく分からない。
・山から下りてきて、麦畑に痕跡を残していくと言われている。
・ヤギが神の使いとして関連付けられているが、正直、村の人間にはその起源も、意味も分からない。
・村の古老が今回の儀式の再開を強く山上家へ申し入れたそうだが、そもそも村の古老ですら内容を知らないのではないか。

麦畑

 八出村は水が乏しく、村の中心に細い川が流れているだけです。
 この為、村には水田が少なく、この川の周辺にのみ存在しています。それ以外の土地の大半は麦畑となっています。
 麦畑を見た場合、それには何故か黒い斑点が見えます。
≪植物学≫か、≪医学≫/2か、≪歴史≫/2か≪知識≫等で、これらの麦が『麦角菌』に犯されているのではないか、と気が付きます。
 村の人間に麦角菌のことを指摘しても、「ここの麦はこれが普通だ」と言い張ります。
 神の嫁選びの神事を見た後、小出が「案外、神の嫁選びでの酩酊、幻覚も麦角菌が引き起こしたのかもしれない」と言います。

 麦畑を観察していると、よく放し飼いのヤギが麦畑を出入りしているのに気が付きます(特にロールの必要はありません)。
 彼らは、麦畑に隠れる性質を持つように見えます。この性質に気が付いた場合、麦畑に近づかないことで奴らからの奇襲を避けることが可能ですが、八出村の多くは麦畑に覆われています。

神社

 神社は村の中では大がかりな建物でしたが、明治初期の廃仏毀釈で打ち捨てられて、祭祀の復活と共に再建された新しい建物です。
 小高い丘なのですが、先が見通せないほど密度の高いこんもりとした森に覆われており、『御山』を向いた入り口には鳥居が据えられ、急な石段を登って境内へと出ます。
 境内は昔は広かったようですが今は半ば森に埋もれるようになっており、おそらく本殿と思しき板張りの舞台のような社殿と、その奥に森の中へ沈み込むように奥の間が設けられています。
 鳥居の正面から『御山』を見ると、一面が麦畑のように見えて、その中で唯一、麦畑でないのが『休閑地』であることが分かります。
≪アイデア≫か、時間をかけて観察した場合、『御山』から『休閑地』にかけての麦畑が特に豊かに実っていることに気が付きます。

 この神社に神職は居らず、祭祀を行うのは村の人間だけとなっており、村の有力者、つまり山上家を中心として取り仕切られています。
 八出村の神社で何を祀っているかははっきりとしませんが、『御山』自身をご神体とした山の神を祀っているとされています。
 小出はこの神社で行われていたと思しき古代の祭祀の様式や、江戸期の様子から、山の神ではなく、もっと原始的な太陽信仰、地母神信仰のようなものであったのではないかと推測しています。
 鞠枝から聞いた話の端々に隠れキリシタンの村の特徴が聞けたことや、ヤギが飼われているところ等から、長崎方面から流れてきたそれらと習合し、閉ざされた村落特有のねじれた信仰となっている可能性が示唆されていると講義のように話します。

神社の奥殿

 神社の奥は、選ばれた花嫁が神の嫁として暮らす空間となっています。
 特にこれといって変わったものはありませんが、ヤギの匂いが漂っています。
 この場所は神域の中でも特に神聖な場所であり(神と花嫁の寝所なのです)、村人たちも基本的に近づかず、用事がある場合は本殿の方から声を掛けるようになっています。

神社の前の麦畑、『休閑地』

 神社前の麦畑であり、三つの区画に分かれています。そのうちの一つには何も植えられておらず、手入れもあまりされていません。
 二つの区画の麦畑は神の畑であったと言われており、収穫した麦は神社に奉納されていました。現在は、麦の出来を確かめる為の畑と扱われており、普通に収穫されています。ここの麦も他の畑の麦と同様、麦に黒いものが混じっています。
 何も植えられていない区画はいわゆる『休閑地』であり、土地を休ませているものだと推測できますが、特にこの区画が長く耕されてはいないことが分かります。

『休閑地』には黒い染みがいくつか残っています。この染みを調べた場合、使用した技能に従って、以下の様な情報を得られます。
≪生物学≫の場合、一見、生物の血液に見えますが、色やにおいからそうでない可能性が高いと分かります。また、仮に生物のものだとしたら、血液よりは何らかの分泌物に近いと思われます。正確な成分分析には専門の機材を使っての調査が必要である為、分かることはこの程度です。
≪植物学≫の場合、一見、生物の血液に見えますが、何らかの植物の樹液、食肉性の植物の溶解液に近いのではないかと思われます。あるいは、それらによって分解された生物の痕跡の可能性もあると分かります。
≪地質学≫の場合、『休閑地』が周りの畑とは異なる土であることが分かります。完全な地続きである為、地殻変動等による断絶ではなく、何かこの土地の成分を変えるようなことがこの上か、下で起こったのではないかと推測できます。
≪(農業に関連するもの)≫≪知識≫の場合、『休閑地』は何も植えずに『休閑』することで土地を再び肥えさせるものだが、何故かこの土地は非常に痩せています。何かが植えられている訳でも、手入れがされている痕跡も無いので、土地自身が耕作に向いていないか、この黒い染みが原因の可能性であることに気が付きます。

 もしも、探索者がこの『休閑地』を掘り返した場合(村人の目がある場合はもちろん止められます)、≪目星≫か≪地質学≫、≪幸運≫等に成功すると、比較的浅い場所から人骨と思しき破片と、ヤギの骨を発見します。
 人骨はかなり古く、少なくとも江戸期にまで遡るもので、最近のものではありません。大昔に、この『休閑地』で人身御供の儀式があったことの裏付けとなりますが、現在は行われていないと分かります。

キーパーへ:
『休閑地』は本来、山の神が生贄を受け取る場所であり、村の豊穣の中心となる祭儀の地でした。
 しかし、長い間生贄が捧げらえていないことで『休閑地』自体はやせ細ってしまい、周りの麦畑だけが未だに残る神の豊穣の生命力によって豊かな実りを与えているのです。

水車小屋

 村の中心の細い川は神社のある山の脇から流れています。その上流に村で唯一ですが、粗末な水車小屋があります。
 この水車を動力源として、村で採れた麦を挽いており、村の中では重要な施設となります。
 水車小屋は村の共同の持ち物ですが、管理は山上家が行っています。

 水車小屋には、麦角菌中毒に犯されている村人が暮らしています。
 彼らは手足が黒ずんでおり、半ば麻痺しています。また、脳にも障害が出ており、知性の低下や、幻覚を見る等の症状が出ています(手足の黒ずみは、八出村の住人のほとんどに見られますが、さらにひどいものです)。
 八出村の多くの村人はヤギを食することで、麦角菌に対して耐性の様なものを持っています。
 水車小屋で暮らす村人を見た場合、≪医学≫か、≪歴史≫によって、これが中世には『聖アントニウスの業火』と呼ばれている病、麦角菌中毒に酷似していることに気が付きます。

 村人はこれが病だと思っていません。むしろ『神に選ばれた』と逆に喜ぶ習慣があります。
 昔は中毒症状が出た場合、症状が重くなると水車小屋へ預けられ、最期は神の元(山)へと返されていました(追放されるとも言いますが)。
 水車小屋に居る村人は、『神によって選ばれた』村人であり、水車小屋=麦を引く重要な施設を託されているのです。

 水車小屋に住む村人からはまともな話を聞くことは出来ません。
 ただ、鞠枝か、儀式について話を聞こうとした場合、何かを思い出したかのように「あれは、神に選ばれた娘だ。山に、山の神に呼ばれた子供だ」と、ぶつぶつと言い出します。
 そして、探索者がその場を離れるとその後ろから「正しく花嫁が選ばれる」と呟きます。

 水車小屋の中には入れてもらえませんが、探索者が強行するか、忍び込んだ場合、水車小屋で暮らす人々にはまともな抵抗力はありません。
 水車小屋の中は水車が回る規則正しい音と、麦を挽く音の他、奥まった場所の暗闇から獣のような息遣いと、異臭が漂ってくることに気が付きます。
 水車小屋の奥には『聖アントニウスの火』が進行しすぎて、ゴフン・フパージ・シュブ=ニグラスに近い存在になった病人が居ます。以下の描写を行ってください。
 この重症の『聖アントニウスの火』の患者を目撃した場合、1/1D4+1の正気度を喪失します。

 暗がりに潜んでいたそれは、確かに人型だったが全身黒く、まるで等身大の木彫りの人形のように思えた。
 真っ黒なそれは樹木が織りなす縞模様のようなものがあり、てかてかと光っていたがそいつが呼吸をするのに合わせて皮膚が伸縮する様が見て取れる。
 そいつは『聖アントニウスの火』の病が進み過ぎたのか、あるいは村でよく見る奇形の山羊のようにも思えた。

 この重症患者はまともな会話ができる状態ではありません。探索者がコミュニケーションを取ろうとした場合、今回の祭祀に関して話したときだけ、非常に喜んだ様子を見せる他は、意味のある(探索者の理解できる)反応をすることがありません。
キーパーへ:
 村人たちのほとんどは、過去、村で行われた『直来』で山羊を食しています。
 この為、村人には『山の神』の一部が取り込まれており、それの蓄積具合によって『聖アントニウスの火』に似た病を引き起こすのです

『御山』

 山には正式な名前が付いていませんが、村の人間はこの山を『御山(おやま)』、『男山(おやま)』と呼びます。
 山の麓に広がる森の入り口辺りまでは麦畑に埋もれるように道が続いているのですが、そこで一旦途切れています。山頂までは2時間程度、標高は800m程度です(八出村自体が500m付近なので、高さ自体は300m程度です)。
 それほど険しい山でもなく、途中から山道を発見できる為、普通に上る場合は時間が掛かるほか問題はありません。
 また、探索の時期も冬ではない為、特別な装備や何らかのロールの必要はありません。

『御山』を麓から包み込む昼なお暗い、黒々とした森です。
 村自体は痩せているのに『御山』は生命力に溢れており、常に見えない何かに見られている感覚が付きまといます(実際に山羊たちが隠れて監視しているのに加えて、生命力が豊富である為に様々な生物が繁殖している為です)。
 森の中にもヤギが多く居り、村に居るものと同じく探索者に視線を向けてきます。
 森に探索者が入ろうとすると、強いて止められはしませんが「森は神域なので、あまり入ることはお勧めしない」とやんわり言われます。
 暗いと入っても真っ暗な訳では無いので、昼間であれば特に灯りは必要ありません。日中は森の中は、どうにかすれば、必ず村が見える為に特に迷うことはありません。
 森の中では、村に居た場合は2時間毎だったヤギの体当たりが、1時間に短縮されます。

キーパーへ:
 村人は『御山』をまだ神聖視はしていますが、禁足地としての意識は薄らいでいます。
 この為、強いて探索者を止めることもしませんし、必要とあれば何らかの装備も貸してもらえます。

山の方へ登ろうとした場合

 特に目標もなく山頂を目指した場合、麓の森へ入ってを登り始めて1時間もすると、長い間使われていない山道の痕跡を発見します。
 山道に出るまでは暗い森の中であり、どこからかヤギの鳴き声が響いてきます。彼らの姿はまるで森に溶け込むように隠れており、≪目星≫か≪聞き耳≫に成功しなければ姿を見つけることが出来ませんが、常に視線を感じるとともに、前のロールに成功すると暗い森に光る赤い目を見つけてしまい0/1の正気度を喪失します。
≪ナビゲート≫か、≪アイデア≫に成功すると麓には山道が無かった為に、これは隠された道ではないかと推測できます。
 山道を辿って登った場合、その途中で朽ち果てた家屋の痕跡を発見します。
 それらは家屋があったと思しき程度の痕跡であって、すでに人が住んでいないことは明白です。
 これらを調べた場合、倒壊寸前の建物の中からは腐った日常生活の道具が見つかり、少なくとも江戸時代にまで遡るぐらいに古いものであることが分かります。
≪目星≫に成功した場合、隠してある落とし戸を発見し、≪幸運≫に失敗した場合は、この落とし戸に落ちて、1D6の耐久力が減少します(≪跳躍≫による軽減は可能です)。
 落とし戸の下は、まるでキリスト教の礼拝所を思わせる空間になっていますが、寺院や神社のような雰囲気も混じっており、どことなく違和感を感じる場所となっています。
 礼拝所は据え付けの祭壇がある他はきれいさっぱり置かれているものはなくなっており、逃げ出したか引っ越したことが分かります。
≪歴史≫×2に成功した場合、この空間がいわゆる隠れキリシタンの礼拝所であったのではないかと気が付きます。隠れキリシタンによくあるカトリックの教えの奇妙なねじれと、土着宗教との融合が見られ、八出村では『山の神』との習合が進んだのではないかと推測できます。
 また、隠れキリシタン達が隠れ住んでいた里には、やはり粗食に耐えるヤギが飼われていたこともあり、この村に居るヤギの起源もそういったものではないかと思い至ります。

山頂

 山頂付近にも山道沿いにあったような朽ち果てた建物が残っていますが、こちらはおそらく小規模な神社のような建物があったのではないかと推測できます。
 こちらも隠れキリシタン達の奇妙な信仰の痕跡が見て取れますが、腐敗が進んでおりそれらしいことが分かる以外には特に手がかりはありません。
 山頂と思しき一際高い場所には、朽ち果てた塔の、あるいは櫓のようなものが建っています。以下の描写を行ってください。

 そこにはあったのは何かの金属で出来た櫓か塔のようものの、朽ちた骨組みだった。
 その小さな塔は、死体から抜け落ちたものがある骨格のように不規則な形をしており、上部は途中からぽっきりと折れて完全に無くなっている。
 不規則に配置された花弁のような何かに囲まれていたようだったが、それらを支える支柱も腐り、朽ち果てており、より無残な印象を強めている。

 そこへ近づいた場合、昼間であればその周辺に何か光るものが散らばっていることに自動的に気が付きます。
≪物理学≫、≪(金属に関わる学問、芸術)≫等の光学、材料の知識を含む学問の技能がある場合か、≪アイデア≫に成功した場合は、これらの光るものがガラスと鏡の2種類に分かれていることに気が付きます。そうでない場合でも、これらの光るものが元は塔に張り付いていた何かであったことは分かります。
 また、同じような材質のものが塔の残骸のようなもにも張り付いており、元はそこにあったものが砕けて落下したか、落下して砕けたかしたことが分かります。

キーパーへ:
 この構造物の痕跡はムーンレンズであったものです。
『山の神』を自由にを顕現させるために必要なものなのだったのですが、八出村での信仰の形骸化が進むとともにその意味も忘れ去られて、過去の信仰の遺物として忘れ去られ、朽ち果ててしまっています(あるいは、隠れキリシタンの弾圧時に破壊された等としてもよいでしょう)。
 ムーンレンズが破壊されたことによって、『山の神』は満月の時にしか顕現できなくなっています。そして、シナリオの終幕部が満月の夜なのです。

神の寝所

 探索者が森に入って『御山』の山頂と、神社を繋ぐ直線上にある寝所に近づいた場合、ヤギが多いことに気が付きます。
(これらの判定には≪ナビゲート≫を使用するか、探索者自身がそのように宣言した場合のみとなります。
 あるいは鞠枝が行方不明になった後は、≪追跡≫によってその痕跡を発見することにしてもよいでしょう)
 これらをよく観察した場合、村に居る山羊に比べて、角の形が異常にねじくれている、目等が異様に小さかったり、大きかったり、足の数が奇数だったりと、畸形が多く存在することが分かります。また、まだら模様の黒い部分の分布が大きくなっていることにも気が付きます。
 これらの異様なヤギたちを見た場合、0/1の正気度を喪失します。

 ヤギは探索者を観察するように、一定の距離を保ったままその赤い目を向けてきます。
 異様なヤギたちを無視して寝所へ近づくと、その手前の辺りで探索者達はさらに異様なヤギに遭遇します。以下の描写を行ってください。

 そいつは『極端な畸形』のヤギだった。
 片目だけが異様に大きく、充血したように赤い目をしており、だらしなく開いた口からはとめどなく唾液が流れ落ちて、自らの胸の部分を濡らしている。
 普通のヤギならば角が生えている場所には、不揃いな長さの触手の様なものが複数ぶら下がっており、それはいやらしく蠢いていた。
 全身を覆う毛までその触手を思わせる剛毛になっており、これまで見てきたヤギがまだ白地に黒い斑模様であったのに対して、そいつはほとんど黒い毛に覆われていた。

 この畸形のヤギを目撃した探索者は、0/1D6の正気度を喪失します。

『山の神』の使い、極端な畸形のヤギ
STR 14 CON 18 SIZ 8
INT 6 POW 12 DEX 14
DB+0 移動 10 耐久力 13
武器:
 体当たり 50% 1D6+DB
 触手   40% 1D4+DB+組み付き、1ラウンドに1D4回
 噛み付き 自動 1D3+DB(組み付きに成功した相手に行う)
装甲:
 なし。但し、貫通を起こさない(通常通りのダメージは与える)。毎ラウンド1点の耐久力を再生する。
技能:
 忍び歩き 70%、ナビゲート 80%、目星 50%、森に隠れる 80%
正気度喪失:
 奇形の山羊を見て失う正気度は1/1D3+1。

 ヤギを倒した後、死体を調べた場合、≪医学≫か、≪生物学≫によって、確かに生物ではあるが、何故か植物的な特徴を備えていることに気が付きます。このことに気が付いた場合、0/1D3の正気度を喪失します。
 また、麦角菌由来と思われるアルカロイドの反応を示します。山羊の身体の末端が黒いのはそのせいではないかと推測することができます。
 同時に、それ以外の身体の黒い斑紋はそれ以外の何かであり、その部分は山羊とそれ以外の生物が融合したような特徴となっており、畸形的な部分は例外なく黒くなっていることが分かります。
※これらの判定は、時間を掛ければ≪医学≫≪生物学≫を所持していれば、必ず成功したことにすることが出来ます。

 ヤギの死体は、しばらくたつと泡立つように溶け始め、地面に浸み込んでいきます。そこにはまるで何もなかったかのように、黒い染みだけが残ります。

 ヤギを倒した後、さらに神社と山頂の間をまっすぐ行くルート辿った場合、『神の寝所』を発見します。
『神の寝所』については、終幕部を参照してください。