終幕部
全てのスレッドが収束する終幕です。
終幕では、誘拐された黒澄綾を追って、『星の再臨会』の教会へ踏み込むことになります。
そして、そこで完成された『天球音楽』が奏でられ、『魔月』との接触が行われます。
教団との戦闘の結果、『魔月』との接触が行われるか、あるいは綾を助け出すか、それによってシナリオの結末は大きく変わりますが、関東大震災と言う本当の最後の結末は変えることができません。
早い段階での再臨会の探索
探索者達が早い段階で『星の再臨会』の教会へ強襲を掛ける可能性は皆無ではありません(というよりも極めて高い、と言えます…)。
この場合、帝都の外れとはいえ市街地である下谷区において戦闘を行う為、まずはなんらかの隠蔽処置、工作が必要になります(これには【信用】を6D6~8D6程度のかなり無理なお願いが必要になります)。
こういったことを行わなかった場合、強襲の成否に関わらず、探索者全員の信用が8D6減少します。
PC側の行動にもよりますが、教会には常時、『魔月よりの使者』と『魔月より来るもの』が2体居り、守っています。
秋山が外出していない場合、さらに2体の『魔月より来るもの』が護衛として居り、秋山、『魔月よりの使者』、『魔月より来るもの』×4体との戦闘となります(各データはデータセクションを参照してください)。
強襲のシチュエーションによりますが、場合によっては秋山が不在であるとしても構いません。
この場合は、単純に戦闘を行って教会を焼き払うことになります。
土蔵の地下に捕らわれた少女達が隠されていえることを突き止めていない場合、後日の捜査によって、少女たちが死亡、あるいは狂気に捕らわれた状態で発見されることになります。
秋山が不在である状態で『星の再臨会』の教会を焼き払った場合、彼は帝都に身を潜めて再起を図ることになります。
どちらにせよ、シナリオは部分的成功で終了します。
再臨会の探索
『星の再臨会』の教会の全図です。
ここでPC達は最後の探索を行うことになります。
『星の再臨会』はなかなか広い地所を持っています。ちなみに家屋は全て和風で、洋風のものは存在していません。
信者たちは全て礼拝堂に集まっており、そこでのイベントに集中している為、基本的に侵入後に発見され、戦闘などになることはありませんが、緊張感を持たせる為に【隠密行動】のロールを行わせることを忘れないでください。
あるいはランダムに信者達と遭遇することにしても良いでしょう。
1.正面門:
昼間は開け放たれていますが、夜間の時間帯は鉄柵の様な門で閉じられます。
鉄柵には閂と南京錠が内側から掛かっています。鉄柵の間から手を入れれば鍵に触れることは可能ので、これを外すには、【隠密行動】の難易度20が必要ですが、単純に鉄柵を乗り越える、ということも可能です。その場合は【体術】か【活劇】の難易度12で済みますが、失敗すると鉄柵が大きな音を立ててしまいます。
敷地を囲む塀は薄い木ですが、高さは2.5m程度あります。【体術】の難易度15に成功すれば塀を越えることができますが、この塀は逆に薄く脆い為、【浪漫】の難易度12に失敗すると壊れてしまいます(最初に登ったPCがロープ等を掛ければ、その後に続く場合は【体術】の判定は不要となりますが、【浪漫】の判定は必須です)。
2.裏門:
潜り戸のような壁に作られた小さな門です。鍵は無いのですが、内側から単純な構造の閂が掛けられています。
機械的な鍵でない為、鍵を開けることはできませんが、単純な破壊は容易です。音を立てないようにする場合、【隠密行動】の難易度15が必要で、この扉の耐久力は30とします。
3.教団信者の共同生活棟:
物置なんだか、長屋なんだかよく分からないような外観をしています。
古く、みすぼらしいのですが、生活臭がしない印象を受けます。
ここで、【知覚】の難易度12に成功した場合は、ここからは全く物音は聞こえず、礼拝場の方から大勢の声が聞こえてきます(長屋からは猫の鳴き声がするぐらいです)。
部屋A~G:
部屋の構成はどれも同じで、入り口の半畳程度の土間に4畳半が接しており、左右どちらかに押入れが存在する、といったようになっています。
寝具が二つ~三つあり、一部屋で複数人が暮らしていることには違いありません。
全ての部屋共通に言えることですが、全く生活感が無く、物が異様に少ない、という印象を受けます。
あるのは、布団と『星の再臨会』の偽典、ちょっとした身の回りのものだけです。
まるっきり、世間とは隔絶された世界で暮らしていると言えます。
他に特に目立つ(?)ものは以下の通りです。
部屋A:
半ば倉庫となっており、竹箒、籠等々が置いてあります。特にのロールの必要なく、「使えそうなものを探す」と言えば鉈等、生活用品ではありますが、武器の代わりになるものが発見できます。
ここで【知覚】、【才知】、【隠密行動】の難易度15に成功するか、特に床を調べる、と指定した場合、畳が最近外された痕跡を見つけることができます。
畳をはがした場合、明らかに地面を掘った形跡が現れます。そこを掘り返した場合、その中から白骨化した死体2体と、腐乱した死体、死後2、3日の若い女性の死体の合計4体の死体を発見することができます。
ちなみに、若い女性の死体は山県雅子ではありません。
【医学】の難易度15で死因を調べた場合は、殺害されたのではなく衰弱による死亡だと分かります。
部屋B:
なし。
部屋C:
空けた瞬間に猫が飛び出していきます(GMによっては冗談で恐怖判定だけさせるのも良いでしょう)。
中には猫の寝床が作ってある以外はほとんど他の部屋と変わりません。
部屋D:
家捜しした場合に限って、【才知】の難易度15に成功すると、押し入れから9mmのハンドガン(セミオート)と、覆面、及び黒服2着を発見することができます(誘拐に使った道具です)。
部屋E:
完全に空っぽです。
他の部屋などにある、多少の生活用品等も全く存在していません。
部屋F:
天文学の専門書が何冊か転がっています。
読みふけることは在り得ないと思われますが、読んだ場合は『彗星に関する資料』を読むことができます。
部屋G:
部屋Aと同じように乱雑な倉庫となっていますが、こちらには特に目立つものはありません。
ただし、同様に「使えるものを探す」ことはできます。
4.平屋の家屋
書庫:
6畳程度の部屋にぎっしりと書物が詰め込まれています。
多くは天文学と宗教(特にカトリックと再臨について)の書物です。
ここで【書物】か、【知覚】の難易度15に成功すると、『グラーキの黙示録』の第5巻を発見することができます。
ただし、本があまりにも積み重なっており取り出すのに時間が掛かるか、あるいは大きな音を立てて倒すかしないと取り出すことができません。
ちなみに大きな音を出しても、『星の再臨会』の人間は全て礼拝堂に集まっている為、気付かれる可能性はまずありませんが…。
秋山の部屋:
何故かこの部屋だけ洋間に改造されています。
部屋の中にはベッドと机が置かれており、かなりすっきりとした印象を受けます。
家捜ししても、特に日記等を発見することはできません。
机の中を探れば、フォードの鍵を発見することができます。
5.礼拝堂脇:
薄汚れたフォードが置かれています。
当然ですが、キーは付いていません。
6.離れの土蔵:
土蔵の入り口には大きな南京錠が外から掛かっています。
これを開けるには【隠密行動】の難易度15に成功する必要があります。破壊するには、【体力】20、防御力5として扱います。
中に入ると薄暗い土蔵は単なる物置に見え、様々な道具が散乱しています。
ここをよく調べた場合、【知覚】、【隠密行動】の難易度15に成功することで土蔵の地下への扉を発見することができます。
この扉には特に鍵などは掛かっていませんが、非常に重たい為、【鍛錬】の難易度20のロールが必要となります(あるいは知恵を働かせて土蔵にある棒状のもので梃子の原理にて開ける、と宣言した場合は、難易度が15となります)。
扉を開けて地下への階段を下りると、山県雅子他、失踪中の女性が見つかります。多くが正気を失っており、まともな状態ではありません(『天球音楽』によって正気を失っているのは山県雅子だけですが、他の女性も山県に中てられて影響を受けています)。
PCたちは【精神治療】によって女性達を正気に戻して事情を聞こうとするかもしれませんが、時間が無いことを指摘してください(【精神治療】には本来10分の時間が必要です)。
もしもそれでもやる、と言った場合は、途中で外から例の『天球音楽』と黒澄綾の声が聞こえてきて、【精神治療】は台無しになります。そして、その後、何かが焼ける臭いが漂い始めます。それでも逃げない場合は、土蔵ごと火事に巻きこれてしまいます。
ここでPCたちは発見した女性達の処遇に困るかもしれません。この場合は、時間が無いことを伝え、ひとまず土蔵の中に隠しておく、と言った手段を取るように勧めてください。
7.物見櫓:
礼拝場に併設されている、10m程度の簡素な作りの鐘楼です。
中を通るのではなく、外側に木の梯子がかけてあり、これで昇り降りするようになっています。
鐘楼の上には暗くて何があるか分かりません。もしも上ってみた場合は、天体望遠鏡が備え付けられていることが分かります
。
【自然科学】のロールに成功した場合は、この天体望遠鏡がかなり高性能であり、一般で見られるものではないことに気が付きます。
また、望遠鏡を覗いてみた場合は、そこにはいつか天文台で見たのと少々解像度が低いもののほぼ同じ光景が広がっていることに、そして、その中で教授の言っていた例の新天体がさらに大きくなっていることに気が付きます。
このことに気が付いた場合は、ショックレベル1の恐怖判定が必要になります。
8.礼拝場:
下の終幕へ進んでください。
いきなり礼拝堂へ飛び込んだ場合も同様です。
終幕 天球音楽
星の再臨会の教会の礼拝場です。
礼拝場とは言いますが、単なる広い寄り合い所の様な建物で、大きな土間だけを持ったようなまったくの日本家屋です。
奥にはオルガンが設置されており、その前には綾がいます。また、その脇には例の奇妙な機械が設置されています。
綾はオルガンに向かってはいますが、演奏はしておらず、放心した表情でぐったりとしています。
近くに居る秋山が綾に向かって何事か怒鳴っていますが、PC達が教会へ乱入、あるいは侵入したことに気づくと、綾のことは放って置いて、PC達の相手をします。
配置としては、入り口から一番奥に秋山と黒澄綾、その少し前に信者達の一団となります。もしも、PC達が入り口から侵入せずに、窓を破って派手に乱入した場合などは、適宜、その位置を決めてください。
ここで綾を取り返しに来たPCたちは有無を言わさずに『星の再臨会』の教主、秋山とその配下の供奉達と戦闘になります。
魔月より来るもの×4
※シナリオの途中で倒している場合、その分数を減らしてください。
能力値:
【活劇】+5 【浪漫】+4 【才知】+3 【社交】+2
【体力】80 【気力】60
防御力…2
回避判定値…16
技能…格闘3
攻撃
格闘:近距離/【活劇】19/【体力】に2D6+3のダメージ
月光:遠距離/【才知】14/【気力】6消費、【体力】に3D6+3のダメージ
禍歌:遠距離内/【浪漫】15/【気力】10消費、【神縁】に2D6のダメージ
恐怖…2D6
特殊能力
空間歪曲:魔月と異なり、自身を運ぶ能力として使用します。アーツ・道化の技【転移】Lv3と同等の効果を持ちます。
魔月よりの使者
※シナリオの途中で倒している場合は登場しません。
能力値:
【活劇】+3 【浪漫】+6 【才知】+5 【社交】+7
【体力】100 【気力】120
防御力…1
回避判定値…14
技能…格闘3
攻撃
体当たり:近距離/【活劇】14/【体力】に2D6+3のダメージ
月光:遠距離内/【才知】16/【気力】10消費、【体力】に4D6+3のダメージ
禍歌:遠距離内/【浪漫】17/【気力】10消費、【神縁】に2D6のダメージ
催眠:遠距離内/【社交】18/【気力】8消費、対象を敵対的な行動を取れなくするか、簡単な命令を聞かせる
恐怖…2D6
特殊能力
空間歪曲:魔月と異なり、自身を運ぶ能力として使用します。アーツ・道化の技【転移】Lv3と同等の効果を持ちます。
秋山智生、魔人
能力値:
【活劇】+3 【浪漫】+5 【才知】+6 【社交】+10
【体力】120 【気力】120
防御力…3
回避判定値…17
技能…格闘3、体術3、鍛錬3
攻撃
格闘:近距離/【活劇】17/【体力】に1D6+3のダメージ
禍歌:遠距離/【浪漫】16/【気力】10消費、【神縁】に2D6のダメージ
説教:遠距離/【社交】21/【気力】10消費、【気力】に2D6のダメージ
守護神:魔月(≪万霊≫1、≪冥王≫1) ※PCと同じようにアーツを使用可能です。
戦闘開始と同時に、教会に設置された『天球音楽受信機』がその楽を奏でます。
ここでも例に漏れず、ショックレベル2の恐怖判定を要求されます。
綾は、その楽を聞き、愕然とした表情を浮かべています。
「ああ、この音、この旋律、私が求めて止まない、至福の楽。彼方の天球から奏でられる天上の福音。
これが『天球音楽』なのですね」
綾はそのままオルガンへ向かい、演奏を始め、歌い始めます。
秋山と供奉達は音楽を奏でる綾を守ることを優先します。
綾は『天球音楽』を奏でることに夢中になっています。教団を突破して彼女の傍に近づいている場合、【鍛錬】の抵抗判定(綾の【活劇】を+5として扱ってください。綾はこの時点で一時的な狂気に陥っており、まさしく狂人の限界を越えた筋力を発揮しています)に成功した場合は、オルガンから引き剥がすことが可能です。
オルガンから引きはがされた彼女は、「音楽が!天球の楽の音が!」と暴れますが、拘束を続ける限りは特に判定の必要はありません。
オルガンから引き剥がされて1ターン後にはすっかりぐったりとして、抵抗を止めます。
※以降のターン数の経過によって起こるイベントは、GMの判断で前後させてください。
綾の演奏が始まってから4ターン目の開始時、彼女の『禍歌』とオルガンの楽は、『天球音楽受信機』の音と溶け合い、彼女の言う『天球音楽』となります。
『天球音楽』により、『魔月』が一時的にこの場に召喚されます(完全に召喚されるには、あまりにも捧げられた生贄が少ないのですが、あちら側が綾の音楽に興味を持って動き出したのです!)。
その場に居る全員はショックレベル5の恐怖判定が必要になります。そして、『魔月』から圧倒的な音楽が溢れ、その場を支配して行きます。
この『魔月』の【体力】はわずか100、回避判定値は0となりますが、それ以外は全て『魔月』と同じ能力を持っています。詳細はP.201を参照してください。ただし、何故か距離感が完全に失せており、近距離/遠距離の攻撃が分け隔てなく行えます。
『魔月』の死の光は、黒澄綾を除いたその場に居る全員に等しく振りかかります。
死の光の中、綾の音楽は『魔月』のそれと協和し、それまで奇妙な音楽としか思われなかったものがこの世のものとは思えない、彼女の言う天上の福音、至福の音楽と聞こえます。
『魔月』が召喚されたことで秋山は歓喜に包まれ、積極的に死の光を浴びるなど、完全に狂気に捕らわれます。彼は、完全に『魔月』を受け入れてしまっているのです。
同様に供奉達も『魔月』の姿に感極まって動きを止めます。PC達から積極的に攻撃しない限り、『魔月』を礼拝する以外の行動を取らなくなります。
圧倒的な『魔月』と綾の『天球音楽』が響くなか、戦闘が続行されます。
綾に近づいたり、あるいは攻撃を仕掛けた場合、『魔月』の空間歪曲が働き、その演奏を邪魔することはできなくなります。
『魔月』が召喚されてから5ターンが経過すると、『天球音楽』に不協和音が混じり始めます。行動可能である場合は、【知覚】か【霊感】の難易度15で、プラスチックや何かの化学物質の焼ける臭いに気が付きます(『魔月』と綾をつなぐ役割を持つ『天球音楽受信機』が過負荷に耐えられず、燃え始めているのです)。
6ターンの経過後、『天球音楽受信機』からは青緑の炎が上がり、礼拝堂の床や天井に燃え移ると同時に、『天球音楽』は途絶えて、綾の演奏するオルガンと歌だけが残り、『魔月』の姿がかすみはじめます。
8ターンの開始時に『魔月』は消え失せ、『天球音楽受信機』から発した火は完全に礼拝堂に燃え移ります。
音楽が途絶えても秋山や供奉は正気付くことはありません。PC達は戸外に脱出することは可能です。
同時に、8ターン後に外へ脱出していない場合は、崩落を始めた礼拝堂の炎によって毎ラウンド2D6のダメージを蒙ります。
ここで、(正確でなくとも)事態を把握し、冷徹なPCならば、「綾を攻撃する」という選択肢も出てきます。
この場合、確かに綾の『天球音楽』を阻止する可能性はありますが、その後に怒り狂った秋山と供奉達の襲撃を受けるだけです。
礼拝堂の外に避難すると、帝国古代遺産管理局の局員たちがPCたちを待っています。
警察を装っている彼らに有無を言わさずに身柄は拘束されますが、特に自由を奪われることもなく現場付近に待機させられて火事の処理(と、この事件の後始末)を見守ることになります。
事前に、『星の再臨会』に囚われている少女たちを発見している場合、すでに帝国古代遺産管理局の局員たちが救出をしており、やはりその場で治療を受けています。
教会を離れ、そして礼拝堂が完全に炎に包まれると、どこからか『天球音楽』が聞こえてきます。
いつの間にか狂った秋山が物見櫓に登り、何かを喚いています。【知覚】の難易度15に成功すれば、秋山が「聞こえます…聞こえます…」と言っていることが分かります(【知覚】は不要でも構わないかもしれません)。
ここで、山県雅子か、あるいは他のNPCがいる場合は、「聞こえるんですね、『天球音楽』が」と呟きます。
火の手はどんどん強くなり、教会の敷地を飲み込んで行きます。そしてその火の手に呼応するかのうように、礼拝堂の中からはさらに強い綾の歌声と、『天球音楽』が聞こえてきます。
火の手が鐘楼を飲み込み、それは礼拝堂の側へ、秋山を乗せたまま倒れていきます。礼拝堂が火災によって崩落する頃には、いつの間にか『天球音楽』は聞こえず、綾の歌声も止んでいます。
PC達はその後の細かい始末は帝国古代遺産管理局の局員たちに任せて、その場は解放されます。
もしも最後に『星の再臨会』の教会へ行かなかったり、途中で逃げ出した場合は、後日に新聞で新興宗教団体『星の再臨会』の敷地で火事、礼拝堂内で集団自殺?、行方不明の女子を発見、と言った内容を知るだけになります。
終幕 後日談
黒澄綾を教会内に残したままであった場合は、帝国古代遺産管理局から、「焼け跡からは秋山を含む、多数の『星の再臨会』の信者の焼死体が見つかった。何体か若い女性のものはあったものの、綾のものと思われる死体は発見されていない」、という情報を得ることができます。
当然、事件の当事者の生き残りとして警察等でも捜査が行われていますが、行方は杳として知れていない、ということです。
黒澄綾の救出に成功した場合、彼女はその狂気の為、根岸病院へ入院させられます。この時に、面会に行った場合は、面会謝絶ではありませんが、PC達には一切の興味を示しません。軽い鼻歌で例の『禍歌』を歌いながら、そこには無い鍵盤を叩いている様子を見ることができるだけです。
約一週間後、症状が重い、との判断から、松沢病院へ転院となります。そして、松沢病院へ転院後、病院から抜け出し行方不明となります。
『星の再臨会』は主催の秋山は火災で死亡、教会内で暮らしていた信者も多数が同じく死亡しており、組織としては最早崩壊しています。
再臨会の施設は完全に灰燼に帰しており、焼け跡を調べても何も得ることはできません(山県雅子等を助けていない場合は、その死体を地下室から発見することになりますが…)。
教会で暮らしていない信者の中には検挙された者もいますが、ほとんど何も知らない為、軽微な罪に問われるのみです。もちろん、『星の再臨会』は解散、教会跡地は封鎖されてしまいます。
その後、山県雅子、馬場晴香の状態は快方に向かっているという噂も聞かれます(PCが彼女らを発見していない場合は、そういうことはありませんが…)。
また、女学生PCの父親、教授も1週間も休養すればすっかりと元に戻り、そのまま仕事に復帰しています。ただ、発見した新天体については、1週間のうちに見失ってしまった、ということです。
このことについて、教授は非常に残念がりますが、「我々の計算もまた間違っていたのだ。新天体は諦めて、今度こそ、冥王星を見つけてみせる!」と決意を新たに仕事に打ち込んでいます。
馬場晴香をちゃんと確保している場合は、子爵から報酬を、山県雅子を確保しており、報酬の約束をしている場合でも例の女中から報酬を得ることができます。
本当の終幕 後日談
事件から約一ヵ月後、大正12年(1923年)、9月1日、午前11時58分、相模湾北西を震源とするマグニチュード8に近い大地震が発生します。
死者9万9千331人、行方不明4万3千476人、家屋の全壊12万8千266戸、半壊12万6千233戸、焼失44万7千128戸。
世に言う関東大震災です。
果たして、彼女の『歌』がこの災害を呼び寄せたのでしょうか?それとも、ただこれを予言しただけなのでしょうか?
それを知っている彼女の行方は未だに不明のままです。黒澄綾は未だに『歌』を歌っているのでしょうか…。