リンケージ：晴香と天球音楽
この場面はシナリオの後半で、夕方以降に桜嶺女学院の近くへ行くタイミングで発生させてください。
GMの判断によって、シナリオの進行具合に合わせて行ってください。
晴香と天球音楽
夏の始まりの長い日が沈み始め、赤とも黄色も言えない気味の悪いほど大きな月が低く昇っています。
残った太陽の光か、薄い月光か、ごく近い距離でも誰かと問いたくなる中、ぼろぼろになった着物を纏った若い女と思しき影が、桜嶺女学院の門を潜るのを見かけます。
守衛は最初、ぎょっとした顔を見せますが、そのままその女を通します。
この女を追い掛けた場合、まず守衛に止められてしまいますが、女学生PCの場合は問題なく通されます。
それ以外のPCが居る場合、何らかの説明が求められます。適切な【社交】系の技能か、【信用】を2D6消費することでその場を通過することが出来ます。
女学院内に入るとその姿はすでに消えています。【尾行】の難易度12か【知覚】の難易度15によって、その人影が桜嶺女学院の特別教室棟(音楽室がある棟)に向かったことが分かります(失敗した場合でもしらみつぶしか、あるいは音楽室と言えば問題ありません)。
明かりもついていない暗い教室の中は無人と思われますが、赤い月光の中に先ほど見かけたすぼらしい姿をした女生徒がピアノの傍の椅子に腰掛けています。
PC達が近づいてみれば、これが馬場晴香だということに気が付きます。
この晴香のひどく変わった姿を間近に目撃した場合、ショックレベル1の恐怖判定を受けます。また、女学生PCがいる場合は、近しい人間のあまりの様子にショックレベル2になります。
馬場晴香はまるで何かに聞き入るように目を閉じており、教室に入ってきたPC達に対して反応は示しません。
彼女に近づこうとすると、赤い月光が次第に黒くなりそしてそれがまるで生き物のように蠢いて人の形を作り始めることに気が付きます。
前の【尾行】の判定に成功している場合は、晴香に十分に近づいてから、そうでない場合は晴香から離れた距離でそいつが実体化します。
すでに山県雅子の誘拐現場で目撃している場合は、これがその時に目撃した存在と同じであることに自動的に気が付きます。
『魔月より来るもの』は馬場晴香を取り戻す為にこの場に現れています。『魔月より来るもの』が晴香を確保に成功した場合、彼女をその黒い体に包み込んで即座に空間歪曲を使用して逃走します。
そうでない場合、晴香を確保する為に行動しますが、【体力】が半減すると空間歪曲を使って逃走を図ります。
魔月より来るもの、供奉
能力値:
【活劇】+5 【浪漫】+4 【才知】+3 【社交】+2
【体力】80 【気力】60
防御力…2
回避判定値…16
技能…格闘3
攻撃
格闘：近距離／【活劇】19／【体力】に2D6+3のダメージ
月光：遠距離／【才知】14／【気力】6消費、【体力】に3D6+3のダメージ
禍歌：遠距離内／【浪漫】15／【気力】10消費、【神縁】に2D6のダメージ
恐怖…2D6
特殊能力
空間歪曲：魔月と異なり、自身を運ぶ能力として使用します。アーツ・道化の技【転移】Lv3と同等の効果を持ちます。
晴香を助けることに成功した場合、話を聞けるのはその場でのみとなりますが、彼女はすでに通常のコミュニケーションが取れる状態ではありません。
【精神療法】の難易度15に成功すると、【気力】がかなり減少しており、『天球音楽』によってその正気は破壊されていることが分かります。
また、【霊感】の難易度12に成功すると、極微弱ながら彼女から先ほどの黒い化け物と同じ霊気が宿っていることに気が付きます。
ほとんどの言葉に反応は示しませんが、「音楽」という単語には、「『天球音楽』が、天体からの音楽が地に満ちる」と言った反応を返してきます。
あるいは「黒澄（綾）」という単語には、「歌声の主、天球の巫女…、福音の伝道師」という反応を返してきます。
その他の言葉にはあまり意味の無い言葉が返ってくるだけです。ただ、断片的に「天球の音楽」「訪問者」「巫女の歌声」等の言葉を呟くだけです。
晴香に対して質問を重ねていくとそのうちに拒否反応を示し始め、PC達の質問に答えられない状態になってしまいます。
ここで晴香の確保に成功して馬場子爵に引渡した場合、彼女は自宅にて私宅監置状態となり以降は話を聞くことはおろか、会うことすらできなくなります。