概要と真相
シナリオの概要と真相となります。
当然ですが、GMや、プレイ予定のない方のみ読んでください。
シナリオの概要
本シナリオは、大正12年(1923)7月、帝都が舞台です。
事件は探偵PCの馬場子爵の娘、晴香を捜索して欲しい、という依頼と、女学生PCの通う桜嶺女学院での山県雅子に関わる噂を聞くところから始まります。
晴香の捜索からは『星の再臨会』というカルト教団、雅子からは『天球音楽』と、それを奏でる黒澄綾に繋がり、そして女学生PCの父親である天文学者から天文台絡みの事件が起こります。
これらの事件は一見なんの関係も無く見えますが、黒澄綾の『天球音楽』と天文台での事件の関連、『星の再臨会』と『天球音楽』の関連など、全ては繋がっていきます。
最終的に黒澄綾が誘拐され、『星の再臨会』に乗り込んだ探索者たちはそこで完成された『天球音楽』を聞くことになり、そして『魔月』との召喚が行われます。
シナリオは様々な事件によって構成されています(これをそれぞれスレッドと呼びます)。
事件は最終的には『終幕』スレッドの一つへ集約されますが、それまでは別々の事件の様に展開していきます。
少々把握しにくいかと思いますが、大きな事件が引き起こす、様々な小さな事件が起こり、そして一つに収束していくものと考えてください。
一度、時系列に沿ったシナリオのチャートに目を通して頂ければ、流れは把握できるかと思います。
スレッド毎や、シナリオのチャートは単なる指針程度です。キーパー自身の判断と力量を発揮して、シナリオを自由に引き回してください。
また、キーパーによっては、いわゆるシーン割りの概念持ってシナリオを運用すれば、より効率的にシナリオが運用できるかもしれません。
一つのスレッドをどんどん進めるのではなく、なるべく平行して進めるのが良いのですが、ボリュームのあるスレッドを先に進めることも重要です。
スレッド毎では時系列に沿った流れになっていますが、そのスレッド以外と絡む場合は時系列を合わせるか、キーパーの判断(いわゆるアドリブ)でなんとか切り抜けてください(決してプレイヤーの前で、「しまったッ!」と叫んだり、「げぇっ・・・・・・」と呻かないようにしてください(笑))。
また、NPCが多く登場する為、キーパーはその演じ分け、個性を印象付けるようにしてください。
桜嶺女学院スレッド
女学生PCが通う桜嶺女学院で発生する事件を追うスレッドとなります。
黒澄綾の奏でる『天球音楽』が、彼女の意志とは関係なくそれを聞く女学生達を狂気に導くと共に、事件へと巻き込まれるきっかけとなっていきます。
シナリオ中、『天球音楽』は完成に近づいていき、そして最終的には『グロスの接触』と同じ効果を持った完全なる『天球音楽』が奏でられます。
このスレッドはその過程を追うものです。キーパーは注意して、(特に終盤の展開を)進めるようにしてください。
天文台スレッド
PCの一人、女学生PC(の父親、教授)が中心となる天文台絡みのスレッドです。
新たな天体を発見した、という教授と、そこへ持ち込まれた『天球音楽受信装置』にまつわるスレッドです。
事件、というよりも、事件の裏、あるいは真相に近い部分をPCたちへ提示するスレッドとも言えます。
PCの行動とは無関係に、時系列とともに自動的に進展していきます。
『星の再臨会』スレッド
表向きは異端的な教義を唱えるカトリック教会ですが、事件の黒幕、あるいは『天球音楽』によって踊っているカルト教団です。
真田幸の論文と、独自に入手した『グラーキの黙示録第5巻』『天球音楽受信機』により、『魔月』との接触を図っています(あるいは図っていると信じています)。
『天球音楽』を詠う巫女として、帝都の少女達を誘拐しており、行方不明事件の真犯人です。
最初は手当たり次第、その内に黒澄綾の『天球音楽』の影響を受けた少女達、そして黒澄綾自体を誘拐します。
また、誘拐に関わる他(と言うよりもこのスレッドのメインは)、彼らが不完全ながらも奏でる『天球音楽』や、あるいは『天球音楽受信機』による音楽の流出により、周辺住民は精神的に異常を来たし、様々な事件を引き起こします。
『星の再臨会』は徹頭徹尾、怪しいカルト集団です。その為、探索者たちが強行手段に出ることが十分に考えられますが、最終盤になるまで、踏み込ませないようにしてください(警察等に訴えても証拠が無い為、動いてもらえません)。
真田幸スレッド
真っ白な容疑者、真田幸です。
女学生PCの女学校の教師をしています。
名前だけ出て、かなり怪しげに見えますが、事件には一切関わっていません(発端となったその論文を書いているだけです)。その登場を遅らせれば遅らせるほど疑念だけが募っていきます。
早めに登場させても構いませんが、終盤で登場させ、探索者達の疑念に一気に応えるようにしてください。
リンケージ:雅子の誘拐
事件の発端の一つは、黒澄綾の『天球音楽』による狂気の伝染です。
雅子自体は単なる被害者で狂気に蝕まれている為、自宅療養をしていますが、その狂気の発露として自らの『天球音楽』を歌ったことで『星の再臨会』に目を付けられ、自宅から脱走してそのまま誘拐されてしまいます。
リンケージ:晴香と天球音楽
こちらも事件の発端の一つで、最初から『天球音楽』に蝕まれているとともに、誘拐されて行方不明になっています。
晴香は終盤で「狂人故の鋭敏さ」で誘拐元から抜け出し、黒澄綾の『天球音楽』を聞きに桜嶺女学院へと導かれます。
終幕部
全てのスレッドが集約するスレッドです。
…実際には『星の再臨会』スレッドの続きなのですが、最終的な黒澄綾の誘拐によって(基本的には)全スレッドが停止し、終幕スレッドが起動します。
終幕では、『星の再臨会』への突入、そして完全なる『天球音楽』が奏でられることになります。
シナリオの真相
一連の行方不明事件は、『星の再臨会』が引き起こしています。
その主催である秋山は『魔月』の信奉者であり、守護神として持っています。彼一流のアイデアによって、この『魔月』の再来をキリストの再臨に見立てて新興宗教として『星の再臨会』を開き、『魔月』の召喚を試みています。
英国からもたらされた奇妙な機械(天球音楽受信装置)によって、『魔月』より発されていると思われる波動を音楽に変えることで、それが『魔月』とのコミュニケーションの手段であると思い込んでいます。
この為、『魔月』に対してこちら側から音楽を発する為に、『天球音楽』を奏でることができると目される人材の誘拐を繰り返しました(その対象が若い女性ばかり、というのは全て『秘神大作戦』故であると思ってください)。
最初は手がかりもなく、適当に音楽に関係がありそうな女性を狙っていたのですが、黒澄綾の『禍歌』の影響を受けた馬場晴香に目を付け、次は山県雅子に、そして春日綱子と内藤豊、最後に黒澄綾にたどり着きます。
桜嶺女学院の女教師、真田と再臨会は全く関係がありません。
星の再臨会の主催である秋山が大学で真田の論文を読み、勝手に霊感を得て再臨会を開いたのです。
一応、真田と秋山は面識はありますが、あくまで研究者、あるいは大学関係者としての接触があるだけで、真田からすれば秋山は名前を知っている程度に過ぎません(そして、今何をしているか、などは完全に埒外です)。
対して、秋山の方は一方的に真田を崇拝し、師匠の様に思っています。