異説天球賛歌事件 導入部

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『異説天球賛歌事件』目次:
■はじめに
■概要と真相
■登場人物(NPC)
■シナリオのチャート

>導入部
 □桜嶺女学院の声楽部の発表会
 □帝都の怪事件
 □事件の始まり
 □事件の始まり(書生の場合)

■桜嶺女学院スレッド
■天文台スレッド
■星の再臨会スレッド
■真田幸スレッド
■リンケージ:晴香と天球音楽
■リンケージ:雅子の誘拐
■終幕部
■データセクション

導入部

 シナリオの導入部となります。
 多数登場するNPC達の面通しと、黒澄綾の存在をPC達に認識させるとともに、帝都で怪事が起こっていることをアピールする場面です。
 特に記載していませんが、『帝国古代遺産管理局』絡みで依頼や、情報を受け取るような場面を設定してもよいでしょう。

桜嶺女学院の声楽部の発表会

 このパートはシナリオ本編が始まる1か月ほど前の出来事となります。
 多く登場するNPCの紹介と、その関係をPCに開示していく場面となります。

 声楽部、とは言いますが実際は音楽全般を取り扱う部活です。
 部長の小幡とらの方針により、このような発表会に向けて練習がメインとなっており、普段の活動はあまりなされていません。
 この発表会は日頃の成果の発表を目的とした、季節ごとの定期発表会のようなものです。

 桜嶺女学院は課外活動、部活動が盛んとは言い難いのですが、数多くの部、同好会、研究会の類を抱えており、その中で「声楽部」は学校公認であり、最大派閥の一つです。
 専任の顧問、というわけではないですが、真田幸がその顧問扱いとなっており、その場を遠くから見守っています。

 発表会には女学院の生徒や、父兄、関係者が多く集まっています。
 その中でもやはり目立つのは、山県雅子、馬場春香とその家族となります。両家とも華族の名家であり、資産家、山県家は多額の寄付を女学院に行うとともに、理事の一人でもあり、馬場子爵は貴族院議員です。
 また、声楽部の発表で目立つのはなんといっても黒澄綾です。
 彼女は約2か月前に桜嶺女学院に転校してきて、漆黒の髪、病的に白い肌を持つ美貌の少女です。それだけでも目立つものですが、この発表会において彼女の演奏と歌唱は群を抜く、というどころでは無く次元が異なるほどの印象を与えます。
 普段の発表会ならばほとんどないことですが、彼女自身の独唱や独奏を行う場面が出てきます。
 さらに、下級生の春日綱子と黒澄綾による二重唱などが披露される場面になると、女学院の生徒からは微妙などよめきが起こります(黒澄綾は女学院の生徒たちの間では有名であり、影では『お姉さま』と慕われる存在です)。

 滞りなく発表会は終了し、綾に対しては山県雅子、馬場春香を中心とした女生徒たちが群がり、彼女をもてはやします。
 この輪を、外から観察している女生徒を発見します。
 彼女は、内藤豊という下級生でしばらく綾を観察した後、後から現れた春日綱子へ近寄ります。二人は誰かを探している様子で、馬場家の方向を向いたときに綱子の顔がぱっと輝きますが(その方向を見れば、高坂正信が大きく手で×を送っています)、すぐに諦めてその場を後にします(PCの視線に気が付いた場合は、軽く頭を下げて去っていきます)。

帝都の怪事件

 この場面は女学生PC、探偵PC以外の導入場面となります。
 ここのところ、帝都で若い女性が相次いで行方不明になるという事件が発生している噂を聞きます。ただ、はっきりと事件性がある訳でも無く、ありがちな家出の可能性もある為、世間的には大騒ぎとは行かずに様々な論調が出ているような状態です。
※秘神大作戦的には帝都で起こる事件は「ゴルゴムの仕業だ!」と同じく、「邪神の復活をたくらむ魔人の仕業だ!」です。

 PCが(複数人でもよいですが)、何らかの用事で日が暮れた後に表を歩いていると、ごく低い位置に浮かんでいる大きな月が目に入ります。
 その下をふらふらとおそらく女学生であろう若い女性が歩いています(GMの判断によって、これが馬場晴香であるとしてもよいでしょう)。
 PCが興味を示すか、あるいは保護でもしようかとした場合、視界の中にある月がひどく大きく、黒い影のようなものであることに気が付きます。そして、そちらに向かって歩き出そうとしたとき、その月が目を見開いてPCを見詰めてきます。
 この異様な月の様な球体の化け物を目撃した場合、ショックレベル2の恐怖判定が必要になります。
 そしてその黒い球体の化け物は、PCの見ている前で女学生を影の中に取り込み、蜃気楼のように消え失せます。
 まるで月下の幻の様に、女学生も、黒い球体の化け物も何も痕跡を残していません。

事件の始まり

 探偵である場合は直接馬場子爵から依頼を受けても問題ありませんが、そうでない場合は女学生PCの父親から紹介されることになります。
 また、特務将校や大陸浪人などの場合は、帝国古代遺産管理局から怪事件の情報を受けて、その結果、馬場子爵が訪れる、という流れになります。

 探偵業は探偵小説の流行とはうらはらに、実質的には現代と変らないような信用調査であるとか、素行調査であるとか、そんな地味で地道な依頼ばかりです。
 なんらかの人脈等を築かなければ食っていけないのも現代と変りません。
 今日も今日とて、暇を持て余しているか、地道な作業をしている探偵PCの事務所へ、いかにも華族といった男が尋ねてきます。
 男は上等そうな黒の三つ揃えを着ており、髭こそ生やしていないもののいかにも華族然とした鷹揚な態度です。ちなみに、事務所のドアは自分で開かず、いかにも運転手を兼ねていそうな男が開いています。
 まず手を振ってドアを開いていた男を下がらせ、「馬場信久だ」と名乗りながら名刺を出してきます。
 ひとまず名刺の交換が済むと馬場は単刀直入に、「うちの娘が行方不明になった。探してくれ」と言います。
 他言無用、報酬は言い値で、結構とも言います。

事件の始まり(書生の場合)

 書生PCの元に、女学生PCの友達の家の書生、高阪正信が尋ねてきます(同じ書生仲間で友人、ということにしてください)。
 高阪は馬場子爵の家に住み込んでおり、学業そっちのけで馬場の用を聞いています。
 熱血漢で正直者、そして何よりも行動力があり火炎放射器の様に直線的です。
 いつもの白袴に下駄履きという格好で、この日も挨拶もそこそこ、いきなり本題を切り出してきます。
「御前(馬場子爵のこと)のお嬢さんが行方不明になった!探すのを手伝ってくれ!」
 ここで馬場子爵、あるいは高阪書生から聞きだせる情報は以下の通りです。
(キーパーの話す人物に合わせて台詞を読みかえるなりしてください)
・娘について
「娘の名は晴香、今年で18歳で、桜嶺女学院に通っていた」
「随分と奥床しい性格で、ちょっと世間ずれしたところもあったが、問題になるほどでもない」
・行方不明の前の様子について
「実は変な宗教に凝りだしてしまい、学校には病気と言うことで家に留めていた」
「その変な宗教に凝り出す前後から、何かノイローゼらしい思いつめた様なところがあった」
・宗教について
「4、5年前に日本でも流行った、内村鑑三とか、再臨とかなんとか。
 あの系統で、桜嶺女学院ではカトリックの教えを一部取り入れているから、一部そういう情報もあったという話」
「どういうものかは詳しく知らない、とりあえず、学校で感染したらしい」
・いつ頃からか?
「変に懲りだしたのは結構最近だ。声楽部とかにも入って、そこへ入り浸るようになってしまって・・・・・・」
「黒澄とか言う生徒についてもよく話していた」
・行方不明になった状況は?
「常に娘を監視しているわけではない。いつの間にか家から居なくなっていたとしか言いようがない。
 ただ、部屋の中が荒らされていた形跡はないから、おそらく自分の意志で出て行った可能性が高い」

 他に聞きたいことが無くなるか、上記の情報を全て出し尽くせば、馬場、あるいは高阪は逐次報告を受けに来る(あるいは使いを出す)、と去っていきます。